
●ジャンル:アクション
●上映時間:99min
●製作年:1988年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:アンディ・シダリス
◆出演:スティーブ・ボンド、ドナ・スピアー、ホープ・マリー・カールトン、ロドリゴ・オブイレゴン、その他大勢
◎評価:★★★★☆☆☆☆☆☆
レンタル屋に『ピカソ・トリガー』シリーズが6本置いてあった。なんだか目が合ってしまった気分だ。どれもこれも似たようなパッケージに内容なんだけども。とりあえず記念すべきシリーズ第1作目。
【ストーリー】
フランスはパリ。美術収集家の顔を持つピカソトリガーと呼ばれる麻薬王のサラザールが何者かによって暗殺される。長年追跡してきた連邦捜査局も驚きを隠せない。サラザールは暗殺される前にハワイを根城とする犯罪組織にある協力をしていた。連邦捜査局に弟を殺害された組織の黒幕ミゲルに捜査局の情報を提供していたのだ。情報を入手したミゲルは早速、復讐の決行に移る。
常夏のハワイ。普段は民間人として身を隠している捜査局メンバーに組織の魔の手が忍び寄る。多くの捜査官が殺されていくが、ドナとターリンだけは運良く助かる。ヤバイ状況を察知した捜査局は残ったメンバーを集め作戦会議。逆に奇襲作戦を計画し常夏ボデーを駆使した犯罪組織の殲滅にかかる捜査官らであったが、その先にはサラザール暗殺に絡む意外な展開が待っていた・・・・・・。

銃を構えるターリン(ホープ・マリー・カールトン)とそれを見守るドナ(ドナ・スピアー)。2人とも元プレイメイト。
【感想と雑談】
木曜洋画劇場でたまに流れるアレである。
今回はCM無しのノーカット、しかも英語音声で観たので印象も変わるかと思ったら、これっぽっちもテレビで観るのと変わりは無かった。画面もスタンダードサイズときているし。なんだかテレビ放映ありきの作品になってるみたいだ(笑)。
奇才でエロ親父のアンディ・シダリスが脚本・監督を努めた本作は、映画への欲求に応える下心エナジーが充満しきっているが、1本の映画として観ると随分とおかしなことになっている。
ハワイを根城とする犯罪組織に連邦捜査局が挑むという大筋は、犯罪アクション映画の王道という感じがしてワクワクものだが、まず全体的なキャラクタの格好に問題がある。
女性キャラは捜査官だろうが敵だろうが全員水着姿がベースだ(引用①)。ちょっとでも油断するとトップレスか全裸になってシャワー浴びたりジャグジーに入ったりする。その様子をアクションとは全く関係ないカメラワークが舐め回す。
男性キャラは捜査官だろうが敵だろうが殆どがハンサムガイでボディビルダー体型をノースリーブのシャツで包んだ格好をしている(引用②)。徒党を組んで一歩踏み外せば、やおいやBLに領空侵犯する勢いだ。汗ばんだ筋肉がまた暑苦しい。
主人公の男性捜査官は、バカンス中に麻薬王暗殺の知らせを受けると、「なんだと・・・」と呻き深刻顔になるのだが、その格好がハーバーを背景に際どいモッコリ海パン一丁なので緊迫感は皆無である。ホントに事件は起きているのだろうか。
ちなみにこの主人公は目の前で敵に逃げられるのだが、直後に駆け付けた女捜査官と長々とキスをしたりする。そして3分後くらいに追跡を開始する。
舞台がほぼ常夏のハワイなので、長期スパンの話しであっても必ず天気は快晴だ。なので活動する場所も出てくるキャラもどれもがバカンスの象徴となっている。たまにスーツマンが出てくるがこれは頂けない。
アクション映画なので、肝心のアクションシーンに注目してみると、これも問題ありだ。
敵が暗殺のターゲットとする捜査官の服にミサイルの誘導装置を付着させる。この後にミサイルが発射され、捜査官に向かって飛んでいく緊迫のシーンが拝めるのかと思ったら、敵はわざわざヘリコプターに乗って捜査官が乗る車に接近する。そして7mくらいの至近距離から車にミサイルをぶち込む。暗殺は成功したけど、誘導装置はいらなかったんじゃないか。
その他、トラックや船舶、オートバイ等が爆発する。普通、乗り物を爆発させる場合、そこに至る過程に工夫を凝らしリズム感を保ったまま見せ場にするはずである。しかしアンディ・シダリス親父はそんな面倒臭いことはしない。乗り物が野原や海原で爆発するシーンをいきなり挿入する(引用③)。なので、それまで流れやリズムがあったところに、取って付けたような画が突然入るので、とてもマヌケに見える。銃撃戦もやる気のなさが充満しきって随分ヘッポコだし(引用④)、アクション演出には殆ど頭を使っていないようだ。
アンディ・シダリス親父は無難に映画を売る方法として、以下の5要素を必ず盛り込んでいたそうだ。
1.大柄で巨乳の金髪ギャル
2.大柄でバズーカを持つボディビルダー
3.爆発するヘリコプター
4.爆発するジープ
5.ハワイかラスベガスかダラスでのロケ
これで手堅く世界に売れるそうなのだ。
たしかに取って付けたようにこれらが全部出てきた。というかこれしか思い出せない。主演女優のドナ・スピアーは自分が出演したこの作品を4回観てやっと内容が理解できたらしい。きっと脚本にはこの5つの要素しか書かれていなかったに違いない。
そんな5か条を掲げ、同じような作品を量産してきたアンディ・シダリス親父も2007年に他界されてしまった。合掌。
ということで、バカンスなキャラ達が抑揚のないアクションをするという大筋に、やたらグフフで暑苦しいお色気シーンが華を添えるという、一般の劇場で上映される大作には程遠い作品となっております(引用⑤)。変な映画はドイツのホラーだけじゃないんだね。
これは映画を深読みせずにダラダラ観たい人向けの作品なんだろうな。木曜洋画劇場なんかまさにドンピシャなんだな。
ちなみにピカソ・トリガーとは、実在する獰猛な魚「ピカソトリガーフィッシュ」から取ってるそうです。
よろしければ、こちらもどうぞ(笑)。
第2弾:『ピカソ・トリガー サベージ・ビーチ』('89)
第3弾:『ピカソ・トリガー エネミー・ゴールド指令』('93)
第4弾:『ピカソ・トリガー ダラス・コネクション』('94)
第5弾:『ピカソ・トリガー デイ・オブ・ザ・ウォリアー』('96)
第6弾:『ピカソ・トリガー リーサル・エンジェルス』('98)

①ドナ(左)とターリン(右)。遊んでいるようにも見えますが仕事中の捜査官です。奥でニヤついてる野郎共の品定めをしたりしますが、捜査官なのです。

②こんな体格した男性捜査官がウジャウジャ登場。コイツはハワイのジュラシックパークみたいなとこでイルカショーの責任者を装ってる模様。引きの画でも暑苦しい。

③浜辺でバイクが大爆発。乗り物には大抵人が乗ってたり隠れてたりするので、見事木っ端微塵になる。構図もいつも一緒の大爆発。

④ここは犯罪組織の本拠地。海岸付近に建つ別荘。物騒な世界だというのにガードマンはいつもこんなバカンス野郎。タンクトップで銃撃戦に備える。大丈夫なのか。

⑤ラスト間近の様子。ハワイでバカンスな映画なのでラストもこのように締めくくらないといけないのだ。乾杯だ。若干メンバーが足らないようだけど誰も気にしないはず。ちなみに左端にある絵画の魚がピカソトリガーフィッシュ。
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【出典】『ピカソ・トリガー 殺しのコードネーム』/ワーナー・ホーム・ビデオ


80年代、似たようなお色気アクション映画たくさんあったような気がします。多分シリーズのどれかは観たと思いますが覚えてません。パメラ・アンダーソンのVIPも似たようなもんかな?好きで良く観てましたけど(笑)
返信削除美女+マッチョの映画、最近ご無沙汰です。
応援凸
これ近くのレンタル店にも6本置いてありましたが、あのパッケージ写真では本編見なくても内容が分ってしまいますよ(笑)
返信削除昔映画ではないですが、水着やトップレスの女性が山奥でマシンガンを撃ちまくる「マシンガン・ベイブス」なんてビデオを見ましたが、アメリカってお色気好きですよね。
>whitedog様
返信削除お色気アクション結構あったみたいですね。
今回観たのも88年なので真っ盛りですよね(笑。
パメラ・アンダーソン、VIP有名のようですが観たことないのですよ。でもピカソトリガーと似てる予感はしますね。バーブワイヤーが観たいのですが、レンタル屋に見つかりません(笑;
応援どうもです♪
>dai様
返信削除たしかに6本もあるのにどれも一緒ですね(笑。
実は2作目も借りてあるのですよ。チラ見したところ今回の1作目よりもパワーアップしてるようですよ。格好は全く同じなんですけどね(笑。
「マシンガン・ベイブス」最強の響きですね。映画にしないのは勿体無いですよ。