2015年3月22日日曜日

映画『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット』 ・・・先住民の聖地にファストフード店を出したら呪われてしまいました

●原題:Poultrygeist: Night of the Chicken Dead
●ジャンル:コメディ/ホラー/ミュージカル
●上映時間:103min
●製作年:2006年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ロイド・カウフマン
◆出演:ジェイソン・ヤチャニン、ケイト・グラハム、ロビン・L・ワトキンス、アリソン・セレボフ、ジョシュア・オラタンデ、ローズ・ガバミ、ロン・ジェレミー、ジョー・フライシェーカー、ロイド・カウフマン、その他大勢

 暖かくなりましたね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?そろそろ桜の時期でもありますね。お花見全開といきたいですが、花粉症がそれを許さないという。
 今回はそんな時期に相応しい?どうしようもないホラー作品です。

【ストーリー】
 アメリカの田舎町トロマビル。先住民の聖地にファストフード店が出店され、地元住民らは抗議運動で盛り上がる。そのさなか、青年アビーは恋人ウェンディがレズに走っているのを目撃。ショックを受けたアビーは、ファストフード店に就職し男を磨くことでウェンディを取り戻すことを決意する。その一方、先住民の呪いによってファストフード店では血生臭い事件が勃発し、やがてアビー達にも魔の手が忍び寄る・・・。



【感想と雑談】
 製作会社トロマ映画によるバカホラー作品です。久々にこの系統を挙げることにします。伝説の同社作品『悪魔の毒々モンスター』('84)から22年ほど経って製作された作品ですが、その作風といいますか、志といいますか

 相変わらずヒドイです。

 とにかくバカエログロ汚い作りには、逆に潔さを感じるし、安心もしてしまいます。何度もいってますけど、実は大好きなトロマ映画です。尋常でない作品なので手放しでお勧めはできませんが、一般映画の括りからもの凄く外れた作りでも尊重できる姿勢があれば問題はないでしょう(笑)。たぶん。

 製作当時は既にテロや食品衛生などの社会問題が盛り上がってた頃で、トロマ映画もそれに対する痛烈な批判を込めた作品としたのでしょう。しかもミュージカル形式で。しかし、社長であり監督であるロイド・カウフマン筆頭の製作陣は、狭すぎる需要をわかった上でか、ウィットなんぞ木っ端微塵に、やっぱり好き放題サイテーな作りを突き通している潔さです。

 トロマ映画では大抵の舞台となってるトロマビル。冒頭、先住民の墓地で合体に励むアビーとウェンディが既にバチ当たりです。その傍らで股間を全力投球していた出歯亀は、地面から出現した腕にケツからクチまで串刺しにされ絶命。上品さの欠片もありません。



 ファストフード店の前では住民らが、鶏を救えー、聖地を荒らすなー、と抗議集会。エキストラはどう見ても素人集団。トロマ映画らしい雑で下品な演出が冴え渡っています。最低限の撮影環境も相俟ってとにかく絵ヅラが汚く、台詞もヒドイもの。こんな中に小さな可愛らしい女の子が混じっているのも、度外視トロマ映画らしいところです。

 白スーツにヒゲを生やしたファストフード店のオーナーはいかにもあの人のパロディです(笑)。ダンサーズを侍らせながらフライドチキンを振る舞うと、それを食った住民らは味にゾッコンとなり店内に押し寄せます。既にフライドチキンは呪いに汚染されていました。

 ポルノ名優ロン・ジェレミー(笑)のベタなギャグに続いて、スーパーメタボが注文したスペシャルメニューに謎の卵が混入。どう見てもヤバい卵なのに、ひと飲みしたスーパーメタボは早々にトイレに突入します。ケツのアップに検閲マークが被さると、爆裂音と共にいろいろ飛び散りますが、そんな悲惨な状態でもトレーを抱え食べ続けるスーパーメタボ。絵ヅラがヒド過ぎます。

 チープな効果音とともに大量の汚物を射出し終わると、スーパーメタボはチキンモンスターに変身します。特に暴れることなく、痩せたぜーとか叫ぶと、何事もなく、どっかに行ってしまいます。普通、店内パニックになると思うけどな。店側としては、ひどく汚れたトイレを掃除することが重要なので、アビーはモップ片手に歌い踊ります。



 厨房では店員のアラブ女が祈りを捧げています。イライラすると自爆するとか物騒なことを抜かします。真っ赤なブルカを着込んでるので、ミキサーに巻き込まれたアホな店員の血肉を浴びても、さほど目立たなかったりします。厨房がもの凄い状態に陥っても、店側としては利益優先なので、あまり気にせずとにかく調理をし続けます。この辺り、現実の食品衛生問題への批判と受け取れなくもないですが、まずはアホか。

 やがて呪いのフライドチキンによって住民らはチキンゾンビに豹変します。ここから阿鼻叫喚の展開に突入。思いついても普通はクチにしないような残虐描写のオンパレードです。ゾンビへのオマージュは勿論ですが、女ゾンビ二人が血肉を浴びながらレズに走るとか、意味なくオッパイさらけるとか、エロ要素も忘れないサービスぶりが素晴らしい。

 アビーとウェンディら生き残った連中がピンチに陥ると、颯爽と現れ銃を乱射する初老の店員。演じるは我らがロイド・カウフマンです(笑)。氏曰く、銃はいつか町で無差別攻撃しようと思って持ってたんだ、というところはパンチが効いています。一方で、自分みたいな数十年後を迎えてはいけないよ、とアビーに優しく諭す一面も。説得力ゼロですが。

 クライマックスでは、例のアラブ女店員の機転によって状況が一変。その後、アビーとウェンディらは抗議運動も考えものだなーとしんみり語ります。そして、トロマ映画でお馴染み使い回しの盛大なシーンでオチを迎えます。何か教訓はあったのかな。とにかく最後の最後までトロマ映画でございました。

 そういえば、ロイド・カウフマン監督は、最近のSF大作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』('14)に、一瞬ですが出演されていました。金髪の宇宙囚人だったかな。トロマ映画とも親交あるジェームズ・ガン監督の計らいなんでしょうね。メジャーとマイナーを行き来するロイド・カウフマンすげえ(笑)。またヒドい新作が控えてるようなので楽しみにしておきます。いつまでも元気にサイテー作品を出していって欲しいですね。


 トロマ映画、侮れないと思います。


(C)2007 Poultry Productions, LLC All Rights Reserved.
【出典】『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット』/キングレコード

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