2008年12月21日日曜日

映画『薔薇の名前』 ・・・ショーン・コネリーとクリスチャン・スレーターが修道院で大活躍するんだそうです

●原題:Der Name der Rose
●ジャンル:ドラマ/ミステリー/スリラー/犯罪
●上映時間:130min
●製作年:1986年
●製作国:フランス/イタリア/ドイツ
●言語:英語/ラテン語
●カラー:カラー
◆監督:ジャン・ジャック・アノー
◆出演:ショーン・コネリー、クリスチャン・スレーター、ロン・パールマン、F・マーレイ・エイブラハム、ミシェル・ロンスデール、その他大勢

 だいぶ前にビデオで観ている作品ですが、謎解きとショーン・コネリーが面白かった!という思い出しかない作品です。調べてみると評判はかなり良いようです。これはいかんということで、今回DVDで観直すことにしました。

【ストーリー】
 中世1327年の北イタリア。山頂に構えるある修道院に2人の人物が到着する。修道士ウィリアムと修道士見習いのアドソだ。清貧論争という対立を起こしていたフランシスコ会と教皇庁側の2派が、この修道院で決着すべく会談することになり、その調停役としてウィリアムが呼ばれたのだ。理論的で優れた知性を持つウィリアムは信頼のできる男であった。
 しかし到着して間もない頃、ある写字生が謎の自殺を遂げたことを修道院長から知らされるウィリアム。窓も無い塔から投身したという有り得ない状況から悪魔の仕業という噂が広まっており、このままでは会談に影響しかねないと修道院長はウィリアムに真相の解明を依頼する。
 始めは断るウィリアムも、修道院に漂う不穏な空気を感じ始め、アドソと共に得意の推理力を働かせ捜査に入る。やがて図書館の翻訳担当と副司書が立て続けに遺体となって発見され、その指先と舌の先には必ず黒インクが染み付いていることが確認される。ウィリアム達は事件のカギが図書館に存在する写本であることを付き止めるのだが・・・・・・。



【感想と雑談】
 原作はイタリアの哲学者ウンベルト・エーコによる同名小説だ。ベストセラーらしいのだが、自分はこれっぽっちも知らなかった。哲学者が書いたものだから、やたら難解なのかといえばそうでもなく、純粋にミステリー小説として楽しめるらしい。本作を観る限りでは、重厚で史実を絡めながらも堅苦しい訳ではなく、知性を持った修道士が修道院で起きる怪死事件を解明するという、意外にエンターテイメントで面白い作品だと思う。かなり端折っているはずなので、合わせて原作を読めば更に楽しめそうである。

 冒頭、荒涼とした山道を修道士ウィリアムと見習いアドソが馬に乗って登場。こんな場所に一人放たれたら5分と持たないような冷たい空気漂う場所だ。丘の上まで来た二人を手前にずっと先に見える山。その山頂にそびえ立つ修道院。ガラスペインティングという手法で撮られた作品中唯一の特撮場面だ。いい感じである。

 修道院の麓まで来ると、下から見上げる塔や外壁がかなりの巨大感を持って映し出されるのだが、これらが全てセットというのが信じられない。てっきり昔から実在する施設を使っているのかと思った。二人が到着すると、巨大な門が開き、中から修道士らが水瓶を持ってお出迎えする。その場で手を洗い清める2人を見つめる修道士らの表情が危ない。

 修道院ってこういうところなのか、それとも何かを企み隠し持っているのか。敷地内に入るとこれまた広大なのだが、勿論これらも全てセットだ。教会堂や先の塔が威厳を持って存在している。空気も冷たくどんよりしている。こういう本物志向っていいと思う。

 鋭い洞察力を持ち理論的に物事を判断できる修道士ウィリアムがとにかく頼もしい。これを渋みの増した初老のショーン・コネリーが演じているのだから説得力がある。頼もしすぎる。不気味な修道院の中であっても一緒にいれば怖いもの無しだ。彼は正式にはバスカヴィルのウィリアムと名乗っているのだが、これって姓と名みたいなものか。

 それよりも、このバスカヴィルってシャーロック・ホームズの名作とされる「バスカヴィル家の犬」を連想させるものだそうで、まさにウィリアムがシャーロック・ホームズさながらの活躍をするという訳だ。勿論、自分は「バスカヴィル家の犬」なんてのもこれっぽっちも知らなかった(爆)。

 修道士見習いアドソを演じるのは当時15歳のクリスチャン・スレーター。これがデビュー作だ。見習い役ということで、頭頂部だけを剃って挑んでいる。非常に初々しいのだが、どこを見ているのかよく判らない空ろな表情。事件を追う途中でウィリアムと分かれたアドソは、厨房に隠れていた麓の村に住む娘とやってしまう。

 ここで、おや?と思うことが。以前、ビデオで観た時は二人の手前に花瓶が置いてあったはずなのだが、まったく出てこないのだ。どうやら、当時の表現の問題から検閲が入り、肝心な部分を隠す為の物体をはめ込まれていたらしい。昔の洋ピン映画か。というか、こんなことどーでもいいですね。

 話し戻って、後に大反省するアドソを温かく受け止めるウィリアムがまたいい。イカすぜコネリー。監督のジャン・ジャック・アノーはスレーターのことをえらく気に入ってたらしいです。・・・ん?まさか名前がクリスチャンだから??そんなベタなはずは。

 そうそう、あのロン・パールマンも出ているのだ。奇怪な風貌と言動から異端審問会にかけられる不運な修道士役で、元々それっぽいところに更に特殊メイクでパワーアップしてるものだからまさにドンピシャである。本作のせいで怪物役者として名が通るようになったと本人はボヤいていたらしい(笑)。彼を初めて知ったのが本作。好きな役者である。

 製作はドイツ人のベルント・アイヒンガー、監督はフランス人のジャン・ジャク・アノーで、ロケ地はイタリア。言語は世界配給に向け英語になっているが完璧ヨーロッパ映画だ。禁じられた笑いを写本に求めると罰を受けるという謎のシステムを探偵修道士が解いていくのが本筋で、ミステリーの王道を行く内容かもしれないが、その周りを史実通りのアイテムが固めている為、予備知識が無いと混乱の元となるかもしれない。自分は完璧にそうだった(汗;)。なので、清貧論争や異端審問辺りをおさらいしてみた。そしたらちょっとは理解ができ幅が出たような気がする。楽しめるかどうかは知識次第か(汗)。原作にチャレンジしてみようかな。

 最初に観た時は、本筋もわからないまま殺人のトリックやショーン・コネリーの印象のみで面白いと決め付けていたようだ。(←ダメな自分 笑;)

 偶然にもクリスマス時期にキリスト教絡みの作品を紹介してしまった。ホントに。でも中身はクリスマス気分を逆走させるようなものなので(笑)。



【出典】『薔薇の名前』/ワーナー・ホーム・ビデオ
© 1986 NEUE CONSTANTIN FILM PRODUKTION GmbH. All Rights Reserved.

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10 件のコメント:

  1. もうすぐクリスマスですね~
    今日は子供のプレゼントをかみさんと
    買いに行ってました!僕の上着を買いに行くという
    名目で(笑)

    行き帰りの車の中での会話は
    サンタの存在を信じる来年、中学になる上の子に
    どうやって本当の事を話すか?(笑)

    ちょっと長い時間、夢を見させ過ぎました(^▽^;)

    ショーンコネリーは渋いですよね!
    僕はザ・ロックのショーンコネリーが
    好きです!(^^♪

    今日も凸凸!

    返信削除
  2. >take51様
    こんばんは!

    クリスマスですねぇ。今年も早かったなあ。
    買い物も混雑してたんじゃないですか?大変だったでしょう(笑)。
    サンタの真実は年齢からしてアッサリ受け止めてくれないですかねえ。難しいかな??

    ショーン・コネリーはこの作品の直前までスランプ状態だったそうですよ。あんなに渋いのに信じられないですね。でもまあ、この後からまた出てくるようになったので良かったです。「ザ・ロック」も渋かったですね♪

    応援コメントありがとうございました♪

    返信削除
  3. こんばんは!
    薔薇の名前はショーン・コネリーかっこいいとしか覚えて無かったのですが、ロン・パールマン出ていたんですね~。これは早速再度見なくてはいけませんわ。ヘルボーイ2公開も、もうすぐだから楽しみですね。

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  4. どーもー紅井です★

    俺もロン・パールマンを初めて知ったのがこの映画でした。

    登場人物の衣裳が皆同じ様な感じなのにキャラがそれぞれ個性的で引き込まれました。

    あの重厚な建物がセットだったとは・・・
    まさに映像マジック!
    外に積もった雪もポイント高いですね。

    ヘル・ボーイ大好き!
    早く観たいぞTHE GOLDEN ARMY!

    いつもポチッと応援中です~。

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  5. こんばんは!

    わたしもこの映画ずっと以前に観てるのに、内容を良く覚えてません(^-^;)
    中世ヨーロッパの僧院というのに馴染みが無さ過ぎたせいなんでしょうか。
    中世ヨーロッパ僧院ものといったジャンルでもあれば、馴染みの世界になるんですけどね。
    でもわたしはこの本読みました♪
    衒学趣味を剥がせば、なかなか面白く出来たミステリだったという記憶があります。

    これ、ロン・パールマン出てましたか。わたしは異形の俳優って結構好きなんですよね。
    使い方が難しい俳優かもしれないけど、いろんな映画で出てきて欲しいと思います。
    ショーン・コネリーははまり役ですね。画像を観ただけでも適役だってオーラが出てますもの。

    応援ポチしてきますね☆

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  6. >lifeonmars様
    どうもです!

    ロン・パールマン、出てましたよ~♪
    ショーン・コネリーの影に隠れちゃったかな。
    結構味のある演技してたのですがね(笑;)。
    ぜひぜひ再見してみてください。DVDには
    特典映像が充実していて見応えありますよ。

    「ヘルボーイ2」は来年早々でしたかな?
    楽しみですね。1をおさらいせねば!

    応援コメントありがとうございました♪

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  7. >Benny様
    どうも!!

    修道院って個性のない場所ってイメージでしたが、仰る通りどのキャラも立っていてわかりやすかったと思います。今でもあんな修道院があったりしたら嫌ですけどね(笑;)。

    そうなんですよ、あれ全部セットなんだそうです。結構ハリボテだったらしいですが、そんな風には見えなかったですね。スモークとか焚いて幻想的にも見せてましたが、これが粗隠しにもなっていたのでしょうね。

    「ヘルボーイ2」、ギレルモ監督がまたどんな映像を見せてくれるのか楽しみです♪
    ロン・パールマン絶好調です(笑)

    いつも応援コメントありがとうございます♪

    返信削除
  8. >薄荷グリーン様
    どうもです!!

    同じく覚えておられませんか^^。
    いい映画だと思うのですが、中世のしかも坊さんしか出てこない内容では、記憶も薄れ易いのかもしれません。たしかに中世ヨーロッパ僧院ってジャンルがあれば、普通に語れるのかもしれませんね。肩が凝りそうですが(笑)。

    原作読まれましたか!私もちょっと気になるのですよ。でも長編なんですよね?PCから長期間離れないと難しいかもしれません(笑;)。

    このロン・パールマンを初めて見た時、あの顔が素なのかメイクなのかわからなかったのです。で、その後に他の作品でも見かけるようになって、ああ素だったんだ、と納得したのですが、今回特典映像を見たら思い切り特殊メイクしてました(爆)。鼻を拡張してます。ホントに凄いと思うのは、メイクに負けないくらいの演技をするとこなんですね。凄く見入ってしまいます。いい役者さんです。

    この頃のショーン・コネリーはカッコよかったですね。最近どうされてるのでしょう。かなり高齢かと思うのですが、元気でいて欲しいですね。

    いつも応援コメントありがとうございます♪

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  9. 今晩は☆彡ちょっぴりご無沙汰しちゃって
    スミマセヌm(__)m
    WOW~!!!! ページTOP。。。
    激変してますネ~♪素敵ですぅ~!!(*´∀`´∀`*)!! 
    煌めくネオンの街。。。上空高く、降りゆく雪の中を可愛いお顔のサンタさんが
    これまたチャーミングゥ~な
    トナカイさん達と共に今ソリで、駆け抜けていくぅ~♪
    そして、そんなめくり行く状況に多少焦りつつも
    じっと次の展開を待つ謎の男。。。♪
    ってな勝手な見解で楽しませて頂まぴた♪
    いやいや~本当に尊敬☆彡
    THE・エンターテイナー、umetramanさま♪
    素敵なクリスマスをお過ごしでしたか?
     そして。。クリスチャン・スレーター
    のうる若さに。。。
    2度目のWOW!!!・・出ました~♪
    心からの応援ポチさせて頂きました♪(。>ω<。)ノ

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  10. >RUBY♪様
    どうも!

    ご無沙汰です^^
    ここのところ帰宅してはすぐ寝てしまうという毎日でした(爆)。そろそろ復活せねば。
    TOP画、時期過ぎたというのに放置状態でした。あとプロフィール画も(笑;)。いっそのこと来年版とか言ってこのまま置いといてもよかったかな。
    楽しんで頂けたようでよかったです。謎の男も喜んでいると思います(笑)。

    クリスチャン・スレーター、若すぎですね。この時、未成年だったので母親同伴で撮影に入っていたそうですよ。最近のオッサン状態もこんな時代があった訳ですな(笑)。

    次は正月ですね。更新が更に滞りそうな予感です(汗)。なんとか頑張りたいと思います~(^ω^;)。

    ダブルWOWに応援コメントありがとうございました~♪またお邪魔しますね。

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