2008年6月1日日曜日

映画『荒鷲の要塞』 ・・・ロープウェイはちゃんと乗った方がいいと思う

●原題:Where Eagles Dare
●ジャンル:アクション/アドベンチャー/ドラマ/戦争
●上映時間:158min
●製作年:1968年
●製作国:イギリス/アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ブライアン G・ハットン
◆出演:リチャード・バートン、クリント・イーストウッド、
パトリック・ワイマーク、マイケル・ホーダーン、
メアリー・ユーア、その他大勢
◎評価:★★★★★★★★☆☆
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 ’60年代の戦争スパイ映画だ。水曜ロードショーかなんかで流れる度に観ていた気がする。面白いぞ。

【ストーリー】
 第二次世界大戦真っ只中、米国軍のカーナビー将軍がドイツ軍に捕らえられてしまう。カーナビー将軍は欧州侵攻作戦の鍵を握る重要人物で、かなりヤバイ状況だ。そこで英国軍主導の下、救出作戦が計画され、スミス少佐以下5名の精鋭と、米軍レンジャーのシェイファー中尉からなるチームが結成される。
 カーナビー将軍が捕らえられているのは、山頂に構える難攻不落の”荒鷲の要塞”だ。ドイツ軍の情報本部の根城でもある。
 救出チームは山脈の離れに落下傘で降下するが、いきなりメンバの一人が事故死する。気を取り直したチームはドイツ軍服に身を包み、要塞の麓の町まで移動し酒場に紛れ込む。情報収集しているとメンバ一人がどこかに消え遺体となって発見される。何やら不穏な空気を感じながらもチームは二手に分かれ行動に移る。
 スミス中佐とシェイファー中尉組はドイツ軍とひと悶着起こしながらも、なんとか荒鷲の要塞への潜入に成功する。カーナビー将軍を尋問中の会議室を見つけ出すが、そこでは麓の町で別れたはずのチームメンバ3名がくつろいでいた!なんとドイツ軍に寝返っていたスパイだったのだ。しかし、そんなことには動じないスミス中佐はなんと傍らのシェイファー中尉に銃を向け、そこに座れと言う。ビックリ状態のシェイファー中尉だが、そんなことにはこれまた動じないスミス中佐は、会議室にいたドイツ軍の将軍と大佐に対しある事実を伝える。自分はドイツ軍の一員であり、その3名の寝返りスパイらは実は英国軍の替玉で、シェイファー中尉とカーナビー将軍共々、ドイツ軍の中心部に潜り込ませる作戦であることを。
 そんな一同メガテン状態のところに突然、ゲシュタポ士官のハッペンが入り込んでくる。それまでの経緯を知らないハッペンは事実関係をはっきりさせる為にも秘密警察の威厳を持ってその場を対処しようとするのだ。
 この後の英国軍とドイツ軍の攻防やいかに・・・。

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【感想と雑談】
 自分はそんなに戦争映画は好きではない。国や組織同士の争いごとに成立つアクションは例えド派手であっても、アクションを緩急付ける小技を活かしきれない気がするからだ。しかし、本作はそんな小技が十分堪能できる稀な戦争映画だと思う。
 敵陣に潜入し隠密行動を取るという正確には戦争スパイ映画となるのだが、伏線を張巡らせながら劇中の登場人物どころか観ているこちらまで混乱に陥れる展開は、他の戦争スパイ映画でもそう無いのではないかな。この混乱が心地良かったりする。

 また、メインで動くのが英国軍で、その中心人物スミス中佐を演じるのがリチャード・バートンというのが良い。『ワイルドギース』でも人質奪還作戦の指揮を取る役を演じていたのだが、頭脳戦を得意とする知性溢れる役がとても似合っていると思う(引用①)。 このスミス中佐とは対照的に米国のヤンキーなシェイファー中尉を演じるのがクリント・イーストウッド。救出するのが米軍の要人ということで参加したかと思うのだが、生粋の英国人のスミス少佐とは違った荒っぽい存在感で引き立たせている(引用②)。口数少なめだが、どことなくユーモアがあって楽しい。ラストに相応しいセリフも放ったりする(笑)。

 ドイツ側では秘密警察ゲシュタポの士官も登場するのだが、その組織体質からか同じナチスドイツの仲間だというのに軍部との確執も描いたりしていて興味深い。因みにこのゲシュタポ士官、サンダーバードに出てきそうな顔をしていてインパクト大。また、登場する軍事関係のアイテム等は考証が正確であるらしく、戦争ファンには堪らないところであろう。

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 本作は隠密行動をメインとしながらもアクションもいいキレ具合を見せている。
 途中、適度なアクションの後にドイツ軍の車両を崖から落とした途端、どこにも当っていないのに車両が自ら爆発するシーンがあるのだが、これは当時のお約束演出なので”何が爆発したの?”と突っ込んではいけない(笑;)。
 隠密行動を取るため派手なアクションは控えめだが、その分一つ一つの小技アクションが際立っている。
 要塞への移動手段はロープウェイしかない為、ゴンドラの屋根に乗っかり密かに侵入するのだが、実在するロープウェイを使っている為、高所恐怖症の人は間違いなく下半身がキュウッとなるであろう(引用③)。

 そして後半の要塞脱出からエンディングまでが小技アクションの連続だ。ここまで観てきて欲求不満に陥っていた人も溜飲下がりまくりになると思う(笑)。
 数年後にダーティハリーを演じるクリント・イーストウッドだが、それまでの西部劇ガンマンよろしくシュマイザー機関銃の2丁撃ちを見せてくれる(引用④)。これも他の戦争映画にはない魅力なのではないか。
 とにかく前半に張巡らした伏線を回収しながら飛ばしまくる様は結構爽快ものである。

 『レイダース/失われたアーク』が流行っていた頃に本作を初めて観た時驚いてしまった。後半のドイツ軍のやられ方が似ていたからだ。『レイダース~』でも敵のドイツ軍は規模が小さく車両中心の一団となっていて、一人張り合うインディとのバランスが上手く取れていたのだが、そのノリが本作で既に描かれていたのだ。これは後の『レイダース~』含め多数のアクション映画が過去の名作を踏襲しまくっている証拠なんだと思う。

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 60年代の映画なんて古くてダサイと思われそうだけど、当時の作風にしか見ることのできない魅力というのもありますよ。


①知性溢れるスミス少佐を演じるリチャード・バートン。渋いです。渋すぎます。


②米軍レンジャー部隊員を演じる我らがクリント・イーストウッド。若いなあ。


③本物のロープウエイを使った決死の撮影。このあと上部のワイヤー結合部まで上ります。ヒィー。下半身がキュウッとなります。


④カッチョいいシュマイザー機関銃の2丁撃ち。さすがイーストウッド、キマッてます。

© 1968,Other Supplementary Material c 2003 Turner Entertainment Co., an AOL Time Warner Company.
【出典】『荒鷲の要塞』/ワーナー・ホーム・ビデオ

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