2008年7月5日土曜日

映画『ザ・チェーンソー・スラッシャー 悪魔のいけにえ』 ・・・ドイツから変なスラッシャー映画がやってきました

●原題:Slasher
●ジャンル:ホラー
●上映時間:80min
●製作年:2007年
●製作国:ドイツ
●言語:ドイツ語
●カラー:カラー
◆監督:フランク・W・モンタグ
◆出演:クリスティアナ・イムダール、その他大勢
◎評価:★★★☆☆☆☆☆☆☆

 DVDパッケージにデカデカと「R15」の表示。そしてサブタイトルには恐れ多くもあの名作ホラーのタイトルが。そこまであやかりたいのか配給会社。若者らが青春を謳歌しながらやられまくるという王道パターンのようだ。本当に大丈夫なんだろうな?心配になったので借りてみた(何。

【ストーリー】
 ドイツのどこか。山や湖では若者のカップルらが何者かに惨殺されるという事件が多発していた。そんな事件のことはお構いなしに大学生の仲良しカップル3組が、週末を山のキャンプで過ごそうとBMWに乗って出発する。
 キャンプ地で一緒に楽しく過ごしていた3組だったが、やがて我慢できなくなったのか一組のカップルが離脱。山の中に入ってよろしくやろうと鼻息も荒い。しばらく山を歩いていたカップルは古びた山小屋を発見し中に入ろうとするが、突然白いマスクを付けた大男のブッチャーに襲われてしまう。その後カップルは山小屋の中に引きずり込まれブッチャーに恐ろしいことをされる。
 一方、夜になっても戻ってこない仲間を心配するカップル2組だが、やがて彼らにも恐ろしい運命が待ち受けているのだった・・・・・・。

【感想と雑談】
 ドイツ映画なのだ。やってしまった。

 原題にもまんまあるようにスラッシャーものである。山のキャンプ地に湖が舞台とくればスラッシャーである。『13日の金曜日』を思い出す作りになっているけど、サブタイトルにあやかった『悪魔のいけにえ』要素も入っている。前回の『インランド・エンパイア』続きという訳ではないけど、これもビデオカメラで撮影された作品だ。

 劇中、大学生らがキャンプファイアを囲みながらスラッシャー映画の講釈をするシーンがあったりして、たぶんホラーマニアの作り手がリスペクト込めて作ったのだろうけど、その製作国がドイツというのが問題だ。ドイツのホラー系映画は、どこかノリがおかしい。本作はオープニングクレジットにCGを入れたりと気合を感じるも、なにかがおかしい。

 まずは開始早々、ピクニック中のカップルのうち、トップレス彼女が殺人鬼のブッチャーに襲われる。その際、チェーンソーが激しく体に食い込んでいるというのに、トップレス彼女は棒立ちで悲鳴を上げてるだけだ(引用①)。そんなに痛くないのか。

 次に湖に単独で遊びに来た別のカップルだが、一人泳いでいたトップレス彼女は彼氏がいつの間にか水辺で殺されているのを目撃し、慌てて遠ざかろうと激しく泳ぎまくる。で、カットが変わった瞬間、トップレス彼女は水深30cmくらいの場所でブッチャーに首根っこ掴まれてる。そして水の中に押え付けられ溺死する(引用②)。編集が変だろ。

 また、このブッチャーだが、巨体に白いマスクと血まみれのエプロンを付け、チェーンソーをブン回しながら迫り来るところは典型的な殺人鬼の姿だ。『悪魔のいけにえ』と同じくチェーンソーの爆音と共に女を延々追っかけるシーンもある。しかし、どこかおかしい。森の中を駆け巡るも、足元が結構開けた場所を女は逃げていくというのに、その直後を追跡するブッチャーはわざわざ脇に茂っている草木に逸れていき、立止まってはチェーンソーで刈る(引用③)。森の管理人なのか。

 そして、追い付かれそうになった女は慌てて木の陰に身を隠す。すぐ近くまで来たブッチャーは、キョロキョロしてどこかに去っていく。ここで隠れる木だが、ごっつ直径が細いので女の両肩が全開で飛び出ている(引用④)。目が悪いんだなブッチャー。

 遂に捕えられた女は鎖で縛りつけられる。そして意外な人物が登場するや、女の目の前(2m先くらい)でいきなりブッチャーとイチャイチャし出す。女は一生懸命に鎖をガチャガチャ外そうとする。ガチャガチャガチャガチャ。一方でブッチャーらはイチャイチャしたまま。遂に女が鎖を外し、開いたドアから脱出する。そして、ブッチャーらはドイツ語で”くそぅ!”と罵り、女を追跡しだす。天然なのかわざとなのか。どちらにしろアホすぎる。

 こんな感じで延々続くので、よく目にするスラッシャーものを期待していると一発食らうかもだ。この手のドイツ映画では何故か環境的にも人間的にも揺らぎが感じられない。作られた動きしかしてない気がする。さり気なさがないのだ。

 ストーリーに関しては捻りを入れているようでラストにはどんでん返しが待っているが、先に書いたように揺らぎもさり気なさもなく、ただ乱暴に回送シーンを垂れ流すようなことしているだけなので、感動はこれっぽっちもない。呆気にとられて終わる感じだ。また、残酷度についてはドイツのこの手にしてはちょっと軽めかもしれない。しかし品の無さはいかにもドイツ。ドイツしている。

 上映時間は80分なのに結構長く感じるという残念なドイツ映画であった。他ではこういう独特のノリを大暴走させて傑作に昇華したドイツ映画もあるので、これからも期待したいところです。

 実はドイツはヨーロッパの中では凄く行きたい国。伝統と文化のある素晴らしい国だと思ってます♪ビバ、ドイツ♪(今大変らしいけど)


①ウォークマンなんか聴いてるものだから、後ろから忍び寄ったブッチャーにチェーンソーでやられるバカ娘。悲鳴上げてるけど、このポーズのまま微動だにしないファニーな娘。


②ブクブクゴボゴボ・・・さっきまで普通に泳いでいたのに、次のカットで水深30cmに。そしてブッチャーに捕まってしまいました。この娘はいったいどこを泳いできたんだ。ブッチャーが超能力を使ったのかもしれない。


③問題の草木伐採のシーン。生えてるのそこだけじゃん。娘は手前に逃げていきますが、それでもブッチャーは立止まり、丁寧に伐採していきます。お疲れ様です。


④この場合、”志村、前!前!”とでも言えばいいのだろうか。この後、ブッチャーは一度画面の右に消え、再び戻ってくるのだが、その直後に娘の猛打を受けコケてしまう。両人とも頑張れ。

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【出典】『ザ・チェーンソー・スラッシャー 悪魔のいけにえ』/AMGエンタテインメント株式会社

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2 件のコメント:

  1. 面白そうですね。
    コメディーじゃないですよね?
    コメント読んだら観たくなったけど、実は血飛沫がピューーって飛ぶの、ちょっと苦手。
    なんだけど…、コメディーじゃないですよね?

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  2. >berry様
    どうも!
    これは作り手は真面目にやっていてコメディではないと思われるのですが、ドイツ製ホラーなので変な要素満載です。なのでどうしても変なとこに目がいってしまい、遂には笑ってしまうという感じです。
    血飛沫についてはドイツ製にしては大人しめかと思いますが、全くないことはないので(笑。
    変な要素だけに着目できればコメディでしょうが、結局は観る人の受け止め方による映画だと思いますよ。
    『スクリーム』感覚で観ると体壊すのは間違いないです(笑。

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