ラベル 映画(か行) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 映画(か行) の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年12月28日月曜日

映画『キングスマン』・・・ 英国流スパイアクションの定番がやって参りました

●原題:Kingsman: The Secret Service
●ジャンル:アクション/アドベンチャー/コメディ
●上映時間:129min
●製作年:2014年
●製作国:イギリス
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マシュー・ヴォーン
◆出演:コリン・ファース、タロン・エガートン、マイケル・ケイン、マーク・ストロング、サミュエル・L・ジャクソン、ソフィア・ブテラ、スフィ・クックソン、マーク・ハミル、その他大勢

【ストーリー】
 イギリス。どの政府にも属さない独立諜報機関キングスマン。エージェントのハリーは、ある事件をきっかけに、かつて作戦の最中に命を落とした同僚の息子エグジーをスカウトする。不良同然ながらも父親の血を継ぐだけあってエグジーには十分な素質があった。一方、キングスマンはアメリカのIT実業家ヴァレンタインが世界規模の陰謀を企てていることを察知。ハリーとエグジーは捜査に移るが・・・。



【感想と雑談】
 実に素晴らしい。こういうリズムを持った作品ってホントにいいものです。根底が幼少の頃に胸踊らせた007シリーズのユーモアと奇想天外さであって、それを近代的な脚本と技術で底上げしてるという、

 イギリスの面目躍如ですよこれは。

 伝統と規律を重んじる精神のもと、紳士たる身だしなみから繰り出す壮絶なアクションは、これぞ静と動を併せ持つイギリスというやつではないですか。同じ英語圏のヒャハーなアメリカよりも、日本に通じるものがありますね。この諜報機関は、まさに世界を相手にする必殺仕事人です。名作『レモ/第一の挑戦』('85)もそんなお話しでした(笑)。

 政府の指揮下に公正性がないことを嘆いた財閥は秘密裏に諜報機関を設立しますが、その本拠地に選ばれたのが伝統ある高級スーツ店キングスマンなのです。店内では趣きある調度品が落ち着きを醸す一方、超技術によるギミックが仕掛けられていて、紳士エージェントの表裏と同様に、ローテクとハイテクの対比が鮮明で目を見張るところです。これぞイギリスにしか出せない魅力というやつ。



 スパイといえばの小道具も粋なものばかりで、紳士傘が武器と盾を兼ねてるところはいかにもです(笑)。ケレン味溢れる点では小道具だけでなく、密かに建築された広大な施設も外せません。後半の舞台となるヴァレンタインの根城も下僕たちを見下ろすようにガラス張りの司令室が設置してあって、ここでドンパチやるとか懐かしい空気が充満しまくりです。

 主演はイギリス側のコリン・ファースと重鎮マイケル・ケイン。このコンビは新旧スパイやクライム関連の繋ぎ役でもあるようですね。マイケルは古くからスパイ作品の常連だし、主役の絵画泥棒を演じた『泥棒貴族』('66)のリメイク作品『モネ・ゲーム』('12)ではコリンが主役を演じてましたしね。

 また、若手役者も揃えてエージェントの世代交代まで描いてる辺り、ロートルな世界で終わらせないフレッシュさは今風といったところですね。昔ながらの007って幼い時期が描かれていなかったので斬新といえるのかも。最近の007はシリアスにそんな路線に入ってる気はしますがね。

 スパイアクションには魅力ある悪役も欠かせません。アメリカ側のそんな期待を裏切らないIT実業家ヴァレンタインを演じるは我らがサミュエル・L・ジャクソン。ニヒルでもなんでもなく、狡猾で変なところで気弱なヒップホップ野郎。今時の申し子みたいでよろしい。しかし今回のサミュエル、『ジャッキー・ブラウン』('98)の銃器密売人に戻ったかのような若々しさなんですが、なんと今年67歳なんだとか!見えないぜサミュエル。



 本作の最大の見せ場はなんといっても主人公ハリーの身のこなし。イギリス人の血統を醸しながらの戦闘シーンが素晴らしすぎます。同じイギリス人のマシュー・ヴォーン監督だからこその手腕でしょうか。独特のスピード感とワンカットのような巧妙な編集、そして縦横無尽なカメラワークによる一大殺陣はカタルシスの連続。粋なBGMがこれまた拍車をかけます。演じるコリン・ファースもよくあれだけ体が動いたもんです(全て本人が演じたと信じたい)。『96時間』シリーズはちょっとは見習って欲しい。

 ちょっと笑ってしまったのが、ヴァレンタインの女用心棒があるエージェントを迎え撃つところ。この女用心棒、両足が刃物を備えた義足になっていて、新体操みたいな技を繰り出すの。で、このエージェントが一瞬で唐竹割りにされるのね。ペローンって真っ二つ。安すぎるCGがまるでワザとやったかのようで、きっと『殺し屋1』('01)へのオマージュもあるに違いない。

 また、見た後で笑ってしまったのが、マーク・ハミル。出てたの全然気づかなかったです。かなり前面に出ていた人物なのに。言われてみればたしかにマークの面影あったような・・・。最新のスターウォーズを見る前に、本作で近況のお姿を拝んでしまいました(笑)。

 マシュー・ヴォーン監督は、経歴をみてみれば、なるほどクライム系の作品群を手がけられていたのですね。コミック原作の映画化に力を入れられているようですが、前作の『Xメン:ファースト・ジェネレーション』('11)よりも、『キック・アス』('10)での小気味よいユーモアとアクション性が更にパワーアップして帰ってきた感があります本作は。お勧めしたい逸品です。


 ちょっとスーツを着こなしてみたいと思いました。


 さて、今年はこれが最後の記事となります。素敵な作品で締めることができてよかったです(笑)。しかしまあ、ブログも8年目に突入とか、よく続いているもんです。あとどれだけ続けられるかな。。
 迷いこまれた方にちょっとでも役に立てればと来年もとりあえず頑張っていこうと思います。

 それでは来年も皆様にとって良い年となりますように。


(C)20th Century Fox Film Corp. All rights reserved
【出典】『キングスマン』/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

にほんブログ村 映画ブログへにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログパーツ

2015年10月19日月曜日

映画『ゴーン・ガール』・・・ 謎な夫婦を観た後は、ゲイなミュージカル動画でキメてみます

●原題:Gone Girl
●ジャンル:ドラマ/ミステリー/スリラー
●上映時間:149min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:デビッド・フィンチャー
◆出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、テイラー・ペリー、キャリー・コーン、キム・ディケンス、パトリック・フュジット、エミリー・ラタコウスキ、その他大勢

【ストーリー】
アメリカ。今日はニックとエミリー夫婦の結婚5周年の日。しかし気がつけば屋敷は荒らされ、エミリーの姿はこつ然と消えてしまう。早速、ニックのもとに駆けつける警察は誘拐事件として捜査を始めるが、この夫婦には実はある秘密が隠されていた・・・。



【感想と雑談】
 観ました、『ゴーン・ガール』。

 デビッド・フィンチャー監督、相変わらずやってるな、と思いました。この監督の作風は、なんといいますか、とにかくクールでパンクですよね。しかもズッシリしていて見応えもバッチリ。闇を残したままの顛末には考えさせられました。この余韻はいったい。

 妻との謎めいた関係にある夫を演じるのはベン・アフレック。前から胡散臭い印象しかなかった役者ですが、これがなかなかよかったです。コメンタリでは監督も、さりげない演技が旨い役者だと褒めまくり。ただ、一部ベンのワガママによるトラブル発生については一言「プロ意識の欠如」と漏らしていたけど(笑)。なんだ、見直そうと思ってたベン・アフレックは、やっぱし胡散臭い役者に変わりはないってことか。残念だな。

 謎めいたビッチ(あ言っちゃった)な妻を演じるのはロザムンド・パイク。ちょっと日本人好みの顔してませんかね彼女。あまり感情を見せない冷淡なところが実にいい。瞬きしてないような目つきが怖いんですが。ボンドガールとかSFヒロインとか、そんな役でしか見たことなかった女優さんですが、本作でいっきに株が上がりましたね。最近のSFコメディ『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』('13)でサイモン・ペグと組んでたのを思い出します。今後、要注意の女優さんになりました。

 序盤は妻失踪事件のミステリー仕立てで、中盤からは一気にドンデン返ってスリラー仕立てになって、そんである人物がエライことになって、えええとなりました。このえええとなった人物を演じたのがニール・パトリック・ハリスなんですね。

 この役者、私にとっては『スターシップ・トゥルーパーズ』('97)で軍部の若きエリート士官カールなんですが、一般的にはテレビドラマ『天才少年ドギー・ハウザー』の主人公の方が有名みたいです。ちょっと前に観たコメディ『荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜』('14)でも姿を拝見していたので、ここのところ印象付いていました。下の写真のお方です。



 ここから、ニール・パトリック・ハリスのネタが始まります。

 で、『ゴーン・ガール』を観終わって、なんとなくYoutubeでミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』('01)の楽曲パート動画をダラ観してたのです。

 そしたら他の類似サムネイルにニール・パトリック・ハリスの名前が見えました。なんで?!と思って見てみたら、本人がケバい格好で歌い出しました。最近、舞台化した『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』で主役を演じた彼によるたぶん授賞式でのパフォーマンス動画でした。

 ’14年度のミュージカル主演男優賞を取ったんだって。ビックリしました。この時の選曲が「Sugar Daddy」というイカしたナンバーで、映画版の原曲が好きなんですが、このハードにアレンジされた舞台版もなかなかいいです。音がちっさいんだけど。。

 宇宙バグと戦う若き士官であり、西部開拓時代のゲス野郎であり、ロザムンド・パイクにあんなことされる資産家であるという、ニール・パトリック・ハリスのイメージが完璧に木っ端微塵になること請け合いな素敵すぎる動画なので、凄く暇でこちらにたどり着いた方なら観るしかないと思うです。こんな姿でフォーマル軍団に特攻とか、きっと笑えます。

『Neil Patrick Harris - "Sugar Daddy" - from Hedwig』


 いじくられる観客の中に、サミュエル・L・ジャクソンとケビン・ベーコンがいたような(笑)。他の観客は・・・有名な人かな、ちょっとわかりませんでした。

 ちなみに、ニール・パトリック・ハリスは同性愛をカミングアウトしているそうなので、こういうドラッグクイーンな役はすんなり演じられるのでしょうね。


 意外や素敵な発見でした。


(C)2015 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
【出典】『ゴーン・ガール』/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

にほんブログ村 映画ブログへにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログパーツ

2015年8月23日日曜日

映画『96時間/レクイエム』・・・ 今度は本国アメリカでリーアム・ニーソンが暴れます

●原題:Taken 3
●ジャンル:犯罪/アクション/スリラー/ミステリー
●上映時間:115min
●製作年:2014年
●製作国:フランス
●言語:英語/ロシア
●カラー:カラー
◆監督:オリビエ・メガトン
◆出演:リーアム・ニーソン、マギー・グレース、ファムケ・ヤンセン、フォレスト・ウィティカー、ダグレイ・スコット、サム・スプルエル、ドン・ハーベイ、リーランド・オーサー、その他大勢

 皆さん、いかがお過ごしでしょうか?気温もやや落ち着きだしてるでしょうか?でもまあ、残暑は続くのでしょうね。熱中症にはまだ注意が必要ですね。
 今回は、アクション作品です。残暑、吹き飛ばしてくれるかな。

【ストーリー】
 アメリカ。元CIAのブライアンは、元妻レノアと別居仲の娘マギーを見守りつつ孤独の生活を送っていた。ある日、ブライアンの自宅でレノアが遺体となって発見される。巧妙な罠によって警察から追われることになるブライアンは、娘マギーを守りつつ、元CIAの仲間と共に事件の真相を追う・・・。



【感想と雑談】
 シリーズも3作目になるんですね。ここのところアクションを手広くこなしているリーアム・ニーソンがいい感じです。すっかり一方通行で無敵すぎるキャラが定着しちゃってますよね(笑)。しかし、シリーズ1作目は大傑作だったものの、これが3作目ともなると・・・。

 ますます残念なことに。

 前作の『96時間/リベンジ』('12)で散々書いていたのですが、期待も虚しく今回も引き続きアクションがひどいと思いました。アクション場面は、その場で何が起きているのか状況を確立した上で、初めて度肝を抜く演出が映えるものです。

 しかし、本作のアクション場面は、その状況がまったく確立されていません。そこに至る背景はわかるのですが、アクション自体どうなっているのかサッパリわからないのです。

 具体的には、シーンごとのカット割りが細かすぎです。なんでこうもカットを急ぐのか。ひとつのカットに何かド派手な様を見やすく映すところにアクションの意味があると思うのですが、作り手はそれをせずフィルム自体を弄くることにアクション性を見出してる節。



 毎秒といっていいくらいの間隔で切り替わる場面に、観客はまず、脳内で全てのカットを整理しながら状況を補完しなければならず、それが出来て初めてアクションを理解することができます。楽しめるまでには到底いき着けません。逃走中にフェンスを乗り越えるだけで10カット近くも割くとか。とても疲れます。

 本当に残念だったのは、中盤の見せ場であろう高速道路上でブライアンがパトカーを奪取するところ。後部座席から暴れるものだからパトカーも制御しきれず、他の車両も巻き込んで大変な事態になります。ここで大型トラックが横滑りし、コンクリートブロックを破壊しながら迫ってくる様は圧巻・・・のはずですが、粉々ズタズタなカット割りで全く楽しめませんでした。同じく高速道路チェイスを描いた『マトリックス/リローデッド』('03)の素晴らしさが身に染みます。

 こういう作りで世に出すということは、それなりに認められてるということなんでしょうか。不思議です。現場では絶対に複数のカメラで長回しをしているはずだし、迫力を増すのにVFXで補完までしているのだから、現場の成果をわざわざ細切れにしてまで劣化させることないのにと思います。1作目のタイムリミットに代わる緊迫感を出してるつもりなんでしょうか。

 編集担当を調べてみると、シリーズ3作品それぞれ別の方が担当しています。ひどかった前作との共通点を考えると、続投している監督オリビエ・メガトンの意向が強いんですかね。製作は通しでリュック・ベッソンなんですが、もうちょっと考えてやれよベッソンというところです。



 ストーリー面では、タイトルの意味は完全に無くなってますね。1作目はタイムリミットの96時間に意味があったので、まさかのシリーズ化に配給会社も大変なことかと思いますが(笑)。今回も敵対組織の存在はあるものの、ブライアンとの関係は曖昧なままで、元妻レノアの殺害事件を追うというミステリー要素が強いですね。

 そういった点ではどのキャラクタもちゃんと立っているし、取り巻く設定や環境も理にかなっていると思います。ただ、ブライアンがレノアの殺害現場に置き忘れたベーグルを、刑事がその場で食ってしまうのはどうなのか。鑑識「何かわかりましたか?」、刑事「うむ、このベーグルは旨い」。それ大事な証拠品だろ。

 ブライアンが対峙するのが殆どが警察なので、いつもの暴れっぷりもややストレスを感じるものでした。存分に暴れたとしても、先のカット割のせいでカタルシスも頭打ちでしょうが。シリーズ通しで出ている元CIAの仲間達が頼もしく活躍するところは新しかったですが、ブライアンの孤高の戦士度は薄れてしまったような。

 過去2作品は、観る側が真相をほぼ知った上でブライアンの活躍を単純に楽しむものでしたが、今回は、観る側もブライアンと一緒に真相を追いながら二転三転する様をせいぜい楽しむ、という感じですかね。

 とにかく、肝心のアクション場面をよく考えて欲しいと思います。前作に続いて残念な結果となってしまいました。なんだか前作と同じこと書いてる気がします。


 ファムケ・ヤンセンにもっと活躍して欲しかった。


<オマケ>
 シリーズ全作のIMDb評価(2015年8月23日時点)をまとめてみました。


 見事に失速していますね。今回、最終章といわれていますが、潔くこれで終わりにするか、やるなら5作目まで粘って欲しいです。盛り返してくれます。たぶん。

(C)2014 EUROPACORP - MG FILMS
【出典】『96時間/レクイエム』/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

にほんブログ村 映画ブログへにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログパーツ

2015年8月15日土曜日

映画『ゴーストライダー』 ・・・炎に包まれたガイコツ戦士がバイクに乗って暴れます

●原題:Ghost Rider
●ジャンル:アクション/ファンタジー/スリラー
●上映時間:114min
●製作年:2007年
●製作国:アメリカ/オーストラリア
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マーク・スティーブン・ジョンソン
◆出演:ニコラス・ケイジ、エバ・メンデス、ウェス・ベントリー、マット・ロング、ラクエル・アレッシ、ドナル・ローグ、ピーター・フォンダ、その他大勢

 8月も中旬を迎えました。皆さんいかがお過ごしでしょうか?
 まだまだ暑い毎日ですので、暑気払いにひとつゴースト系の作品はいかがでしょうか?

【ストーリー】
 アメリカ。父と共にバイクの曲芸乗りを天職とするジョニーは、父が不治の病に侵されてることを知り途方に暮れてしまう。ある日のこと、メフィストなる男が現れ、ジョニーに父の病を治したければ悪魔と契約しろと言う。半信半疑のジョニーは契約書にサインをしてしまい・・・。



【感想と雑談】
 あまり気にしていなかった作品ですが、そのタイトルといい、その飛ばしていそうな雰囲気といい、これは暑い夏の暑気払いになるのでは、と思い今更ながら手を伸ばした次第です。

 原作はMARVELコミックスなんですね。流行りのVFX技術が原作のイメージを忠実に再現できるようになって、アメコミ映画化も本格的に盛り上がりを見せてきた頃でしょうか。

 で、本作はバカ映画になりますかね。神様や悪魔が実在する大前提だと、何でもありの世界になってしまいますが、昨今はそんな中にも人間ドラマに比重を置くような作品が多く、見応えがあったりします。

 しかし、この『ゴーストライダー』はなんていうのか、やっぱりバカ映画だと思います。なんといってもニコラス・ケイジですからね。同じく主演の悪魔教とカーアクションが合体した『ドライブ・アングリー』('11)を思い出します。あれもバカ映画と呼びました。

 冒頭、ライダー親子によるサーカスの曲芸が披露されると、ほどなくして父が末期ガンであることを知ったイケメン息子ジョニーが、悪魔メフィスト(演じるはピーター・フォンダ!)と契約を結んでしまいます。翌朝、ガンが完治した父は曲芸のバイクで事故って昇天。コントのようです。

 十数年経ち、ニコラス・ケイジに成長しきったジョニーは、全米大人気のバイク芸人になりますが、自宅ではテレビを見ては「ハハハ・・・ハハハハ!・・・」と豪快なカス笑いをします。ナヨッちい男子ほど無敵ヒーローに変身するところにカタルシスがありますが、それをニコラス・ケイジがやるってのは、どうなのかなと思いました。



 突然、魔界から降り立ったメフィストの息子ブラックハートが、無敵のパワーを得るために、ある書物を探し始めます。邪魔する人間をミイラ化させたりして、やたら物騒なブラックハートですが、顔(メイク)が大袈裟すぎてコントのようです。

 息子の暴走を止めたいメフィストに契約のことを持ちだされ、遂にジョニーはガイコツ戦士ゴーストライダーに変身。父の形見のハーレーダビッドソンと共に、炎に包まれながら悪との対決に挑みます。革のスーツで身を包んでいますが、燃えてるのは頭と手先だけです。

 颯爽と町中を突っ走るゴーストライダーですが、走りながら爆炎を撒き散らすので、商店街はメチャクチャになってしまいます。凄い迷惑、というか大事件です。炎に包まれ過ぎて、暑気払いどころか余計に暑くなってしまいました。

 また、青年時代に恋人だったロクサーヌが登場し、再度ジョニーといい仲になるのですが、この現在のロクサーヌを演じるのがエヴァ・メンデスなんです。彼女、セクシー過ぎで肉食的なところが、これまた暑苦しい。美人さんなんだけどな(笑)。これ、夏じゃなくて冬に観るべきだったか。

 そんな暑苦しい設定に囲まれたジョニーはジョニーで、90m超えのバイク大ジャンプをキメると、車で移動中のロクサーヌに無理やり追い付きデートの約束を取り付けます。そして、渋滞を食らったドライバー連中は嬉しそうに、大スターのジョニーを取り囲みます。

 ドライバー 「ジョニーさん!妹にサインをくれませんか!」
 ジョニー 「ああいいとも、90mを超えたんだよ、ハハハ」
 ドライバー 「ありがとうございます!」
 ジョニー 「我ながら90mだなんて凄いこ(フェードアウト)」

 大スターを発見したときの群衆と、それに対するジョニーの脱力で優しい対応が、ちょっといい感じです。とてもホノボノとした場面になっています。



 もっと暴力的な内容かと思っていましたが、そんなことありませんでした。そもそもゴーストライダーが活躍する様よりも、可愛い髪型したニコラス・ケイジと暑苦しいエヴァ・メンデスの存在がインパクトあるくらいでした。

 ゴーストライダーの活躍で感心できたのは、ビルの屋上から散らしたコンクリートの塊を、下の群衆に落ちないように鎖ではじき飛ばすところ。地獄の使者なる扱いであっても、ヒーローである以上は、無意味に危害を加えないってことですね。細かい演出でした。しかしバイクで破壊してきた商店街は。

 ホラーでないにしても、存分にスカッとさせてくれることで暑気払いにでもなれば、と思った本作ですが、期待は外れました。ニコラス・ケイジが登場した辺りから推して知るべしでしたね(笑)。

 燃えるガイコツ戦士は人間とは絡みにくそうなので、ドラマもそう深くは形成できないかもしれません。昨今の流行りとは違ったポジションのアメコミ作品だな、と思いました。続編が出てますので、いずれ観みてみたいです。バカ方面に昇華していることに期待します(笑)。


 またひとつニコラス・ケイジの勉強ができました。


(C)2007 Columbia Pictures Industries, Inc. and GH One LLC. All Rights Reserved.
【出典】『ゴーストライダー』/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

にほんブログ村 映画ブログへにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログパーツ

2015年7月28日火曜日

映画『お買いもの中毒な私!』 ・・・買いもの中毒女が経済界に旋風を巻き起こします

●原題:Confessions of a Shopaholic
●ジャンル:コメディ/ロマンス
●上映時間:104min
●製作年:2009年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:P・J・ホーガン
◆出演:アイラ・フィッシャー、ヒュー・ダンシー、クリステン・リッター、ジョーン・キューザック、ジョン・グッドマン、ジョン・リスゴー、クリスティン・スコット・トーマス、フレッド・アーミセン、レスリー・ビブ、ロバート・スタントン、ジュリー・ハガティ、その他大勢

 やっぱり今年もカラ梅雨でした。しかし暑いですね。皆さんいかがお過ごしでしょうか?
 今回は、コメディ作品です。見方が思いっきりズレてしまいましたが、これでいきます(笑)。

【ストーリー】
 アメリカ。自称ジャーナリストのレベッカは、昔からの夢であるファッション雑誌の編集部に就職しようと躍起になっていた。しかし、レベッカは買物中毒という重大な問題を抱えていた。症状と共存しながらも、あるきっかけで経済雑誌の編集部に就くことになるレベッカは、ファッションを経済学に持ち込む記事を書き、世間の注目を浴びるようになる・・・。



【感想と雑談】
 最近、コメディをよく観ていますので、本作もそろそろターゲットかなと思っていたところ、take51様の紹介記事から一気に興味が湧いてしまい、優先度が急上昇。手に取ってしまいました。

 買いもの中毒(shopaholic)ですか。

 冒頭、倹約家の両親をもつ主人公レベッカが、幼少時代に地味な買い物を強いられた境遇から、欲しいものならトコトン買いまくる依存症(買物中毒)に陥るエピソードが描かれます。ちっさいレベッカが羨望の眼差しで見つめるクレジットカードの精算方法が旧式というのが懐かしい(笑)。

 そこからの展開はちょっと想像してたのと違いましたが、これが凄く面白かったです。製作がジェリー・ブラッカイマーなんですが、音がデカイとか絵ヅラが煩いとか、そういうこともなく、いつものお笑いサクセスストーリーを基本に楽しめました。

 ちょっと経ってから『プラダを着た悪魔』('06)にどことなく似てるなと思いました。ふと『プラダ〜』のパッケージを見てみると、なんだこれ、本作のとデザイン似てるじゃんか。道理で、パッと見アン・ハサウェイに見えてた訳です(笑)。実際、主人公を演じるアイラ・フィッシャーは似ても似つかないですが。

 『プラダ〜』は主人公が大問題に挑む、本作は主人公が大問題そのもの、という違いがありますが、どちらも畑違いが新風を吹き込んだり、ファッション界をターゲットにしている辺り、共通点がありますね。

 しかし、捻りがあるという点では本作の方がズバ抜けてると思いました。私なりの見方では脚本が随分と練られてるんじゃないかと。登場人物が多い割に、どれもこれもキャラがちゃんと立っているのですね。深掘りがないといえばないですが、その分、テンポがいい。100分そこそこの上映時間で、よくぞここまで上手くまとめましたね。お笑い界の『ダイハード』('88)と呼びたいです。

 買いもの中毒を断ちたい&ファッション雑誌に近づきたいレベッカ中心のドタバタですが、そんな彼女が綱渡りな行動をとってく一方で、取り巻く様々な要素が細切れながらも、しっかりと終わりに向かって収束していくところは感心するばかりです。それほどの作品かよ?と思われるのが大半でしょうが、私にはそう見えるんです(笑)。



 例えば、レベッカが友人の薦めで依存症を断ち切る自助会に参加するのですが、このエピソードだけでも笑えたし、後まで印象強く関係を持っていくあたり、どんだけツボを押さえてるんだよ、と感服するばかり。レベッカが反省するどころか、「買いものはとっても気持ちがいい♪」と熱弁奮うと、周りの患者らが再発しだして、その後に女性カウンセラーまで大変な目にあうところはとても笑えました。

 さて、この様々な要素の中で、ひときわ感心したのが、レベッカの重症度を視覚的に表現する場面。本作のキーアイテムのグリーンスカーフを目にしたレベッカが、店内でウットリするも、なんとか我慢して去ろうとした瞬間、マネキンが話しかけてきます。 重症患者のいわゆる幻覚です。

 全身プラスチックの白いマネキンが人間と同じ仕草でレベッカを誘惑する様はCG(コンピュータグラフィックス)の最高峰ともいえましょう。凄いのがCGありきではなく、マネキンと人間の絡みを自然なショットで捉えているところです。カメラの前をスカーフがよぎっても、そのスカーフ越しにマネキンの顔や腕の動きがしっかり描写されてるの。スゲーなこれ。

 他でも、ショーウィンドウのマネキンらが、レベッカに商品を進める仕草なんかも、マネキン自体の質感も去ることながら、ガラス越しにカメラワークも交えてそれを表現するという、特上の視覚効果です。要はマネキンが普通に動いているだけなんですが、ありえないことを当たり前のようにやってのけている。クライマックスでのレベッカに対するマネキンらの行動にはグッとくるものがありました。どんだけマネキンに拘ってんだよ自分(笑;)。

 エンドクレジットを見てビックリです。マネキン効果を担当した工房が、あのインダストリアルライト&マジック(ILM) なのです。これは納得。ジョージ・ルーカスがスターウォーズの時に設立し、その後のエンタテイメントのみならずテクノロジーまで牽引するまでになった老舗工房です。ミニチュアワークとオプチカル合成にコンピュータ制御という、70年代当時から職人技に頼った工房はいくつか存在していましたが、海外ではILMこそNo1の特撮工房であると、勝手に思っています。

 時代の波で、ILMもコンピュータによる映像開発を中心としているようですが、やはり匠のごとく風格があります。新手のデジタル工房が無数に立ち上がってきて、おそらく低コストで特殊効果を担っている昨今ですが、コンピュータ技術だけがバックボーンの工房は、やはりそれなりの映像でしかありません。デジタルドメインやWETAデジタル辺りが後続の素晴らしい工房かと思いますが、ILMの前には当然霞んでしまいます。



 リアルな描写をミニチュアワークの精神から築いてきた特撮工房であるからこそ、どんな架空の撮影対象であっても、それを空気のごとく映像に馴染ませることができるんじゃなかと思います。しかし、ホント久々にILMのいい仕事を堪能できました。まさかこの手の作品に参加してるとは思ってもいなかったので、いいサプライズになりました。たぶん最近だと、『アベンジャーズ2』『ジュラシック・ワールド』辺りを担当していそうですが、そんなド派手なファンタジーよりも、本作のマネキンみたいに、さり気ないけど効果バツグンな映像が、ILMの真骨頂ではないでしょうか。本気出すと恐ろしい特撮工房です。

 買いもの中毒の作品で、どんだけ特撮を語ってんだよ。話を戻します。

 ああ、話を戻しても、浮かぶのは、あの登場人物達がどんな素晴らしいオチを迎えたかに尽きますね。レベッカが関わってきた人物全てに投げかけがあって、それが全て返ってくる展開には、それを意識せずとも作品にどこか魅力を感じる要因になってるんじゃないでしょうか。とにかく脚本には執念を感じます(笑)。

 レベッカから広告がダサイとか特売をやればいいとか言われた銀行の頭取が眼から鱗になる場面は、畑違いが起こすハプニングとして映画の王道になっていますが、実際そういう思い切った行動やアイデアへの励みにもなる楽しさがありますね。こういうとこ非常に米国的ではありますが。

 レベッカは買いもの中毒であることを中途半端に偽りながら爆進しますが、結局は借金取りによって公開処刑されてしまいます。息の根を止められた形ですが、後に世間から救済を受けることになり、サクセスストーリー王道の道を歩むことになります。買いもの中毒は畑違いを加速させる有効アイテムでしたが、やっぱりクレジットカードは悪!ハサミで真っ二つ!と治療を施す自助会が一番リアルなところですね。

 エンドクレジットに入っても、しばらくレベッカのその後が流れますが、その中でフィンランド人とファッション誌のライバル女のオチ、そして愛する両親への微笑ましい繋がりが描かれていたのは感動でした。ちょっと大事にしたい作品が追加されました。

 ところで、本作を日本語吹替えで見直したら、ますます『プラダ〜』臭を感じました。調べてみたら、本作のアイラ・フィッシャーも、『プラダ〜』のアン・ハサウェイも、声優の小松由佳さんが担当していたのでした。いい声されてますね。


 名作『マネキン』('87)もILMがやっていれば。


(C)Touchstone Pictures and Jerry Bruckheimer, Inc. All Rights Reserved.
【出典】『カリフォルニア・ドールズ』/ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント

にほんブログ村 映画ブログへにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログパーツ

2015年7月12日日曜日

映画『カリフォルニア・ドールズ』 ・・・女子プロレスでアメリカンドリームを目指します

●原題:...All the Marbles
●ジャンル:アクション/コメディ/ドラマ/ロマンス/スポーツ
●上映時間:113min
●製作年:1981年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ロバート・アルドリッチ
◆出演:ピーター・フォーク、ヴィッキー・フレデリック、ローレン・ランドン、バート・ヤング、トレイシー・リード、アーサリン・ブライアント、リチャード・ジャッケル、ミミ萩原、ジャンボ堀、その他観客大勢

 いきなり暑いですね。皆さんいかがお過ごしでしょうか?7月も中旬あたりでそろそろ夏休みの準備でしょうか(笑)。
 今回は、古いですが、なかなか侮れないスポーツ作品の紹介です。

【ストーリー】
 アメリカ。美貌の女子プロレスコンビ、カリフォルニア・ドールズのアイリスとモリーは今日もマネージャのハリーと共に安い興行で汗を流していた。上を目指したいのに泣かず飛ばずの二人だったが、ひょんなことからある試合に勝ってしまい、世間の注目を集めることになる。そして、全米人気の一大プロレス興行にも呼ばれるようになり・・・。



【感想と雑談】
 80年代初頭の作品です。散々テレビ放映されてたと思うのですが、当時はこの手のジャンルは興味がなかったのか観た覚えがありません。ロバート・アルドリッチ監督といえば、その他の作品はテレビで何本か見ていましたが、男気溢れる骨太な作風の印象でした。

 本作では女子プロレスを題材にしていますが、監督にかかれば、骨太な世界に変わりはなかったようです。女社会ではあるけども、一般の女性観は排除して、ハードスポーツに生きる女性らを引き気味に痛快に描いてます。マネージャ男との細かな関係があったりしても、いつまでもグズグズせず、どんどん切り捨てていく感じ。

 冒頭、ミミ萩原とジャンボ堀との対戦後に意味深な日本人が現れたりもしますが、当然その場しのぎの単なるイベントです。主人公らの道を阻むライバルや悪徳プロモーターらの本筋となる存在も、ヘタなドラマを生むことなく、一貫しているのが潔い。噂に聞いていた通りの面白さでした。



 さて、女性同士の格闘といえばキャットファイトです。しかも女子プロレスとくれば、究極のキャットファイト です。主人公カリフォルニア・ドールズのアイリスとモリーを演じるヴィッキー・フレデリックとローレン・ランドンによる、ホントに女優なのかと疑わざるを得ない格闘レベルは、まさにキャットファイトの至高ともいえましょう。

 映画的な演出をせず、リングの様子を引き気味に撮っています。まるで観客かテレビの視聴者が淡々と目撃していくような視点になっていて、誤魔化しがありません。観客の声援、マネージャの怒号、レフェリーの行動も含め、ホンモノの女子プロレスの空気になっています。

 全米放映される一大イベントのクライマックス。因縁のライバルチームとの試合を、試合時間の30分とほぼ同じ尺で描いていて、これがまた手に汗握ったりします。それまでの主人公らを巡る様々な要素がいっきに集約されていて、要はイカサマ行為が乱発されるのですが、それがどう決着するのか気になって仕方ないです。



 押され気味のカリフォルニア・ドールズが、一瞬でイカサマ行為とライバルチームをひっくり返すところは、あまりに急転すぎる痛快さで爆笑してしまいました。あれは凄かった(笑)。これがアルドリッチ監督の真骨頂か。心のガッツポーズも発動しまくりです。

 マネージャのハリーを演じるのはピーター・フォークなんですが、刑事コロンボの印象がどうしても強いので(笑)、後先考えない図太いキャラというのは新鮮でした。また、途中トラブルからブチ切れてプロモーターの高級車をバットで破壊するところは、そういう描写の走りなんじゃないかな、とふと思いました。どうなんだろう。

 クライマックスの試合後、因縁のライバルチームがカリフォルニア・ドールズに取る行動には、とても感動しました。あれだけの関係であっても、スポーツの原点に戻って、潔い考えに触れたアルドリッチ監督、ホントにグッドジョブです。

 そういえば、同監督の『ロンゲスト・ヤード』('74)も刑務所の男社会でアメフト試合を痛快にこなす作品でしたが、こちらも最後に看守の囚人に対する敬意がさらりと描かれていて、子供心にも感銘を受けた思い出があります。アルドリッチ監督の遺作となった本作は非常に趣深い作品だと思います。

 そうそう、ソフト化にはなんと昔のテレビ放映時の吹替えも入っています。力いっぱい昭和な(笑)吹替えで鑑賞するのも一興でしょう。


 泥レス試合のオッパイぽろりは究極のオマケ。


(C)1981 by Metro-Goldwyn-mayer Film Co.and SLM Entertainment,Ltd.
【出典】『カリフォルニア・ドールズ』/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
にほんブログ村 映画ブログへにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログパーツ

2015年1月12日月曜日

映画『鑑定士と顔のない依頼人』 ・・・老人鑑定士が謎の女に翻弄されます

●原題:The Best Offer(La migliore offerta)
●ジャンル:犯罪/ドラマ/ミステリー/ロマンス
●上映時間:131min
●製作年:2013年
●製作国:イタリア
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
◆出演:ジェフリー・ラッシュ、ジム・ストラゲス、シルビア・ホークス、ドナルド・サザーランド、フィリップ・ジャクソン、デルモット・クロウリー、キルナ・スタメル、リナ・ケベド、その他大勢

  皆様、3連休はいかがお過ごしでしょうか?成人の日ですね。自分にはまったく関係ないですけど(笑)。さて、今回はある2作品を立て続けに紹介したいと思います。一気に観た結果、両作ともちょっと気になってしまいましたので。

【ストーリー】
  イタリア。鑑定士バージルはオークションを進行する傍ら、友人ビリーと共謀してお気に入りの絵画を収集する男。独身を貫き孤高の人生を送る変わり者でもあった。ある日、一人の女から売却したい装飾品の鑑定の依頼を受けるバージル。屋敷に住むその女クレアはある理由から、バージルとは電話や壁越しでの会話のみで顔を合わせることがなかった。女性を知らないバージルは、そんな手を焼くクレアに徐々に好意を寄せるようになり・・・。

【感想と雑談】
  『鑑定士〜』は予告編で気になってはいたものの、なんだか重たそうな雰囲気でしたので、似たテーマで何か気が晴れそうな『モネ・ゲーム』('12)もセットで借りることにしました(笑)。『モネ〜』は次回に書くことにします。

 老人鑑定士バージルが豪華なレストランで一人食事をするところが笑えます。別にギャグではないのですが、かなり特異な人物として描かれています。まあ金持ちではあるので、レストラン側も大事な客として彼の誕生日にはケーキをプレゼントする訳です。しかし、バージルは誕生日が1日早いのを理由にケーキには手を付けず、ローソクの火が消えるまで微動だにしないスーパー変わり者。レストラン側も何とかしろよ。

 そんなバージルが、ある屋敷に呼ばれて数々の装飾品の鑑定をすることになります。ここからぐいと話に引き込まれることになります。屋敷では謎の女クレアから壁越しにあれやこれや依頼をされ、また浮き沈みの激しい彼女の性格もあってバージルは翻弄されてしまいます。でも、同時にこれまで殆ど女性を知らなかったバージルは、こんな出会いであっても彼女に強く惹かれることになります。いい感じだと思います。

 しかし、予告編からも期待できた壁の向こうにいる女性はいったい何者で、顔を合わせない理由とは何なのか、という最大のミステリー要素が意外に早くわかってしまうのは残念でした。話はまた別の道を進んでいくことになります。

 これまでバージルが収集してきた絵画はどれもが女性の肖像画ばかり。それらが壁一面に飾られた部屋に一人座るバージルが、今でいう二次元嫁に満足してきたとすれば、ここで俺にも春がきたぜ三次元嫁、という転機が後半に訪れることになるのです。鑑定士のお仕事そのものの要素はさほどなかったですが、バージルが贋作にも個性があるのだと擁護するような発言をするところは印象的でした。



 一方で、度々バージルが屋敷で拾う何かの部品がちょっと謎めいていて、技術屋と共にそれを組み上げながら完成形を推理していくことろはミステリーじみていてよかったです。この部品と姿を見せないクレアの関係とは。え、ひょっとして?なんて色々と想像するのも楽しいのですが、これも中途半端な結果となっていたのは残念でした。ちょっと『ヒューゴの不思議な発明』('11)を思い出しましたが。

 バージルがある意味、絶頂期に入った辺りで、衝撃の展開を迎えます。これを食らうバージル同様に観る人もホントに頭のなか真っ白になるくらい。えー、マジかー。走馬灯のように、これまでの展開が頭の中を巡ります。そういうことだったのか。バージルに感情移入してしまうほど、この展開はキツイものだと思います。人間てやつはここまでできるものか。

 ジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品は『ニュー・シネマ・パラダイス』、『海の上のピアニスト』、『マレーネ』くらいしか観ていませんが、どれも業の深さを風情豊かに落ち着いて描いていたと思います。本作も同様に格調の高さも伺える丁寧な作りで見応えはありました。ある男の波乱の人生と取れば面白かったといえるかな。あのラストの余韻はなんともでしたが。

 鑑定士バージルを演じるはジェフリー・ラッシュ。いぶし銀の変わり者でクレアに共感していく男を遺憾なく発揮していました。また、ちょい役ながら友人ビリーを演じるドナルド・サザーランドもなかなかの存在感。この人黙っていてもドナルド・サザーランドですよね(笑)。

 イタリア作品だからか、裸体も遠慮無く描いていた感もあります。ある人物がガウンだけの姿である仕草をするのですが、ご開帳して見えてた気がします。さりげないのでちょっと経ってから気付いてビックリしました。が、エロスというより芸術だと思うので、これ読んで急いでレンタル屋に走ったりしないよう注意して欲しいです。


 鑑定士になったら気を付けたい事項。


(C)2012 Pasco Cinematografica srl.
【出典】『鑑定士と顔のない依頼人』/Happinet

にほんブログ村 映画ブログへにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログパーツ

2014年11月23日日曜日

映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 ・・・スーパーソルジャー同士が実弾&肉弾戦で一騎討ち

●原題:Captain America: The Winter Soldier
●ジャンル:アクション/アドベンチャー/SF/スリラー
●上映時間:136min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語語
●カラー:カラー
◆監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
◆出演:クリス・エバンス、サミュエル L・ジャクソン、スカーレット・ヨハンソン、ロバート・レッドフォード、セバスチャン・スタン、アンソニー・マッキー、コビー・スマルダース、フランク・グリオ、エミリー・バンキャンプ、トビー・ジョーンズ、ジェニー・アガター、マキシミリアーノ・ゴンザレス、その他大勢

 すっかり寒くなってますね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?3連休はどこかへお出かけですかな。今回はかなりメジャーな作品です。大ハマリしたので、いつもの体裁を変えてみました。

【ストーリー】
 アメリカ。第二次大戦中にスーパーソルジャー化し、ドイツ軍のオカルト集団ヒドラとの戦闘で勝利を収めた後、現代に甦ったキャプテン・アメリカことロジャース。生活様式に戸惑いながらも、ニック・フューリー率いる組織シールドの一員として多忙な毎日を送っていた。フューリーはシールドが提唱する世界平和を目的とするインサイト計画に疑惑を感じ内密に調査を行うが、その過程で暗殺者ウィンター・ソルジャーに襲撃され命を落としてしまう。シールド上層部はフューリーの行動がインサイト計画を陥れるものだったとし、直属の部下であるロジャースを追跡しだす。窮地に追い込まれたロジャースは、仲間のナターシャとファルコンと共に、真の敵を暴くため行動を起こすが・・・。



【感想と雑談】
 前作の『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』('11)がちょっとイマイチの印象だったので敬遠していましたが、ブラック・ウィドウが出とるし(笑)ひょっとして・・・な思いで手を伸ばしました。

 なんだこれは、素晴らしすぎる。

 スーパーヒーローが荒唐無稽な存在であるのに変わりはないのですが、それを取り巻く要素を限り無く実社会ベースで描いているのですね。目線が安定しているし、地に足が着くどころか、首辺りまでぶっすり突き刺さっています。

 半端ないスケール感でありながら、政治策略と近代戦略、そして近代戦術の様が丁寧に描かれていて、空想と現実が違和感なく同居しているし、表裏入り乱れるドラマ性で上質なサスペンス・スリラーとして成り立っているのが実にいい。この漲る緊張感よ。

 特筆したいのがアクション面なんですが、オカルト的な能力、超常現象、ビーム系の兵器なんぞは登場せず、あくまでも近代的な戦術を基本とする描写のキレのよさ。監督アンソニー&ジョー・ルッソ兄弟の手腕はとにかく見事です。

 ロジャースもウィンター・ソルジャーも尋常でない能力を飛び道具や素手を通して発揮し、ナターシャやファルコンがサポートを務め、また組織や戦闘集団らが対等に参戦し暗躍するところも、世界観に幅を効かせているところです。

 あ!我らがスカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウことナターシャのことだけで盛り上るはずだったのに、それだけでは全然収まらない勢いになってしまいました(笑)。今回、紅三点なところもあって、他のシールドの女性エージェント2名の活躍ぶりも高得点。参りました。

 個人的に従来のスーパーヒーローものではお目にかかれなかった感動のシーン(演出)をいくつか挙げてみたいと思います。

<ハイジャックされたシールド船舶>
 船舶のコンピュータ室でテロリストから爆弾を放たれた直後、咄嗟にロジャースがナターシャを抱えてジャンプするところ。なんとナターシャは飛び込む先のガラス窓を瞬時にハンドガンで打ち抜くのです。サブリミナル効果のごとくナターシャの性能アピール。


<ビル街で襲撃を受けるニック・フューリー>
 車輌の強化ボディを打ち抜くのに、丸太(破城槌というそうです)のマシンを持ち出すところ。安易に重火器に頼るだけでなく、専用の装備を持ち出すところがリアルですね。ご丁寧に三脚を固定する様まで映しています。『ダイハード』('88)でも同様に迫撃砲を固定するシーンがありました。


<高速道路での戦闘集団とウィンター・ソルジャー>
 車輌から放り出されたロジャース一行に、追っ手の戦闘集団とウィンター・ソルジャーが協同で猛攻撃をかけるところ。チームワークで行動するところに説得力を感じます。ウィンター・ソルジャーが高架下に逃れた一行を狙うのに、戦闘員とすれ違いざまに小銃を受け取るところは、何気すぎて鳥肌ものでした。


<ビル街でのタイマン勝負その1>
 高速道路からビル街に逃れたナターシャにウィンター・ソルジャーが迫るところ。グレネードランチャーで警察車輌を吹っ飛ばした後、無言でナターシャに忍び寄る際の静寂とサスペンス度がたまりません。ナターシャの小気味よい返し技もいいです。


<ビル街でのタイマン勝負その2>
 ナターシャを助けに駆け付けたロジャースがウィンター・ソルジャーと勝負するところ。サブマシンガンとハンドガンを至近距離で撃ちつくすという有り得なさですが、何故か理にかなった動きにしか見えません。また、ウィンター・ソルジャーはナイフを取り出し接近戦に入りますが、その素早い動きの中、ナイフを宙で掴み直したりします。この運動神経とリズム感は半端ないです。


<ヘリキャリアの発進>
 ロジャースが発進し出したヘリキャリアの甲板を疾走するところ。背景の空や巨大な建造物がそびえる様、そしてその空気感が凄まじいです。どう見ても完全ロケにしか見えないのですが、やっぱりこんな実物を作れるはずはないので、底無しCGの表現力に身を任せるしかないです。


 と、こんな感じでハッとさせる描写が満載なんですね。現実的な設定と編集の上手さがスーパーヒーローと組織力のバランスを上手くとっていて、さらにスリルとサスペンスがこれを底上げしているのです。

 シールド上層部の1人を重鎮ロバート・レッドフォードが演じているのも、社会派スリラーの重厚さも出してる要因ですね。なんと今年78歳なんだとか。お若く見えますね。それにしても、アメコミ原作の映画化も随分と地位が上がったものです。逆にそれしかネタがないのかよ、と危惧もしちゃいますけど。

 前作は、第二次大戦を背景に米軍がスーパーソルジャー化計画を成功させた訳ですが、本作の元凶となるナチスのオカルト組織ヒドラが登場するも、超常現象が登場するわ、頭領レッドスカルの存在がファンタジー然にしか見えないわで、なんともフワフワしてイマイチでした。レトロな時代の夢や未来感が先走ってたのかも。

 本作は、そのヒドラの残党が暗躍するのですが、あくまでも現代的で血の通った世界を構築しているところがよかったと思います。レーザー光線がビービーとか、怪物がうがーとか、オカルトや異次元がどうとか、もうそういうのを受け付けなくなってるようです自分は。

 布石がてんこ盛りで次作が気になるところですが、お約束のエンドクレジットのエピソードがまた驚愕なんですよね。え、そんな展開に持っていくの?方向性がちょっと心配。でも、本作の兄弟監督が続投とのことなので、期待しちゃっていいかな。


 女エージェント3人衆には頑張って欲しい。


(C)2014 Marvel
【出典】『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』/ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

にほんブログ村 映画ブログへにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログパーツ