
●ジャンル:犯罪/SF/スリラー
●上映時間:85min
●製作年:1960年
●製作国:日本
●言語:日本語
●カラー:カラー
◆監督:福田純
◆出演:鶴田浩二、平田昭彦、白川由美、土屋嘉男、中丸忠雄、その他大勢
東宝特撮「恐怖の変身人間シリーズ」の第2回目は、ある装置を使って身体を変化させる電送人間です。
【ストーリー】
日本。ある遊園地のスリラーショウで麻薬ブローカーの塚本が殺される。警察は塚本と繋がりがあったと見られるキャバレー大本営の経営陣をマークする。 やがて、キャバレー大本営にある男が現れ、経営陣の一人隆を殺害する。ある男とは戦時中に金塊横領のいざこざで仲間に殺されかけた須藤であった。
須藤は戦後社会に溶け込んでいる当時の仲間の塚本と隆を復讐の為に殺害したのだ。残りの仲間連中は須藤の存在を知り恐怖に怯える。現場では追跡されるにも関わらず突然姿を消してしまう須藤だが、その付近では必ず焼却された奇妙な装置が発見される。
新聞記者の桐岡は、須藤とある冷却装置メーカーの繋がりを発見し、社員の明子の協力を得て、須藤の本拠地と見られる浅間高原へと向う。そこでは、戦時中に須藤と共に殺されかけた仁木博士が、遠隔地に人間を転送するべく、超低温で動作する電送装置を開発していた・・・。

電送装置を使って遠隔地へと転送される須藤(中丸忠雄)。
【感想と雑談】
恐怖ものというより、犯罪スリラーとして面白いと思う。
濃厚で粘り気のあった『美女と液体人間』と比べると、本作は案外サッパリとした感じ。監督も毎度の本多猪四郎氏ではなく福田純氏が担当している。以降アクション派の監督になるだけあって、印象もガラリと変わる。
電送人間とは、アリバイ工作の為に電送装置を使って一時的に身体を電気信号に変化させる中丸忠雄演じる須藤のこと。アリバイを成立させる為に本拠地と犯行現場に電送装置を設置して瞬時に間を移動する訳だ(犯行現場の装置は時限装置を使って破壊する必要があるが)。なので犯行道具の一部として身体を一時的に変化させるだけであって、電送人間自体に怪奇色はそんなにないのだ。ただ、半開きの口を動かさずに笑い出す須藤の姿は不気味ではある。
冒頭では遊園地(多摩川園)でのスリラーショウの呼び込みシーンから始まるけど、当時の風景や人々の様子が見られるのは楽しい。なんだか活気付いている。もうこの辺りから本多監督のトーンとは大違いというのがわかるので、心を入れ替えて観るべしなのだ(笑)。
麻薬ブローカーの男がスリラーショウ内で須藤に刺殺されると、これまた平田昭彦と土屋嘉男演じる刑事らが出動し、これに鶴田浩二演じる新聞記者も加わって、話が進んでいく。
ヒロインは『美女と液体人間』と同じく白川由美が演じているが、本作では冷却装置を製造する企業の一社員役である。口数少ない妖艶なキャバレー歌手と比べると、ハツラツとした明るいお姉さんという感じだ。別人である。相変わらずごっつ美人。
大人向けシリーズでもあるので、本作でもその辺は十分スパークしている。『美女と液体人間』でも登場したキャバレーであるが、本作では更にパワーアップしたキャバレーが登場する。その名も「軍国キャバレー大本営」(笑)。ステージで踊る全身金粉のダンサーに度肝を抜かれる。ゴールドフィンガーか。・・・って、あれ?これゴールドフィンガーよりも前の作品になるぞ。007の方がパクってんのかよ(違。
ここで、刑事と新聞記者が客を装い張り込みをするのだが、この画面の隅々に配置される店員の格好が素晴らしい。ボーイは兵隊でホステスは水兵だ。今だとミリタリーコスプレキャバレーとでも言うのだろうか。元祖コスプレ風俗である。終戦後15年目にしてこの根性はいったい(笑)。
ここでの刑事とテーブルに付いた水兵(ホステス)との会話がイカす。
刑事 「いやにヒリヒリするね。なんて酒だい?これは」
水兵 「焼夷弾よ」
刑事 「もっといいの持って来いよ。特上のヤツな」
水兵 「はい!ミサイル二丁!」
兵隊 「は!了解!!」
刑事 「おい、氷嚢(ひょうのう)が足らないぞ」
水兵 「はい!ただいま輸送して参ります!」
行ってみたい、この店に。
後半、トリッキーに犯行を続ける須藤も、警察と新聞記者の頑張りによって徐々に追い込まれる。そして、クライマックスでは本拠地付近の火山の噴火によって悲劇を迎えることになる。ちょっとあっけない悲劇。
移動手段として機能する電送人間。怪奇性は無いけども、犯罪スリラーとしてもうまく機能しているし、当時の貴重な風俗事情(笑)が堪能できるという点でも、本作はまさに大人向け変身人間シリーズの1品なのであります。

キャバレー大本営の事務所に現れた電送人間の須藤。電送終わっているのに身体に走査線が走りまくりの演出。ノイズ音も鳴りっ放し。

須藤は犯行で使った装置を、貨物列車ごと木っ端微塵にする。東宝特撮らしい見事なシーン。
桐岡(鶴田浩二)は取材先のアパートで偶然、明子(白川由美)と出会う。これぞ大人の出会いである。 距離のとり方を見習おう。

刑事(平田昭彦)に氷が足らないと言われ、「はい!輸送して参ります!」と元気良く発進する水兵コスプレのホステス。斬新過ぎるミニスカート。
<追記>
キャバレー大本営での客とホステスのやりとり以外で印象に残る名場面をもうひとつ紹介。
戦時中に物資を横領していたグループがいつ須藤に襲われるかと、キャバレーの事務所で戦々恐々としているさなか、ある録音テープが届けられます。恐る恐るそのテープを再生してみることに・・・
グループ 「(;゜Д゜)ドキドキ・・・」
再生オン
テープ音声 「(しーん)」
グループ 「(;゜Д゜)ドキドキ・・・・・・」
テープ音声 「うっふぅ〜ん♪あっはぁ〜ん♪(エロい喘ぎ声)」
グループ 「(^∀^)はっはっは、いやあ、これは参りましたなあ」
テープ音声 「ふっふっふっふっ(須藤の声)」
グループ 「(;゜Д゜)ひぃ!!!!!!」
なにこの緩急。ヘタなコントよりも笑える名場面だわ。
© 1960 TOHO CO.,LTD.
【出典】『電送人間』/東宝株式会社


行ってみたいですね~キャバレー大本営(笑)
返信削除なんか東宝特撮が観たくなりました。でも私が住んでる辺りじゃレンタルしてる店が無いんですよね。
応援ポチ
出ましたね!!
返信削除正直、シリーズの中では一番軽い感じはしますが、暗黒街に特撮を取り入れた画期的な作品です。中丸忠雄さん…地味ですけど素晴らしい脇役さんで良いですね。
それより何より、キャバレー「大本営」どこにあるかご存知でしたら是非私を連れてって下さい!!
お礼に焼夷弾をおごりますから(笑)
応援です!!
>dai様
返信削除斬新ですよキャバレー大本営は(笑)。
しかしこの時代でもこういう文化が
あった訳ですね。悪くないですね。
レンタル、東宝特撮を置いてないとは
いけませんなあ。
早いとこ入荷してくれないと(笑)。
応援どうもです♪
>快福や様
返信削除中丸忠雄さん、完成試写で自分が幽霊みたい
に映っているのを見て、えらくショック受け
たそうですよ(笑;)。撮影時はわからない
ものなのですね。
ぜひ大本営に行きましょう!
焼夷弾とミサイルをおごって下さい(笑)。
応援どうもです♪
この映画、マジ観たいです。
返信削除というか、彼氏の誕生日プレゼントこれに決めました。なぜなら自分が観たいからです。
借りません。買います。
美女と液体人間も買っちゃうかも。
東宝特撮は本当に面白いですよね。
これからもどんどん紹介してください。
期待大凸
こんにちわ、このへんのラインに行っておられますね。液体人間、電送人間・・ あとガス人間というのも控えてますか? ^ ^
返信削除もう少しのちの作品になりますが 「吸血鬼ゴケミドロ」 というのがあって、こちらは松竹ですが、 これは子供心に恐かった。ちょこっと書いておりますので思いだしたら探ってみてください。では〜ガツッと応援!
>リカー子様
返信削除彼氏も巻き込むパターンですか(笑)。
喜んで頂けて光栄です!
いたってマジメな映画だと思うのですが、
今観るとネタの宝庫なんですね。
私も東宝特撮は大好きなので、力の続く
限り紹介したいと思います。
本シリーズはあと1本で終わりですが(笑;)。
応援どうもです♪
>kiona様
返信削除あらら、バレバレですね(笑;)。
ありましたねゴケミドロ。私も随分と
前に観たのですが、やたら不気味だった
記憶があります。ありがとうございます、
後で覗かせてもらいますね!
ああ、最近邦画寄り(笑)。
応援どうもです♪
休止中もコメントや応援いただきありがとうございました。
返信削除飲み屋さんで軍服着て飲む店がありました。日本酒+するめ+軍歌。色気のまったくない店でした。このキャバレーなら楽しいかも?(笑)
この装置はどこへでも転送できるんですね。転送中に異物が入ると「ザ・フライ」のようになる?面白そうですね。よく行くレンタル店にあるかな?
応援凸
>whitedog様
返信削除休養は十分取れましたか?無理せずマイペースでいって下さいね。
キャバレー大本営はとりあえず色気はあるようです(笑)。今やるとちょっと流行るかもしれませんね。
転送装置は私もちょっと期待しましたが、ハエが混入すると間違いなくとんでもないことになるでしょう(笑)。
応援どうもです♪