
●ジャンル:アクション/アドベンチャー/コメディ
●上映時間:129min
●製作年:2014年
●製作国:イギリス
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マシュー・ヴォーン
◆出演:コリン・ファース、タロン・エガートン、マイケル・ケイン、マーク・ストロング、サミュエル・L・ジャクソン、ソフィア・ブテラ、スフィ・クックソン、マーク・ハミル、その他大勢
【ストーリー】
イギリス。どの政府にも属さない独立諜報機関キングスマン。エージェントのハリーは、ある事件をきっかけに、かつて作戦の最中に命を落とした同僚の息子エグジーをスカウトする。不良同然ながらも父親の血を継ぐだけあってエグジーには十分な素質があった。一方、キングスマンはアメリカのIT実業家ヴァレンタインが世界規模の陰謀を企てていることを察知。ハリーとエグジーは捜査に移るが・・・。

【感想と雑談】
実に素晴らしい。こういうリズムを持った作品ってホントにいいものです。根底が幼少の頃に胸踊らせた007シリーズのユーモアと奇想天外さであって、それを近代的な脚本と技術で底上げしてるという、
イギリスの面目躍如ですよこれは。
伝統と規律を重んじる精神のもと、紳士たる身だしなみから繰り出す壮絶なアクションは、これぞ静と動を併せ持つイギリスというやつではないですか。同じ英語圏のヒャハーなアメリカよりも、日本に通じるものがありますね。この諜報機関は、まさに世界を相手にする必殺仕事人です。名作『レモ/第一の挑戦』('85)もそんなお話しでした(笑)。
政府の指揮下に公正性がないことを嘆いた財閥は秘密裏に諜報機関を設立しますが、その本拠地に選ばれたのが伝統ある高級スーツ店キングスマンなのです。店内では趣きある調度品が落ち着きを醸す一方、超技術によるギミックが仕掛けられていて、紳士エージェントの表裏と同様に、ローテクとハイテクの対比が鮮明で目を見張るところです。これぞイギリスにしか出せない魅力というやつ。

スパイといえばの小道具も粋なものばかりで、紳士傘が武器と盾を兼ねてるところはいかにもです(笑)。ケレン味溢れる点では小道具だけでなく、密かに建築された広大な施設も外せません。後半の舞台となるヴァレンタインの根城も下僕たちを見下ろすようにガラス張りの司令室が設置してあって、ここでドンパチやるとか懐かしい空気が充満しまくりです。
主演はイギリス側のコリン・ファースと重鎮マイケル・ケイン。このコンビは新旧スパイやクライム関連の繋ぎ役でもあるようですね。マイケルは古くからスパイ作品の常連だし、主役の絵画泥棒を演じた『泥棒貴族』('66)のリメイク作品『モネ・ゲーム』('12)ではコリンが主役を演じてましたしね。
また、若手役者も揃えてエージェントの世代交代まで描いてる辺り、ロートルな世界で終わらせないフレッシュさは今風といったところですね。昔ながらの007って幼い時期が描かれていなかったので斬新といえるのかも。最近の007はシリアスにそんな路線に入ってる気はしますがね。
スパイアクションには魅力ある悪役も欠かせません。アメリカ側のそんな期待を裏切らないIT実業家ヴァレンタインを演じるは我らがサミュエル・L・ジャクソン。ニヒルでもなんでもなく、狡猾で変なところで気弱なヒップホップ野郎。今時の申し子みたいでよろしい。しかし今回のサミュエル、『ジャッキー・ブラウン』('98)の銃器密売人に戻ったかのような若々しさなんですが、なんと今年67歳なんだとか!見えないぜサミュエル。

本作の最大の見せ場はなんといっても主人公ハリーの身のこなし。イギリス人の血統を醸しながらの戦闘シーンが素晴らしすぎます。同じイギリス人のマシュー・ヴォーン監督だからこその手腕でしょうか。独特のスピード感とワンカットのような巧妙な編集、そして縦横無尽なカメラワークによる一大殺陣はカタルシスの連続。粋なBGMがこれまた拍車をかけます。演じるコリン・ファースもよくあれだけ体が動いたもんです(全て本人が演じたと信じたい)。『96時間』シリーズはちょっとは見習って欲しい。
ちょっと笑ってしまったのが、ヴァレンタインの女用心棒があるエージェントを迎え撃つところ。この女用心棒、両足が刃物を備えた義足になっていて、新体操みたいな技を繰り出すの。で、このエージェントが一瞬で唐竹割りにされるのね。ペローンって真っ二つ。安すぎるCGがまるでワザとやったかのようで、きっと『殺し屋1』('01)へのオマージュもあるに違いない。
また、見た後で笑ってしまったのが、マーク・ハミル。出てたの全然気づかなかったです。かなり前面に出ていた人物なのに。言われてみればたしかにマークの面影あったような・・・。最新のスターウォーズを見る前に、本作で近況のお姿を拝んでしまいました(笑)。
マシュー・ヴォーン監督は、経歴をみてみれば、なるほどクライム系の作品群を手がけられていたのですね。コミック原作の映画化に力を入れられているようですが、前作の『Xメン:ファースト・ジェネレーション』('11)よりも、『キック・アス』('10)での小気味よいユーモアとアクション性が更にパワーアップして帰ってきた感があります本作は。お勧めしたい逸品です。
ちょっとスーツを着こなしてみたいと思いました。
さて、今年はこれが最後の記事となります。素敵な作品で締めることができてよかったです(笑)。しかしまあ、ブログも8年目に突入とか、よく続いているもんです。あとどれだけ続けられるかな。。
迷いこまれた方にちょっとでも役に立てればと来年もとりあえず頑張っていこうと思います。
それでは来年も皆様にとって良い年となりますように。
(C)20th Century Fox Film Corp. All rights reserved
【出典】『キングスマン』/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


umetramanさん、こんにちは!!
返信削除これはまた、素晴らしい映画の紹介をありがとうございます!!
実は正月用の映画はレンタル済だったのですが追加します!!
今日、レンタル屋に走ります(笑)
感想は改めてお邪魔をさせていただくとして、
今年も本当にお世話になりました!!コアな映画の話を
存分にさせていただきました!!(^.^)
自分のところにも書きましたが、今年はトレイシーネタが
無かったように思え、少しやり残した気分になりました(爆)
来年も沢山の映画のコアな話ができるといいですね!!
umetramanさんに喜んでいただけるような映画を探す
ようにします!!(笑)
来年もどうぞ宜しくお願いします!!
良いお年を!!\(^o^)/
一年の締めくくりが女性ではないのが残念ですが、
コリン・ファースにがっつり応援です!!(笑)
〉take51様
返信削除あけましておめでとうございます。
昨年最後の記事となった本作、気になられたようで何よりです。
ここ最近なかった興奮度で思わず震えてしまいました(笑)。
感想お聞かせ頂ければと思います。
トレイシーネタは・・・そうですね、また彼女に「アバター・オブ・マーズ』以来の活躍をして頂かないとね(笑)。
代わりといってはなんですが、先日にちらと紹介した「ブギー・ナイツ」('97)には当時現役だった(今でも?)ニナ・ハートレーや、かつての大御所ヴェロニカ・ハートが出演されてますし、バイオレンス作品「デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2」('05)ではトレイシー・ローズと人気を二分したジンジャー・リンが華を添えたりしてますよ。
他にもメジャー系で活躍されてるポルノ女優がいるかもしれません。探してみるのもいいかもです(笑)。
それでは、本年もよろしくお願いしますね。
おっさんコリンに応援頂きました、ありがとうございます♪
こんばんは!
返信削除見ましたよ・・。いや~、面白かったです!!(^^♪
>伝統と規律を重んじる精神のもと、紳士たる身だしなみから繰り出す壮絶なアクションは、これぞ静と動を併せ持つイギリスというやつではないですか。
コリン・ファースが頑張ってましたね!
仰るように、どう見ても戦闘能力「0」の(笑)
容姿からあのアクションをやられたら痺れますね!
最初のバーでの戦闘でノックアウトでした(笑)
あのシーンがラストにオマージュされているのも良かったです!!(^^♪
>ちょっと笑ってしまったのが、ヴァレンタインの女用心棒があるエージェントを迎え撃つところ。この女用心棒、両足が刃物を備えた義足になっていて、新体操みたいな技を繰り出すの。
個人的には彼女の正体をして驚愕しました!
「どこかで見た顔だな・・」と思っていて、エンドロールを見て
どっひゃーでした(笑)
Madonnaのツアーに参加してたダンサーだったんです!
ダンサーの中でもその存在感は抜群でお気に入りだったんです。
最新のツアーに名前が無いな~、と思ったら映画に出てたなんて・・
ちょっと感激でした♪
カポエラばりの足技を繰り広げる半端でない戦闘能力も
彼女なら納得です!!よく発掘しました(笑)
>ジンジャー・リン
懐かしい・・、彼女は好きでした(笑)
ニナ・ハートレーも何となく名前に聞き覚えがありますが、
はっきりと思い出すことができません。
2016年にジンジャー・リンで会話してるのは
僕たちだけですね(爆)
今回はソフィア・ブテラにガッツリ応援をさせてください!!\(^o^)/
〉take51様
返信削除ご覧になりましたか!楽しんで頂けたようで何よりです(笑)。
そうですね、あの一見大人しそうな紳士が大暴れする様は何度見てもいいものですね。
パブでのお披露目もそうですが、中盤の教会での大殺戮は、夢オチじゃないかと思える程の勢いで痺れました。
夢オチでないとすれば、コリンが明らかに不利なってしまうというのが、とても残念なところではありましたが。。
女用心棒の件、わかりますよ!
思い入れのある人物が意外なところで拝見できると興奮しますよね。
ソフィア・ブテラがマドンナのお抱えダンサーだったとは知りませんでした。おかげで幅が広がりました。
彼女、殺し屋なのに殺伐としておらずエキゾチックで人懐こいところがよかったです。あの義足はCGなんでしょうが、本物にしか見えません。マッドマックスのシャーリーズの義手といい、映像マジックは大したものですね。
ここで、ソフィアラブなtake51様に究極の質問です。
ソフィアの踵落としを、真剣白刃取りで受け止めたら、彼女と1日デートができますが、失敗したらそのまま唐竹割りにされます。どうされますか(笑)。
新年からジンジャー・リンを話題にしてるのって、間違いなく我々しかいないでしょうね。
あと、当時を席巻した巨頭三人目として、クリスティ・キャニオンがいましたが、これはまたの機会にでも(笑)。
ソフィア・ブテラ応援頂きました、ありがとうございます♪
こんにちは。
返信削除最初の瓦礫タイトルから最後のオチまで堪能しました。
大殺戮も血まみれではありませんでしたが、ブラックジョークが効いていて万人に受けることは難しそうでしたが、私にとっては大変面白かったです。(^^)
なんと言ってもハリーの体術が素晴らしかったですし、凄い速度なのに頑張ってみなくてもわかりやすい演出は疲れなくていいですね。
ロートルな秘密兵器に組み込まれたハイテクもとっても楽しい。
ハリーが途中で退陣してしまったのは残念でしたが、あの教会のあとではさすがにその方が幸せだったかも。あとを引き継ぐエグジーはガラハッドになるのかな?
ハリーがエグジーを助けたバーが再現されたのもよかったです。
ヴァレンタインの特異性もぐーでした。なんて人!
ガゼルの足も素晴らしい。刺されたくはないですけど…やっぱり相手にも魅力的な人がいるといいですねー。
がっつんと応援行っておきます!(^^)/
〉白くじら様
返信削除またもやごめんなさい!
こちらにも頂いたコメントなんですが何故かスパム扱いで隔離されておりました。。
原因は不明なんですが、消えることはありませんのでご心配なく。
キングスマンはマシュー監督の期待通りのノリで大満足ですよ。
キックアスが堪らなかったもので(笑)。
単なる爆発や銃撃だけでなく格闘と融合したようなアクションをスムースに見せるセンスが素晴らしいですよね。
ちょっとガンカタを思い出したりして(笑)。
教会のアクションが一番の見せ場と思っているのですが、それだけにハリーがハメられる設定になってるのは残念でした。その後のハリーの運命は仰る通り最良の道だったのかもしれません。若手後継を一気に突き放す意味も含んでたでしょうか。
軽いノリに見えて実はアクションは壮絶で残酷なところもあるとか、よく考えたら妙な作品ですけど、これからこういう作品が勢い付いていくのかもしれませんね。
応援コメントありがとうございました♪