2008年5月10日土曜日

映画『デスレース2000年』 ・・・安楽死デーとマシンガン・ジョーに要注目です

●原題:Death Race 2000
●ジャンル:アクション/SF/スポーツ
●上映時間:84min
●製作年:1975年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ポール・バーテル
◆出演:デビッド・キャラダイン、シモーヌ・グリフィス、シルヴェスター・スタローン、メアリー・ウォロノフ、ロバータ・コリンズ、マーティン・コヴ、その他大勢
◎評価:★★★★★★★☆☆☆

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 今年、アニメの『マッハGOGOGO』の実写版『スピードレーサー』が公開されるのだが、これの予告編を観て思い出すのがこの『デスレース2000年』(笑。

【ストーリー】
 近未来のアメリカ。毎年、ある大陸横断カーレースが開催されている。国を上げての一大イベントだ。ニューヨークからスタートし、ゴールのロサンゼルスを目指す。

 参加するのは5チーム(少ねぇ)で、どいつもこいつも個性豊かなヤツばかりだ。用意されるデスカー(笑)も性能重視というよりも見た目重視のデザイン。それぞれドライバーとナビゲーターの2名が乗り込み、3日かけて5000kmにも及ぶ長距離レースに挑む。(3日間でいけるのか)

 ニューヨークのスタート地点となるスタジアムでは、デスカーが登場する度にスタンドの大観衆が盛り上る。チーム贔屓のファンも大喜びだ。

 5チーム中とりわけ人気のあるドライバーがデビッド・キャラダイン演じるフランケンシュタイン。過去の度重なる事故から体の半分以上は移植と改造が施されている。被ったマスクの両端から飛び出ているボルトがご愛嬌の主人公。

 そんなフランケンシュタインが面白くないライバルドライバーの荒くれ者マシンガン・ジョー。シルベスタ・スタローンが演じてたりする。いつもいいところで話題を持っていかれるのがご不満の様子。スタートラインに付いた途端にブーイングの嵐を浴び、観衆に向かってマシンガンを掃射する。数十人が被弾したと思われるが、そこはお構いなしに話しは進む。その他3チームも鼻息荒いドライバー揃いだ。

 大統領から有り難い開会の挨拶を頂き、余韻も関係なくレースがスタート。脅威のスピードで街中を走行し、暫くすると5チームは好き勝手な方向に散っていく。このレースの目的は、ゴール地点到達までのスピードを競うことではなく、コース上に存在する一般人を轢き昇天させることで得られるポイントを競うことだ。タイトルまんまのレース。全米生放送もされるこのデスレースについて番組解説者が丁寧に説明をする。お年寄りの場合は最高得点の100ポイントとか。

 最初の犠牲者となるのは工事作業員。マシンガン・ジョーのデスカーによって昇天させられる。実況レポーターも大興奮だ。ちなみに犠牲者の家族は番組に呼ばれ、ババアの司会者からお祝いを受ける。

 ある病院では”安楽死デー”と称し、デスレースのどさくさに紛れて入院中のお年寄りを道端に並べる。お年寄りを整列させる看護婦が嬉しそうだ。これを発見したフランケンシュタイン、直前でハンドルを切り病院内に突入、大勢の医師や看護婦を跳ね飛ばしコースに戻る。良心を持つフランケンシュタインであった。

 その後も、残酷というより間抜けなレースを展開していくが、その一方ではデスレースと現政府を不満に思うレジスタンスが行動を開始。レース自体を妨害するのと同時に、大統領ご贔屓のフランケンシュタインに近づき彼を利用することで体制をひっくり返そうと計画する。

 レース自体はレジスタンスの妨害からチームが激減し、最終的にフランケンシュタインとマシンガン・ジョーの2チームが残る。そしてポイント獲得抜きにしての一騎打ちとなる。

 全米が注目する中、彼らは果たしてゴールすることができるのか、そしてレジスタンスは目的を果たすことができるのか・・・。


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【感想と雑談】
 もうなんというか、お笑い不謹慎の嵐である(笑。

 まず、底が抜けたようなオープニングタイトルから、速攻でスタート地点に集合する楽しいレースチーム。実況レポーターのメガネ野郎が意気揚々と紹介するのが、以下の参加チームだ。

 <ドライバー名>    <デスカー名>
 ①フランケンシュタイン :ザ・モンスター
 ②マシンガン・ジョー   :ピースメーカー号
 ③カラミティ・ジェーン :雄牛号
 ④マチルダ              :誘導爆弾号
 ⑤暴君ネロ              :ライオン号

 もうどいつもこいつも非常にわかりやすいデザインセンスで登場する。アホすぎる。因みに、シルベスタ・スタローンはこの1年後くらいに『ロッキー』でブレイクすることになる。

 デスレースは何でもありだが、昇天ポイント獲得には以下のルールがある。

 ◎女性      :年齢に応じて男性より10ポイント増し
 ◎10代の若者   :グンと大きく40ポイント
 ◎12歳以下の子供 :更に大きく70ポイント
 ◎75歳以上の老人 :空前絶後の100ポイント

 このルールをダンディな解説者が淡々と説明してくれる。この時、テロップに表示されるロゴマークがなかなかイカしている。

 そんなこんなで、以上の参加チームがルールを基に高ポイントを競う訳だ。ところで男性は何ポイントなんだ?

 それにしても現在の映画ではお目にかかれないような場面が満載だ。

 公道を走るレースだが、その殆どがコマ落しでスピード感を出している。あまりにも速過ぎてそのカーブは曲がれないだろという突っ込みどころ。

 途中、轢かれて昇天する意味不明なヤジ馬が続出。

 カラミティ・ジェーンの雄牛号の前に謎のマタドールが登場すると、広場に誘導し闘牛もどきを行う。調子こきすぎたマタドールは2度轢かれ昇天。

 道の真ん中で佇む3人の男、うち2人はデスカーが迫る直前にマンホールに逃げ込むも、残った1人が轢かれ、その後にマンホールから顔を出した2人が後続車に轢かれる。なにこのシチュエーション。

 フランケンシュタインはとてもいいヤツで、病院の安楽死デーの件以外にも、レース中にやたら訓示を垂れる偉そうな司祭をテクニカルに轢いてしまう。この一件でレース関係者もポイント対象者となり、関係者一同ビビることになる。

 色々ポイントを上げる度に生番組の進行も忙しくなるが、舞台裏では事実(レジスタンスが存在すること)を捻じ曲げようと情報操作をするあたり風刺が効いてるような効いてないような。

 最大の見せ場で笑える場面が、ドイツの爆弾娘マチルダの運命だ。レジスタンスが仕掛けた罠にはまって命を落とすことになるのだが、その罠が凄すぎる。コントでも使わないようなベニヤで作られた書割のトンネルを崖っぷちに設置しただけなのだが、ドイツの爆弾娘は疑いなく突っ込んでいきダイブ

 全米一大イベントの割りには、盛り上っているのか盛り上っていないのかよくわからないレースなのだが、おそらく一般大衆は家で生放送を楽しんでいるのであろう。まあ、公道に応援に出ようものならターゲットにされるの間違い無しだし。応援したければスタートとゴールの会場に行くしかないのである。スタローンに撃たれるかもしれないけど。

「競争と殺戮はアメリカの文化、暴力の何が悪い」と劇中ある人物が訴える場面があるが、なにか空想だけの話しで終わっていないところも面白い。結構楽しく観られる映画だと思う。不謹慎だけど。

 これ製作がロジャー・コーマン。あまり名作大作に拘らずにいかに低予算で効率よく映画を作りチマチマ儲けられるかが信条の人。本作も”ああ、やっぱり”という映画。

リメイク作品『デスレース』の記事 はこちらです(笑)。


皆の人気者フランケンシュタイン登場。このザ・モンスター、長いこと見ていると愛着沸いてくるから不思議。右端のキバ、横向いてます。


チンマリしているデスカー陣を前にして実況を続けるメガネ野郎。俺はどんな時でも番組を盛上げるぜ。


ルールが改定されて老人は前代未聞の100ポイント・・・と静かに語るダンディ解説者。説得力あるぜ。


病院では恒例の安楽死デー。看護婦もウキウキ♪だ。


崖っぷちではレジスタンスがトンネル入口のハリボテを設置。

COPYRIGHT © 1977 NEW WORLD PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED
【出典】『デスレース2000』/パイオニアLDC

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4 件のコメント:

  1. こんばんは。

    ありえないデスカーがよかったですねぇ。
    ホントにチキチキマシンも真っ青なデザインでした。
    今これほどのバカバカしいデザインで、まじめに作る監督はいないかもしれませんが、このノリで、このルールで、この登場人物たち、楽しめました。(^^;

    レジスタンスの罠がしようもないのに引っかかってしまうので、レーサーたちはプロフェッショナルなのか単なるお馬鹿なのか、崖ダイブなんてその最たるものでしたね。

    あ、そうそうマンホールのシーンは観れなかったです。
    時間枠の都合でカットされていたのかもしれません。観たかったー。

    トラックバックありがとうございました。
    URL-LINKさせていただきました。

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  2. >白くじら様
    どうも!こんばんは^^

    やったす!ついにここにコメントを頂きました!ありがとうごさいます(笑)。

    デスカー、有り得ないですよね~。特に主人公格のフランケンとマシンガンジョーが乗るデスカー。一番バカっぽいのが何とも言えませんね(笑)。
    これがギャグでなくマジメにやってるのが素晴らしいところです。崖ダイブといい、愛すべきバカレーサー衆ですね。

    なんと、あのマンホールがカットですか?天下の木曜洋画劇場がなんということを。でも、あのシーン気持ちグロいので仕方なかったかも??
    途中、パンツ一丁のフランケンとナビねーちゃんがダンスするシーンがあるのですが、これもカットされたかな(笑)。

    コメント&リンクありがとうございました♪^^

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  3. こんばんは。

    いえ、パンツ一丁のフランケンはいたので大丈夫です。(^^;
    ほかにもジョーとフランケンの殴り合いで、ジョーが負けてしまうのも目撃してしまいました。スタローンの作品でこんなの観たことがないかも…ってデヴィッドの作品だって。(^^)

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  4. >白くじら様
    どうも!!^^

    パンツ一丁はカットされなかったのですね。非常に脱力感のある名シーンなのでよかったです(笑)。
    たしかにスタローン、随分とヘナチョコでしたね。「ロッキー」はこの憂さ晴らしの為に撮ったんでしょうね。そしたら大ヒット!さすがです(笑)。

    コメントありがとうございました♪^^

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