2008年5月18日日曜日

映画『エイリアン2 完全版』 ・・・夢のプロップ大放出です

●原題:Aliens
●ジャンル:アクション/ホラー/SF/スリラー
●上映時間:154min(完全版)
●製作年:1986年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジェームズ・キャメロン
◆出演:シガニー・ウィーバー、その他大勢
◎評価:★★★★★★★★★☆

 大好きなこの1本。
 もうこの映画、有名すぎて今更あーだこーだ言うのもあれなんで、ちょっとの雑談と完全版のお気に入りのシーンについていくつか書こうと思う。

 この映画、非常に地に足の着いたSFアクションである。

 必然性のある設定、行動、プロップ等が劇中に満遍なく配備されていると思う。現実世界を基点に、起こりえる未来の姿を限界ギリギリまで描いてる感じだ。

 ジェームズ・キャメロンは非常にディティールに拘る監督なので、もの凄くガチガチに撮っていて隙が無く、しかも重量感に溢れている。画面がいつも青みがかっていて鋼鉄っぽいイメージがあるので、自分は勝手に鋼の演出家と呼んでいる(笑)。

 元々美術や特撮を担当されてきた経緯もあって、プロップのデザインを自ら行ったり、映像技術や劇中に登場する技術の考証に関しても当時の最先端のものを力いっぱい取入れたりと、がんこ職人気質が滲み出ている。不朽の作品が多いのも頷ける。

 ということで、記憶に残るものから残らないものまでこれはというシーン、しかもメカ寄りのものを紹介してみよう。

①脱出艇のハッチぶった切り
 冒頭、57年間漂流してきたリプリーの載る脱出艇が、運良く通りかかった地球からのサルベージ船に回収される。ここで脱出艇のハッチがレスキューロボット(たぶん)によって強制的に切断されるシーン。アホみたいにウィ~ンとハッチが開かないところがミソだ。本筋にまったく関係ないこういうシーンでも拘り全開だ。火花の感じからCOレーザーによる切断だと思われるが・・・。
 ドロスも発生せずキレイに切断されていくハッチ。レーザー出力、周波数にデューティ、酸素量、そして切断速度が適切かと思われる(たぶん。


②バークとのテレビ電話
 毎晩夢にうなされるリプリーが再度エイリアンとの対決を決意し会社代表のバークにテレビ電話をかけるシーン。バークの視線からすると、ちゃんとカメラとモニタの位置関係を意識した演出となっている。何も考えていない作り手の場合、映る相手はカメラ目線で話しかけてくるはずだ。間違いない。小型だがワイド画面のブラウン管がイカス。


③日常的なパワーローダー(歩行式フォークリフト)
 本作のクライマックスでリプリーがクイーンエイリアンと対等に戦う為に用意された最強プロップのパワーローダー。これは本来の貨物移動用として利用されている姿。現存のフォークリフトを基に実用性とSF性を考慮してデザインされている。本作専用に制作されたというのに余計な演出はせずに、宇宙戦艦スラコ号内部で日常的にカーゴやミサイルを運び、そのすぐ脇を兵隊が歩き通るだけ。どこにでもある町工場の日常風景だ。ちなみに元々シド・ミード先生がデザインしていたのをキャメロン監督が却下。”俺がデザインする”とのたまう。
 パワーローダーの足元アップ。現実の工事現場でもお馴染みのイエローブラックで配色された上に長年使用されてきた証の細かい凹みやキズが見られる。本当にどっかの工事現場から持ってきたんじゃないの?姿がすっぽり収まったシーンよりも、その圧倒的な存在感がにじみ出たまさに地に足が着くシーンだ。


④電子見取図
 惑星アチェロンの居住区にある中央制御室。ここでリプリー一行がエイリアンからの襲撃に備えるべく、居住区の見取図を吟味しているシーン。マイクロフィルムの青焼き図面をそのまま投影している雰囲気だが、そのシンプルさが画面を引き立てている。アホで派手なCGを使ったら一貫のお終いだ。
 電子見取図は外付けのコントローラで操作する。非常に実用的で実際の現場でも十分通用しそうな無骨なデザインだ。


⑤セントリーガンのコンソール
 ターゲットを補足すると自動的に掃射するセントリーガン。これをリモート制御するコンソール一式の登場シーンだ。このデザインセンスは当時の軍用のものとして存在していたのか不明だが、当時のパソコン業界ではまだラップトップが出るか出ないかではなかったか。そんな時代にこのノートブックPCを彷彿させる先取りし過ぎのデザイン。公開版でカットされたのが惜しまれる。
 画面もWindowsみたいに派手ではなく、レイアウトは固定され最低限必要なメニューが配置されているだけだ。アホなCG画面でなくて良かった。その場に応じた設定を行いエイリアンを撃退する。大量出現するエイリアンに掃射中、激減していくカウンタ表示がとてもサスペンス。


<追記>
 本作よりも2年前に製作された『2010年』('84)に、既に主人公がノートブックPC(アップル社製マッキントッシュ)を使用するシーンが存在してました。ずいぶん前からノートブックPCは実用化されてたのですね。しかし、本作のコンソールの方が質実剛健でカッチョいいイメージ。

⑥アンテナ基地の制御盤
 惑星アチェロンから脱出すべく着陸船を呼び寄せるがエイリアンの襲撃から墜落し大破してしまう。リモート操作で宇宙戦艦スラコ号から予備機を呼び寄せたいが中央制御室からは直接操作が出来ない。ということでアンテナ基地局までビショップが移動し、制御盤内を調整したり持参したコンソールを繋ぎこむシーン。大容量通信と品質を確保する為に使用されるのは光ケーブルだ。とても鮮やか。こういう技術的で細かい演出がとても素晴らしい。核爆発まであとわずかというタイムリミットも重なってサスペンスな展開にもなっている。


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【出典】『エイリアン2 完全版』/20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン

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