2008年7月12日土曜日

映画『さまよう魂たち』 ・・・マイケル・J・フォックス主演で贈るホラー・コメディなんだそうです

●原題:The Frighteners
●ジャンル:コメディ/ファンタジー/ホラー/スリラー
●上映時間:110min
●製作年:1996年
●製作国:ニュージーランド/アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ピーター・ジャクソン
◆出演:マイケル・J・フォックス、その他大勢
◎評価:★★★★★★★★☆☆

 もうだいぶ前のこと。『バッドテイスト』や『ブレインデッド』がスーパーストライクゾーンにいた自分にとって大朗報が届いた。通勤電車の中で愛読していた週間モーニングにピーター・ジャクソン監督の新作情報が載っていたのだ。なになに『さまよう魂たち』?写真を見てみるとどっかで見た顔が。なに!主演がマイケル・J・フォックスなのか。しかも製作がロバート・ゼメキスときている。素晴らしい布陣である。とても嬉しかった。内容に目を向けると、マイケル・J・フォックスが幽霊と盛り上るようなことが書いてあった。・・・大丈夫なのか。公開されると早速観に行ったのだが・・・。


フランク役のマイケル・J・フォックスと、ルーシー役のトリニ・アルヴァラード

【ストーリー】
 ニュージーランド。幽霊と交信ができるフランクは3体の幽霊とグルになって悪霊祓いをしては金を巻上げる生活をしている。ある日のこと、運転を誤り車を家に突っ込ませてしまったフランクは住人の女医ルーシーと知合いになる。ルーシーは屋敷に幽閉されるかつての連続殺人鬼の恋人パトリシアの往診を行っていた。フランクは家の修理代をチャラにする為、悪霊祓いを仕掛けるが、その際にルーシーの夫の額に数字が浮かぶのを目撃する。そして、その翌日ルーシーの夫は心臓発作で急死してしまう。ここ最近、町では心臓発作による突然死が多発し不穏な空気が流れていたのだ。
 独り身になったルーシーの相談に乗る為レストランに来たフランクは、偶然トイレに出現した悪霊が額に数字が浮かんだ男の心臓を握り潰すところを目撃する。慌てて追跡するフランクは美術館に悪霊を追い込むが、またもやそこでも同様な手口で来客が悪霊にやられる。
 現場にいつも現れるフランクは警察にマークされるようになり、FBI捜査官ダマーズの登場によって遂に逮捕される。そして執拗な追及に疲れ果てたフランクは一連の怪死事件は自分の仕業と認めてしまう。
 一方、ルーシーはフランクが犯人でないことを確信し行動に移る。やがてパトリシアの屋敷に何かあることを掴んだルーシーは何とかフランクを助けようとするのだが・・・・・・。

【感想と雑談】
 凄く面白いよ~これ。劇場で初めて観た時、料金の元以上は取ったと思ったもの(笑)。

 ピーター・ジャクソンといえば、『バッドテイスト』や『ブレインデッド』のヒドイ系に、『ロード・オブ・ザ・リング』や『キングコング』の感動系と、両極端な作品群で人気が出ているようだけど、その中間位置にあたる本作が意外と評価されていないのが悲しい。誰に聞いても知らないと言われるんだこれが・・・。

 ロバート・ゼメキスとマイケル・J・フォックスによって初のハリウッド映画となったこのピーター・ジャクソン監督作は、絶妙なバランスに仕上がった娯楽作品だと思う。

 ゾンビやスプラッタ畑の雄ピーター・ジャクソン監督に、お得意のブラックユーモアで味付けとフィルタリングを施すロバート・ゼメキス、そして、いつもの調子でかましまくるマイケル・J・フォックス。奇跡の3本柱。楽しさ満点の仕上がりだ。

 舞台となるのはピーター・ジャクソン監督の故郷ニュージーランド。海に面した広大な丘や、自然の風景が実にいい感じである(引用①)。

 心臓発作による死亡事故が多発するようになったある町で、マイケル・J・フォックス演じる霊能者が今になって過去の忌まわしい事件に巻き込まれていくのだが、この展開の至るところで関係各位の持ち味が見られるのがとても楽しい。

 マイケル・J・フォックスが相棒にする3体の幽霊の特殊メイクにリック・ベイカー、幽霊や悪霊を映像化する工房にWETAデジタル、音楽にダニー・エルフマン、などなど。結構豪華なんじゃないか。

 また役者でいくと、マイケル・J・フォックス以外にも、連続殺人鬼役にジェイク・ビジー、神経質なFBI役にジェフリー・コムズ、墓場のやかましい番人役にリー・アーメイなど嬉しい布陣だったりする。んが、実はこれ以外に、ごっつヒットした女優が出ているのだ。

 その女優とは、ディー・ウォーレス

 『E.T.』でヘンリー・トーマス演じる少年のお母さん役をやった人なのだ!『E.T.』ではキレイなお母さんだなあと、(´ω`)になったものだが、その後忘れかけていたところに再び会えたのである。ディー・ウォーレス(引用②)。オバサン進行中。本作では意外なキー役として最初から最後まで活躍(?)するので、かつてのキレイなお母さんに脳内変換しながら観るのがとても忙しかった(←アホ)。
ちなみに、最近の写真を見たら女優のヘレン・ミレンみたいになっていた。時代であるな。うむ。

 ピーター・ジャクソン監督は元々、畳み掛ける映像作りで楽しませるのはお手のものだったけど、本作ではゼメキスとのタッグから更に楽しませようとする思いが伝わってくる。悪霊とのカーチェイスや墓場での銃撃戦などのアクション的なものから(引用③)、タイムリミットを課せられた救出劇や廃墟となった病院でのトリッキーな構図交えてのサスペンス的なものまで見せ場が色とりどりだ。しかもどんでん返しもあり、ラストはきっちりとまとめてくれる。

 所々にちょろっと残酷描写が入るのは、監督のいい悪趣味が出ているということで(笑(引用④)。

 本作は興行的には失敗したようだけど、それまでのピーター・ジャクソン監督の認知度からすると仕方なかったかもしれない。これから再評価されるといいなあ。

 ちょっとくらいの残酷表現と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がOKな方なら、十分楽しめる傑作だと思いますよ。

 ニュージーランドは映画制作に寛大らしいので、きっと才能が育つのだろうね。今では世界のピーター・ジャクソンとWETAデジタルになってるからね。ホントいい国だなあ、ニュージーランド♪


①これがニュージーランドの景色のいい丘(墓地だけど)。ちょっと雨模様だけど晴れたらもっといい景色なんだろうな。


②出ました。このお方がディー・ウォーレスです。ETのお母さんですよ、ETの。懐かしいですね。この他にも『ハウリング』とか『クジョー』とかいう動物ホラーものに縁がある女優さんのようです(笑)。


③ルーシーの命を狙う悪霊を幽体離脱したフランクが瀬戸際で食い止め、ルーシー自身もダマーズから身を守ろうと奮闘する様子。2つの攻防を同時に収めた凄まじい構図。最強です。


④ピーター・ジャクソン風味がこの後訪れます・・・。気持ちエグイです(笑;)。

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【出典】『さまよう魂たち』/ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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10 件のコメント:

  1. はじめまして。
    そして、遊びに来ていただきありがとうございました。

    この作品ですが、知ってはいましたが観ていないですね。
    マイケルJフォックスってところも、興味が引けます。
    先ほど、利用のネットレンタルで早速予約とうろくしちゃいました(笑)

    ピーター・ジャクソンの『ブレインデッド』は私のホラー歴で、1,2を争う名作ですね。でも、今DVDとかプレミア付いているみたいですね。久しぶりに見たいのですが、探してもないですねぇ・・・。

    応援ぽち!

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  2. >とら次郎様
    こんにちは。こちらこそ訪問ありがとうございます!
    この作品、近くにいる人は間違いなく”なにそれ?”状態でしたから(笑;。
    知っていてくれるだけでも嬉しいです。
    おお、予約されましたか。ぜひ感想聞かせて下さいね♪
    しかし、ジャクソンの初期映画、ホント見かけないですよね。ビデオ時代は簡単に観られたのに・・・。

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  3. ピーター・ジャクソンの作品って「ロード・オブ・ザ・リング」しか見た事ないのでちょっと興味が出ました。

    でも私の住んでる辺りじゃレンタルでは無いだろうな~。

    応援ポチ♪

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  4. >dai様
    ピーター・ジャクソン、結構ボンクラ男なのですよ(笑。
    結構ゾンビにスプラッタ派だったりして。
    『さまよう魂たち』はメジャー作品なので
    DVDは売ってますし、レンタル屋にも大抵
    は置いてあるはずですよ。
    季節的にも丁度いいので、もしあったら
    観てみてくださいね♪
    応援どうもです!

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  5. ブレインデッド、DVDは今3万円以上するんですよね。
    欲しいけど、そんなにお金出せないす。
    ちょうどジャクソンが指輪撮っていたとき、ニュージーに1年ほど住んでました。
    いくら狭い島でも、さすがに会えませんでした。残念。

    ジャクソン監督は『乙女の祈り』も良い映画でしたよ。少女時代のケイト・ウィンスレットが出てるやつ。

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  6. こんにちわ、初めて飛んできました。
    長文コメント有難うございます。
    弊ブログの様な駄文垂れ流しのブログに
    比べ凄まじい情報量。
    圧巻です。
    個人的には万年子役のJ・フォックスが主演
    というだけで敬遠しそんな映画ですが、
    観たいな、という気になりました。
    知らなかったお宝が身近にあった、
    そんな感じのブログですね。
    これからも宜しくお願いします。

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  7. >P様
    そんなに高騰してるのですか!
    一時レンタルにもDVD並んでました
    よね??再販してくれないかな・・・とほほ。
    なんと、ニュージーランドに住んでいた
    のですか@@羨ましい。ジャクソン像は
    立たなかったですか?(笑。
    ニュージーランドはジャクソン映画でしか
    見たことないのですが、随分景色がいい
    ところですよね。行ってみたいです。
    『乙女の祈り』ありましたね。
    実はこういう作品が一番オイシイのかも
    しれませんね。観直してみようかな~。

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  8. >ハルゥ様
    コメントありがとうございます。
    とりとめもなく書いてしまうので、
    情報量というかただの長文になってる節が
    あります(笑;。
    でもそう言って下さると凄く嬉しいです。
    ハルゥ様も個性的なブログで素晴らしい
    ですよ。人それぞれ個性があって面白い
    ですよね。
    『さまよう魂たち』は気が向いた時に
    でも観て下さいな(笑。
    こちらこそ、これからもよろしくお願い
    致します♪

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  9. すっごく面白そうな映画ですねぇ。
    マイケルジェイフォックス、どうしても永遠の高校生のイメージが。
    今は、パーキンソン病と闘っていますが。。。
    ところで、ニュージーいいですよね。
    個人的にオーストラリアよりニュージー派です。ニュージーの人は素朴で優しい方が多いような。
    行った事ないんですけどね…

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  10. >リカー子様
    面白いですよ!『さまよう魂たち』。
    いいですよね、ニュージーランド。
    行ってみたいですよ、ホント。
    フル邦題がやたら長い『マイドク』も
    ニュージーランドでしたね(笑。
    一時流行りました。
    ニュージーランドは地名の響きにも
    惹かれますね。

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