2008年8月9日土曜日

映画『宇宙大怪獣ドゴラ』 ・・・空飛ぶクラゲはダイヤがお好きなんだそうです

●原題:宇宙大怪獣ドゴラ
●ジャンル:SF/犯罪
●上映時間:83min
●製作年:1964年
●製作国:日本
●言語:日本語
●カラー:カラー
◆監督:本田猪四郎
◆出演:夏木陽介、藤山陽子、中村伸郎、ダン・ユマ、若林映子、藤田進、その他大勢

 夏といえば東宝のSF映画(笑)。SF映画といえばの怪獣ものはゴジラだけではないのだ。珍しい路線の怪獣もの。夏木陽介も出てるよ。


駒井刑事(夏木陽介)とダイヤGメンのマーク(ダン・ユマ)。マークのセリフ回しと全体に漂うギャグの空気がいい。

【ストーリー】
 宇宙センタで監視中の人工衛星が奇妙な音と共に出現した謎の物体に接触し消滅する。浮遊する宇宙細胞が大量の放射能を浴び突然変異を起こしたのだ。
 その頃、日本ではダイヤ強盗団が悪事を働いていたが、何者かにジャマをされてばかりで面白くない。一方では世界各国で彼らに覚えのない大胆なダイヤ強盗が多発し始め、世界のダイヤGメンに警察も捜査に追われていた。
 やがて世界中の炭鉱から石炭が大量に宙に吸い上げられる怪現象が多発するようになる。先の突然変異を起こした宇宙細胞がダイヤや石炭から炭素を吸収しエネルギーにしているのだ。このままでは人類が滅亡することを危惧する結晶構造学の博士は、自衛隊と共に宇宙細胞撃退に向け行動に移るのだが・・・・・・・。

【感想と雑談】
  昔の東宝SF映画はやっぱりいい。あの昭和のトーンに映える怪獣・怪人と人類の攻防する様が好きだ。

 本作はゴジラシリーズや他の怪獣ものと違い、町が破壊されパニックに陥る様よりも、人間が等身大に右往左往する様を重点的に描いている。しかもコメディ調だ。東宝の怪獣シリーズでは珍しいのではないかな。

 ダイヤ強盗団にダイヤGメン、日本の警察に自衛隊、美女に美女、そして貫禄ある博士らが登場し、軽快なテンポで展開していく。

 特に中心となって行動するのが、夏木陽介演じる駒井刑事とダン・ユマ演じるダイヤGメンのマークだ。妙に日本語堪能のマークに駒井刑事は翻弄されがちだが、これが漫才の掛け合いのようで楽しい。ダイヤ強盗団もそんなに悪そうに見えないし、エキセントリックなメンバを演じる天本英世がトドメを刺している。片や自衛隊の防衛指令を演じる藤田進が相変わらずの貫禄さというのも何となく可笑しい。

 肝心の大怪獣ドゴラ(劇中では宇宙細胞ドゴラと呼ばれてます)はクラゲのような姿をしており、全体の姿は合計数分しか登場しないものの、その姿は強烈なインパクトを残す。特撮はローテクながら咆哮も上げずに宙に漂う不定形な生物はとても不気味だ。伊福部昭の幽霊が出てきそうなBGMがこれに輪をかける(笑;。

 このドゴラ、北九州地区に出現すると、巨大な若戸大橋に巻き付いて上空に持ち上げてしまう。この場面を見て思った。『Xメン/ファイナルディシジョン』はこれをパクったに違いない。パクってないか?しかし、この若戸大橋周辺のミニチュアワークは素晴らしい。

 東宝SF映画の醍醐味、自衛隊の超兵器も地味ながら登場する。キャタピラ自走式のドゴラ撃退ガス噴射装置だ。東宝特撮お得意の複数台の配置から巨大感と奥行きを出している点は本作でも変わりはない。

 話しはドゴラとの攻防とダイヤ強盗団の暗躍が駒井刑事とマークを挟みながら並行して描かれ、クライマックスでは一気に全てが解決する。海辺でドゴラとダイヤ強盗団の双方が顛末を迎える様にはビックラする。そして爽やかに「終」の一文字が出て画面が暗転し終了。エンドクレジットが一切流れない時代であるな。

 怪獣自体、地味でイマイチかもしれないけど、全体的に観れば東宝SF映画の中でも小粒でありながら異色の面白さがある作品でありました。

 ゴジラシリーズ以外にも面白いSF作品は沢山ありますよ、ということです。

 ハリウッドはもうガッズィ~ラはいいから、こういう小粒の作品もリメイクしてみれ。宇宙大怪獣ドッゴォ~ラ。


ダイヤ強盗団の女(若林映子)に職務質問をする警官2人。ちょっと嬉しそう。この後去りながら、警官らは談笑する。「今の何者なんだ?」「動くベッドって感じだな。うわははは」。このスケベ警官め。


遂に姿を現した宇宙細胞ドゴラが若戸大橋を引っ張り上げる。Xメンにもこんなシーンなかった?マグニートが同じことしてた気がする。


これぞ東宝SFの醍醐味。本作では2機の自走式ガス噴射装置が登場。全体像が映らないのが残念。3本の足先にはキャタピラが付いていてカッコいいよ。

© 1964 TOHO CO.,LTD.
【出典】『宇宙大怪獣ドゴラ』/東宝株式会社

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4 件のコメント:

  1. 私の心をくすぐる映画を取り上げてくれましたね。いい偏りっぷりです。(褒め言葉ですよ)
    「ゴジラ」はもちろん別格として置いといて、東宝の特撮映画には良いものがたくさんあります。「ラドン」は泣ける怪獣映画の筆頭だと思ってます。「ガス人間第一号」なんて人間の「業」を見事に表現してくれています。
    まだまだたくさんありますが、キリがないのでこの辺でやめます。
    また、良い映画をたくさん取り上げてください。応援ポチ!!

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  2. >快福や様
    全読者様ドン引きかと諦めておりました。
    とても嬉しいです(笑。
    昔の東宝特撮映画は真剣に取り組む職人気質なところがなんともいえませんね。
    ラドンが吹き飛ばす民家の精巧さや結構尺のあるセット、ミニチュア感を補う為の遠近法など、どれも素晴らしいです。
    人間シリーズは最強の東宝SFですね。
    『ガス人間第一号』とは恐れ入りました。
    レンタルで『美女と液体人間』を見かけたので、次これいこうかな??
    総天然色のブログを目指したいですね(笑。
    応援どうもです♪

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  3. 何だか嬉しい♪ こうゆうの大好きです。この手で育ちましたし(笑)
    特撮特集希望! 応援でーす

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  4. >dolitea様
    この手で育ちましか!それは心強いですね。
    ちょっと考えようかな、読者様ドン引きの特撮特集を(笑;。
    応援どうもです♪

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