2013年8月16日金曜日

映画『トータル・リコール('12)』 ・・・諜報員を夢見た男が、とても大変な目に会います

●原題:Total Recall
●ジャンル:アクション/アドベンチャー/SF/スリラー
●上映時間:118min
●製作年:2012年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:レン・ワイズマン
◆出演:コリン・ファレル、ケイト・ベッキンセイル、ジェシカ・ビール、ブライアン・クランストン、ボキーム・ウッドバイン、ビル・ナイ、その他勢

 8月まっただ中。毎度の暑いです。堪らないです。皆様いかがお過ごしでしょうか?
 今回の映画記事は、スカしたスタイリッシュ系の作品ですが、見所は女優陣の戦闘シーンだと思うのです。

【ストーリー】
 21世紀末。化学戦争の結果、地表の大部分が居住不可となった地球。世界は二つに分かれ、ヨーロッパ大陸に富裕層の「ブリテン連邦(UFB)」が、オーストラリア大陸に労働者層の「コロニー」が構成されていた。コロニーで妻と二人暮らしのダグラスは毎晩ある女性と共に逃亡する悪夢に悩まされていた。気晴らしに世界旅行を疑似体験できるリコール社に出向いたダグラスは、やがて自分の記憶を巡る大事件に巻き込まれることになる・・・。



【感想と雑談】
 もう1年前に公開された作品ですが、なんかレンタルされた記憶ないな、と思いつつ、久々にツタヤに行ったら、とっくに置いてありましたorz。パッケージをよく見ると「ツタヤだけ」というマークが。道理で近所のレンタル屋に置いてないはずです。というか、何これツタヤが独占してるってこと?他のレンタルチェーンには渡さないってこと?そういうシステムは、ちょっとどうかと思いました。

 さて、シュワちゃんの名作『トータル・リコール』('90)のリメイクです。原作はフィリップ・K・ディックの『追憶売ります』ですが、短編小説なので大分膨らませているそうです。この映画化は火星を舞台に大暴れする変態シュワちゃんの豪快さとアクの強さから前作以外に有り得んだろと思っていたのですが、これはこれでなかなかイケてるリメイク作品でありました。

 舞台を火星に移さず、地球上オンリーにしたことで、宇宙ものの突飛な要素もなく、割とシリアス傾向となっています。前作から20年以上も経ってますからね、映像表現も格段に向上しているので、未来の大都市のディティールの細かさ、また未来像に違和感なく溶け込んだアクション演出は、本作に限らないことですが、とても感心するばかりです。数々のVFX工房、いい仕事してますね。

 未来の高速道路はホバーカーが磁力で浮上しながら走行していますが、驚いたのが高架の裏面にも磁力でぶら下がるように走行する車線があるところ。これはちょっと新鮮でした。チェイスの締めに持っていくのに効果的な使われ方をしてましたが、実際、走行中に磁力システムが故障とかしたらどうすんだろうな、これ(笑;)。



 UFBのヨーロッパ大陸とコロニーのオーストラリア大陸は、ちょうど正反対の位置関係で、地球を貫通する形でフォールという自由落下式のエレベータで結ばれています。コロニーから労働者が通勤の為に利用しますが、これゴンドラを投下した直後から無重力になるのかと思いきや、暫く重力は働いているのですね。で、中心(コア)付近を通過する時だけ重力反転とかいって無重力になるの。ストーリー上、重要な要素になってるけど。しかし、そうなんだっけ?自由落下してる間は無重力になると思ってたんだけど・・・。

 公開前から気になっていた悪と善のヒロインを演じるのは、ケイト・ベッキンセイル(ベッキン)とジェシカ・ビール。前作ではシャロン・ストーンが主人公を監視する悪妻のみを演じてましたが、本作ベッキンはこれに加え組織の現場リーダーとしても大爆走しています。前作のマイケル・アイアンサイドとは違ったキレ具合のヒロイン像。ジェシカ・ビールもベッキンとは対照的な善のヒロインを好演。

 善と悪のヒロインが存在する、ということはどういうことか。それはイコール、キャットファイトが期待できるということです。ベッキンもジェシカもアクション作品の経歴は十分あるので、これは大変期待が膨らみました。しかし、二人は狭いエレベータの中でチマチマ殴り合っただけで、キャットファイトとしてはちょっと物足りないところが残念でした。その代わり、ベッキンもジェシカも単体では素晴らしい活躍をします。

 ベッキンの場合、良き妻から殺し屋に豹変し、記憶が戻りかけの主人公ダグラスにいきなり襲いかかるところ。段差のあるところを股を広げながらズサァーとスライディングして、ダグラスの顔面を股で直撃します。これ『ヴァン・ヘルシング』('04)でもヒュー・ジャックマンに同じことしてたベッキン。素晴らしい身体能力です。そして男優や旦那でもある監督が羨ましい。40代に入ろうが魅力は倍増です。



 ジェシカの場合、いかにも強そうな女戦士。ホバーカーでのチェイスや銃撃する時の顔付き、ベッキンよりも肉感的な気のいい姉ちゃんという雰囲気が素晴らしいです。中盤、ある大事なシーンで涙を流すところなんか守ってやりたい度No1。ジェシカは『ブレイド3』('04)の女戦士役を見てファンになりました。

 この二人が銃撃戦をしながらダグラスを挟んで交わすセリフが大変イカしてます。

 ベッキン
「今のうちに彼女に別れのキスをしたら?ワタシとやったクチビルだけどね♪」
 ジェシカ
「(一通り銃弾ばら撒いて)あの女、殺してやるぅ♪」

 二人とも実に意気揚々としていて、間接的なキャットファイトとしては名場面でございましょう。

 背景としては、激しい二極化を解消すべくコロニーの影の主導者がレジスタンスを構成し、UFBに対向していくというもの。その両者の組織を股にかけ活躍していたダグラスが、UFB上層部の悪事によって記憶を消され監視下に置かれますが、途中リコール社のシステムによって彼の記憶が蘇ってしまいUFBが焦り出す訳です。両手に華のゲジ眉ダグラスは死にそうになりながらも、消された記憶の真相とこれからするべきことを追及していきます・・・。



 レジスタンスの主導者がダグラスと謁見した際の「過去の記憶に拘るのは意味がない。今を感じ、考えることに意味を持て」といったセリフは印象的でした。脳に埋め込まれた信号体が記憶である以上、それが本物か偽物かの区別はできそうにありません。単純に言い替えさせて頂ければ、やはり過去のことをいつまでも引きずるな、今とこれからに目を向けて進めよ、と捉えましたが、どうでしょうか。

 そうそう、前作でも風俗街にいたトリプルオッパイが本作でも健在でしたぞ。それと変装したダグラスがUFBのターミナルで身体チェック受けるところ、どっかで見たオバサンがいるな、と思ったら、前作でシュワちゃんが変装した姿を演じた女優さんが同じセリフで登場してました。意外と体がちっさいオバサンでした(笑)。

 脚本に前作のダン・オバノンに加えてカート・ウィマーの名前がありました。『リベリオン』('02)や『ウルトラヴァイオレット』('06)の脚本・監督やった方ですね。レン・ワイズマン監督のスタイリッシュな作風に更に追い打ちをかけていたのでしょうか。


 ベッキンとジェシカ、最高ー!!


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【出典】『トータル・リコール』/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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