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2015年3月22日日曜日

映画『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット』 ・・・先住民の聖地にファストフード店を出したら呪われてしまいました

●原題:Poultrygeist: Night of the Chicken Dead
●ジャンル:コメディ/ホラー/ミュージカル
●上映時間:103min
●製作年:2006年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ロイド・カウフマン
◆出演:ジェイソン・ヤチャニン、ケイト・グラハム、ロビン・L・ワトキンス、アリソン・セレボフ、ジョシュア・オラタンデ、ローズ・ガバミ、ロン・ジェレミー、ジョー・フライシェーカー、ロイド・カウフマン、その他大勢

 暖かくなりましたね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?そろそろ桜の時期でもありますね。お花見全開といきたいですが、花粉症がそれを許さないという。
 今回はそんな時期に相応しい?どうしようもないホラー作品です。

【ストーリー】
 アメリカの田舎町トロマビル。先住民の聖地にファストフード店が出店され、地元住民らは抗議運動で盛り上がる。そのさなか、青年アビーは恋人ウェンディがレズに走っているのを目撃。ショックを受けたアビーは、ファストフード店に就職し男を磨くことでウェンディを取り戻すことを決意する。その一方、先住民の呪いによってファストフード店では血生臭い事件が勃発し、やがてアビー達にも魔の手が忍び寄る・・・。



【感想と雑談】
 製作会社トロマ映画によるバカホラー作品です。久々にこの系統を挙げることにします。伝説の同社作品『悪魔の毒々モンスター』('84)から22年ほど経って製作された作品ですが、その作風といいますか、志といいますか

 相変わらずヒドイです。

 とにかくバカエログロ汚い作りには、逆に潔さを感じるし、安心もしてしまいます。何度もいってますけど、実は大好きなトロマ映画です。尋常でない作品なので手放しでお勧めはできませんが、一般映画の括りからもの凄く外れた作りでも尊重できる姿勢があれば問題はないでしょう(笑)。たぶん。

 製作当時は既にテロや食品衛生などの社会問題が盛り上がってた頃で、トロマ映画もそれに対する痛烈な批判を込めた作品としたのでしょう。しかもミュージカル形式で。しかし、社長であり監督であるロイド・カウフマン筆頭の製作陣は、狭すぎる需要をわかった上でか、ウィットなんぞ木っ端微塵に、やっぱり好き放題サイテーな作りを突き通している潔さです。

 トロマ映画では大抵の舞台となってるトロマビル。冒頭、先住民の墓地で合体に励むアビーとウェンディが既にバチ当たりです。その傍らで股間を全力投球していた出歯亀は、地面から出現した腕にケツからクチまで串刺しにされ絶命。上品さの欠片もありません。



 ファストフード店の前では住民らが、鶏を救えー、聖地を荒らすなー、と抗議集会。エキストラはどう見ても素人集団。トロマ映画らしい雑で下品な演出が冴え渡っています。最低限の撮影環境も相俟ってとにかく絵ヅラが汚く、台詞もヒドイもの。こんな中に小さな可愛らしい女の子が混じっているのも、度外視トロマ映画らしいところです。

 白スーツにヒゲを生やしたファストフード店のオーナーはいかにもあの人のパロディです(笑)。ダンサーズを侍らせながらフライドチキンを振る舞うと、それを食った住民らは味にゾッコンとなり店内に押し寄せます。既にフライドチキンは呪いに汚染されていました。

 ポルノ名優ロン・ジェレミー(笑)のベタなギャグに続いて、スーパーメタボが注文したスペシャルメニューに謎の卵が混入。どう見てもヤバい卵なのに、ひと飲みしたスーパーメタボは早々にトイレに突入します。ケツのアップに検閲マークが被さると、爆裂音と共にいろいろ飛び散りますが、そんな悲惨な状態でもトレーを抱え食べ続けるスーパーメタボ。絵ヅラがヒド過ぎます。

 チープな効果音とともに大量の汚物を射出し終わると、スーパーメタボはチキンモンスターに変身します。特に暴れることなく、痩せたぜーとか叫ぶと、何事もなく、どっかに行ってしまいます。普通、店内パニックになると思うけどな。店側としては、ひどく汚れたトイレを掃除することが重要なので、アビーはモップ片手に歌い踊ります。



 厨房では店員のアラブ女が祈りを捧げています。イライラすると自爆するとか物騒なことを抜かします。真っ赤なブルカを着込んでるので、ミキサーに巻き込まれたアホな店員の血肉を浴びても、さほど目立たなかったりします。厨房がもの凄い状態に陥っても、店側としては利益優先なので、あまり気にせずとにかく調理をし続けます。この辺り、現実の食品衛生問題への批判と受け取れなくもないですが、まずはアホか。

 やがて呪いのフライドチキンによって住民らはチキンゾンビに豹変します。ここから阿鼻叫喚の展開に突入。思いついても普通はクチにしないような残虐描写のオンパレードです。ゾンビへのオマージュは勿論ですが、女ゾンビ二人が血肉を浴びながらレズに走るとか、意味なくオッパイさらけるとか、エロ要素も忘れないサービスぶりが素晴らしい。

 アビーとウェンディら生き残った連中がピンチに陥ると、颯爽と現れ銃を乱射する初老の店員。演じるは我らがロイド・カウフマンです(笑)。氏曰く、銃はいつか町で無差別攻撃しようと思って持ってたんだ、というところはパンチが効いています。一方で、自分みたいな数十年後を迎えてはいけないよ、とアビーに優しく諭す一面も。説得力ゼロですが。

 クライマックスでは、例のアラブ女店員の機転によって状況が一変。その後、アビーとウェンディらは抗議運動も考えものだなーとしんみり語ります。そして、トロマ映画でお馴染み使い回しの盛大なシーンでオチを迎えます。何か教訓はあったのかな。とにかく最後の最後までトロマ映画でございました。

 そういえば、ロイド・カウフマン監督は、最近のSF大作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』('14)に、一瞬ですが出演されていました。金髪の宇宙囚人だったかな。トロマ映画とも親交あるジェームズ・ガン監督の計らいなんでしょうね。メジャーとマイナーを行き来するロイド・カウフマンすげえ(笑)。またヒドい新作が控えてるようなので楽しみにしておきます。いつまでも元気にサイテー作品を出していって欲しいですね。


 トロマ映画、侮れないと思います。


(C)2007 Poultry Productions, LLC All Rights Reserved.
【出典】『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット』/キングレコード

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2014年10月13日月曜日

映画『フェイズIV 戦慄!昆虫パニック』 ・・・宇宙の異変で頭のよくなった蟻軍団が行動を起こします

●原題:Phase IV
●ジャンル:ホラー/SF/スリラー
●上映時間:84min
●製作年:1974年
●製作国:アメリカ
●言語:英語語
●カラー:カラー
◆監督:ソール・バス
◆出演:マイケル・マーフィー、ナイジェル・ダベンポート、リン・フレドリック、アラン・ギフォード、ロバート・ヘンダーソン、ヘレン・ホルトン、その他アリの大群

 3連休の最後ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?せっかくの休みですが、台風19号が迫っていますので、安全には十分注意して下さいね。
 今回は、久々に70年代の古い作品を引っ張りだしてしまいました。

【ストーリー】
 アメリカ。宇宙である異変が発生し、その影響は人類ではなく蟻の生態に及び始めていた。そのことを察知したある科学者は、暗号解析の権威を引き連れ、アリゾナの砂漠で研究を開始する。目的は蟻が交す信号を解析し生態系を把握するものであったが、やがて蟻が思いもよらぬ行動に出てしまい、科学者らは苦戦を強いられることになる・・・。



【感想と雑談】
 昔、テレビの洋画劇場でちょくちょく放映されていた作品です。リアルタイムでご覧になられた方は多いのではないでしょうか。ガキンチョの頃は、テレビで様々な洋画に釘付けになっていました。特にSFファンタスティック系にハートは鷲掴みなガキンチョ時代。それを叶えてくれたテレビ局は、言うまでもなく東京12チャンネル(現テレビ東京)でありました(笑)。

 動物系や昆虫系のパニックものは、大半がどんな理由で反乱(氾濫)しようが単純明快に人類が打ち勝つという、いい加減さも加わったジャンルの印象でした。が、本作はちょっと毛色が違ったようです。そういえば幾つかの場面が印象的だったのも、後日に特筆されるほどの内容に仕上がっていたからでしょうか。暫くソフト化から外れていた作品ですが、先日レンタルに並んでいたので改めて観ることにしました。

 20世紀前半からグラフィックデザイナーとして活躍されていたソール・バスが最初で最後の長編作品として監督した本作ですが、なるほどその経歴からして映像面は独特のセンスで溢れまくっています。オープニングからして宇宙の映像が抽象的なイメージに変化すると、そこから蟻の生態を超接写で延々映し出していきます。多くの有名作品のデザインも手がけている氏の威力を確かにガッツリ感じるオープニングです。当時のガキンチョには何のことやらでしたが。



 何かとインパクトある画作りしている本作ですが、肝心の蟻は突然変異といっても姿形は普通のままです。思考能力が異様に発達する様を、超接写とたぶんピンセットで無理矢理ポーズを取らせた演出(笑)、そして砂漠に作り上げる幾何学的なモニュメントをもって、その異様さと神秘性を表現しているのです。

 砂漠の研究施設を舞台に、科学者二人が周辺で猛威を奮う蟻軍団の生態を調査します。どこか狂気じみた執念で蟻を見下す英国人ハッブスと、純粋に蟻との交信を解析する米国人レスコ。彼らと蟻が行動する様を、交互に淡々とドキュメント風に描いています。そして、そこにひょんなことで転がり込んでくる地元の娘ケンドラ。このケンドラ演じるリン・フレデリックがもの凄い美人で砂漠のオアシスすぎます。

 蟻によって発電機を破壊され、激怒したハッブスがこの野郎と毒薬を噴射すると、蟻はさっそく抗体を持った新種へと変異。そして、研究施設を囲むように、鏡面化したモニュメントを一夜で作り上げます。反射させられた太陽光を浴び、その後にエアコンまで破壊された研究施設はやがて蒸し風呂になります。これはもう、蟻が逆に人類を見下し制圧しようとする構図です。



 タイトルにあるフェイズとは蟻軍団との局面を段階的に移行していくことを意味していて、フェイズⅢとテロップされた時点で人類は変異した蟻に太刀打ちできない局面を迎えることになります。では、次のフェイズⅣではどんな局面が待っているのか。公的機関によるプロジェクトなので、研究施設のたった二人の科学者と娘の顛末だけで事が進むというのは実際無理があるのですが、ひとつの可能性として、とても興味深い終末感とどこか安堵感のある局面(結末)だったと思います。ドアップで映し出す日の出も印象的でした。

 後発のSF作品に何らかの影響を及ぼしているんじゃないでしょうか。驚いたのが、草原を真円の中に正方形を残す形で刈り取ったモニュメントが登場するところ。これってミステリーサークルじゃないか。本作は70年代前半の製作だよな。ミステリーサークルが世界的に話題になったのは80年代に入ってからだけど、実は前からニュース沙汰になっていたのか?そうでなければ、これを創作したのは凄いことなんじゃないかな。しれっと描いてるからビックリしました。

 また、本作自身、あるSF作品からインスパイアされたんじゃないかと思えるところもありました。マイケル・クライトンの小説『アンドロメダ病原体』の映画化『アンドロメダ・・・』('71)です。こちらもアリゾナの砂漠を舞台に、墜落した人工衛星に付着した未知のバクテリアを研究施設で調査するというものでした。



 『アンドロメダ・・・』では、これも宇宙の脅威が発端となった様をドキュメント風に描いていて、多方面の活動が局面を迎えるごとに日時と場所をテロップします。アリゾナ砂漠の地下に建設された研究施設でバクテリアを光学顕微鏡で走査し解析画像をモニタ表示するところは、本作の蟻の超接写と交信の解析結果を表示する場面に通じます。また、防護服に身を包んで遺体を調査するところなどもそうです。『アンドロメダ・・・』大ファンの自分にとって、どうしても脱ぐえない疑念ですが、別にそれが悪いとは思いません。本作『フェイズⅣ』は、確固たる作家性をもって昇華している作品だと思います。両作に精通されてる方はどんな思いをお持ちでしょうか。

 もうひとつ両作の共通点として、紅一点が登場しているのですが、これについては前述の通り本作のケンドラ嬢に軍配が上がりすぎて優勝クラスとなっています。『アンドロメダ・・・』の方はなあ・・・(笑;)。

<追記>
 『アンドロメダ・・・』の紅一点とはメインの科学者グループ内のことで、研究施設内には女性スタッフは大勢いました。

 と、こんな記事になっていますが、古い作品でテーマも辛辣だし、映像もさすがにガサついているので、観る人を選ぶのかな、とは思います。動物パニックものなら、今どきのメガものシリーズを観た方が幸せになれるかもしれません。


 海外RPGゲームの名作『Fallout3』に登場する巨大蟻の開発者レスコ博士は、本作からの引用ですね、きっと。





【出典】『フェイズIV 戦慄!昆虫パニック』/パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

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2014年7月12日土曜日

映画『悪魔の毒々モンスター/東京へ行く』 ・・・我らがスーパーヒーローが東京に上陸します

●原題:The Toxic Avenger Part II
●ジャンル:アクション/アドベンチャー/コメディ/ホラー/SF
●上映時間:103min
●製作年:1989年
●製作国:アメリカ
●言語:英語/日本語/ロシア語
●カラー:カラー
◆監督:ロイド・カウフマン、マケル・ハーツ
◆出演:ロン・ファジオ、ジョン・アルタムラ、フィービー・レグレ、リック・コリンズ、リサ・ガイ、ジェシカ・ダブリン、ジャック・クーパー、エリカ・シケル、安岡力也、桂木麻也子、関根勤、忍竜、永井豪、その他日本の役者大勢(笑)

 もう7月も中旬になっちゃった。皆さんいかがお過ごしでしょうか?梅雨もどうかな、終わりかな?でもこれから台風の季節にもなるんですよね。鬱陶しいですね。
さて、暑い夏といえばホラー。ということで今回は、懐かしのバカホラー作品です。

【ストーリー】
 アメリカ。毒々モンスターことメルビンによって悪徳市長と取り巻きのワルが一掃されたトロマビルは平和で溢れていた。しかし、平和すぎて自分の存在価値に悩みを抱くメルビンは、カウンセラー通いの日々を送っていた。その一方、悪徳企業アポカリプス社は核廃棄物の処理場をトロマビルにしようと目論んでいたが、それにはメルビンが邪魔すぎる。ということで、日本が開発した毒々パワーを消し去るアンチトロマトンで退治することに決定。日本に父がいるという嘘を流し、メルビンを日本に向かわせる作戦に出る・・・。



【感想と雑談】
 暫くソフト化から外れていたのが、昨年に晴れて再販されるようになった作品です。と、書くと、どんな作品?傑作なの??と期待させるのもアレなので、とってもバカ映画の名作と初めにいっておきます。久々に観たらやっぱりヒドかったので(笑)、今更感ありますけど記事にします。

 1作目の「悪魔の毒々モンスター」(’84)がよっぽど好調だったのか、トロマ映画のあるじでもあるロイド・カウフマン監督は、シリーズ2作目として日本のマーケットに着目したようです。当時、ビデオ全盛の日本も日本で、世界のトンデモ映画の需要が相当あったのか、そんなこんなで出来上がった本作ですが、日本を舞台にしようが志はいつものトロマ映画です。見慣れた日本もトロマにかかるとバカの王国になってしまいます。

 とはいっても、すぐ日本に舞台が移る訳ではありません。まず米国トロマビルを舞台に、濃厚でドアホなエピソードが爆進します。平和なトロマビル。主人公メルビンが盲目の彼女クレアと障害者施設でボランティア活動をしていると、土地を奪おうとする悪徳企業アポカリプス社によって施設を爆破されます。



 怒り心頭で瓦礫の山から立ち上がるメルビン。そこにリムジンで乗りつけたアポカリプス社長と女重役が放つ自慢の刺客らは、顔面ペイント、女装、マリオ、半獣人、という出で立ちで、何かのイベントにしか見えません。そんな刺客らをメルビンは、車イスで粉々に潰したり、パンチで顔面を貫通したり、腕をもぎ取ったりと、朝飯前の格闘でのし続けます。

 こんな様を深刻に見守る社長ら。メルビンのパンチで頭部の高速回転が止まらない刺客を見た女重役が漏らす一言「完璧な計画だったのに・・・」。完璧じゃねーよ。こういうのが普通の作品ではまず見られない光景です。音声については殆どがアフレコで、SE(効果音)含めて妙に誇張する演出が際立っています。バカ映像とバカ音声のダブルパンチがトロマ映画の醍醐味でしょうか。

 父親が日本にいることを知らされたメルビンは、サーフボードで太平洋を渡り、ゴジラスタイル(笑)で東京に上陸します。ここからエキストラは全員、日本人で占めることになりますが、ちゃんとトロマ演出によるオーバーアクションを見ることができます。すんごい無理してる感ありありの(笑)。


(浅草でロケ撮影。この注目度ですよ。)

 結構な日本の役者やタレントが頑張っています。関根勤は中継レポーター役として度々登場。修学旅行の生徒らに東京タワーを解説するくだり「これが東京タワーだ!全て鉄!」。そしてメルビンと目が合った途端「チョエェェ」と奇声を上げます。安岡力也はハーフ顔を買われたのかメルビンの父親ビック・マック役(笑)。マフィアみたいに貫禄あるのに相撲取りに変身しちゃう。

 父親探しを手伝うヒロインを演じるのは桂木麻也子。当時人気のAV女優だそうです。昭和の雰囲気全開でオッパイを見せてくれるよ。こんな日本側とメルビンの絡みをゲリラ撮影しまくったのか、容赦なく注目しまくる通行人の姿がいちいち笑えます。山手線のホームとか浅草とかよく撮ったな。

 仰々しいセットや仕掛け等はいっさいなく、そこらの下町や商店街で適当に撮ってる感は、トロマ映画の低コストと稚拙なセンスの賜物です。路地裏や魚市場の匂い立つような描写は、むしろトロマ映画だからこその、唯一無二の日本の一面を出せてるのではないか、とも思えます。その一方、日本人には理解できない(笑)エキセントリックな新しい日本もそこにあります。



 エログロ度は米国が舞台だと安心と信頼のレベルですが、日本が舞台になると随分ソフトになるのは仕方のないことですかね。オッサンの腰痛が治ったり、鼻をタイヤキにしたり、女風呂に入ったら野菜をぶち込んでシャブシャブにしたり。ホノボノしてる。ただ、英語のセリフになると、いつものトロマ映画らしい吹替えとSEになるので一安心ですが。

 唯一、日本でのグロ描写は、メルビンとの格闘の末、魚屋に投げ込まれた力士姿のビック・マック(笑)が庖丁人に細切れにされるところ。実はこの前にも伏線として、魚をやや汚らしく残酷に捌く場面が度々挿入されていて、ロイド・カウフマン監督が日本特有の残酷性として見出しちゃのかな、なんて思えます。

 日本でメルビンが散々弄られてる最中、悪徳企業はトロマビルを破壊し続けますが、それも長くは続きません。サーフボードで帰国したメルビンが返り討ちにします。爆弾抱えたヒットマンを、メルビンがタクシーで追跡すると、途中、フロントガラスごと屋根が吹っ飛び、全員ドリフのコントみたいになります。運ちゃんは怒り心頭ですが、メルビンに「イカしたオープンカーになったね」といわれると、満面の笑みを浮かべます。アホか。ねーよそんなオープンカー。

 とまあ、日本をメインにしたヒドい作品ですが、下手に真面目に描いた勘違い日本よりも、ずっと気を楽にして観ることのできるバカ映画だと思います。エログロ耐久性を必要とするやや上級者向けではありますが、これからトロマ映画を見たいと思われてる方(いるのか?)は、初級編として選んでみるのもいいでしょう。同じくトロマ映画で日本出資の『カブキマン』(’90)なんてのもあるので、併せて観るのもいいかも。ソフト化されてるか知らないけど。

 なんだかんだ、トロマ映画っていいと思います。

 第1弾 ⇒ 『悪魔の毒々モンスター』
 第3弾 ⇒ 『悪魔の毒々モンスター/毒々最後の誘惑』 ← 早く再リリースすれ
 第4弾 ⇒ 『悪魔の毒々モンスター/新世紀絶叫バトル』


(C) MCMLXXXIV H.C.H. CO./TROMA, INC.
【出典】『悪魔の毒々モンスター 東京へ行く』/映像文化社

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2014年4月27日日曜日

映画『バーサーカー』 ・・・クリーチャーファミリー VS ロートルバイカー軍団

●原題:Skinned Deep
●ジャンル:コメディ/ホラー
●上映時間:97min
●製作年:2004年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ガブリエル・バルタロス
◆出演:リンダ・ワインリブ、エリック・ベネット、リー・コシエラ、カロライン・ブラント、レス・ポラック、リズ・リトル、ワーウィック・デイビス、ジェイソン・ダグレ、その他大勢

 なんか暑いくらいの陽気ですね。皆さんいかがお過ごしでしょうか?既にGW連休に入られてる方もいるのかな。最大11連休とか。いいですなー。 私はまだこれからの取得ですけど、たぶんインドアな連休になると思います(笑)。
 さて、今回は久々のバカホラー作品の紹介になります。

【ストーリー】
 アメリカのどっか。あるファミリーが山間部をツーリング中、車が突然のパンクに見舞われる。仕方なく近くの民家に助けを求めると、そこの婦人はとても愛想がよく、家で休んでいけと言う。お言葉に甘えるファミリー。しかし、家の中では不気味なクリーチャーらが待ち構えていた。長女ティナを残し惨殺されるファミリー。一方その頃、山間部をツーリング中のロートルバイカー軍団が、同じく民家に立ち寄ろうとしていた。どうなるティナとロートルバイカー軍団・・・。



【感想と雑談】
 久しくやってなかったバカ系ホラー作品です。元々こういうジャンルから始まった当ブログですが、ここのところ落ち着いた感の記事ばっかになってる。ちょっと初心(笑)に戻ってみようと思いました。配給会社はこの手では老舗のアルバトロス。パッケージのデザインがイカしてますが、さて中身の方はどうなんでしょうか。

 開始早々、車で山間部をツーリング中のファミリーが登場します。パパが突然「おいママ!野ウサギだ!早く撮って!」というと、ママはすかさずビデオカメラのレンズ側を覗き込むというボケをカマします。撮影されるママの目玉。後ろ座席には冷笑する子供の姉弟がいました。このパパとママが能天気すぎるばかりに、後にエライ目に会うことになりますが、この時は知る由もありません。あ、一応コメディホラーなんですね。

 車がパンクしたことで、ファミリーはある民家にお邪魔します。この時、応対する婦人(というか婆さん)が結構可愛いです。昔はきっと美人さんだったんだろうな。その辺ノータッチのままファミリーは食事にもお呼ばれしますが、リビングには様々なクリーチャーが待ち構えていました。



 両目がレンズでアゴには鉄のキバが並ぶ大男サージョン(以降、鉄アゴ)、お皿が大好きな小人症の男プレート(以降、皿男)、むき出しの脳が異様に肥大化した男ブレイン(以降、デカ頭)。こんなマンガにしか登場しないようなキャラが今か今かとスタンバってるところに、豪快な能天気プレーをしでかすパパとママが逆に怖いです。

 ママがカメラを向けたことで遂に鉄アゴが始動。大型ナイフでママの首をザックリやります。次に皿男が始動。背中に装備したマガジンから皿を次々にパパに投げ付けます。イーヤッホウ!と狂喜する皿男。演じるワーウィック・デイビスは、実は本作で最も有名な俳優です。小人症の容姿を活かした様々な経歴をお持ちで、例えばメジャー作品『ウィロー』('88)で主人公ウィローを演じたお方でもあります。やるじゃん。

 逃げ出した姉弟をとっ捕まえた鉄アゴ。弟を人間幹竹割りにします。ペローンと体が縦に分断される残忍性ですが、予算がなく適当なダミー丸出しの演出なので笑えます。一応ヒロインの姉ティナは、デカ頭に気に入られてしまい、クリーチャーファミリーの一員にされてしまいます。デカ頭はこれでもかと言わんばかりに巨大な脳が露出していて、見ていてハラハラします。



 心優しいデカ頭はティナに、自分らは造られた存在であることを告白。ティナと一緒に逃げたいけど、ファミリーの為にそれは出来ないと葛藤するデカ頭は、もし自分が純粋な人間だったら・・・と大妄想します。ここで最大の見せ場が登場。マンハッタンのど真ん中、人混みの向こうからデカ頭が楽しそうに走ってきました。全裸=フル○ンという姿で。ゲリラ撮影につきビックリする通行人のご婦人。風になびくデカ頭のイチモツに、やはりアメリカは自由であることを痛感しました。監督は逮捕されたらしいですが(笑)。因みにこのシーンは完全無修正です。

 一方、ツーリング中のロートル(老人)バイカー軍団が、クリーチャーファミリー家にやってきます。全員70歳以上のロートルがクリーチャーに絡むという不協和音ビンビンな展開に突入。休憩したかっただけの仲間が鉄アゴにやられたことで、ロートルバイカー軍団は、熱く復讐を誓い爆進します。で、ティナの立場は。

 何人もの仲間が盛大にやられるも、残った超ロートル(たぶん80歳超)は頑張って皿男を血祭りに上げます。ガッツポーズの超ロートルは、これもロートルな彼女と濃厚なキスをかまし、二人して華麗に去っていくのでありました。残りのクリーチャーとティナは?



 ラスト近く、ティナはある倉庫を発見。そこでクリーチャーの創造主クリエイターと対面します。コイツは体のある部位が欠損してる以外、単なる普通のボディビルダー野郎(ここのVFXはなぜか秀逸)。トロフィーに囲まれる中、優雅にポーズを取り続けるので、インパクトと混乱必至なシーンとなっています。なんか偉そうに「人類の歴史は創造と破壊の連続である〜」とか講釈たれてる最中、股間にぶら下げてたダイナマイトをティナに奪われ、木っ端微塵にされます。アホか。

 ベースは恐らく『悪魔のいけにえ』('74)なんだと思います。テキサス州の辺境の地でキチ○イ一家が旅行者を襲うプロットはそのまま本作にも当てはまりますね。でも、それを更に、意味不明なキャラやオブジェクト、そして言動で埋め尽すことで、ただのコメディホラーに収まりきれない珍作へと昇華しているようです。感覚で見ないと見続けるの難しいかも。まあ、特上のヘッポコ作品には違いないですが(笑)。

 そういえば、デカ頭と鉄アゴがどうなったかですが、もし興味が沸いた方には本編でのお楽しみ♪ってことで伏せておくことにします。結構インパクトある顛末でしたよ。これ、ティナが最後まで頑張るのですが、その頑張りが暗転後のスタッフロール最中にも続くという、あまりにも珍しいことになっています。


 これって実は一見の価値ありなのかもしれない。


(C)
【出典】『バーサーカー』/パンド

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2013年9月22日日曜日

映画『ZVC ゾンビVSチアガール』 ・・・チアガールが山のキャンプ場でゾンビになったり戦ったりします


 皆様いかがお過ごしでしょうか?
 今回は、2010/07/25付の古い記事の再アップになります。実はここのところ、何故かこの記事だけ海外からスパムコメントのターゲットにされてるようで気持ち悪いので、下書きに戻した後まんま記事を新たなURLでアップし直すことにしたのです。
 なので頭のコメントが季節外れのことを書いてますが、そういうことですんで。それと100本目記念とか(笑)。新鮮かもしれない。

<追記>
 それと、9/21(土)あたりから、ポップアップ広告が開くようになったので調べてみたら、あし@タグが何やら影響しているようなので、とりあえずタグを外しました。他のあし@ユーザさん、大丈夫でしょうか??

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●原題:Zombie Cheerleading Camp
●ジャンル:ホラー/コメディ
●上映時間:85min
●製作年:2007年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジョン・ファブリス
◆出演:ジャミー・ブラウン、クリス・ホワイト、ニコール・ルイス、ジェイソン・グリーン、ブランディ・ブラックモン、ダニエル・チェック、テリー・チャンドレン、その他大勢

 夏です。猛暑が来ました。早くも40度付近までいってます。とにかく暑いです。クリスマスの冬が来るまで、暫くこの暑さに耐えねばなりません。という訳で、夏といえばのホラー作品です。割と最近のフレッシュな作品ですが、涼しくなるどころか寒さを通り越して、思わず暖房スイッチオンな作品であります。それと、以前に記事にした『モンスター・オブ・ザ・デッド~』のJVD配給なので、吹替えがハチャメチャ大暴走。ホラーとは全然関係ないところで楽しめる作品でもあります。

【ストーリー】
 アメリカ。どっかの山。1匹のリスがある洞窟に投棄されたドラム缶に偶然飛び込んでしまう。その中はある液体で満たされていた。それはかつて米軍が極秘に研究開発していた死体を蘇らせるゾンビ薬であった。ほどなくゾンビ化するリス。一方、山のキャンプ場ではチアガール合宿が行なわれていた。鬼軍曹のような女コーチにしごかれる10数人のチアガール。そのまた一方、3人の男子グループが山を散策していると、突然ゾンビリスに襲われ1人が指をかじられてしまう。しかし軽症の為か、特に気にすることもなく3人は山を移動し、キャンプ場のチアガールらをナンパしまくる。やがてゾンビ化した男子がチアガールを襲い始め、キャンプ場は地獄と化してしまう・・・たぶん。


(グダグダ感が十分伝わってくると思います)

【感想と雑談】
 もう終わってる感バッチリの~VS~ものですが、配給会社がJVDであることを見逃してはいけません。かつての配給作『モンスター・オブ・ザ・デッド/ビキニビーチの惨劇』でもアピールしましたが、今回も最強の吹替えをもって天国まで押し上げています。一応ジャンルはホラーになりますが、製作に対する姿勢が総合的に格安すぎるので、針の先っちょほどにも恐れる要素はありません。

 また、チアガールなのでサービスタイムとして裸も登場しますが、役者陣のグレードからすると別に脱がなくてもいいんじゃないかと、そんな感じです。本格的なホラー作品を期待してはいけません。どうしようも無さ過ぎるオリジナル作品を、ハチャメチャな吹替えで面白可笑しく鑑賞する。これが基本です。

 開始早々、イラスト画によって過去の出来事が説明されます。ゾンビ薬は元々ドイツ軍によって開発され、途中それを押収したアメリカ軍が引き続き研究を続けていたというもの。なかなか壮大な設定ですが、それを映像化する予算は勿論ないのでイラスト1本でお仕舞いです。ちゃんと絵心あるイラストなので安心して見られますけどね。因みに、オリジナルでは一切ナレーションが入っていません。ご丁寧にJVDは色っぽいナレーションを挿入して判り易くしてくれています。


(右端のチアガールが本作のヒロインです・・・)

 3人のチアガールが車で移動中、パンクしてしまいます。白人さん2人と黒人さん1人。こういう作品では大抵の白人さんは残念グレードなんですが、黒人さんは何故かハイグレードでキュートです。『スピーシーズXXX』でも黒人さんらがとてもキュートでした。何かあるんでしょうか。道端で佇んでいると、3人の男子グループが車で通りかかり、助けに入ります。

 ここで、オリジナル字幕をONにしていると、吹替セリフがどれだけ凄いのかがよくわかります。男子らは車から降りると誰も口を開かず字幕らないのに「よっしゃオッパイだ!オッパイだ!」と吹替えます。また男子の1人が「パンクかい?オレはタイヤ屋の店長なんだ。」と字幕ってるのに、「オレはデリヘルの店長なんだ。働かないかい?」と吹替えます。勿論、演技はオリジナル音声を元に進みますので、チアガール達の冷静な反応からすると、もの凄く滑ったように見えてしまい、それはそれで可笑しい空気になっています。

 山のキャンプ場では、先の3人を入れて総勢12人のチアガールが登場し、華やかな特訓シーンが拝めます。と期待したかったのですが、やはり予算は大変厳しいようでした。黒人さんを除いて、どうにもこうにも・・・容姿が・・・。それと鬼軍曹の女コーチ、結構腰の入った吹替えを決めてくれます。後でゾンビの餌食になるのは間違い無しなんですが、あまり顔面のアップはいらないかなと思いました。


(バナナンボ♪バナナンボ♪左にスィング♪右にスィング♪・・・ポンポンは使わないんですか)

 特訓は女コーチの息子が担当します。元男子チアリーダーのチャンピオンでオカマです。一番華奢な体格してます。オカマらしい振付けと吹替えを炸裂し、チアガールがそれに倣います。「バナナンボ♪ バナナをむいてパクリンチョ♪ イエ~イ」。ここは一部字幕もそうなっているので、オリジナル音声もそう言ってるみたいです。こういうチアリーディングもあるのか。凄いな。どう見てもグダグダなんですが。

 カメラワークにもあまり工夫が無く、ちょくちょく固定したカメラ視点が入ります。画面の左から右に車がブイーンと横切るだけとか。ゾンビリスに噛まれた男子が何やら叫びながらカメラの前で右往左往すると、ゾンビリスが「上手から下手へ・・・下手から上手へ」と吹替えたりします。ゾンビリスがです。オリジナルの欠点、というか全てを吹替えで補ってる感じです。やはり吹替えしかないでしょう。素晴らしいです。

 肝心のゾンビは、オーソドックスで顔色の悪い程度のゆっくりした動作で登場します。特殊メイクも所々で血飛沫が派手に上がったりしますが、全体的にはチープです。1人のチアガールゾンビがオッパイを出したまんまのサービス状態で首を撥ねられるのですが、この時横たわった首なしボデーの様子はデジタル処理を施しているのか見事なカットだったと思います。

 が、その後に登場する撥ねられたダミーヘッドが思い切り紙粘土で適当に固めたようなヤツで、それまでの見事なボデー映像を台無しにしてました。これならボデーも紙粘土で統一して欲しかったな。でも、フォローのごとく吹替えが付いてくるので、そんなに嘆く必要もありません。

 伏線を配置してあって(いっちょ前に)クライマックスでは「あ、そうか」とちょびっとだけ感心したりもするのですが、まあオリジナルの作品自体としてはゴミ映画行きは間違いないでしょう。ゾンビと生存者との攻防戦!みたいな展開は殆どないし。実際に作り手はどういう感覚で製作したのか聞いてみたいところです。まさかJVD向けに製作してたりとか。それはないか(笑)。


(右端のゾンビチアガール。ポッチャリですがちょっと可愛いかも)

当ブログの映画記事100本目記念がこれかよ。

(C)2008 JAF Productions
【出典】『ゾンビ VS チアガール』/ジェイ・ブイ・ディー

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2013年7月21日日曜日

映画『悪魔の毒々モンスター』 ・・・力いっぱいバカ映画の金字塔が再登場です

●原題:The Toxic Avenger
●ジャンル:アクション/コメディ/ホラー/SF
●上映時間:92min
●製作年:1984年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ロイド・カウフマン、マイケル・ハーツ
◆出演:マーク・トーグル、アンドリー・マランダ、ゲイリー・シュナイダー、ロバート・プリチャード、シンディ・マニオン、ジェニファー・プリチャード、パット・ライアン、その他バカ大勢

 暑いですね。皆様、いかがお過ごしでしょうか?
 今回、久々の映画記事は、懐かしの最低バカ作品になります。

【ストーリー】
 アメリカ。どこぞの町トロマビル。スポーツジムの清掃員メルビンは、モップ片手に充実した毎日を送っていた。ある日のこと、不良チームの盛大なイタズラによってメルビンは産業廃棄物にダイブしてしまい、筋骨隆々のモンスターへと変身してしまう。その恐ろしい風貌とは裏腹に、正義を貫くメルビンは悪党どもを粉々にしていく・・・。



【感想と雑談】
 レンタル店でいきなり目に飛び込んだ本作『悪魔の毒々モンスター』と『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット』('06)の2作品。どちらもアメリカはトロマ映画が製作した最低バカ映画であります。新作扱いでリリースされたばかりの早い者勝ち。思わず両方をレンタル。というか、今どきこんなの観る人、他に何人いるのか(笑)。

 この2作品を出してくれたのはホント嬉しかった。特にトロマ映画の記念すべき出世作となった『悪魔の毒々~』は、ビデオ全盛期の’80年代にクズのような作品が乱発される中、ひときわ際立ったクズ度でありましたが、そのなんといいますか、アメリカ独特のノリと不謹慎さ、そして盛大なバカさ加減に妙にハマってしまったのです。

 久しぶりに観てみましたが、未だに笑える場面が健在な上に、当時の思い出も蘇って、とても感慨深い鑑賞タイムとなりました(笑)。因みに、今年春頃に「トロマの逆襲2013」とかいう企画で東京で上映されたんだそうです。いいな東京。

 舞台は産業廃棄物で溢れる町トロマビル。そこのスポーツジムでマップボーイとして働く青年メルビンが主人公。イケメンとは言い難い、というかブサイクでガリガリな容姿です。こういう役者を持ってくるのがトロマ映画の醍醐味でもあります。モップを誤ってジャグジーで洗ってしまったメルビンは、不良チームの逆鱗に触れてしまい、やがて放射性廃液に頭から突っ込んでしまいます。



 バカ要素だけでなくエログロ要素もセットにするトロマ映画。特にグロ要素は容赦ないです。先の不良チームは毎夜のドライブで人を轢くことに興奮を覚える危ない連中で、ここでターゲットにされるのが自転車に乗った少年。まるで『デスレース2000』('75)みたいだ。

 かなり残酷な描写で当時ビデオ版ではネガ反転の修正でしたが、今回は無修正なのでまんまの映像になっています。今では実現不可能な描写でしょうか。それにしても問題なのはここで流れるBGM。爽やかすぎるメロディと残酷描写の対比が実に印象的です。サビがまたいいんだよな。こういうセンスもトロマ映画。

 勿論、モンスター化したメルビンの悪人に対する仕打ちも残酷オンパレードです。ファーストフードに押し入った強盗グループとの戦闘は、トロマならではのSE(妙な呻き声、掛け声)も相まって楽しいし、思ってもクチにはできないようなアイデアで強盗団を粉々にしていく様は斬新すぎます。

 また、ここで出会った盲目の少女とのロマンスにやっと春が訪れるメルビンですが、その後やっぱりのマヌケで下品な同棲生活が笑いと共に待っているのでした。



 メルビンを取り囲む不良チーム、町民、警察、ギャング団なんかも全てが味のある描き方をされています。基本オーバーアクションでアホな言動を繰り返していて笑いのツボ満載です。中盤、麻薬売買に躍起になってる悪徳町長が、秘書にゴルフクラブを磨くよう指示します。

 すると、この秘書ははしゃぎながら「モミモミ!モミモミ!」とかいって町長をマッサージし始めます。町長が悶絶しながら言い直すと、やっと「オー!クラブをきれいにー!」と理解する秘書。正直このドアホさがかなり可愛いと思うのですが、いったいどーなんでしょうか。トロマ映画の演出って凄いな。実際こんな秘書いたらクビだろうけど。

 犯罪を撲滅するメルビンが町民らに愛される一方、悪徳町長と取り巻きは警察と軍隊を総動員させメルビン=モンスターの討伐に走ります。盲目の彼女とメルビンの愛の巣を取り囲み、対峙する善の町民と悪の行政。この先、トロマビルはどうなってしまうのか・・・。

 DVDとはいえ当時まんまの画質はガサガサ、演出と編集も雑すぎ、品もなさすぎ、という残念づくし。しかし、そんな中にも独特のセンスを感じるし、人権や環境問題を蔑ろにする悪党どもが、その副産物によって痛いしっぺ返しを食らう皮肉で痛快なところが、単なる最低バカ映画で括るには勿体ない作品なんだと思います。



 こんな出来でもエンタテイメントとして割り切れるかどうかで、非常に観る人を選ぶ作品だと思いますが、トロマ映画(というかロイド・カウフマン監督)の独特な作風は説明しにくいので、もし興味が湧かれた方がおられましたら観ることをお薦めします。あのニュアンスを是非、体感頂きたく(笑)。

 ・・・しかし、これを出すなら、いっそのことシリーズ全作品を出して欲しいです。2作目なんか、毒々モンスターが東京に上陸して楽しいことになってますからね。

 シリーズ4作目にあたる『悪魔の毒々モンスター/新世紀絶叫バトル』('00)の最悪な記事はこちらになりますので、余力がありましたらどうぞ。⇒コチラ

 『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット』もいずれ記事にしたいと思います。たぶん今回と同じような感想になると思いますけど(笑)。


 第2弾 ⇒ 『悪魔の毒々モンスター/東京へ行く』
 第3弾 ⇒ 『悪魔の毒々モンスター/毒々最後の誘惑』 ← 早く再リリースすれ
 第4弾 ⇒ 『悪魔の毒々モンスター/新世紀絶叫バトル』


(C) MCMLXXXIV H.C.H. CO./TROMA, INC.
【出典】『悪魔の毒々モンスター』/キングレコード

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2013年5月25日土曜日

映画『デビルズ・バックボーン』 ・・・スペインの内戦時代、とある孤児院で大変なことが起きます

●原題:El Espinazo del Diablo
●ジャンル:ドラマ/ホラー
●上映時間:106min
●製作年:2001年
●製作国:スペイン
●言語:スペイン語
●カラー:カラー
◆監督:ギレルモ・デル・トロ
◆出演:エドゥアルド・ノリエガ、マリサ・パレデス、フェデリコ・ルッピ、フェルナンド・ティエルブ、イレーネ・ビセド、その他大勢

 すっかり暖かくなりました。といいますか暑いくらいでしょうか。もうそんな季節なんだということで、今回久々の映画記事はホラー作品を挙げることにします。

【ストーリー】
 ’30年代スペインの内戦時代。荒野に建つとある孤児院に連れてこられた少年カルロスは、他の孤児らとなんとか打ち解けようと懸命になる。リーダー気取りの少年ハイメはカルロスに冷たく当たるが、どこか後ろめたさを隠しきれずにいた。一方、孤児院の女院長カルメンに老教師カザレス、そして使用人ハシントの大人組は、内戦の余波がやがて押し寄せることに思いをはせる毎日を送っていた。そんな大人組のことなどお構いなしに、孤児院を満喫するカルロスだが、ある夜のこと謎の少年を目撃したことで、彼の生活は一変してしまう・・・。



【感想と雑談】
 『ヘルボーイ』シリーズでお馴染み、ギレルモ・デル・トロ監督の古め(初期頃)の作品になります。前々から気になっていたものの、手を伸ばさずにいたのですが、先日やっとこさ観てみることに。

 なんだこの情緒溢れる出来栄えは。もっと早く観ておくんだった。

 スペイン内戦の時代。舞台は荒涼とした土地のど真ん中に建つ孤児院。昼間は太陽の光が照り付けていて、明るく牧歌的な雰囲気を醸しています。これ本当にホラーなのか?しかし、孤児院に到着するなり少年カルロスがある物を目にすることで、いきなり不穏な空気が漂うことになります。

 それは孤児院の中庭に突き刺さった不発弾。デカいです。この爆弾の意味するところは何?思い出したのが、海外ゲームの『Fallout3』。これにも不発弾(しかも核爆弾)が突き刺さったままの町が出てくるのですが・・・まあ、関係ないんだろうな。とにかく不発弾の存在感に掴みはOK。



 建屋に入れば当然、薄暗くもなるし嫌な空気も流れます。そんな中、カルロスがやたら遭遇することになる謎の少年霊。遠くからはぼやっとした姿で、近づいてみれば青白い顔に割れた額から流れ出る血。その血は垂れるのではなく空中に舞う感じ。カルロスが手で触れると煙のように消え、指先には血がベッタリ残ります。そんな少年霊は誰かを襲うでもなく、ただカルロスに何かを訴え続けるようです。

 一方、何かに悩み何かを企んでいる孤児院の大人連中がまたいい味を出しています。老教師カザレスは女院長カルメンに気があるも紳士な態度を崩さないが裏では変な酒を飲んでいる。カルメンは使用人ハシントから禁断の関係を迫られている。ハシントは内戦のどさくさに紛れて孤児院に隠されるお宝を狙っている。そんな交差する人間関係が単なるホラーだけで収まらない深みを与えています。

 カザレスが飲む酒というのが奇形児のアルコール漬け。背骨が飛び出したその様はまさに悪魔の背骨。本作のタイトルでもありますね。紳士なおっさんがこんなのをケロッと飲むものだから、それまでの印象とのギャップに少々混乱してしまいます。因みに飲む時、効能の暗示として、人差し指を80度くらいにおっ立てますが、それを見せられたカルロスがどう思ったのか、気になるところです。



 やがてカルロスは、少年ハイメの告白と、少年霊との交信から、過去に起きた事件の真相を知ることになります。それは使用人ハシントが絡む事件でした。カルロスとハイメは手を組み、内戦の余波から孤児院が混乱しだす中、ハシントに戦いを挑むことになりますが・・・。

 ギレルモ監督はメキシコ人ですが、その歴史からしてスペインを題材にするのも当然なのでしょうね。もともと特撮畑のお方でホラー系ファンタジー作品を撮り続けておられますが、その総合的な演出力はそこらのドラマ作品よりも、かなりハイレベルなものと思います。

 少年霊の表現には、影の多い空間に佇むだけの姿を見せることで想像力を掻き立てる恐ろしさがあって、ハリウッド的アホなホラーよりも、日本的ホラーに近いものを感じます。その上、少年や大人らの行動や心情、戦争の残酷さも丁寧に描かれていて、ホラーと日常風景が重厚なドラマとして成立しているところが大変素晴らしいです。



 DVDパッケージ裏の解説では力一杯に気持ち悪さを強調していて、これはこれで観る人は観るんだろうけど、もうちょっと間口広げたアピールをした方がよかったんじゃないかな。損してますよこれでは。勿体ない。因みにDVD特典のメイキング映像から、本作のキーワードが”琥珀色”であることがわかりました。鈍い自分は本編だけでは気付けなかったです(笑)。

 同監督による『パンズ・ラビリンス』('06)も、スペイン内戦に翻弄される少女の夢物語でしたが、これも実に素晴らしかった。戦争とファンタジーを両立させるのってスペイン血統の芸当なんでしょうかね。それともギレルモ監督の稀にみる才能なんでしょうか。

 最新作の『パシフィック・リム』('13)は巨大怪獣と巨大ロボの戦闘を描いてるそうですが、これもギレルモ監督ならではの出来となりそうですね。映像は文句なしに保証されてるんで、とにかく監督の丁寧な演出と人間ドラマを期待したいです。


(C) 2001 All Rights Reserved.
【出典】『デビルズ・バックボーン』/角川書店

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