2010年12月5日日曜日

映画『ノウイング』 ・・・地球の一大事にニコラスが右往左往します

●原題:Knowing
●ジャンル:SF/ドラマ/ミステリー/スリラー
●上映時間:121min
●製作年:2009年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:アレックス・プロヤス
◆出演:ニコラス・ケイジ、チャンドラー・カンタベリー、ローズ・バーン、ララ・ロビンソン、ベン・メンデルソーン、その他大勢

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 気が付いたら12月に入ってました。クリスマスもあっという間に来るんでしょうかね。それにしても1年経つのが早いよなあ。
 さて、今回は昨年の割と新作になります。ある意味凄かったので記事にすることにしました。

【ストーリー】
 アメリカ。マサチューセッツ州のある小学校で50年前に埋められたタイムカプセルがお披露目される。中身は当時の生徒らが未来に託した絵画であった。当時担当した元教師のババアがウハウハ絵画を収めた封筒をバラまく。大盛り上がりの中、生徒の一人ケイラムはやっと封筒を手にすることができたが、中身は絵画ではなく一面に数字の羅列が書き綴られた紙切れであった。ケイラムが持ち帰った紙切れを父親の物理学教授ジョンが何気に調べてみると、数字の一部が過去に起きた大事件の日付や被害者の数と一致してしまう。他の数字も同様であった。やがて数字が未来のある日付を差していることに気付くジョン。50年前に埋められた数字の羅列が未来の事件を予言していたことに大混乱するジョンであったが、その後に息子ケイラムを巻き込む大事件まで起きることなど知る由もなかった・・・。



【感想と雑談】
 昨年のド派手な『2012』('09)とやたら被ってた印象がありますが、蓋を開けてみたらこっちもドえらい作品でした。

 一応、デザスター作品の部類に入っているようですが、どう見ても他の要素が占める割合がデカくなってます。デザスターものって、自然災害や天変地異が何らかの形で前面に描かれると思うんですが、本作はそんな気配はこれっぽっちもなくて、いきなり登場するのが顔色の悪い少女。しかも、夜中の学校の地下室に閉じこもって「囁きを止めて」とか言ってる。血だらけになって。ホラーかよ。

 主人公が物理学の教授なので、どことなくデザスター要素を思わせたりしますが、コイツがまた暗い。これっぽっちも笑わない。生徒に質問を投げかけておいて勝手に妄想にふけったりします。実は、ある事件で妻を失ってしまい、それが影響して人生どうでもいい性格に変わってしまったようです。また、その子供が耳が悪くて、最近やたらと妙な雑音が聞こえるとか言ってます。とにかく不安だらけのファミリーです。

 この物理学教授のジョン、先の少女がタイムカプセルに封印した紙切れに振り回されっぱなしです。振り回されプレイ。50年前に書かれた数字が未来に起きる数々の大事件を示していることが判明した時、ジョンはその数字の中に数日後の日付が幾つかあることに気付きます。ヤベえとばかりに行動に移りますが、予兆がある訳でもなく、紙切れ一枚の単なる数字ごときに周囲の人達は耳を貸したりしません。やがて、数字が示した通りの大事故が発生します。

 中盤の見せ場として、2つの大事故が描かれますが、この描写は実に見事でした。1つは旅客機の墜落事故。ワンカットの長回しとCGの組合せで、実に臨場感ある映像になってます。せっかく脱出できたのに爆炎に包まれる乗客達。爆発ですっ飛んでくる破片。本当に墜落させたんじゃないかと思える程の生々しさです。もう1つの事故は伏せておきますが、とにかく阿鼻叫喚の現場には嫌な気分に浸れること必至です。たぶん『ダイハード3』('95)をリメイクするとこうなると思います。


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 しかし、肝心の見せ場も偶発事故にしか見えずデザスターものには結びつかない印象です。実は太陽フレアの異常発生が後に判明するので、この影響で電子機器が暴走したという設定なのかもしれませんが、殆どそんなことには触れていません。結局、数字から直近に起きる事件を予見したにも関わらず、ジョンはそれを止めることもできず、ただ呆然と見守り立ち尽くすだけ。それにしても少女に数字の羅列を書かせた意味はいったい何だったのか。

 どうすんだよこの展開・・・とか思っていると、突然とんでもない方向に向かいだします。冒頭の奇怪な少女からして嫌な予感全開だったのですが、中盤にジョンが謎の男と対峙する場面で、終わったことがはっきりしました。ただの自然崩壊に向かう作品ではなかったのです。いったい何が始まるのか・・・これも伏せておきたいと思います。(って、他では散々ネタばらしされてるようですが)

 デザスターものには「地球自体の脅威」と「地球外からの脅威」の大きく2つの脅威があって、本作を当てはめるとすれば後者に入ると思うのですが、こんな展開にするなら初っ端から豪快な人類脱出計画でも立てて地球外からの脅威に対抗する方がよかったです。『2012』との差別化もあったのかもしれませんが。東宝の『妖星ゴラス』('62)では地球外からの脅威に対抗する為、巨大ジェットで地球を動かすという荒業をやってましたが、正直これのリメイクをやったらガッツリ応援できると思っております。スペクタクルな展開にはワクワクーですよ。

 ニコラス・ケイジ演じる物理学教授ジョンが、我々は目的があっての産物なのか、それともただの偶然の産物なのか、と問う場面があります。本人は偶然の産物だと言い切りますが、本作はまさにそんな視点で地球の存在価値を描いた作品なんだと思います。アレックス・プロヤス監督のセンスは面白いと思いますが、今回はさすがに面白すぎて開いた口が塞がらない結末となるのでした。




 たぶんこれが本作の元ネタになってるんだと思います。


 ニコラス・ケイジはいいヤツだと思います。


(C) 2009 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
【出典】『ノウイング』/ポニーキャニオン

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2 件のコメント:

  1. こんばんは~★

    ニコラス・ケイジはいい奴です。
    間違いないです(笑)

    『ノウイング』未見ですが彼の人の良さがにじみ出ているんでしょうね。

    紅井的には彼の出演作のベストは
    『赤ちゃん泥棒』ですね!

    umetramanさんはいかがでしょうか?

    ガツンと応援返し!!!

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  2. >Benny様
    こんにちは!

    ニコラスといえば、あのCMがあったなと思い、出してみました。あそこまでやってくれるニコラスは間違いなくいいヤツですね(笑)。
    「ノウイング」では大変シリアスな役でしたが、虚脱感溢れるところもあってニコラスならではという感じでしょうか。

    「赤ちゃん泥棒」は大好きな作品ですよ♪あのボサ髪のニコラスの虚脱感がいい具合で、共演陣も素晴らしいし、ストーリーも奥が深いときている。更にはコーエン兄弟だけでなくライミ監督も絡んでいた(違った?)というところで私にとっては大ハマリな作品でした。
    なんだか久々に観たくなりましたよ~♪

    応援コメント、ありがとうございました♪

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