2008年5月22日木曜日

映画『タイム・アフター・タイム』 ・・・未来のアメリカでH・G・ウェルズVS切り裂きジャック

●原題:Time After Time
●ジャンル:アドベンチャー/SF/スリラー/ロマンス/ドラマ
●上映時間:112min
●製作年:1979年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ニコラス・メイヤー
◆出演:マルコム・マクドウェル、その他大勢
◎評価:★★★★★★★☆☆☆

 シンディ・ローパーの歌を思い出した方、たしかに懐かしいですね。でも本作もずいぶんと懐かしい映画ですよ。

【ストーリー】
 1893年のイギリス。霧の都ロンドン。ある夜、アホそうな娼婦が一人ブラブラしていると男に声をかけられる。金貨を渡されウハウハ気分になった娼婦だが、裏路地に入った途端、男に腹を裂かれ殺されてしまう。
 それから間もない頃、作家であり科学者でもある男H・G・ウェルズが自作のタイムマシンのお披露目パーティを開いていた(引用①)。目を丸くする友人達と地味に盛上っていたところだが、突然の警察の訪問でパーティが台無しになってしまう。警察は切裂きジャックがまた現れたので捜査に協力して欲しいと言う。”物騒な世の中だぜ”とウェルズ一行が盛り下がっていると、招いた友人の外科医スティーブンソンの鞄から血まみれの手袋が発見される。スティーブンソンが先のアホ娼婦を殺害した連続殺人鬼切り裂きジャックだったのだ!
 慌てて家中を探す警察だが既にスティーブンソンの姿はなかった。何故ならスティーブンソンはタイムマシンを使って未来にワープしてしまったからだ。
 殺人鬼を未来に送り込んでしたったのは自分のせいだと反省するウェルズは、安全装置によって無人で戻ってきたタイムマシンに乗込み、スティーブンソンを捕らえる為に操作パネルに設定されたままの時代へと向かう。
 そこは1979年のアメリカ。H・G・ウェルズ展を開催していた博物館にワープしたウェルズ。”これが未来かよ♪”と感心しながらも、まずはイギリス銀行に向かい、スティーブンソンが換金しに来たか探りを入れる。するとそこの換金担当の女エイミーに一目惚れされナンパされるウェルズ。その日のうちに家に招かれベッドイン。早すぎるだろ。
 勿論、スティーブンソンは換金に来ていた。その時にエイミーは宿泊先も聞いていた。ウェルズは早速宿泊先のホテルに乗込むが、スティーブンソンと対面しながらも結局逃がしてしまう。その後、ウェルズとエイミーの関係を知ったスティーブンソンは、エイミーを人質にしタイムマシンで別の時代に逃亡することを計画する。果たしてウェルズはスティーブンソンを捕らえることができ、そしてエイミーを無事に救うことができるのか・・・。

【感想と雑談】
 なかなか良い映画である。
 イギリスに実在した作家H・G・ウェルズと伝説の殺人鬼である切り裂きジャックを絡めたSFファンタジースリラーである。切り裂きジャックを題材に入れながらも血まみれは殆ど無く、19世紀の男ウェルズがタイムトラベラーお約束の珍行動を取りながらも殺人鬼を懸命に追跡し、その一方で現代のアメリカ女性に困惑し感動する様を描いている(引用②)。

 冒頭では娼婦を殺人鬼の視点で追っていき、いきなり殺人の様子を描くのだが、目を見開く娼婦の顔面ドアップだけという想像におまかせモードとなっていて、それからは、ほぼウェルズの視点で追跡劇が描かれることになる。暴力こそ未来の姿と訴える殺人鬼のスティーブンソンにウェルズは反対していたが、実際行ってみるとその通りなのでガックリくるウェルズだ。しかし、そこで出会うエイミーが現代流の女をアピールしながらも心を癒してくれる存在だったりする(引用③)。このエイミー、アメリカ女にしてはオットリ口調でややとぼけた性格をしているので、殺人鬼が暗躍する一方でお笑い要素ありのラブストーリーも味わえる展開になっている。

 なかなか小技の効いた傑作だと思う。タイムマシンの特撮も静止画に光学合成というスーパーローテクなのだが、これも味わいというものだ。昔はよくテレビ放映されていたのだが、またやってくれないものか。しょーもないバカ大作に安いドラマの延長みたいな邦画ばっか流してないで、こういう作品をもっとやるべきだろう。

 監督はニコラス・メイヤー。本作が初監督のようだ。なるべく各キャラクタに特徴を持たせ判り易くしたそうで、最近観た『ロードオブザリング』については誰が誰だか判らんので全員に名札を付けてくれ、と怒ってらっしゃった(笑)。
 H・G・ウェルズを演じるのはマルコム・マクドウェル。『時計仕掛けのオレンジ』の印象が強烈だが、本作ではイギリス紳士という正反対の役柄を好演している。これまでのイメージを払拭する為に本作の出演を決めたそうだ。悪役専門の役者が善人役をやるとこれまた味わい深い。
 殺人鬼スティーブンソンを演じるのはデビッド・ワーナー。実力派の舞台俳優だそうだ。『オーメン』で首チョンパされるカメラマン演じてた人(引用④)。
 銀行に勤める女エイミーを演じるのはメアリー・スティーンバージェン。後の『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』でドクの恋人役を演じていて、間違いなく本作の影響によるものである。面白いのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』では逆に彼女が過去の西部の時代で現代のドクを迎えるところだ。
 音楽はミクロス・ローザ。思い出すのが『ベンハー』なんだけど、本作でも力強い壮大なメロディを聴かせてくれます。

 なんだかまた『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズが観たくなってきたぞ(笑)。


①レトロフューチャーなタイムマシン登場。半信半疑なパーティの来客達。紳士の国なのでタイムマシンにタックルとかしない。


②未来のアメリカにワープしたウェルズ。そこはとても文明の進んだ世界だった。オネーチャンもこんな格好だし。透明パンツをすかさずメモるウェルズ。


③銀行の換金担当エイミー。一瞬でウェルズに一目惚れ。決して美人ではないのだが結構クセになる存在だ。 ドクの恋人。


④ついにエイミーが人質になってしまった。タイムマシンの鍵をよこせ!とスティーブンソンがウェルズに迫る・・・。


Time After Time, Artwork&Photography © 1979 Warner Bros.
【出典】『タイム・アフター・タイム』/ワーナー・ホーム・ビデオ

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