2015年3月22日日曜日

映画『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット』 ・・・先住民の聖地にファストフード店を出したら呪われてしまいました

●原題:Poultrygeist: Night of the Chicken Dead
●ジャンル:コメディ/ホラー/ミュージカル
●上映時間:103min
●製作年:2006年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ロイド・カウフマン
◆出演:ジェイソン・ヤチャニン、ケイト・グラハム、ロビン・L・ワトキンス、アリソン・セレボフ、ジョシュア・オラタンデ、ローズ・ガバミ、ロン・ジェレミー、ジョー・フライシェーカー、ロイド・カウフマン、その他大勢

 暖かくなりましたね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか?そろそろ桜の時期でもありますね。お花見全開といきたいですが、花粉症がそれを許さないという。
 今回はそんな時期に相応しい?どうしようもないホラー作品です。

【ストーリー】
 アメリカの田舎町トロマビル。先住民の聖地にファストフード店が出店され、地元住民らは抗議運動で盛り上がる。そのさなか、青年アビーは恋人ウェンディがレズに走っているのを目撃。ショックを受けたアビーは、ファストフード店に就職し男を磨くことでウェンディを取り戻すことを決意する。その一方、先住民の呪いによってファストフード店では血生臭い事件が勃発し、やがてアビー達にも魔の手が忍び寄る・・・。



【感想と雑談】
 製作会社トロマ映画によるバカホラー作品です。久々にこの系統を挙げることにします。伝説の同社作品『悪魔の毒々モンスター』('84)から22年ほど経って製作された作品ですが、その作風といいますか、志といいますか

 相変わらずヒドイです。

 とにかくバカでエロでグロで汚い作りには、逆に潔さを感じるし、安心もしてしまいます。何度もいってますけど、実は大好きなトロマ映画です。尋常でない作品なので手放しでお勧めはできませんが、一般映画の括りからもの凄く外れた作りでも尊重できる姿勢があれば問題はないでしょう(笑)。たぶん。

 製作当時は既にテロや食品衛生などの社会問題が盛り上がってた頃で、トロマ映画もそれに対する痛烈な批判を込めた作品としたのでしょう。しかもミュージカル形式で。しかし、社長であり監督であるロイド・カウフマン筆頭の製作陣は、狭すぎる需要をわかった上でか、ウィットなんぞ木っ端微塵に、やっぱり好き放題サイテーな作りを突き通している潔さです。

 トロマ映画では大抵の舞台となってるトロマビル。冒頭、先住民の墓地で合体に励むアビーとウェンディが既にバチ当たりです。その傍らで股間を全力投球していた出歯亀は、地面から出現した腕にケツからクチまで串刺しにされ絶命。上品さの欠片もありません。



 ファストフード店の前では住民らが、鶏を救えー、聖地を荒らすなー、と抗議集会。エキストラはどう見ても素人集団。トロマ映画らしい雑で下品な演出が冴え渡っています。最低限の撮影環境も相俟ってとにかく絵ヅラが汚く、台詞もヒドイもの。こんな中に小さな可愛らしい女の子が混じっているのも、度外視トロマ映画らしいところです。

 白スーツにヒゲを生やしたファストフード店のオーナーはいかにもあの人のパロディです(笑)。ダンサーズを侍らせながらフライドチキンを振る舞うと、それを食った住民らは味にゾッコンとなり店内に押し寄せます。既にフライドチキンは呪いに汚染されていました。

 ポルノ名優ロン・ジェレミー(笑)のベタなギャグに続いて、スーパーメタボが注文したスペシャルメニューに謎の卵が混入。どう見てもヤバい卵なのに、ひと飲みしたスーパーメタボは早々にトイレに突入します。ケツのアップに検閲マークが被さると、爆裂音と共にいろいろ飛び散りますが、そんな悲惨な状態でもトレーを抱え食べ続けるスーパーメタボ。絵ヅラがヒド過ぎます。

 チープな効果音とともに大量の汚物を射出し終わると、スーパーメタボはチキンモンスターに変身します。特に暴れることなく、痩せたぜーとか叫ぶと、何事もなく、どっかに行ってしまいます。普通、店内パニックになると思うけどな。店側としては、ひどく汚れたトイレを掃除することが重要なので、アビーはモップ片手に歌い踊ります。



 厨房では店員のアラブ女が祈りを捧げています。イライラすると自爆するとか物騒なことを抜かします。真っ赤なブルカを着込んでるので、ミキサーに巻き込まれたアホな店員の血肉を浴びても、さほど目立たなかったりします。厨房がもの凄い状態に陥っても、店側としては利益優先なので、あまり気にせずとにかく調理をし続けます。この辺り、現実の食品衛生問題への批判と受け取れなくもないですが、まずはアホか。

 やがて呪いのフライドチキンによって住民らはチキンゾンビに豹変します。ここから阿鼻叫喚の展開に突入。思いついても普通はクチにしないような残虐描写のオンパレードです。ゾンビへのオマージュは勿論ですが、女ゾンビ二人が血肉を浴びながらレズに走るとか、意味なくオッパイさらけるとか、エロ要素も忘れないサービスぶりが素晴らしい。

 アビーとウェンディら生き残った連中がピンチに陥ると、颯爽と現れ銃を乱射する初老の店員。演じるは我らがロイド・カウフマンです(笑)。氏曰く、銃はいつか町で無差別攻撃しようと思って持ってたんだ、というところはパンチが効いています。一方で、自分みたいな数十年後を迎えてはいけないよ、とアビーに優しく諭す一面も。説得力ゼロですが。

 クライマックスでは、例のアラブ女店員の機転によって状況が一変。その後、アビーとウェンディらは抗議運動も考えものだなーとしんみり語ります。そして、トロマ映画でお馴染み使い回しの盛大なシーンでオチを迎えます。何か教訓はあったのかな。とにかく最後の最後までトロマ映画でございました。

 そういえば、ロイド・カウフマン監督は、最近のSF大作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』('14)に、一瞬ですが出演されていました。金髪の宇宙囚人だったかな。トロマ映画とも親交あるジェームズ・ガン監督の計らいなんでしょうね。メジャーとマイナーを行き来するロイド・カウフマンすげえ(笑)。またヒドい新作が控えてるようなので楽しみにしておきます。いつまでも元気にサイテー作品を出していって欲しいですね。


 トロマ映画、侮れないと思います。


(C)2007 Poultry Productions, LLC All Rights Reserved.
【出典】『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット』/キングレコード

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2015年3月15日日曜日

映画『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』 ・・・ジェシカ・ビールが魅力ありすぎて優勝

●原題:I Now Pronounce You Chuck & Larry
●ジャンル:コメディ/ロマンス
●上映時間:115min
●製作年:2007年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:デニス・デューガン
◆出演:アダム・サンドラー、ケビン・ジェームズ、ジェシカ・ビール、ダン・エイクロイド、ヴィング・レイムス、スティーブ・ブシェミ、ニコラス・タトゥーロ、ニック・スウォードソン、ロブ・シュナイダー、レイチェル・ドラッチ、その他大勢

 皆さん、いかがお過ごしでしょうか?暖かくなってきたと思ったら先日、雪が降りました。たぶんこれで最後の雪と思いたいですね。花粉はまだまだ続きそうですけど。。
 さて、今回はコメディ作品ですが、好きな女優が出演していることで特別扱いです(笑)。

【ストーリー】
 アメリカ。消防士のチャックとラリーは親友同士。今日も火事場に急行しては絶好調の二人だが、私生活では両極端な人生を送っていた。男やもめのラリーは妻を亡くした際の手続き漏れで息子に年金を残せなくなっていることを知り焦る。唯一の解決策は、パートナ法に基づき結婚するしかない。ラリーは周知の仲であり女好き独身男のチャックに同性同士の偽装結婚を切り出すのであった・・・。



【感想と雑談】
 アダム・サンドラー率いるHappy Madison製作によるコメディ作品です。主演は勿論アダム・サンドラーで、監督はデニス・デューガン。『ウソつきは結婚のはじまり』('11)以来、病みつきになっている、お約束とも言える名(迷?)コンビです(笑)。

 アメリカのコメディ作品も多々ありますけど、Happy Madisonの作りは、どこかひと味違いますね。好き勝手で力任せなギャグやらヒドイことをやってる割に、1本筋が通ってるというか、いろいろ盛り上げて最後はホロリとさせてくれる。本作はそれに加えテーマ性も感じる出来になっています。

 アダム・サンドラー演じるチャックと、これもコメディアン俳優のケビン・ジェームズ演じるラリーは、互いを知り尽くすほどの親友同士。ある日、自分の不測時に年金を息子に託せないことを知ったラリーは、苦し紛れにチャックと同姓結婚することでその資格を得ることにします。あくまでも偽装であって本物のゲイになる訳ではないので、ストレートでありながらフリをし続けるという葛藤の日々がとても可笑しいです。

 生真面目で家族思いのラリーとは正反対に、独身で女好きの遊び人チャックが、何かある度に美女軍団にチヤホヤされる様が笑えます。かなり強引でファンタジック。そんな無類の女好きがゲイを偽るのは大変なことですが、ある女弁護士が登場することで、更に地獄級の苦しみを味わうことになります。



 パートナー法に則るも、行政は不正行為がないかの厳しい調査を続けます。チャックとラリーは冷や汗垂らしながらも自分らの権利を守る為、女弁護士アレックスを雇います。それを演じるのが

 出ました、ジェシカ・ビールです。

 本作を観る一番のきっかけとなったのは、実はこの女優でした。Happy Madisonであっても、ジェシカ抜きであったなら、今回、陽の目をみることはなかったかもしれません。と、言えるくらいに大ファンな女優ジェシカ・ビールで盛り上がってみます(笑)。素晴らしすぎます。

 初めて彼女を拝見した『ブレイド3』('04)がとにかく強烈でした。様々な民族の血を引くというエキゾチックな顔立ちに、グラマーで肉感的なスタイル。これがチンピラバンパイアを蹴散らす女戦士アビゲイルとして登場するシーンにはドハマリしました。マジメに鳥肌もの。奇跡の役どころだったといえましょう。勿論、溢れるほど心のガッツポーズを送りました。

 以降もジェシカは素晴らしい活躍をされますが、キワモノ的でどこか気の抜けない作品が多い印象でした。戦争や犯罪に巻き込まれたりする幸薄で強靭な役とか。しかし、本作は違いました。なんといってもコメディですからねコメディ。緊張感まるけだった印象を覆すジェシカには萌えまくりました。

 アレックスは、実はゲイの弟を持ち、同性愛には寛大な女弁護士。普段は凄くイイ女ぶりなのに、イベントでは豪快なコスプレ姿を嬉々と披露し、ゲイと信じるチャックにオッパイを揉ませたり(貴様ー!)と、コメディの王道ともいえる女性を演じるジェシカの素晴らしさ。とにかく笑顔が素敵で、本当に楽しんでるのが伝わってくるんですよね。



 強面で肩に力の入った役もいいですが、こういうチャーミングな女性を見せてくれるジェシカにも、やっぱり心のガッツポーズです。そんなアレックスに惚れてしまったものの、生殺し状態でゲイを押し通す苦行のチャックには笑うしかないです(笑)。

 ゲイの弟を演じるはニック・スウォードソン。Happy Madisonの常連コメディアンで、相変わらずはっちゃけていて楽しい人。実は製作にも携わっている大物のようです。また、同姓愛挙式を進行する日本人司祭を演じるはロブ・シュナイダー。この人も常連コメディアンですが、アジア系の血を引いてるからか、大ハマリなアラブ人役をよく見かけますね。今回は特殊メイクに近いですが、違和感ないのはさすがです。この司祭、お約束のエキセントリックな日本人ですが、妙な味があって全然憎めない。チャックとラリーの挙式中、やたら日本語で「はいっ」 と返すところが可笑しいです(笑)。

 クライマックスでは、スティーブ・ブシェミ演じる(笑)嫌味な調査官が、チャックとラリーのゲイ偽装疑惑から聴聞会を開きます。そこでは、二人が互いについて証言していくに連れ、改めて親友に対する気付きが生まれます。コメディらしくホロリとするところですが、よかったのは二人の関係の真偽だけに終着せず、作品が同性愛に対する思いを投げかけていたところです。どんなパートナー同士だろうが愛し合う権利はあるし皆同じ人間だよ、だからどうすべきかはわかってるよね、というメッセージ。

 同じ人間である以上、尊重し合わなければならないことは当然のことと思っていますが、それは時と場合によるのでしょうね。自分がされたら嫌なことを他人にするような輩は、女弁護士アレックスではなく、女戦士アビゲイルがきっと成敗しにきます。と、ジェシカ・ビールのネタで締(絞)めくくってみます。


 ジェシカ出演作の過去最高傑作ということで。


(C)2007 UNIVERSAL STUDIOS All Rights Reserved.
【出典】『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』/ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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2015年3月1日日曜日

映画『ターミネーター3』 ・・・エクスペンダブル・レディズを観た後だと面白さが100万倍

●原題:Terminator 3: Rise of the Machines
●ジャンル:アクション/SF/スリラー
●上映時間:109min
●製作年:2003年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジョナサン・モストウ
◆出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、クリスタナ・ローケン、クレア・デーンズ、ニック・スタール、デビッド・アンドリュース、マーク・ファミグレッティ、アール・ボーン、その他大勢

 3月ですね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。ついに始まってしまいました花粉症が。インフルエンザの予防も兼ねてマスクは暫く手放せそうにないです。
 さて、今回はまた懐かしい作品になります。

【ストーリー】
 アメリカ。かつて未来戦争の発端となる研究所を母とともに破壊したジョンは、平和を取り戻したはずが未だに不安を拭えない人生を送っていた。ある日、宙から2体の殺戮マシンが姿を表し、ジョンとその関係者を追跡し出す。未来戦争の火種は未だ現代に残っていたのである。ジョンはひょんなことで出会った女医のケイトとともに、再び未来戦争を阻止するべく行動を起こすが・・・。



【感想と雑談】
 前回、記事にした『エクスペンダブル・レディズ』。女優陣の中では、やはりクリスタナ・ローケンなんです。久々の活躍ぶりに感動したのですが、あれ?こんな顔してたっけ?という訳で『ターミネーター3』での彼女を再見することにしました。

 なんだこれ、えらくクールビューティじゃないか。

 別人ですよこれは。12年もの歳月とくれば当然なのでしょうか。本作のT−Xは24歳、『エクスペンダブル・レディズ』のスナイパーの達人は36歳。私の脳内モーフィングでは、双方の容姿変換に凄い補正が入ってしまいますが(笑)。うーん、やはり欧米系の女性が辿る運命というやつなのでしょうか。

 また、小柄かと思っていたのですが、実際は身長180cmの大柄ボデーときていて、本作では役者の中で二番目の高さを誇る模様です。T−Xは大半をタイトなレッドスーツで決めていてスタイルはバツグン。もとがモデルだそうで納得です。巨体のシュワのおかげで小柄に見えるのでしょう。

 終始ポーカーフェイスで歯を見せない、マシン然とした演技が実にいいですね。特に目線の動き。首を少し傾げながら下目遣いで動作する様がクール過ぎて素晴らしい。倒れこんだ相手を踏んづけ見下すところは至高の姿といえましょう。『エクスペンダブル・レディズ』の反動恐るべし。


(なんか顔が小さいし、可愛い・・・当然といえば当然か)

 作品自体、当時は久々にターミネーターの続編ということで、話題性もあったのですが、いざ蓋を開けてみたら微妙だったという。面白くはあったのですが、ジェームズ・キャメロン監督の伝説と化した過去の2作品を前にしては敵うはずもないか、という感じでした。しかし今回、改めて観たところ

 これがもの凄く面白い。

 ジョナサン・モストウ監督は、前作を「長ければ良いってもんじゃない」と批判し、無駄を廃したアクション娯楽の特化を目指したそうです。脚本も前作までの流れをブチ壊す意外性で盛り上げることをされています。前作で完結していいものを、シリーズ化を目的とする以上、こうなっても仕方ない出来です。

 今回、T−Xを演じたクリスタナ・ローケン目当てに約10年ぶりに再見した訳ですが、彼女の新鮮さが際立っていたことで(笑)、何かが一気に吹っ切れた気分です。新たなターミネーターとして、単純にアクションのディティールが堪能でき、存分に楽しくゲラゲラ笑いながら観ることができました。もう娯楽作品の極みになってます。

 シュワ演じるT−800が酒場で衣類を調達するところはセルフパロディになっていて面白いですね。ある仕草と捨て台詞を覚えたり、ふざけたサングラスをかけたりと笑えてしまいます。ニヤリではなく爆笑レベルです。また、お約束キャラへの敬意も忘れておらず、例のカウンセラーが未だT−800のトラウマを抱えた状態で再々登場するところも、可哀想ですけど笑えてしまいます。



 なんといっても今回、敵側のマシンに女性タイプを持ってきたところがミソですね。クレーン車で大通りを破壊しながら暴走したり、猛ダッシュしながら追跡したり、振り切られても無表情で起き上がったりと、これを女性がやってるのだから堪らない。とにかく様になり過ぎてるクリスタナ・ローケンを楽しむひととき。因みに彼女、パントマイムの特訓をかなりされたそうです。

 後半の軍事基地でのT−X対T−800の戦闘がまた素晴らしいです。殴り合いから勢い余ってトイレに突入すれば、千切ったオブジェクトを凶器にエスカレート。ここでT−800に便器で殴られるT−Xの表情に注目します。瞬きひとつせず無表情です(笑)。このあと、押され気味のT−Xが転じてT−800の股間をギュウと掴んだまま壁をブチ抜いていく勇姿こそ、心のガッツポーズの使いどころといえましょう。

 強い女性キャラが大男をなぎ倒すアクションというのも心に響くものです。そんな見せ場を下世話なユーモアたっぷりに、セクシー路線で持ち上げたモストウ監督グッドジョブ。T−X対女医ケイトのキャットファイトは残念ながら拝めませんでしたが(当たり前)、B級SFアクション作品の鑑といっておきましょう。


 『エクスペンダブル・レディズ』とセットで観たいこの逸品。


(C)2003 IMF INTERNATIONALE MEDIEN UND FILM GMBH & CO. 3 PRODUKTIONS KG
【出典】『ターミネーター3』/ジェネオン エンタテインメント

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2015年2月17日火曜日

映画『エクスペンダブル・レディズ』 ・・・女傭兵部隊がテロリスト軍団に殴りこみをかけます

●原題:Mercenaries
●ジャンル:アクション/アドベンチャー
●上映時間:89min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:クリストファー・レイ
◆出演:ゾーイ・ベル、クリスタナ・ローケン、ブリジット・ニールセン、シンシア・ロスロック、ヴィヴィカ・A・フォックス、ニコール・ビルダーバック、ティム・アベル、ジェラード・ウェッブ、その他大勢

 こよみは春ですけど、やっぱり寒いですね。この間、雪降ったし雪。まだまだ降りそうな予感がします。
 さて、前回に引き続き、今回もアルバトロス配給の作品です。割と新作ですが中身はどうなんでしょうか。

【ストーリー】
 カザフスタン。訪問中のアメリカ大統領の娘エリスがテロリスト軍団に拉致されてしまう。テロリストの女頭領ウルリーカは、娘と引き換えに我が領土に恩恵を与えよとホワイトハウスを脅迫。アメリカ大統領の側近らはエリスを救出するべく、ある傭兵部隊を秘密裏に結成する・・・。



【感想と雑談】
 思い付きそうで思い付かなかった『エクスペンダブルズ』の女性版(笑)。本家より人数は少なめですが、その分、配役で勝負なんだぜという意気込みがパッケージからヒシヒシと伝わって来ます。前回に続きアルバトロス配給なので、既に見えた気がしますが、その放っておけない女優陣に手が伸びた次第です。

 かつてのアクション作品で名を馳せた(たぶん)女優らが、様々な経歴を持つ犯罪人として登場します。まずは、テロリスト軍団の女頭領ウルリーカを演じるブリジット・ニールセン。完全にオッサンだろこれ。男装の麗人すぎる。過去の作品からしてキワモノ的な美形ではあったけど、今回の更なる貫禄の付きようはいったい。出オチですね。シルベスタ・スタローンの元嫁ということで本家との繋がりを感じますが微妙に。

 このウルリーカに対抗すべく、アメリカ政府は百洗練磨の女囚人どもをスカウト。政府の役人モナ役をシンシア・ロスロック、囚人側では戦術に精通したカサンドラ役をゾーイ・ベル、狙撃の達人キャット役をクリスタナ・ローケン、殺し屋レイブン役をヴィヴィカ・A・フォックス、そして爆弾の達人メイリン役をニコール・ビルダーバック、それぞれが演じています。

 シンシア・ロスロックは、女格闘家で数多くのアクション作品に出られてますね。香港アクションでは、サモ・ハン・キンポーと互角に戦ったりしてました。凄い人だ。本作では裏方に徹していましたが、レイブンとの確執からキレのある格闘をちょっとだけ見せてくれます。



 ゾーイ・ベルは、なんといってもタランティーノ監督の『デスプルーフ』('07)ですよね。スタントウーマン兼女優としてデビューした姿がとても印象的でした。欧米系のアクション女優って貴重だと思います。本作では45口径コルトガバメントを愛用する渋い主役級で見せ場はテンコ盛りです。

 ヴィヴィカ・A・フォックスは、タランティーノ監督の『キル・ビル1』('03)にも出てたのですね。殆ど記憶にないですが。本作では二丁拳銃とビッチで肝っ玉な言動がなかなかイカしてると思います。両手のグロック19を交互に突き出し連射する様はどうかと思いましたが。

 クリスタナ・ローケンは、実は本作で一番気になった女優です。というかファンです(笑)。彼女は『ターミネーター3』('03)に尽きるでしょうか。ギューンとオッパイ膨らまして警官を惑わし、シュワの股間を握りトイレの壁をぶち抜いてくT−Xの勇姿に、心のガッツポーズを送った諸氏は少なくないはず。終始のポーカーフェイスが真骨頂でしたが、本作では当然の人間役なので(笑)、色んな表情が拝めます。しかしもう36歳なんだ。相応の顔付きになっちゃってるな。ところで、彼女はレズをカミングアウトしてたはず。突撃してもT−Xよろしくぶっ飛ばされるだけかと思うので、遠くから眺めておくだけにしましょう。

 で、最後はニコール・ビルダーバック。この人、メンバのひとりなのにパッケージに姿がないんですよね。配給アルバトロスも失礼なことすんなよと思ったら、本国からしてそういう扱いになってるの。ジェット・リーに匹敵するアジア女優はいなかったのかな。一応、中国人役ですけど、韓国出身でドラマに多く出演されてる模様。本作では爆弾マニアで核ミサイルにウットリするコミカルな役どころです。レイブンに「どーも」と礼を言われると「それは日本語だ!」と怒ります(笑)。



 女優の見本市みたいになってしまいました。中身の方なんですが、はっきりいって安いです。終始スカスカな空気が漂っています。低予算の苦境をかなりのゴリ押しで突破してますので、画面全体の見た目と大真面目な行動をとるキャラクタとのギャップに笑えます。肝心のアクションでは、本家よろしく銃撃戦での血しぶきはド派手ですが、周辺のオブジェクトには殆ど着弾効果がなく、車や壁は頑丈で穴も空きません。爆発エフェクトはCG合成のようです。核ミサイルはスノコに積まれて登場という、もの凄いテキトー感です。

 しかし、そんな中にも見どころがあったりするのです。まず、アクションに付き物の銃火器に一風変わったタイプがあるところ。狙撃の達人キャットに役人がブレイザーR93というドイツ製の狙撃銃をいちいち説明しながら渡します。338口径ラプアマグナム弾を5発装弾とか。有名な銃なのでしょうか。ディティールに拘った印象的なシーンなのです。 それから、所々でカメラワークや演出にセンスと工夫を感じます。頑張ってると思います。

 また、銃撃戦時に敵兵が逃げていきますが、これを見たキャットが「任せれ」と狙撃銃を持ち出し、敵兵を目で追いながらノシノシ歩いてくるところ。ここちょっとした長回しになっていて画面構成と演じるクリスタナの鬼気迫る表情にグッときます。更には敵兵を睨みつけながら、狙撃銃をバイポットで固定し、スムースに伏せ撃ちに移行する辺りのカッコよさ。そして鋭い眼光。撃たれてもいいと思いました。T-Xの面影は皆無だけど。

 クライマックスのC−130輸送機を使ったアクションは、かつての007を彷彿させるほどの盛り上がりっぷりです。機内ではやっぱりスノコに積まれた核ミサイルにヒヤヒヤしながらウルリーカと大戦闘。後部のハッチが開くと機は急上昇し、彼女らはゴロゴロ転がり落ちそうになったりします。危ねえぞ。頑張れよエクスペンダブル・レディズ。

 で、どこか感心もできるんだけどやっぱり爆笑もできる、ひと粒で二度美味しい超B級作品でありました。シリーズ化されたらもっと笑えるぞきっと。


 やっぱり木曜洋画劇場を復活して欲しい。


<オマケ1>
 ブリジット・ニールセン主演の『スタークリスタル』('95)です。ブリジットはこうでなくてはいけません。なんだか『ターミネーター3』のT−Xの元祖にも見てとれますね。クリスタナ・ローケンの立場は?!



<オマケ2>
 『デスプルーフ』の頃に見つけたゾーイ・ベルの可愛いハイキックです。まず彼女のスカート姿というのが衝撃でした(笑)。



(C)2014 The Global Asylum Inc.
【出典】『エクスペンダブル・レディズ』/アルバトロス

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2015年2月7日土曜日

映画『ブロンドジャンクション』 ・・・コマンドーの監督が送る、残念な女アサシン VS 爆弾オッパイ

●原題:Betrayal
●ジャンル:アクション/ドラマ/スリラー
●上映時間:94min
●製作年:2003年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マーク・L・レスター
◆出演:エリカ・エレニアック、ジュリー・ドゥページ、アダム・ボールドウィン、ジェレミー・レリエット、ジェームズ・レマー、ダミアン・チャパ、その他大勢

 皆さん、いかがお過ごしでしょうか?まだまだ寒いですね。インフルエンザもそうですが、そろそろ気になってくるのが花粉症です。嫌な季節ですホントに。
 さて、今回は犯罪アクションものを紹介したいと思います。いろいろ問題があって楽しい作品です。

【ストーリー】
 アメリカ。凄腕女アサシンのジェインは、今日も常連の組織から仕事を引き受ける。それは組織の売上金を横領してる下っ端の始末であった。手際よく仕事を済ませたジェインは、あろうことか売上金を持ってトンズラする。裏切られ怒り心頭の組織から逃れる為、ジェインは母エミリーと息子ケリーの親子に一般人を装いヒッチハイクを懇願する。親子は快諾するも、それがジェインとのヤバイ珍道中になろうとは知る由もなかった・・・。



【感想と雑談】
 何気に手を伸ばした作品です。パッケージの粋なポーズのブロンド美女(この時はそう見えました)に惹かれたのは当然ですが、なんと監督が『コマンドー』('85)のマーク・L・レスターで、出演陣にも思い出深い女優がいたりしてビックリ。運命の巡り合わせを感じ、即決しました。配給アルバトロス発掘のDVDスルー作品のようです。

 なにこれB級すぎるし、凄く懐かしい気分。

 始まってすぐ浮かんだのが木曜洋画劇場。展開もそうですが、垢抜けない色合いとスタンダードサイズの画面も相俟って、かつての東京12チャンネルありがとうな気分に浸れました。観る前の淡い期待(どんな)は木っ端微塵ですが、その出来が意外すぎて逆に色んな意味で収穫がありました(笑)。

 冒頭、娼婦を装った女アサシンのジェインが酒場でマフィアを始末するくだりはいい感じです。しかしこのジェイン、黙ってればいいのに汚い言動とクチもとが残念すぎる美人。クールビューティさもない自己陶酔ぎみの女。最初の印象が覆されます。演じるはフランス女優のジュリー・ドゥページ。どんな基準で起用したのか知らんですが、このB級臭さには非常にマッチしてる女優といえましょう。

 ひと仕事終えたジェインのしたり顔を拝むと、突然、砂漠のハイウェイが映されます。誰も歩いておらず何も走っていないハイウェイを15秒くらい映すと、次に角度を変えてまた同じような光景を15秒くらい・・・ということを5、6回繰り返す謎のカット。展開に向けた布石のつもりでしょうか。この辺りでコマンドーの監督にしてはどうなの、と思えると同時に笑いがこみ上げてきます。

 ジェインとは対象的に善良な親子。ママのエイミーを演じるはエリカ・エレニアック。『沈黙の戦艦』('92)をご存知の方は思い出して下さい。ケーキの中から飛び出しトップレスで踊りだすプレイメイト役を。実際プレイメイトでもあった女優です。懐かしいなあ。家賃滞納で困窮するシングルマザー役ですが、未だ健在の爆弾オッパイのせいで、ジェインを食ってしまうほどの存在感。笑えます。


(エリカ(左)の独り勝ち。そしてタイトル通りに交差するブロンド集団です)

 組織の金を奪い逃走中のジェインは、親子が車で同じ目的地に移動することを知るや、慌ててヒッチハイクを懇願します。

 ジェイン 「田舎の妹が危篤なんです。わたし足がなくて(;ω;)」

 同情した親子はジェインを乗せ目的地メキシコに向け出発。すると、ジェインは、タバコふかすは親子を見下し始めるわで、情緒不安定な女にしか見えなくなります。親子が可哀想・・・。

 休憩時、笑えるほどの唐突さで車に轢かれそうになったジェインは、殺気まる出しで、いまの車を追えと親子に迫ります。

 ジェイン 「あのゴキブリ野郎が!!とっちめてやる!!!」
 ママ      「そんな態度は止めて!落ち着きなさいよ!」
 ジェイン 「田舎の妹が・・・(;ω;)」

 急転すぎてアホか。

 モーテルで一泊することになった一行。ママ孝行の息子ケリーは、ジェインの部屋で100万ドル入りのカバンを発見します。夜、寝静まった頃、ケリーはカバンをそっと奪うと、ママの寝顔を見ながら「もうお金のことで苦労はかけないよママ」と置き手紙を残します。そして、ひとりヒッチハイクして自宅に戻ります。おい。

 翌朝、カバンを奪われたことで本性を現したジェインは、ママに拳銃を向けケリーのことを脅迫。やがて、追ってきた組織とコントみたいな銃撃戦に突入します。至近距離でショットガンが一発も当たらないスーパー銃撃戦。なんとか逃れたママは、通りがかった男に助けを求め、自宅に向かうことにします。実はこの男、話のキーとなる存在で、このあと二転三転する展開に拍車をかけます。一応スリラー要素です。


(レスリー・ニールセンのコメディ作品にもこんな銃撃戦がありました)

 一方、自宅に戻った息子ケリー。100万ドル入りのカバンを隠すと、お菓子を取り出し、くつろぎます。そして、スイッチオンしたテレビから、ジェインが指名手配中の殺人犯であることを知るや、

 ケリー 「ママがぁー!!!!(;ω;)」

 再びアホか。”殺人犯とは知らずに金を奪っちゃったんだよママ”、と猛省するケリーですが、オマエそういう問題なのか。最大の謎行動を起こす息子ケリーの顛末は爆笑ものです。

 クライマックスはジェインとママの一騎打ちで締めとなります。当然こうでなくてはいけません。ですが、ジェインも殺しのプロと豪語する割にはヘッポコすぎて、ママとの低レベルで対等なキャットファイトになってしまうのは、全体を包む空気から予想はできていましたが、やはり残念ではありました。

 ジェインのこと酷く書いちゃいましたが、実は可愛いところもあったです。今さらですが(笑)。最後の最後まで木曜洋画劇場だったな、と思わせる作品でありました。

 製作と監督をマーク・L・レスターがやってますが、かすかに片鱗はあるものの、残念ながら『コマンドー』には程遠い出来でした。18年も経って力量がなくなったのか、それとも『コマンドー』自体がジョエル・シルバー製作による奇跡の作品であったのか。どっちでもいいです。


 木曜洋画劇場を復活して欲しい。


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【出典】『ブロンドジャンクション』/パンド

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2015年2月1日日曜日

映画『イントゥ・ザ・ストーム』 ・・・竜巻が迫ってるのに、女の子とイチャイチャしてるとこうなります

●原題:Into the Storm
●ジャンル:アクション/スリラー
●上映時間:89min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:スティーブン・クォーレ
◆出演:リチャード・アーミテージ、サラ・ウェイン・キャリーズ、マット・ウォルシュ、マックス・ディーコン、ネーサン・クレス、アリシャ・デブナム・キャリー、アーレン・エスカペータ、ジェレミー・サンプター、その他大勢

 2月に入りましたね。皆さんいかがお過ごしでしょうか?今まさにインフルエンザの流行時期ですよね。予防策はしっかりとっていきたいですね。
 さて今回は、最近のデザスター作品の紹介です。デザスター作品といえば・・・私が崇めるあの大傑作がありますが、本作の出来はどうなんでしょうか。

【ストーリー】
 アメリカ。スーパーセルの異常発達により竜巻の大発生が危ぶまれる中、田舎町シルバートンでは高校の卒業式が行われ、一方ではピート率いるストームチェイサーが鼻息荒く近辺を通り過ぎようとしていた。突如、発生した竜巻によって校舎は半壊し、卒業生徒らは身動きが取れなくなってしまう。教頭のゲイリーは生徒でもある息子ドニーが工場跡地で被害にあったことを知り救出に向かうが、再度発生した竜巻によって車が破壊されてしまう。駆けつけたストームチェイサーの協力を受け、ゲイリーはドニーの救出に再出発するが・・・。


(インセプション・・・?)

【感想と雑談】
 忘れた頃にやってくるデザスター超大作ってやつでしょうか。本作では大自然の猛威として竜巻(トルネード)が主役ですが、私にとっての竜巻映画は『ツイスター』('96)がマスターピース(笑)です。雨後の筍なDVDスルー作品が多い中、久々に劇場公開された竜巻新作ということで、ちょっくら手を伸ばしてみました。

 うわー凄い迫力。でもなんだか・・・。

 冒頭、車中の若者達が竜巻に襲われます。前方の電柱が火花を散らすけど、夜中なので何が起きてるのかわからない。ウヒャーと盛り上がって前進すると突然、竜巻の姿が目に入り、慌てて車をバックさせるも時すでに遅し。この一部始終をハンディカメラ越しの事故映像として描いています。

 本作は、様々な登場人物によるカメラ越しの映像を挿入することで、大自然の脅威に遭遇する様を生々しく感じられるような効果を狙ってるようです。擬似ドキュメンタリとでもいうのでしょうか。ストームチェイサーだけでなく、卒業式当日の朝から親子の確執やら、ハプニング動画で一攫千金を狙うアホ二人組やら、それぞれハンディカメラの映像が交差しまくります。

 高校の卒業式も架橋に入った辺りで遂に天候が一変、竜巻のお出ましです。ここで地域住民が避難しストームチェイサーも仕事をこなして無事終了・・・という訳にはいきません。どうなるかというと、下心満載のアホ息子と女の子がどこぞで竜巻に襲われ命に関わるカウントダウン開始。察知した親父の高校教頭がストームチェイサーと共に救出に向かうという、スリルでイラッとくる、はた迷惑な展開になります。

 肝心の竜巻ですが、主役だけあってその映像は凄まじいです。乗用車やらトラックやら、はたまた建造物なんかは粉々に散って宙に舞います。この辺りの臨場感ある描写はさすが昨今の映像技術だなと感心します。そんな竜巻を目の前にして、酔っぱらいのアホ二人組が盛り上がり、車が破壊されると「俺らのクルマがー」って嘆いてるの。ここ恐怖と笑いのギャップが凄まじいです(笑)。

 監督は『ファイナル・デッドブリッジ』('11)のスティーブン・クォーレ。『ファイナル〜』は素晴らしかったですよ。冒頭の橋崩落のスペクタクルさにはビックリしたし、何よりもあのオチの持って行き方に感動しました。シリーズの復活にも貢献されてましたね。何でもジェームズ・キャメロン監督を師に持つらしく、確かに画作りには徹底したスタイルを感じます。

 しかし、本作は映像面に特化しすぎちゃったかな、という印象です。猛威を奮う竜巻を横目に、登場人物らを幾度も交差させながら命に関わるイベントを発生させて、それを回避させるサスペンスとスリラー要素は用意されてるのですが、それほど心に響くようなドラマには感じませんでした。上映時間が90分を切る短さもあるでしょう。そういえばクライマックスで、近年のあるSF作品そっくりなギャグにも見える場面が出ますが、監督はあの作品に思い入れか関係でもあったのだろうか。



 ここらから『ツイスター』を引き合いに出します(笑)。こちらはヤン・デ・ボン監督が、竜巻以前にアクション作品として貫いていて、監督らしいスピード感ある演出がドラマ性と相まって至高な作品になっていると、私は思っています。大半のかたは『ツイスター』を竜巻の脅威が足らずドラマも陳腐で余計なものという評価を下されています。では、本作の評価はどうなんでしょうか。

 『ツイスター』に足らなかった部分が、本作では埋め合わせされてるかと思いますが、いかがなもんでしょうか。最新のCG技術による、炎も一緒に渦巻いたり、人が巻き上げられたりする竜巻映像は、『ツイスター』の比ではないですよね。まあ、それでもどことなくチャチに見えるのは映画としての娯楽性を崩さぬようわざとやってるかもですが。

 『ツイスター』はストームチェイサー視点で竜巻を日々追うアドベンチャーで、本作は被災者視点で突然発生した竜巻の脅威に対抗するスリラーになります。また、両者にドラマ性はあるにしても、前者は映画然としていて、後者はドキュメント然としている。そもそも作りが違いますね。あんなドデカイものまで巻き上げて(笑)視覚的に皆をビビらせる後者の方が、デザスター映画の定義により当てはまるといえるでしょう。

 結局は観る人の価値観によりますが、私的にはヤン・デ・ボン監督が達者な分、『ツイスター』の方が魅力ある作品だな、ということ。人間的な温かみや高揚感もクセになる神作品であります(笑)。デザスターの物差しで計れば、私の評価は間抜けなもので、本作が格段上になるとは思いますが、クォーレ監督、絶対に随所で『ツイスター』リスペクトしてるだろこれ。

 しかし、本作も絶対的に満足できるデザスター映画に仕上がっているんですかね。これまでの評価によれば、ドラマ性を頑張ると破壊の美学が足らないと言われ、破壊性を頑張るとドラマ性が陳腐だと言われる。どっちだよ。ひょっとして、デザスター映画っていうのは永遠に成り立たないジャンルなんじゃないですか。

 という訳で、往年の竜巻デザスター作品のIMDb評価を調べてみました。’89年の作品から辿っています。大半がTV映画となっていてDVDスルーされていますが、この評価からしてその内容は言わずもがな。一番評価の高い(6.4)作品って何!!と思ったら、ドキュメンタリ短編作品でした。除外してもよかったか。で、問題は、肝心の『イントゥ・ザ・ストーム』が『ツイスター』よりも低評価(5.9)なんです。これはどういうこと?

(M):映画 (TM):TV映画 (D):ドキュメンタリ (2015/2/1現在)


 皆から文句たらたらでラジー賞まで食らった『ツイスター』が映画作品として未だ高評価(6.2)である事実。まあドングリの背比べだけどね(笑)。・・・まとめに漏れがあったらご指摘下さい。


 このブログではやっぱし『ツイスター』がNo1ということで。


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【出典】『イントゥ・ザ・ストーム』/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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2015年1月12日月曜日

映画『鑑定士と顔のない依頼人』 ・・・老人鑑定士が謎の女に翻弄されます

●原題:The Best Offer(La migliore offerta)
●ジャンル:犯罪/ドラマ/ミステリー/ロマンス
●上映時間:131min
●製作年:2013年
●製作国:イタリア
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
◆出演:ジェフリー・ラッシュ、ジム・ストラゲス、シルビア・ホークス、ドナルド・サザーランド、フィリップ・ジャクソン、デルモット・クロウリー、キルナ・スタメル、リナ・ケベド、その他大勢

  皆様、3連休はいかがお過ごしでしょうか?成人の日ですね。自分にはまったく関係ないですけど(笑)。さて、今回はある2作品を立て続けに紹介したいと思います。一気に観た結果、両作ともちょっと気になってしまいましたので。

【ストーリー】
  イタリア。鑑定士バージルはオークションを進行する傍ら、友人ビリーと共謀してお気に入りの絵画を収集する男。独身を貫き孤高の人生を送る変わり者でもあった。ある日、一人の女から売却したい装飾品の鑑定の依頼を受けるバージル。屋敷に住むその女クレアはある理由から、バージルとは電話や壁越しでの会話のみで顔を合わせることがなかった。女性を知らないバージルは、そんな手を焼くクレアに徐々に好意を寄せるようになり・・・。

【感想と雑談】
  『鑑定士〜』は予告編で気になってはいたものの、なんだか重たそうな雰囲気でしたので、似たテーマで何か気が晴れそうな『モネ・ゲーム』('12)もセットで借りることにしました(笑)。『モネ〜』は次回に書くことにします。

 老人鑑定士バージルが豪華なレストランで一人食事をするところが笑えます。別にギャグではないのですが、かなり特異な人物として描かれています。まあ金持ちではあるので、レストラン側も大事な客として彼の誕生日にはケーキをプレゼントする訳です。しかし、バージルは誕生日が1日早いのを理由にケーキには手を付けず、ローソクの火が消えるまで微動だにしないスーパー変わり者。レストラン側も何とかしろよ。

 そんなバージルが、ある屋敷に呼ばれて数々の装飾品の鑑定をすることになります。ここからぐいと話に引き込まれることになります。屋敷では謎の女クレアから壁越しにあれやこれや依頼をされ、また浮き沈みの激しい彼女の性格もあってバージルは翻弄されてしまいます。でも、同時にこれまで殆ど女性を知らなかったバージルは、こんな出会いであっても彼女に強く惹かれることになります。いい感じだと思います。

 しかし、予告編からも期待できた壁の向こうにいる女性はいったい何者で、顔を合わせない理由とは何なのか、という最大のミステリー要素が意外に早くわかってしまうのは残念でした。話はまた別の道を進んでいくことになります。

 これまでバージルが収集してきた絵画はどれもが女性の肖像画ばかり。それらが壁一面に飾られた部屋に一人座るバージルが、今でいう二次元嫁に満足してきたとすれば、ここで俺にも春がきたぜ三次元嫁、という転機が後半に訪れることになるのです。鑑定士のお仕事そのものの要素はさほどなかったですが、バージルが贋作にも個性があるのだと擁護するような発言をするところは印象的でした。



 一方で、度々バージルが屋敷で拾う何かの部品がちょっと謎めいていて、技術屋と共にそれを組み上げながら完成形を推理していくことろはミステリーじみていてよかったです。この部品と姿を見せないクレアの関係とは。え、ひょっとして?なんて色々と想像するのも楽しいのですが、これも中途半端な結果となっていたのは残念でした。ちょっと『ヒューゴの不思議な発明』('11)を思い出しましたが。

 バージルがある意味、絶頂期に入った辺りで、衝撃の展開を迎えます。これを食らうバージル同様に観る人もホントに頭のなか真っ白になるくらい。えー、マジかー。走馬灯のように、これまでの展開が頭の中を巡ります。そういうことだったのか。バージルに感情移入してしまうほど、この展開はキツイものだと思います。人間てやつはここまでできるものか。

 ジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品は『ニュー・シネマ・パラダイス』、『海の上のピアニスト』、『マレーネ』くらいしか観ていませんが、どれも業の深さを風情豊かに落ち着いて描いていたと思います。本作も同様に格調の高さも伺える丁寧な作りで見応えはありました。ある男の波乱の人生と取れば面白かったといえるかな。あのラストの余韻はなんともでしたが。

 鑑定士バージルを演じるはジェフリー・ラッシュ。いぶし銀の変わり者でクレアに共感していく男を遺憾なく発揮していました。また、ちょい役ながら友人ビリーを演じるドナルド・サザーランドもなかなかの存在感。この人黙っていてもドナルド・サザーランドですよね(笑)。

 イタリア作品だからか、裸体も遠慮無く描いていた感もあります。ある人物がガウンだけの姿である仕草をするのですが、ご開帳して見えてた気がします。さりげないのでちょっと経ってから気付いてビックリしました。が、エロスというより芸術だと思うので、これ読んで急いでレンタル屋に走ったりしないよう注意して欲しいです。


 鑑定士になったら気を付けたい事項。


(C)2012 Pasco Cinematografica srl.
【出典】『鑑定士と顔のない依頼人』/Happinet

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