2008年7月28日月曜日

映画『パルス』 ・・・ネットの大霊界でも人間死んだらみな二十歳になるのでしょうか

●原題:Pulse
●ジャンル:アクション/ドラマ/ホラー/SF/スリラー
●上映時間:90min
●製作年:2006年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジム・ソンゼロ
◆出演:クリステン・ベル、イアン・サマーハルダー、クリスティーナ・ミリアン、リック・ゴンザレス、ジョナサン・タッカー、その他大勢
◎評価:★★★★★☆☆☆☆☆

 ごっつ怖かった黒沢清監督の『回路』。これのリメイク版だそうだ。夏はやっぱりこういう映画を観ないといけないのだ。そうなのだ。和製ホラーのハリウッドリメイクというのがちょっと不安だけど・・・。

【ストーリー】
 女子学生のマティは彼氏のジョシュが自殺をしたことで塞ぎ込んでいた。友人らはそんなマティを励ますようにチャットで盛り上ろうとするが、突然ジョシュのアカウントからコメントが入り全員騒然とする。デクスターという若者がジョシュのパソコンを入手したことを調べ上げるマティ。デクスターを問い詰めるがパソコンは一度も起動していないという。
 一方でパソコンのモニタ越しに亡霊を目撃した人間が謎の死を迎えるという怪事件が多発するようになる。それは全国規模で広まりつつあった。どうやらジョシュとその仲間がネットを通じて異世界から人類の滅亡を招く何かを解き放ってしまったようだ。真相を掴んだマティとデクスターはなんとか食い止めようとするのだが・・・・・・。


マティ(クリステン・ベル)の背後でとんでもないことが起きようとしている・・・。

【感想と雑談】
 やっぱりハリウッドなリメイク作品だ。

 オリジナルの『回路』は、やたら怖かった記憶がある。ハデでもなく曖昧で淡々とした演出が逆に不安や恐怖をかき立てるようでホントに嫌なものを見たなという気になった。今まで観てきた限りでは黒沢監督の作品はホラーに関係なく共通する嫌なものや闇みたいなものを食らわせる凄さがあると思う。

 本作は、ネット上に存在する魔界が人間界を侵食し出すという内容で、流れはオリジナルにほぼ沿っていると思う。ただし、ハリウッドなアメリカンナイズされた演出の下では同じシーンがあっても随分と印象が違う。

 例えば、オリジナルで最もビビった女性の亡霊が暗闇から歩き出てくるシーン。不自然な歩き方で迫ってくるところ突然よろめいたりするのが非現実すぎて非常に怖かったのが、本作では同じ女性でも突然よろめくところでノイズを走らせ姿が歪む、という演出をかましてしまう。いかにもネット越しに出ましたよだ。説明的すぎるんだな。

 その他の亡霊が現れるシーンでは、オリジナルでは非常に地味で曖昧な描き方をしているが、本作ではやたら怪物のごとくハデでハッキリした存在として描いている。

 また、オリジナルではとにかく亡霊から逃げようだったところ、本作では魔界の正体はあるシステム上に存在するかのように描かれ、人間側も物理的にシステムにアクセスし対抗しようとする。テクノロジーで解決しようとするのだ。

 曖昧さを排除して、何かと暗闇から突然飛び出したり、いきなり効果音を響かせたりして、白黒はっきりした心臓に悪いノリはいつものアメリカンホラーである。山海塾みたいな悪霊は怖い形相をしたり過激に攻撃してきたりと判りやすい存在だ。非常に影のある映像は魅力だけど、肝心のところでお祭りになるのは残念。山海塾を一切出さない方がよかったと思う。

 劇場版よりも過激なシーンを復活させたアンレイテッド・バージョンであったが、劇場版を知らないので何がなんだかだ。山海塾が過激要素だとしたら、劇場版の方が出来がよかったのかもしれない。

 オリジナルを基準に観てしまうと、どうもマイナス要素しか浮かんでこない。この手は比較してあーだこーだ言っても意味が無さそうである。

 ここはひとつ、1本のハリウッド作品として観てみよう。雰囲気は出ている方なので結構楽しめると思いますよ。(←無責任?

 ところで今更だけど、本作は『ターミネーターX』にそっくりだ。しかも『ターミネーターX』は『回路』と製作年が2001年と一緒なのである。『ターミネーターX』とは一体なんだ!? どれだけ似ているのかそれぞれの映像を見比べてみよう。

上段:『パルス』
下段:『ターミネーターX』


 パソコンのモニタ。『パルス』では”幽霊に会いたいのかい?”と誘い、『ターミネーターX』では激しいデザインセンスで誘う。どちらも天国行きだぜ。



 上のサイトをクリックしたものだからこんな運命になってしまった。『パルス』では精気を吸い取られ、『ターミネーターX』では飛び出たケーブルが巻き付いて消滅。どーいうことだ。



 ついに正体を現したネット上のバケモノ。『パルス』では山海塾、『ターミネーターX』ではQuake4に出てきそうなメカ人間。どちらも上半身裸の白塗り。『回路』はスーツマンでなかったか。とにかく何か着た方がいいと思う。



 最終決戦。『パルス』では携帯電話のアンテナが表示される間は山海塾から攻撃を食らい続け、『ターミネーターX』では携帯機器を持っている間はどこにでも出現するビンボー臭いロボを相手にする。因みにロボットが動かないので自ら突っ込んでいきラリアットを食らう黒人。

そっくりですね。


© 2006 THE WEINSTEIN COMPANY. ALL RIGHTS RESERVED.
【出典】『パルス』/株式会社アートポート

© 2001 Tana 3000 Productions all rights reserved
【出典】『ターミネーターX』/トランスフォーマー

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10 件のコメント:

  1. 和製ホラーののハリウッドリメイクは「ザ・リング」がよくよくダメだったのでほとんど見てないですね。
    どうもリメイクされるとおどろおどろしいのが無くなり、ビックリ箱のような一瞬の恐ろしさが目立つのでつまらないですね。

    でもターミネーターXはちょっとみたくなった(笑)

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  2. >dai様
    たしかにハリウッドのリメイク作品は、
    おどろおどろしさが欠けてしまってますね。
    アチラの人だって和製ホラーみたいな目に
    会ったら絶対に怖いと思うのですよ。
    なのに、ガバーッ、ウガーッってやってしまう。
    きっと血が騒ぐのでしょう(笑。

    ターミネーターXは傑作ですよ。
    ハツラツとバカをやってる作品を
    観た方が幸せになれます(笑。

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  3. 昔「回路」を映画館で見ました。黒澤監督のホラーは、一瞬何だか分からないけど、あとからじわ~っと怖くなりますよね。そこが好きです。これが出たときは「へぇ~リメイクか」で終わりました(笑)
    ポチ★

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  4. あ、これってリメイクだったんですね。
    ケースの写真がかなり興味を引けるものでしたので、気にはしていたんですが。
    やっぱり、リメイクってなかなか原作を超えられませんよね。どうしても、原作の良さと比較してしまうので。

    ターミネーターXとの比較がためになりました~(笑)

    応援ぽち!

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  5. 私の場合は日本のホラーはリアルに怖すぎて見れないので…。
    こういう
    おバカな明るいハリウッド・ホラー好きです。
    日本のリングはすごい怖くて一人でトイレ行けなくなったですよ。それがアメリカンになると全然怖くない!すごい!

    しかしジャパニーズをリメイク、流行ってますね。早く廃れないかなぁ。

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  6. >dolitea様
    たしかにきますね黒沢監督ホラーは。
    呪怨みたいに黒沢監督本人にリメイク
    してもらったらどうでしょうね。
    ぜひ観てみたいものです。
    応援どうもです♪

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  7. >とら次郎様
    うーん、やっぱりリメイクは難しいですね。
    しっかりと撮られてはいるのですが、
    オリジナルがある以上、どうも見劣りして
    しまいますね。
    ターミネーターXが意外に共通点があった
    ので、こっちの方で楽しんでしまいました(笑。
    応援どうもです♪

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  8. >P様
    あらら、日本のホラーはダメでしたか。
    たしかに静かな分、尾を引く恐ろしさが
    ありますからね。
    こういうリメイクの方が笑えてちょうど
    いいかもですね(笑)。アメリカ人は
    ホントは怖いのが苦手なんだな、きっと。
    ジャパニーズのリメイク、いつか凄いのが
    出てくるのではないかと密かな期待も♪

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  9. お見舞いありがとうございました。
    「パルス」も「ターミネーターX」も観てませんが、「回路」は観ました。怖がらせるツボが、日本と欧米人では違うので、いつも雰囲気が大きく変わってしまう気がします。こんだけリメイクすれば、そのうち凄いのも登場するでは?とも思いますけど。(笑)
    全然話は変わりますが、フリードキン監督の「バグ」観ました。怖いです。エクソシストほどではないですが、久しぶりにフリードキンさんの良い映画を観た気がします。
    応援凸

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  10. >whitedog様
    そうですね、そろそろ満足できる
    リメイクをやってもらいたいですね。
    いっぺんデカイ音と怖い形相無しで
    作ってみればいいのですよ(笑。
    フリードキン監督の『バグ』レビュー
    読ませて頂きました。
    エクソシスト以来の狂気と怖さなの
    ですね。凄そう。とても気になります。
    周りはヘタなリメイクばっかやって
    ないで、こういう作り手を見習って
    欲しいものですね。
    応援どうもです♪

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