2011年5月7日土曜日

映画『新しい人生のはじめかた』 ・・・ワケあり米国男がワケあり英国女と出会います

●原題:Last Chance Harvey
●ジャンル:ドラマ/ロマンス
●上映時間:93min
●製作年:2008年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジョエル・ホプキンス
◆出演:ダスティン・ホフマン、エマ・トンプソン、アイリーン・アトキンス、キャシー・ベイカー、リアール・バラバン、その他大勢

 GWもそろそろ終わりですね。皆さんのGWはいかがでしたか?私は見事カウチポテトなGWをキメてやりました。自信を持って言い切ります(笑)。
 さて、今回もまた大人チックなロマンス作品です。SF、アクション、エロ要素は皆無なので、ご承知おき下さい。

【ストーリー】
 イギリスはロンドン。アメリカから娘の結婚式にやってきたCM作曲家のハーヴェイ。離婚後に離れ離れになっていた娘との再会に喜んだのも束の間、その後には地獄が待っていた。娘を取り囲む新たな環境に馴染めないわ、娘からは結婚式のバージンロードは今の父親と歩くと言われるわ、突然アメリカの職場からクビを言い渡されるわで散々な目に会う。意気消沈で空港のバーでヤケ酒を飲むハーヴェイだが、隣の席に座る一人のイギリス人女性が目に止まり・・・。

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【感想と雑談】
 今回も大人のロマンスものです。なんだか最近こんなのばっか観てる気がしますが、なるべく幅広く観ることを宣言してますので、不思議に思わないで下さい(笑)。
 
 こういうミドル層以上が活躍するロマンスものっていいですよね。若い世代ほどの元気や勢いはないけども、積み重ねの人生が醸し出す味わいや奥深さがあると思うんです。
 
 アメリカ人男性のハーヴェイとイギリス人女性のケイトを、それぞれオスカー俳優のダスティン・ホフマンとエマ・トンプソンが演じています。渋みが滲み出た静かな演技には目を見張るばかり。ある意味、熱いバトルとも言えましょう。
 
 ハーヴェイはCM作曲の仕事が若手進出により上手くいかない状況に置かれています。そんな時にイギリス在住の娘の結婚式にウハウハ出向きますが、離婚してからの娘や元妻の境遇を見て自分が非常に浮いた存在であることを痛感します。そして、娘からはヴァージンロードを一緒に歩かないと宣告され、同僚からは仕事が無くなったとのトドメの連絡を受けてしまい、人生最悪の見本市がオープンします。その後、失意どん底で空港のバーに立ち寄ると、ある一人のイギリス人女性が目に入ります。

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 一方、ロンドン在住の独身女性ケイトは空港の公共統計局で働いていて、母親や同僚から相手のことを心配されまくりの毎日を送っています。もう若くないケイトは同僚から紹介された男性とデートをしても、全て諦めているかのように消極的な態度で終わらせてしまいます。ある日のこと、空港のバーで休憩していると、隣でヤケ酒を飲んでいたアメリカ人に声をかけられます。
 
 空港のバーでの出会いから二人の話は発展していくのですが、それまでの二人のそれぞれのエピソードの中で、実は細かい接点が描かれていたのは上手いと思いました。ちゃんと会話もしてるし、同じタクシーを乗り降りしたりと、これからの二人を暗示しているかのようです。バーでは、ハーヴェイが以前、空港でケイトからのアンケート協力を拒否したことを思い出し侘びを入れるのですが、ここで思ったことをハッキリ言ってくるケイトに関心を持ち始めます。ここから始まる二人の応酬は素晴らし過ぎます。
 
 二人ともオスカーの底力というやつでしょうか、ダスティン・ホフマンは信頼と安心の演技で納得ですが、ここではエマ・トンプソンの自然すぎる超絶演技に軍配を上げたいと思います。初めケイトは読書中に気安く声をかけてくるハーヴェイを相手にしませんが、陽気で押しが強いくせにどこか影を持ったところに興味を持ち始めます。今までの男性には無かった可笑しいネタ振りに、ケイトは静かに反応し始め、終いにはハーヴェイと1日付き合うことになります。この時のエマ・トンプソンの加速していく内気で静かな演技は圧巻。無邪気な可愛らしさを垣間見せたり、女性として立ち直っていく姿もさりげなく演じていて実に素晴らしいです。ビバ!トンプソン。

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 また、合間に描かれるケイトの母親のエピソードもなかなか面白かったです。隣に越してきたポーランド人男性の行動が気になって仕方がない母親は、この隣人が庭先で人間サイズの袋を担いでいるのを見て殺人鬼だと思い込んでしまいます。これには実はちゃんと納得できるオチが用意されていて、なんともホノボノとした気分に浸れます。肝心の二人のエピソードを食ってるかもしれません(笑)。
 
 ラスト、ハーヴェイのある行動に対しケイトはこれまで抱いてきた異性に対する心情を激白します。別に特別なことでもなく、こういう思いを持つ人は沢山いるのだろうと思います。これを乗り越えようとするケイトと、それを受け止めラストチャンスとして頑張るハーヴェイには、せひ万歳三唱で見送ってあげたいと思うのです。
 
 地味なんですけどね、じっくり観ると実は結構なパワーを秘めた作品なんだと思います。それと、アメリカ人とイギリス人のバトルでもあるので、同じ英語でもアメリカ訛りとイギリス訛りの対比がとても鮮明で面白いです。吹替えで観るとこの魅力は全滅してしまうので、字幕版をぜひお薦めしたいです。

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 因みにこの時、ダスティン・ホフマンは71歳、エマ・トンプソンは49歳だって。若々しいなあ。この二人の共演作は他にもあるみたいなので、またチェックしてみたいと思います。 

(C)2008 Overture Films,LLC. All Rights Reserved.
【出典】『新しい人生のはじめかた』/ビクターエンタテインメント

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