2008年7月3日木曜日

映画『インランド・エンパイア』 ・・・ローラ・ダーン最強伝説

●原題:Inland Empire
●ジャンル:ドラマ/ミステリー
●上映時間:180min
●製作年:2006年
●製作国:アメリカ/フランス/ポーランド
●言語:英語/ポーランド語
●カラー:カラー
◆監督:デビッド・リンチ
◆出演:ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ、その他大勢
◎評価:★★★★★★★★☆☆

 予告編でのローラ・ダーンの顔面アップ。これが3時間も続いたらどうしよう(笑;)。でもデビッド・リンチだし。ということで観てみた。

【ストーリー】
 アメリカはハリウッド。女優のニッキーは引越しの挨拶に来た老女の失言に気分を害していたが、ある映画への出演が決定するとそんなことはふっ飛んで狂喜しまくる。楽しい宣伝活動が一通り済むとクランクインするニッキーと共演男優だが、ある日のことリハーサルの最中にスタッフがスタジオセットの奥に不振人物を目撃する。しかし急いで探すも見失ってしまう。不穏な空気が漂い出したスタジオで監督がある事実を打ち明ける。今回の作品は実は未完成のままとなったある作品のリメイクであり、更にはその主演俳優の2人が殺されたといういわくつきの脚本でもあるというのだ。それはポーランドの民話を題材とした脚本であった。驚きを隠せないニッキーに男優であったが、気を取り直して撮影を続行することにする。
 ある日の撮影からの帰り際、ニッキーはスタジオ建屋の裏口の脇に奇妙な落書きを発見する。落書きにある矢印は中に入れと誘うかのようだ。恐る恐る裏口から中に入るニッキーはセットの裏側に入り込んでしまうが、そのセットの先にはリハーサル途中に不審人物を発見するスタッフに監督、そして共演男優がいるではないか。そして不審人物を見る彼らの目は自分に向けられているのだ。慌ててその場を走り去りセットの一部に身を隠すニッキーだが、そこがいつの間にか自分がいるはずのない一軒家に変わり、やがて自分も別人へと変貌していく・・・・・・。

【感想と雑談】
  さっぱりわからんタイムを過ごしてしまった。3時間。

 相変わらずデビッド・リンチは凄いね。よくぞここまで俺流を突き通してくれるもんだ。これまで観てきた作品、何一つ理解できたことないよ。ううう。

 なんかのっけから頭部にボカシの入った人物が出てくるわ(引用①)、ウサギの被り物一家が出てくるわ(引用②)、老女と熟女の顔面アップ合戦が拝めるわ(引用③)、照明がバシバシする中オネーチャンらが踊るわで(引用④)、意味のわからんアイテム群の猛攻撃だった。
 またそれらに加えて今回はやたらローラ・ダーンの顔面百変化が全編に渡り迫ってくる感じだった(引用⑤)。なんかもう凄いです。ローラ・ダーン。当初の予感が的中(笑。

 ネットで検索してみると、デビッド・リンチの作品を熱心に研究し解釈されている方の情報に辿り着くことができる。読めばなるほどそういうことかとよくわかる。

 凄いな。なんでそこまでわかるんだろ。こういうのは推理力をいかに働かせるかによるんだろうな。自分も見習いたいところだけど、注意力があまりないので、そこまでは無理だ。間違いなく。

 どうやらリンチ監督は極端な感性で物事を捉え表現しているだけであって、難解に見える描写も実は意味があってちゃんと辻褄合わせができるんだそうだ。で、それをするには隅々に配置された記号や信号を見落とさないようにして、その記号や信号をもって抽象的なイメージの意味を読み取り時系列の順序を整えれば解釈の完成なんだそうだ。
 これができるかできないかで観る人が真っ二つに分かれてしまうんだろうな。たぶん。

 先に自分は無理だと書いたけど、また新作が出るのであれば、なるべく観方を変えて望んでみようと思う。それと『マルホランド・ドライブ』を観直すことにしよう。なんだか気になってきた。既に2回観てるんだけど(笑;。

 結局、本作は何一つ理解できなかったものの、とてつもなくシュールな絵画を観てしまったという感動でいっぱいになった。ということで自分は傑作にしています。人それぞれの楽しみ方ですよ。
本作に限らず、デビッド・リンチが描くイメージは恐怖と不安でいっぱいだけど、観ずにはいられない魅力があるよね。

 (記事の最後にデビッド・リンチ監督の短編作品を貼り付けております。是非ご覧になって下さい。もう凄すぎです。)


①頭部にボカシが入った謎の男と謎の娼婦。なんかやっちゃいそうな予感だが、それでもボカシは頭部だけにしか入らないのだろうか・・・というヤボな疑問は胸に仕舞っておこう(笑。


②ウサギの被り物一家。和み系のシーンに見えるが、やっぱしどこか不気味である。女ウサギの声をナオミ・ワッツがやってるとか。中身もワッツなのか?


③老女とローラ・ダーンの顔面対決直前。まずはコーヒーで喉を潤そう。老女の顔面アップは殺傷能力あるのでここに出すのは控えます。


④照明がバシバシ点滅する中でロコモーションをBGMに踊りまくるオネーチャンら。例のピカチュウ問題は大丈夫だったのだろうか。


⑤これが本作の要といえるローラ・ダーンの顔面百変化。もっとアップの顔があるのだが、老女同様ここに載せるのは危険すぎるのでやや引き目のものにした。これでもビンビンきてるけど(笑。

【オマケ】

『The Alphabet』・・・デビッド・リンチが60年代に撮った実験的な短編作品です。これどう思います?トラウマになったらゴメンですけど(笑;。


『Premonition Following An Evil Deed』・・・なんなんでしょうかこれは。昔の犯罪ドラマかなんか?と思っていると突然、異次元ラボのカットが挿入されます@@


© 2006 BY INLAND EMPIRE PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED.
【出典】『インランド・エンパイア』/角川エンタテインメント

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6 件のコメント:

  1. デビット・リンチ、ローラ・ダーン好きですよね。
    感性が普通の方と違うのでしょうね。
    私も彼の作品を観てると、途中でトリップしてしまいそうになることが多いです。
    で理解力抜群なインテリを装います。
    ちなみに寺山修司も同じ臭いがします。

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  2. コメントありがとうございます。
    『ブルーベルベット』の女子高生役が衝撃だったです、ローラ・ダーン。半泣き顔が素敵でした。『インランド・エンパイア』はまたチャレンジしてみようと思います。

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  3. はじめまして。
    アップの顔がどれも怖い。老女の写真は出さずに正解かもしれません。禁止かも?(笑)
    何度観ても、「マルホランド・ドライブ」同様に、答えがあるようでないかもしれませんよ。私は、分かったと思ったら他が分からなくなります。
    またのぞかせていただきますね。
    応援凸して帰ります。

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  4. >whitedog様
    こんにちは。コメントありがとうございます。
    今回はやたら顔面アップが多いのでどうしようかと思いました(笑。
    ちょっと『マルホランド・ドライブ』でお口直しします(←逆効果。
    応援もありがとうございました。これからもよろしくお願いしますね。

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  5. 分析しているサイトがいくつかありますね。なかには情報として売ってたりしてw

    正直、リンチ大好きなんです。だけどそんな風に解釈しようとはぜんぜん思わないんですね、なぜか。

    それはしょせん夢判断のようなもので、言語化される以前の世界から来て、またそこへ戻っていくものを、一時的にこの世界につなぎ止める行為にしか思えないからでしょうか。

    右脳は右脳のままでいいと。音楽がなぜ素晴らしいか語れないように。

    遅いコメント、失礼しました。

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  6. >kiona様
    リンチ作品って感覚で観るものだと思って
    いたのですが、最近になってそういう分析
    結果が出回っていることを知ったのですよ。
    ピースがピタッとはまるような解釈ができる
    と快感なのでしょうね。
    でも自分はやっぱりkiona様の言われる通り、
    昔ながらの感覚で観るのが良いですね。
    遅いコメントだなんてとんでもない。
    いつでも大歓迎ですよ♪

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