2014年12月30日火曜日

映画『ロミー&ミッシェル』 ・・・お気楽ブロンド娘の二人が同窓会に向けて色々やらかします

●原題:Romy and Michele's High School Reunion
●ジャンル:コメディ
●上映時間:92min
●製作年:1997年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:デビッド・マーキン
◆出演:ミラ・ソルヴィノ、リサ・クードロー、ジャニーン・ガラファロ、アラン・カミング、ジュリア・キャンベル、ジャスティン・セロー、ミア・コテット、クリスティン・バウアー、エレイン・ヘンドリックス、ビンセント・ベントレスカ、カムリン・マンハイム、その他大勢

 今年もあと僅かとなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?既に帰省されてる方、お仕事中の方、様々かと思いますが、健康と安全には是非お気をつけ下さいね。さて今回は、笑いで今年を締めようということで、ちょっと妙な出来ですがコメディ作品を紹介します。

【ストーリー】
 アメリカ。同級生同士のロミーとミッシェルはルームシェアするほどの仲良し。毎日を気ままに過ごしていた。ある日のこと、ロミーは偶然出会った同級生のヘザーから近々、高校時代の同窓会が開催されることを聞く。ロミーとミッシェルはかつてを振り返る。それはいい思い出ではなかった。個性派の二人は周りから浮いた存在で、イジメの対象とされていたのである。なかでもクリスティ率いる女子組はタチが悪かった。ロミーとミッシェルは卒業後10年目にしてかつて自分達をバカにしていた輩を見返してやろうと、同窓会に向けた準備を開始する・・・。



【感想と雑談】
 前からいつか挙げてみたいと思っていたコメディ作品です。最近、コメディが多い気がするけど、笑いは健康にもいいので、今後もちょくちょくいきたいと思います(笑)。しかし、うわ、これもう17年前の作品になるんか。

 タイトルとジャケットデザインからは、ブロンドパー(アッパラパーのブロンド)の二人が人生を謳歌するコメディに違いないと思われることでしょう。当たってます。そのまんまです。しかし、その好き勝手に人生を送るブロンドパーらの緩み具合をオフビート且つシュールに描いているのが問題です。

 イカしたBGMで海原を俯瞰で突き進むタイトルバック。空撮のままカメラが海辺のアパートの一室に入っていくと、ビデオ鑑賞中のロミーとミッシェルが登場。『プリティウーマン』('90)を30回以上は観てると豪語する二人。そして今夜もバッチリ服装をキメて男漁りにディスコ通いするもハズレ。のっけから間の抜けた二人が飛ばし気味で掴みはOKです。



 ロミーを演じるはミラ・ソルヴィノ。タランティーノと付き合ってたくらいだからオタクやバカ映画に理解があるのでしょう。同時期の怪獣映画『ミミック』('97)では本作と正反対なインテリタイプの博士役をやってました。かつてオスカー助演女優賞を取ったというのに、こんな仕事してる彼女こそ女優の鑑(笑)。腹の座ったハスキーな声で力いっぱい間抜けにミッシェルをリードします。

 ミッシェルを演じるはリサ・クードロー。他にも何本か出演作を観ていますが殆ど覚えていない女優です(笑)。あまり美人さんでもなく、おいその歳はなんだ、と思ったりするのですが、それらを補って余りある演技を見せてくれるのが実にいい。終始ロミーとの会話で最後に「私もそう思うわ!アハ」と素っ頓狂に返す辺り、何も考えていないアホさ加減が可笑しいです。

 ばったり遭遇した同級生ヘザーから同窓会のことを聞いたロミーは、ミッシェルとともに卒業アルバムを眺め思い出にふけります。ここで、色んな写真から10年前の当時に継ぎ目なく入っていく演出が面白く、またテンポよく登場人物を描いていて、ちゃんと伏線も張ってたりします。BGMに流れる数々の80年代ロックの名曲も嬉しいところ。しかし、女子高生ロミーとミッシェルを同じ役者がやってるこの無理やり感は(笑)。



 高校生活には様々な派閥が存在するものですが、どうも上から目線になりがちなのがジョックス系のチアリーダー衆です。その団長クリスティと彼氏ボビー率いるグループはロミーとミッシェルにいつも嫌がらせをしていた邪悪な存在。クリスティの何かといい子ぶった言動がムカつきます。演じるジュリア・キャンベル渾身の顔演技ともいえましょう。コイツらがどういう顛末を見せてくれるのか期待も膨らみます。

 田舎ツーソンから都会ロサンゼルスに出てきたというのに、毎日適当で気ままに暮らす二人は同窓会で自慢すべくダイエットや職探しに奮闘しますが、結局はビジネスで成功したフリをして挑むことにします。ビジネススーツにピッチリ身を包んだ二人がファミレスで注文する「ビジネスウーマンスペシャル」。ねーよそんなメニュー(笑)。婆さんウエイトレス困らすでねえ。

 ロミーがハンドル握る道中、共同でポストイットを発明して億万長者になった案で合意しますが、二人はやがて口論からケンカに至ってしまいます。とりあえず同乗を続ける二人は、会場に着くなり別行動に移ります。ここからミッシェル視点になり、なんとなく空気が変わります。全体的にシュールなノリの中、この辺りでは特にそれを感じます。のちにロミーとミッシェルの関係に心を打たれる重要なエピソードになってると思います。



 監督のデビッド・マーキンは、アニメ『ザ・シンプソンズ』('90〜)の制作・脚本・監督を務めたお方。ということは本作もそんなノリで爆進してる訳です。『ザ・シンプソンズ』をご存じの方ならわかると思いますが、あのマンガ然とした独特で現実離れし過ぎた世界観を、本作では実写で構築しているようなものです。アニメほどのナンセンスさはないものの、シュールで間の抜けた演出はすぐ目に付くと思います。

 印象深いのがロミーが豪華なオープンカーを調達してきたくだり。持ち主に性的奉仕をしてゲットしたと冗談を言ったらミッシェルが真に受けてしまい、それを慌てて説明してもミッシェルが全然理解できないところ。その後、曲「フットルース」をかけて二人がイエーイと盛り上がって口ずさむのにすぐ歌詞がわからなくなるところ。そして、発進時に何度もエンストし、恐る恐る加速して今度は大丈夫とわかるや二人が花のようにパッと明るくなるところ。大笑いしました。

 クライマックスでは前衛舞踏かよと思わせるパフォーマンスで引き気味の笑いとともに盛り上げてくれます。何故そうなる、と思わせるところが、作り手のマンガ的な発想なんでしょうね。ちゃんとカタルシスも得られるし、結局はかなりの良作だと思います。こんな記事でも興味湧いた方はぜひご覧になって下さい。少なくとも損はしないと思います。


 これ公開時のタイトル『ロミーとミッシェルの場合』。なぜ変えた。


 さて、今年最後の更新となりました。早いものでこのブログも7年目に入ってます。更新の遅さはご愛嬌として(笑)、ここまで続けられるのもやはりご訪問頂いてる皆様のおかげです。ありがとうございます。まあ、キーワード検索で引っかかってしまい迷い込んだ方が大半でしょうが、こんなブログでもちょっとはお役に立ってることを信じて、これからも続けていきたいと思います。今年も色々とお世話になりました。

 来年も皆様にとって良い年となりますように。


(C)MCMXCVII TOUCHSTONE PICTURES ALL RIGHTS RESERVED
【出典】『ロミー&ミッシェル』/ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

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2014年12月23日火曜日

映画『ダイ・ハード4.0』 ・・・アナログ刑事がデジタル戦闘集団に挑みます

●原題:Die Hard 4.0
●ジャンル:アクション/アドベンチャー/スリラー
●上映時間:129min
●製作年:2007年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:レン・ワイズマン
◆出演:ブルース・ウィリス、ティモシー・オリファント、ジャスティン・ロング、マギー・Q、クリフ・カーティス、ジョナサン・サドウスキ、ケビン・スミス、メアリー・エリザベス、ウィンステッド、その他大勢

 雪降りました雪。でも雨も降ったりします。どっちも寒いです。とにかく体調には注意していかないと。今回は年末のクリスマス時期ということで、そんな感じの作品?です。

【ストーリー】
 アメリカ。突然、FBI本部が何者かによってハッキングされる。FBIは凄腕ハッカーのファレルを重要参考人として警察に連行を依頼し、娘と喧嘩別れしたばかりの刑事マクレーンにその指令が入る。ふて腐れながらもファレルのアパートに向かうマクレーンは、そこで謎の戦闘グループに襲撃され、命からがらファレルを連れ出すことに成功する。その戦闘グループはアメリカ全土を制圧しようと目論む国防省あがりのトーマス率いるハッカー軍団であった。金融システムを突破するアルゴリズムを開発させたファレルを口封じする為アパートを襲撃したトーマスは、マクレーンに邪魔されたことで怒り心頭になる・・・。



【感想と雑談】
 クリスマスといえば・・・そう『ダイ・ハード』('88)がありました。でも、今回はだいぶ外れて『ダイ・ハード4.0』('07)のことを書こうと思います(笑)。クリスマスには関係ない作品ですが、シリーズとしては繋がりありますからね。

 前作の『ダイ・ハード3』('95)から12年ぶりとなるシリーズ4作目。当時はかなり話題になっていたかと思います。たしか。好きなシリーズなので期待度はデカかったですが、一抹の不安もありました。4作目ともなるとシリーズ失速の法則は発動しまくりのはずですからね。予告を観ても、ちょっと微妙かも、と。

 初見の時は、既に密室劇でもなんでもない(冒頭のアパート襲撃のところはやや密室だったか)開放的な展開に優等生肌の悪役が新鮮ということで、いきなり傑作とまではいかないが割と楽しめたことは覚えています。アクションもアクロバティックだなあ、なんてことも。



 監督のレン・ワイズマンは、いわゆるスタイリッシュなお方ですよね。初監督『アンダーワールド』('03)が縁で主演のケイト・ベッキンセイルを嫁にしてるし、その後も何作品かで再びベッキン嫁を起用してるし、しかもイケメンときてるし。スタイリッシュとは関係ないところで腹立たしいですが、とにかくカメラワークやデザインがやたらカッコいい監督さんです。

 こんなスタイルはダイハードじゃないだろうし、悪役の最後も迫力なさすぎ、という思いがある一方、実は感心できる点があったりするのも確かなところ。これは何度か見直すうちに思うようになりました。そら何度も観れば愛着も湧くだろうよ、と思われるかもしれませんが逆です。そもそも何らかに惹かれてこそ何度も観たくなるものでしょう。

 で、感心できるのが、人間関係の描写。もともとダイハードシリーズは泥臭い人間関係の上に成り立つアクションが面白いところですが、本作もスタイリッシュながらもそういう点がちゃんと際立っていて、実はシリーズ中もっとも感心できる点を含む作品かもしれません。



 マクレーン刑事とハッカー小僧ファレルの親子まがいの関係は当然ですが、それ以上に悪側にも血の通った演出を施しているのがいいです。戦闘ハッカー集団のボスであるトーマスと子分達のやりとりが本当に日常的で人間臭いところがあって、それってあるある(笑)と思えてしまうのです。

 例えば、金融システムからのダウンロードがなかなか始まらず苛立つ子分に、トーマスが「我慢しろ、とにかく待て」と言うと、暫くしてダウンロードが始まるところ。また、マクレーンの娘が暴れたせいで自分の足を撃ち抜いた子分にトーマスが「しっかりしてくれよ、いいか?・・・本当だな?」と呆れた表情でしつこく諭すところ。

 極めつけは、戦闘機のパイロットにニセの指示を出そうとしてハタと黙りこみ血走るトーマスに、子分が慌てて出撃コードを伝えるところ。この時のトーマス演じるティモシー・オリファントの鬼気迫り感が凄いです。こんなふうに、仲間内の落ち度やそれを指摘する台詞など、話の進行には関係ない人間のゆらぎや血の通いをいちいち挿入するところが、人間関係に深みを与えていると思うのです。



 マクレーンの活躍ぶりが奇想天外で行き過ぎ感も満載なことで評価がそういう方向に行きがちかもしれませんが、視点を変えて観れば新鮮で面白いと思えるところが多々発見できるかもしれません。

 単純にアクション面に目を向けてみると、クライマックスのトレーラーと戦闘機のチェイスはよく出来てるなあと思います。VFX総動員の威力ってやっぱ凄いです。高架の坂を登っていくトレーラーにミサイルやバルカン砲を撃ちこむところは実写にしか見えないのですが、CGでないとしたら本当にどうやって撮影してるのか想像もつかない臨場感です。

 また、かなり自由のきくカメラで撮影しているのか、高速でカーチェイスする様を急激に旋回したり接写したりします。パトカーが高速で左折するところをすれ違いざまスレスレに描写するところ迫力あるなあ。同時期の『デスプルーフ』('07)でも同様の撮影をしていたので、ひょっとしてカーチェイスの新しい幕開けだったのでしょうか。まあ、あまりカーアクションものは観てないので何ともいえませんけどね。

 そうそう、マクレーンの娘役をメアリー・エリザベス・ウィンステッドが演じてますね。しかし、彼女ホントに可愛いわ。『デスプルーフ』ではチアリーダー役が光ってましたなあ。顔付きが外人外人してなくて親しみ感じますよね。最近は歳相応な役どころみたいだけど。彼女とマギー・Qのキャットファイトが見たかったな。マクレーンの娘なんだから互角に戦えるはず。これ重要。 ←バカ

 ということで、今年はあと1回は更新できるかな。頑張ってみよう。


 「ジョン、お前はデジタル時代のハト時計だ」は名台詞ですね。


(C)2007 Twentieth Century Fox Film Corporation and Dune Entertainment LLC
【出典】『ダイ・ハード4.0』/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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2014年12月17日水曜日

映画『最終絶叫計画4』 ・・・少年霊とトライポッドとジグソウが色々やらかします

●原題:Scary Movie 4
●ジャンル:コメディ
●上映時間:83min
●製作年:2006年
●製作国:アメリカ
●言語:英語語
●カラー:カラー
◆監督:デヴィッド・ザッカー
◆出演:アンナ・ファリス、レジーナ・ホール、クレイグ・ビアーコ、ビル・プルマン、アンソニー・アンダーソン、レスリー・ニールセン、モリー・シャノン、マイケル・マドセン、カルメン・エレクトラ、クリス・エリオット、その他大勢

 寒いです。当たり前です。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?マジメに健康に注意しないとダウンするかもしれません。気をつけましょう。今回はパロディ映画の金字塔シリーズ(笑)です。

【ストーリー】
 アメリカ。介護士なりたてのシンディは日本家屋に住む老女を担当することになる。そこは曰く付きの家屋であった。同じ頃、家屋の隣人で離婚したばかりの港湾労働者のトムは子供との久々の再会を果たしていた。程なく庭先で惹かれ合うシンディとトム。それから暫くして、町のど真ん中に巨大兵器トライポッドが出現し、住民たちを襲い始める。それを見て慌てるシンディの目の前に少年の霊が現れ、ある場所に行けばトライポッドを倒すことができると告げる。意を決したシンディは友人のブレンダを引き連れ車を走らせるが・・・。



【感想と雑談】
 以前、『キューティ・バニー』('08)の記事で、主演のアンナ・ファリスが『最終絶叫計画』シリーズ全部に出ていたことを書きました。アンナ・ファリス可愛いですよね。という訳でシリーズに手を出してみました(笑)。

 レンタル屋が1作目と4作目しか置いてなくて、既に1作目は観ているので、今回手を出したのは4作目になります。初めて知ったのですが、これシリーズ3作目からデヴィッド・ザッカー監督が担当しているのですね。『フライングハイ』('80)辺りからパロディ系のコメディ作品を輩出されてるお方です。久々に名前を聞いて懐かしむこの監督。

 かつて1作目を観に行った時。劇場というのは、前席の人の座高や周りの音とか気にするじゃないですか。大事な鑑賞を邪魔するんじゃねーぞおい。でも、これが気にもならなかったんです。微塵にも。前の人のドタマが画面に被ろうが、周りでガサゴソされようが、全くの平気。むしろ好き放題やっちゃって下さい、と逆にお願いしたくなる。パロディだけで成り立つような作品は、ワイワイ騒いでの流し観でナンボな訳です。



 本作も当然テイストは同じ。しかし、これだけのパロディを揃えるってのも、かなり頭を使う仕事なんだろうなあ、と感心もしたり。メインのパロディネタとなるのは『THE JUON/呪怨』('04)と『宇宙戦争』('06)の2本で、その他いろんな作品のパロディが乱発されます。パロディ以外にも子供をやたら痛めつけるような凶暴さも。バカのオンパレードですよこれは。祭り状態。

 冒頭の方で、元ネタはわからないものの、かなり笑えて印象深いのが当時のチャーリー・シーンが自害しようとドタバタするところ。睡眠薬のつもりがバイアグラを大量に飲んでしまい、ビッグサイズになったイチモツを猫に攻撃されます。そしてマンションから転落。イチモツが地面に刺さり体が宙に浮いた状態で昇天します。掴みがOKすぎてアホか。この直前、ベッドに3人もの美女がいた辺り、彼のセルフパロディにもなってる気が。

 突然の雷鳴に続いて、地中から姿を表すトライポッドならぬ巨大なアイポッド(ipod)。「カ〜マカマカマ〜」とカルチャークラブの歌が流れると(懐かしいな)、ウンウン頷き笑顔になる住民たち。早く逃げろよ。やがてブオーンと唸ると今度こそトライポッドにトランスフォームし、ビーム砲で住民を粉にします。元ネタに結構忠実な描写で金がかかっていそう。



 日本家屋でシンディが少年霊(パンダメイク)と会話をする時、支離滅裂な日本語の応酬になってるのが笑えます。海外向けにまともな英語字幕が挿入されてますが、この面白さを堪能できるのは日本人のみという特典です。素晴らしいです。ここだけは決して吹替え音声で観てはいけません。普通の会話になっているので。多分これのせいで、本家『呪怨』がギャグホラーにしか見えなくなっているんだろうな。ぐしし。

 シンディとブレンダがたどり着く村が『ヴィレッジ』('04)のパロディ。捕らわれた二人が村の裁判を受けてる最中、カルメン・エレクトラ演じる盲目の美女がトイレと勘違いし気張りだします。そして、もの凄い音が響き渡ります。ギャグの域を遥かに突破してる気がします。女優でモデルでもあるカルメンの心の広さに脱帽。これは日本に例えると、バカ殿辺りでやってそうなノリだな。

 クライマックスは、『呪怨』と『宇宙戦争』を足して『ソウ』ネタでぶん殴ったような締めくくりを見せます。死のゲームで使用する凶悪な装置類をそこまでバカな仕様に改変するかという勢いで笑いを取ります。ジグソウもあんな風に料理されちゃうんだ。パロディとはいえ、この発想は凄いと思います。ジグソウがちょっと可愛いんだな(笑)。



 メイキングを見ると、デヴィッド・ザッカー監督は本当にお笑いが大好きで、自ら演出したギャグで自ら大笑いするような、とにかく楽しい撮影現場を目指しているんだそうです。ホント楽しそう。なので、トライポッドから住民が逃げ惑う場面は、設定上ギャグが入れづらくて面白くなかったそうです(笑)。職人気質もあってか、作りは割としっかりしていると思います。

 そういえば、ザッカー監督とよく組んでいたレスリー・ニールセンが出てきます。前作にも出てるそうです。本作ではアメリカ大統領を演じていて、国連で素っ裸のまま演説するボケをかまします。相変わらずニールセンしていてホッとします。最終的に国連全体が素っ裸になるというニールセンの破壊力にかなう者はいません。最後まで体を張ったギャグで楽しませてくれた素敵な役者さんでした。

 ああ、主人公シンディを演じてるのがアンナ・ファリスでした。こんな大バカシリーズ全作に出るとかどんだけエネルギッシュ。女優の鑑ですね。日本が舞台の『ロスト・イン・トランスレーション』('03)では「浣腸ダイエットが最高」とか豪語する役やってたけど、多分、本シリーズを買われてのことだったんだろうな。

 と、ここまで書いておきながら、記事にするほどの作品かと留まってしまいました。が、やっぱしこのまま挙げておこうと思います。まあそれほどのブログですしな。しかし、こんなんで今年を締めくくるのはダメだと思うので、もうちょっと頑張ってみようと思います(笑)。

 気力があったら他のシリーズ作品も探して観てみようと思います。


 ちょっと、アンナ・ファリスがいい感じかも。


(C)2006 Scary Movie 4,LLC. All Rights Reserved.
【出典】『最終絶叫計画4』/ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

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2014年12月7日日曜日

映画『ふたりの男とひとりの女』 ・・・ジム・キャリーが顔芸かましながらレネー・ゼルウィガーと珍道中

●原題:Me, Myself Irene
●ジャンル:コメディ
●上映時間:117min
●製作年:2000年
●製作国:アメリカ
●言語:英語語
●カラー:カラー
◆監督:ピーター・ファレリー、ボビー・ファレリー
◆出演:ジム・キャリー、レネー・ゼルウィルガー、クリス・クーパー、ロバート・フォースター、リチャード・ジェンキンス、アンソニー・アンダーソン、ジャード・ミクソン、モンゴ・ブラウニー、マイケル・ボウマン、その他大勢

 とうとう12月なんですね。今年ももう終わりか・・・。しかしホント時間が経つのが早くなりました。今回は、そんな時期には全然関係ないコメディ作品だったりします。

【ストーリー】
 アメリカ。ロードアイランド州の善良な警官チャーリーは、その温和な性格からストレスを抱える毎日を送っていた。ある日、スーパーマーケットで他の客に横入りされ、遂に怒りを抑えきれなくなったチャーリーは別人格のハンクへと豹変してしまう。町でひと通り暴れ、また元に戻ったチャーリーは、多重人格障害と診断され、数時間おきの投薬を義務付けられてしまう。署長から気晴らしを兼ねた任務の指示を受け、チャーリーは指名手配から逮捕された女アイリーンをニューヨーク州警察まで移送することにする。しかし、アイリーンに犯罪組織から魔の手が伸びていることを知る由もないチャーリーであった・・・。



【感想と雑談】
 なんでだろうか。そんなにジム・キャリーには興味がないのに、パッケージを掴んでしまいました。で、裏面を見ると・・・なんだこれは、監督ってピーター&ボビー・ファレリーだったのかよ。しかも、レネー・ゼルウィガーも出てるし。速攻で借りました。

 うわー、これはヒドイことになってる。

 制作は2000年ジャストと意外や古い作品なんですね。同じくピーター&ボビー監督によるお気に入り作品『愛しのローズマリー』('01)の前年に作られているので、似たようなノリを期待しました。しかし、期待は裏切られました。下品なコメディであるのに変わりはないのですが、その下品さのレベルがケタ違い。でも、自分はこういうの大好きなので問題は無いのでありました。前にも同じこと書いてる気がするけど。



 善良な警官チャーリーが最愛の妻に逃げられてしまうところから話はおかしくなります。妻は浮気相手との間にできた子供3人を残しますが、途方に暮れるチャーリーはそれでも全てを受け止め、育児と仕事に専念します。しかし、心の歪は大きくなっていきます。

 隣人に新聞を取られ飼い犬の糞を放置されても笑顔、違法駐車の持ち主の横柄な態度にも笑顔、車道で遊び暴言を吐くガキにも笑顔・・・、と笑顔尽くしのチャーリーが、スーパーマケットに入店したときのこと。

 ある主婦に懇願され笑顔でレジを譲ることに。すると、主婦は大量の商品を抱えた子供らを呼びます。ここで遂に何かが切れるチャーリー。演じるジム・キャリーの真骨頂、スーパー顔芸タイムが始まります。ワンカットでトイストーリーのウッディみたいな顔からハンクの冷徹な顔に豹変していく様は特撮に見えるほどの素晴らしさ。盛大なBGMも相まって大笑いしてしまいました。ジムってやっぱ凄いんだ。見事すぎる。



 ハンクの前段に対する復讐ぶりがまた痛快です。主婦が内緒で買おうとしていたマンクリーム(笑)を盛大に取り上げ恥をかかせたり、車道のガキを噴水で水責めにしたり、違法駐車の車を床屋に突っ込ませたりと。隣人家に至っては、パンツを降ろし庭にしゃがむと気張りだすハンクの顔面アップ。この直後トグロを巻くチョコソフトクリーム(笑)のアップが挿入される凶悪さから、本作の心意気がわかるというものです。

 この後の珍道中に加わる女アイリーンを演じるはレネー・ゼルウィガー。彼女は何となくほんわかした不思議ちゃんのイメージでしたが、本作ではサバサバした威勢のいいオネーチャン役でちょっと意外に感じました。顔の特徴をチャーリーに毒舌させる脚本もあれですが、私はレネーみたいな顔付き好きです。垢抜けてない雰囲気がいいですよね。最近はどうなってるか知らんけども。

 ジムのド変態な演技に付き合わされるレネーもド級の汚れ役ともいえますけど、チャーリーとハンクが度々入れ替わっては騒動を起こす様に見事付き合ってる辺り、いいコメディエンヌなんだなと思います。オッパイを鷲掴みされたり、特大ディルドを弄らせたりと(笑)。この共演が功を奏したのか、ジムとレネーは速攻で婚約までしますが、あっという間に破局となりました。何やってんだよ。



 ピーター&ボビー兄弟監督は、必ず身体的ハンデをお笑い要素に持ってくるそうで、本作でも小人症の黒人がチャーリーに喧嘩を売るところなんかは印象的でした。この黒人が妻との浮気相手になるのですが、出来た子供3人が見た目ストリートギャングな秀才君に育ってるところは大ウケでした。もの凄いスラング調で量子力学を唱えたり、即興でヘリコプターを操縦したりと、固定観念を逆手にとったお笑いというのは目から鱗という感じ。

 共演として、アイリーンを追跡する刑事をクリス・クーパーが演じてますが、この人もまた特徴的で危なっかしい顔付きしてますよね。名優だと思いますが。因みにこの人、日本語吹替えにすると、ホモっぽい喋りになっていて、何だか可笑しかったです(笑)。

 話は、アイリーンに情報を握られたと勘違いする犯罪組織から逃げ続ける珍道中で、チャーリー=ハンクとアイリーンが親交を深めながら恋愛要素も加わっていくようなものです。不謹慎でグロテスクな表現も至るところにありますが、最近の『ムービー43』('13)を観てもへっちゃら楽しかったぜーなお方なら、存分に楽しめる作品だと思います。

 ところで、ピーター&ボビー兄弟監督は初作品の『ジム・キャリーはMr.ダマー』('94)でもジム・キャリーと組んでいたのですね。知らんかったわ。ちょっくらチェックすっかな。


 レネー・ゼルウィガーがちょっと気になる今日このごろ。


(C)2000 by Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.
【出典】『ふたりの男とひとりの女』/20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント

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2014年11月29日土曜日

映画『永遠に美しく』 ・・・永遠の美を追求すると何故か体がおかしなことになります

●原題:Death Becomes Her
●ジャンル:コメディ/ファンタジー
●上映時間:104min
●製作年:1992年
●製作国:アメリカ
●言語:英語語
●カラー:カラー
◆監督:ロバート・ゼメキス
◆出演:ブルース・ウィルス、メリル・ストリープ、ゴールディ・ホーン、イザベラ・ロッセリーニ、アライナ・リードホール、シドニー・ポラック、その他大勢

 11月ももう終わりですね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?今回は今更感のメジャー作品ですけど、思い入れのある作品でもあるので挙げてみました。

【ストーリー】
 アメリカ。落ち目の女優マデリーンと落ち目の作家ヘレンは学生時代からのライバル同士。ある日、ヘレンはフィアンセの整形外科医アーネストを紹介しようとマデリーンの楽屋に訪れる。しかし、数日後の挙式で夫婦になったのはアーネストとマデリーンであった。速攻でフィアンセを奪われたヘレンはマデリーンへの復讐を誓う。十数年後、年老いたものの悠々自適に暮すマデリーンに、ヘレンから出版記念パーティの招待状が届く。どう馬鹿にしようかほくそ笑むマデリーン。しかし、そこで待ち受けていたのは美しく若返ったヘレンであった・・・。



【感想と雑談】
 思い出深い作品です。もう店頭には置かれなくなったものと諦めていたのですが、先日、開店して間も無いレンタル店で見つけたので、速攻借りてきました。いいぞレンタル屋。

 しかし、何回観ても面白いなコレ。

 誰もが夢見る永遠の美。これに執着し過ぎて一線を越えてしまった愚かで醜い人間を描いたファンタジー作品です。豪華な役者陣にコメディ調の作りなんですが、ブラックな要素満載なので評価はイマイチのようですね。私は好きすぎて堪らない作品なんですが。

 ライバルの女二人が、ある秘策をもとに一人の男を巡って争い、後に和解をするも今後の人生のメンテナンスに四苦八苦する、という永遠の美への代償が恐ろし過ぎる様を、ロバート・ゼメキス監督らしいお笑いセンスで描いています。美しく若返らせ永遠の命を授けるが、物理的に頑丈な体になる訳ではない、というファンタジーに持ってくる辺りが監督らしい毒要素だと思います。



 女優マデリーンを演じるメリル・ストリープと作家ヘレンを演じるゴールディ・ホーン、そして成形外科医アーネストを演じるブルース・ウィリスらの立ち振る舞いは、どれも半端なく、さすが名優であることが伺えます。三人ともこの手の作品に出るのは初じゃないでしょうか。特に感心するのがウィリスで、アクションヒーローとは正反対にマデリーンの尻に敷かれたダメ男ぶりが実に素晴らしい。女二人の一騎討ちにオロオロし、弾き出されるところが情けなくて、なんだか可愛い(笑)。

 永遠の美マスター・リスルを演じる女優イザベラ・ロッセリーニは、キリリとした顔付が印象的で、肝心なところが見えそうで見えない衣装が気になって仕方なし。元モデルで女優イングリッド・バーグマンを母に持つそうです。綺麗な人です。

 またクレジットされていない脇役として社会派の名監督シドニー・ポラックがER医師として登場しますが、これがなかなかのコメディ振りで大笑いしてしまいます。コント的な聴診器の扱いとか上手いよなあ(笑)。



 首が後ろ向きのマデリーンや、腹に穴の開いたヘレンの描写は、特撮工房ILMの仕事ながら、当時最新だったCGやモーフィング技術も、昨今と比べるとチープに見えてしまいます。でも、それが味わいというものだし、あまりリアル過ぎるのも問題ですよね。因みに、ILMがオプチカル・プリンターを最後に使った作品になるそうです。以降、合成画面なんかは全てデジタル上で処理されるようになってるってことかな。

 画面といえば今回、久々に見ていきなりの違和感が。なんと画面サイズが1.33対1なんです。昔のテレビ画面と同じですよ。メジャー作品でこんなのアリなんだっけ?そういうバージョンかなと思って調べたら、これが正式サイズなんだと。これはワイド画面で見たいよなあ。実は公開当時に観に行ってるのですが、全然覚えていないという自分(笑)。

 さて、本作はオリジナルからして傑作ですが、日本語吹替えがまた奇跡の面白さを生み出しています。日本テレビ版の吹替えが絶品で、センスある翻訳と声優陣の腹に染み渡る渾身の演技が全てのキャラクタを際立たせているのです。残念ながらDVD版は翻訳も声優も変わっていて、行儀が良すぎるというか、バカさが足らないというか、全然面白くないです。



 日本テレビではもう放映されない気配で、二度と耳にすることは出来ないかもしれません。昔録画したビデオテープが残ってるはずだけど、どこに仕舞ったっけな。出てきてもデッキが無いので観ることできないけども(笑)。記憶の範囲で、印象に残っている吹替え具合をちょっと紹介・・・

<屋敷の階段前でマデリーンがアーネストに暴言を吐くところ>
 「こぉのフニャチンがぁ〜!ふにゃぁ〜、ふにゃぁ〜〜」

<屋敷のプールで男女カップルが満喫しているところに、突然アーネストが天井を突き破って落ちてくるところ>
  男「あれぇ?」
 水面でジタバタするアーネスト。
  男「オッサン、泳ぐのか出るのかどっちだよ」
  アーネスト「んああ、出てやる!出てやるとも!!」
 急いでプールから這い上がり去っていくアーネスト。
  男(女に向かって)「オッサン、結構やるよな」

 こんな感じ。文字にすると何でもない台詞ですけど、映像と吹替え音声の組み合わせは奇跡のシンフォニーです。どこかアドリブっぽいのもテレビ版の魅力になるでしょうか。

 ブルーレイ版はまだのようなので、リリースの際は是非、日本テレビ版の吹替えも入れて欲しいと思います。

 最後の方で、神父が真の永遠の命とは云々かんぬん講釈しますが、これを聞いたマデリーンとヘレンが全く顧みないところが潔いですね。二人の顛末が永遠に語り継がれることを祈ります。


 白い目で懇願してくる二人が夢に出てきそうだけど。


(C)1992 Universal City Studios,Inc. All Rights Reserved
【出典】『永遠に美しく』/ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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2014年11月23日日曜日

映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 ・・・スーパーソルジャー同士が実弾&肉弾戦で一騎討ち

●原題:Captain America: The Winter Soldier
●ジャンル:アクション/アドベンチャー/SF/スリラー
●上映時間:136min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語語
●カラー:カラー
◆監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
◆出演:クリス・エバンス、サミュエル L・ジャクソン、スカーレット・ヨハンソン、ロバート・レッドフォード、セバスチャン・スタン、アンソニー・マッキー、コビー・スマルダース、フランク・グリオ、エミリー・バンキャンプ、トビー・ジョーンズ、ジェニー・アガター、マキシミリアーノ・ゴンザレス、その他大勢

 すっかり寒くなってますね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?3連休はどこかへお出かけですかな。今回はかなりメジャーな作品です。大ハマリしたので、いつもの体裁を変えてみました。

【ストーリー】
 アメリカ。第二次大戦中にスーパーソルジャー化し、ドイツ軍のオカルト集団ヒドラとの戦闘で勝利を収めた後、現代に甦ったキャプテン・アメリカことロジャース。生活様式に戸惑いながらも、ニック・フューリー率いる組織シールドの一員として多忙な毎日を送っていた。フューリーはシールドが提唱する世界平和を目的とするインサイト計画に疑惑を感じ内密に調査を行うが、その過程で暗殺者ウィンター・ソルジャーに襲撃され命を落としてしまう。シールド上層部はフューリーの行動がインサイト計画を陥れるものだったとし、直属の部下であるロジャースを追跡しだす。窮地に追い込まれたロジャースは、仲間のナターシャとファルコンと共に、真の敵を暴くため行動を起こすが・・・。



【感想と雑談】
 前作の『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』('11)がちょっとイマイチの印象だったので敬遠していましたが、ブラック・ウィドウが出とるし(笑)ひょっとして・・・な思いで手を伸ばしました。

 なんだこれは、素晴らしすぎる。

 スーパーヒーローが荒唐無稽な存在であるのに変わりはないのですが、それを取り巻く要素を限り無く実社会ベースで描いているのですね。目線が安定しているし、地に足が着くどころか、首辺りまでぶっすり突き刺さっています。

 半端ないスケール感でありながら、政治策略と近代戦略、そして近代戦術の様が丁寧に描かれていて、空想と現実が違和感なく同居しているし、表裏入り乱れるドラマ性で上質なサスペンス・スリラーとして成り立っているのが実にいい。この漲る緊張感よ。

 特筆したいのがアクション面なんですが、オカルト的な能力、超常現象、ビーム系の兵器なんぞは登場せず、あくまでも近代的な戦術を基本とする描写のキレのよさ。監督アンソニー&ジョー・ルッソ兄弟の手腕はとにかく見事です。

 ロジャースもウィンター・ソルジャーも尋常でない能力を飛び道具や素手を通して発揮し、ナターシャやファルコンがサポートを務め、また組織や戦闘集団らが対等に参戦し暗躍するところも、世界観に幅を効かせているところです。

 あ!我らがスカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウことナターシャのことだけで盛り上るはずだったのに、それだけでは全然収まらない勢いになってしまいました(笑)。今回、紅三点なところもあって、他のシールドの女性エージェント2名の活躍ぶりも高得点。参りました。

 個人的に従来のスーパーヒーローものではお目にかかれなかった感動のシーン(演出)をいくつか挙げてみたいと思います。

<ハイジャックされたシールド船舶>
 船舶のコンピュータ室でテロリストから爆弾を放たれた直後、咄嗟にロジャースがナターシャを抱えてジャンプするところ。なんとナターシャは飛び込む先のガラス窓を瞬時にハンドガンで打ち抜くのです。サブリミナル効果のごとくナターシャの性能アピール。


<ビル街で襲撃を受けるニック・フューリー>
 車輌の強化ボディを打ち抜くのに、丸太(破城槌というそうです)のマシンを持ち出すところ。安易に重火器に頼るだけでなく、専用の装備を持ち出すところがリアルですね。ご丁寧に三脚を固定する様まで映しています。『ダイハード』('88)でも同様に迫撃砲を固定するシーンがありました。


<高速道路での戦闘集団とウィンター・ソルジャー>
 車輌から放り出されたロジャース一行に、追っ手の戦闘集団とウィンター・ソルジャーが協同で猛攻撃をかけるところ。チームワークで行動するところに説得力を感じます。ウィンター・ソルジャーが高架下に逃れた一行を狙うのに、戦闘員とすれ違いざまに小銃を受け取るところは、何気すぎて鳥肌ものでした。


<ビル街でのタイマン勝負その1>
 高速道路からビル街に逃れたナターシャにウィンター・ソルジャーが迫るところ。グレネードランチャーで警察車輌を吹っ飛ばした後、無言でナターシャに忍び寄る際の静寂とサスペンス度がたまりません。ナターシャの小気味よい返し技もいいです。


<ビル街でのタイマン勝負その2>
 ナターシャを助けに駆け付けたロジャースがウィンター・ソルジャーと勝負するところ。サブマシンガンとハンドガンを至近距離で撃ちつくすという有り得なさですが、何故か理にかなった動きにしか見えません。また、ウィンター・ソルジャーはナイフを取り出し接近戦に入りますが、その素早い動きの中、ナイフを宙で掴み直したりします。この運動神経とリズム感は半端ないです。


<ヘリキャリアの発進>
 ロジャースが発進し出したヘリキャリアの甲板を疾走するところ。背景の空や巨大な建造物がそびえる様、そしてその空気感が凄まじいです。どう見ても完全ロケにしか見えないのですが、やっぱりこんな実物を作れるはずはないので、底無しCGの表現力に身を任せるしかないです。


 と、こんな感じでハッとさせる描写が満載なんですね。現実的な設定と編集の上手さがスーパーヒーローと組織力のバランスを上手くとっていて、さらにスリルとサスペンスがこれを底上げしているのです。

 シールド上層部の1人を重鎮ロバート・レッドフォードが演じているのも、社会派スリラーの重厚さも出してる要因ですね。なんと今年78歳なんだとか。お若く見えますね。それにしても、アメコミ原作の映画化も随分と地位が上がったものです。逆にそれしかネタがないのかよ、と危惧もしちゃいますけど。

 前作は、第二次大戦を背景に米軍がスーパーソルジャー化計画を成功させた訳ですが、本作の元凶となるナチスのオカルト組織ヒドラが登場するも、超常現象が登場するわ、頭領レッドスカルの存在がファンタジー然にしか見えないわで、なんともフワフワしてイマイチでした。レトロな時代の夢や未来感が先走ってたのかも。

 本作は、そのヒドラの残党が暗躍するのですが、あくまでも現代的で血の通った世界を構築しているところがよかったと思います。レーザー光線がビービーとか、怪物がうがーとか、オカルトや異次元がどうとか、もうそういうのを受け付けなくなってるようです自分は。

 布石がてんこ盛りで次作が気になるところですが、お約束のエンドクレジットのエピソードがまた驚愕なんですよね。え、そんな展開に持っていくの?方向性がちょっと心配。でも、本作の兄弟監督が続投とのことなので、期待しちゃっていいかな。


 女エージェント3人衆には頑張って欲しい。


(C)2014 Marvel
【出典】『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』/ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

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