2015年2月17日火曜日

映画『エクスペンダブル・レディズ』 ・・・女傭兵部隊がテロリスト軍団に殴りこみをかけます

●原題:Mercenaries
●ジャンル:アクション/アドベンチャー
●上映時間:89min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:クリストファー・レイ
◆出演:ゾーイ・ベル、クリスタナ・ローケン、ブリジット・ニールセン、シンシア・ロスロック、ヴィヴィカ・A・フォックス、ニコール・ビルダーバック、ティム・アベル、ジェラード・ウェッブ、その他大勢

 こよみは春ですけど、やっぱり寒いですね。この間、雪降ったし雪。まだまだ降りそうな予感がします。
 さて、前回に引き続き、今回もアルバトロス配給の作品です。割と新作ですが中身はどうなんでしょうか。

【ストーリー】
 カザフスタン。訪問中のアメリカ大統領の娘エリスがテロリスト軍団に拉致されてしまう。テロリストの女頭領ウルリーカは、娘と引き換えに我が領土に恩恵を与えよとホワイトハウスを脅迫。アメリカ大統領の側近らはエリスを救出するべく、ある傭兵部隊を秘密裏に結成する・・・。



【感想と雑談】
 思い付きそうで思い付かなかった『エクスペンダブルズ』の女性版(笑)。本家より人数は少なめですが、その分、配役で勝負なんだぜという意気込みがパッケージからヒシヒシと伝わって来ます。前回に続きアルバトロス配給なので、既に見えた気がしますが、その放っておけない女優陣に手が伸びた次第です。

 かつてのアクション作品で名を馳せた(たぶん)女優らが、様々な経歴を持つ犯罪人として登場します。まずは、テロリスト軍団の女頭領ウルリーカを演じるブリジット・ニールセン。完全にオッサンだろこれ。男装の麗人すぎる。過去の作品からしてキワモノ的な美形ではあったけど、今回の更なる貫禄の付きようはいったい。出オチですね。シルベスタ・スタローンの元嫁ということで本家との繋がりを感じますが微妙に。

 このウルリーカに対抗すべく、アメリカ政府は百洗練磨の女囚人どもをスカウト。政府の役人モナ役をシンシア・ロスロック、囚人側では戦術に精通したカサンドラ役をゾーイ・ベル、狙撃の達人キャット役をクリスタナ・ローケン、殺し屋レイブン役をヴィヴィカ・A・フォックス、そして爆弾の達人メイリン役をニコール・ビルダーバック、それぞれが演じています。

 シンシア・ロスロックは、女格闘家で数多くのアクション作品に出られてますね。香港アクションでは、サモ・ハン・キンポーと互角に戦ったりしてました。凄い人だ。本作では裏方に徹していましたが、レイブンとの確執からキレのある格闘をちょっとだけ見せてくれます。



 ゾーイ・ベルは、なんといってもタランティーノ監督の『デスプルーフ』('07)ですよね。スタントウーマン兼女優としてデビューした姿がとても印象的でした。欧米系のアクション女優って貴重だと思います。本作では45口径コルトガバメントを愛用する渋い主役級で見せ場はテンコ盛りです。

 ヴィヴィカ・A・フォックスは、タランティーノ監督の『キル・ビル1』('03)にも出てたのですね。殆ど記憶にないですが。本作では二丁拳銃とビッチで肝っ玉な言動がなかなかイカしてると思います。両手のグロック19を交互に突き出し連射する様はどうかと思いましたが。

 クリスタナ・ローケンは、実は本作で一番気になった女優です。というかファンです(笑)。彼女は『ターミネーター3』('03)に尽きるでしょうか。ギューンとオッパイ膨らまして警官を惑わし、シュワの股間を握りトイレの壁をぶち抜いてくT−Xの勇姿に、心のガッツポーズを送った諸氏は少なくないはず。終始のポーカーフェイスが真骨頂でしたが、本作では当然の人間役なので(笑)、色んな表情が拝めます。しかしもう36歳なんだ。相応の顔付きになっちゃってるな。ところで、彼女はレズをカミングアウトしてたはず。突撃してもT−Xよろしくぶっ飛ばされるだけかと思うので、遠くから眺めておくだけにしましょう。

 で、最後はニコール・ビルダーバック。この人、メンバのひとりなのにパッケージに姿がないんですよね。配給アルバトロスも失礼なことすんなよと思ったら、本国からしてそういう扱いになってるの。ジェット・リーに匹敵するアジア女優はいなかったのかな。一応、中国人役ですけど、韓国出身でドラマに多く出演されてる模様。本作では爆弾マニアで核ミサイルにウットリするコミカルな役どころです。レイブンに「どーも」と礼を言われると「それは日本語だ!」と怒ります(笑)。



 女優の見本市みたいになってしまいました。中身の方なんですが、はっきりいって安いです。終始スカスカな空気が漂っています。低予算の苦境をかなりのゴリ押しで突破してますので、画面全体の見た目と大真面目な行動をとるキャラクタとのギャップに笑えます。肝心のアクションでは、本家よろしく銃撃戦での血しぶきはド派手ですが、周辺のオブジェクトには殆ど着弾効果がなく、車や壁は頑丈で穴も空きません。爆発エフェクトはCG合成のようです。核ミサイルはスノコに積まれて登場という、もの凄いテキトー感です。

 しかし、そんな中にも見どころがあったりするのです。まず、アクションに付き物の銃火器に一風変わったタイプがあるところ。狙撃の達人キャットに役人がブレイザーR93というドイツ製の狙撃銃をいちいち説明しながら渡します。338口径ラプアマグナム弾を5発装弾とか。有名な銃なのでしょうか。ディティールに拘った印象的なシーンなのです。 それから、所々でカメラワークや演出にセンスと工夫を感じます。頑張ってると思います。

 また、銃撃戦時に敵兵が逃げていきますが、これを見たキャットが「任せれ」と狙撃銃を持ち出し、敵兵を目で追いながらノシノシ歩いてくるところ。ここちょっとした長回しになっていて画面構成と演じるクリスタナの鬼気迫る表情にグッときます。更には敵兵を睨みつけながら、狙撃銃をバイポットで固定し、スムースに伏せ撃ちに移行する辺りのカッコよさ。そして鋭い眼光。撃たれてもいいと思いました。T-Xの面影は皆無だけど。

 クライマックスのC−130輸送機を使ったアクションは、かつての007を彷彿させるほどの盛り上がりっぷりです。機内ではやっぱりスノコに積まれた核ミサイルにヒヤヒヤしながらウルリーカと大戦闘。後部のハッチが開くと機は急上昇し、彼女らはゴロゴロ転がり落ちそうになったりします。危ねえぞ。頑張れよエクスペンダブル・レディズ。

 で、どこか感心もできるんだけどやっぱり爆笑もできる、ひと粒で二度美味しい超B級作品でありました。シリーズ化されたらもっと笑えるぞきっと。


 やっぱり木曜洋画劇場を復活して欲しい。


<オマケ1>
 ブリジット・ニールセン主演の『スタークリスタル』('95)です。ブリジットはこうでなくてはいけません。なんだか『ターミネーター3』のT−Xの元祖にも見てとれますね。クリスタナ・ローケンの立場は?!



<オマケ2>
 『デスプルーフ』の頃に見つけたゾーイ・ベルの可愛いハイキックです。まず彼女のスカート姿というのが衝撃でした(笑)。



(C)2014 The Global Asylum Inc.
【出典】『エクスペンダブル・レディズ』/アルバトロス

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2015年2月7日土曜日

映画『ブロンドジャンクション』 ・・・コマンドーの監督が送る、残念な女アサシン VS 爆弾オッパイ

●原題:Betrayal
●ジャンル:アクション/ドラマ/スリラー
●上映時間:94min
●製作年:2003年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マーク・L・レスター
◆出演:エリカ・エレニアック、ジュリー・ドゥページ、アダム・ボールドウィン、ジェレミー・レリエット、ジェームズ・レマー、ダミアン・チャパ、その他大勢

 皆さん、いかがお過ごしでしょうか?まだまだ寒いですね。インフルエンザもそうですが、そろそろ気になってくるのが花粉症です。嫌な季節ですホントに。
 さて、今回は犯罪アクションものを紹介したいと思います。いろいろ問題があって楽しい作品です。

【ストーリー】
 アメリカ。凄腕女アサシンのジェインは、今日も常連の組織から仕事を引き受ける。それは組織の売上金を横領してる下っ端の始末であった。手際よく仕事を済ませたジェインは、あろうことか売上金を持ってトンズラする。裏切られ怒り心頭の組織から逃れる為、ジェインは母エミリーと息子ケリーの親子に一般人を装いヒッチハイクを懇願する。親子は快諾するも、それがジェインとのヤバイ珍道中になろうとは知る由もなかった・・・。



【感想と雑談】
 何気に手を伸ばした作品です。パッケージの粋なポーズのブロンド美女(この時はそう見えました)に惹かれたのは当然ですが、なんと監督が『コマンドー』('85)のマーク・L・レスターで、出演陣にも思い出深い女優がいたりしてビックリ。運命の巡り合わせを感じ、即決しました。配給アルバトロス発掘のDVDスルー作品のようです。

 なにこれB級すぎるし、凄く懐かしい気分。

 始まってすぐ浮かんだのが木曜洋画劇場。展開もそうですが、垢抜けない色合いとスタンダードサイズの画面も相俟って、かつての東京12チャンネルありがとうな気分に浸れました。観る前の淡い期待(どんな)は木っ端微塵ですが、その出来が意外すぎて逆に色んな意味で収穫がありました(笑)。

 冒頭、娼婦を装った女アサシンのジェインが酒場でマフィアを始末するくだりはいい感じです。しかしこのジェイン、黙ってればいいのに汚い言動とクチもとが残念すぎる美人。クールビューティさもない自己陶酔ぎみの女。最初の印象が覆されます。演じるはフランス女優のジュリー・ドゥページ。どんな基準で起用したのか知らんですが、このB級臭さには非常にマッチしてる女優といえましょう。

 ひと仕事終えたジェインのしたり顔を拝むと、突然、砂漠のハイウェイが映されます。誰も歩いておらず何も走っていないハイウェイを15秒くらい映すと、次に角度を変えてまた同じような光景を15秒くらい・・・ということを5、6回繰り返す謎のカット。展開に向けた布石のつもりでしょうか。この辺りでコマンドーの監督にしてはどうなの、と思えると同時に笑いがこみ上げてきます。

 ジェインとは対象的に善良な親子。ママのエイミーを演じるはエリカ・エレニアック。『沈黙の戦艦』('92)をご存知の方は思い出して下さい。ケーキの中から飛び出しトップレスで踊りだすプレイメイト役を。実際プレイメイトでもあった女優です。懐かしいなあ。家賃滞納で困窮するシングルマザー役ですが、未だ健在の爆弾オッパイのせいで、ジェインを食ってしまうほどの存在感。笑えます。


(エリカ(左)の独り勝ち。そしてタイトル通りに交差するブロンド集団です)

 組織の金を奪い逃走中のジェインは、親子が車で同じ目的地に移動することを知るや、慌ててヒッチハイクを懇願します。

 ジェイン 「田舎の妹が危篤なんです。わたし足がなくて(;ω;)」

 同情した親子はジェインを乗せ目的地メキシコに向け出発。すると、ジェインは、タバコふかすは親子を見下し始めるわで、情緒不安定な女にしか見えなくなります。親子が可哀想・・・。

 休憩時、笑えるほどの唐突さで車に轢かれそうになったジェインは、殺気まる出しで、いまの車を追えと親子に迫ります。

 ジェイン 「あのゴキブリ野郎が!!とっちめてやる!!!」
 ママ      「そんな態度は止めて!落ち着きなさいよ!」
 ジェイン 「田舎の妹が・・・(;ω;)」

 急転すぎてアホか。

 モーテルで一泊することになった一行。ママ孝行の息子ケリーは、ジェインの部屋で100万ドル入りのカバンを発見します。夜、寝静まった頃、ケリーはカバンをそっと奪うと、ママの寝顔を見ながら「もうお金のことで苦労はかけないよママ」と置き手紙を残します。そして、ひとりヒッチハイクして自宅に戻ります。おい。

 翌朝、カバンを奪われたことで本性を現したジェインは、ママに拳銃を向けケリーのことを脅迫。やがて、追ってきた組織とコントみたいな銃撃戦に突入します。至近距離でショットガンが一発も当たらないスーパー銃撃戦。なんとか逃れたママは、通りがかった男に助けを求め、自宅に向かうことにします。実はこの男、話のキーとなる存在で、このあと二転三転する展開に拍車をかけます。一応スリラー要素です。


(レスリー・ニールセンのコメディ作品にもこんな銃撃戦がありました)

 一方、自宅に戻った息子ケリー。100万ドル入りのカバンを隠すと、お菓子を取り出し、くつろぎます。そして、スイッチオンしたテレビから、ジェインが指名手配中の殺人犯であることを知るや、

 ケリー 「ママがぁー!!!!(;ω;)」

 再びアホか。”殺人犯とは知らずに金を奪っちゃったんだよママ”、と猛省するケリーですが、オマエそういう問題なのか。最大の謎行動を起こす息子ケリーの顛末は爆笑ものです。

 クライマックスはジェインとママの一騎打ちで締めとなります。当然こうでなくてはいけません。ですが、ジェインも殺しのプロと豪語する割にはヘッポコすぎて、ママとの低レベルで対等なキャットファイトになってしまうのは、全体を包む空気から予想はできていましたが、やはり残念ではありました。

 ジェインのこと酷く書いちゃいましたが、実は可愛いところもあったです。今さらですが(笑)。最後の最後まで木曜洋画劇場だったな、と思わせる作品でありました。

 製作と監督をマーク・L・レスターがやってますが、かすかに片鱗はあるものの、残念ながら『コマンドー』には程遠い出来でした。18年も経って力量がなくなったのか、それとも『コマンドー』自体がジョエル・シルバー製作による奇跡の作品であったのか。どっちでもいいです。


 木曜洋画劇場を復活して欲しい。


(C)2002 Betrayal Producrions, Inc.All Rights Reserved
【出典】『ブロンドジャンクション』/パンド

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2015年2月1日日曜日

映画『イントゥ・ザ・ストーム』 ・・・竜巻が迫ってるのに、女の子とイチャイチャしてるとこうなります

●原題:Into the Storm
●ジャンル:アクション/スリラー
●上映時間:89min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:スティーブン・クォーレ
◆出演:リチャード・アーミテージ、サラ・ウェイン・キャリーズ、マット・ウォルシュ、マックス・ディーコン、ネーサン・クレス、アリシャ・デブナム・キャリー、アーレン・エスカペータ、ジェレミー・サンプター、その他大勢

 2月に入りましたね。皆さんいかがお過ごしでしょうか?今まさにインフルエンザの流行時期ですよね。予防策はしっかりとっていきたいですね。
 さて今回は、最近のデザスター作品の紹介です。デザスター作品といえば・・・私が崇めるあの大傑作がありますが、本作の出来はどうなんでしょうか。

【ストーリー】
 アメリカ。スーパーセルの異常発達により竜巻の大発生が危ぶまれる中、田舎町シルバートンでは高校の卒業式が行われ、一方ではピート率いるストームチェイサーが鼻息荒く近辺を通り過ぎようとしていた。突如、発生した竜巻によって校舎は半壊し、卒業生徒らは身動きが取れなくなってしまう。教頭のゲイリーは生徒でもある息子ドニーが工場跡地で被害にあったことを知り救出に向かうが、再度発生した竜巻によって車が破壊されてしまう。駆けつけたストームチェイサーの協力を受け、ゲイリーはドニーの救出に再出発するが・・・。


(インセプション・・・?)

【感想と雑談】
 忘れた頃にやってくるデザスター超大作ってやつでしょうか。本作では大自然の猛威として竜巻(トルネード)が主役ですが、私にとっての竜巻映画は『ツイスター』('96)がマスターピース(笑)です。雨後の筍なDVDスルー作品が多い中、久々に劇場公開された竜巻新作ということで、ちょっくら手を伸ばしてみました。

 うわー凄い迫力。でもなんだか・・・。

 冒頭、車中の若者達が竜巻に襲われます。前方の電柱が火花を散らすけど、夜中なので何が起きてるのかわからない。ウヒャーと盛り上がって前進すると突然、竜巻の姿が目に入り、慌てて車をバックさせるも時すでに遅し。この一部始終をハンディカメラ越しの事故映像として描いています。

 本作は、様々な登場人物によるカメラ越しの映像を挿入することで、大自然の脅威に遭遇する様を生々しく感じられるような効果を狙ってるようです。擬似ドキュメンタリとでもいうのでしょうか。ストームチェイサーだけでなく、卒業式当日の朝から親子の確執やら、ハプニング動画で一攫千金を狙うアホ二人組やら、それぞれハンディカメラの映像が交差しまくります。

 高校の卒業式も架橋に入った辺りで遂に天候が一変、竜巻のお出ましです。ここで地域住民が避難しストームチェイサーも仕事をこなして無事終了・・・という訳にはいきません。どうなるかというと、下心満載のアホ息子と女の子がどこぞで竜巻に襲われ命に関わるカウントダウン開始。察知した親父の高校教頭がストームチェイサーと共に救出に向かうという、スリルでイラッとくる、はた迷惑な展開になります。

 肝心の竜巻ですが、主役だけあってその映像は凄まじいです。乗用車やらトラックやら、はたまた建造物なんかは粉々に散って宙に舞います。この辺りの臨場感ある描写はさすが昨今の映像技術だなと感心します。そんな竜巻を目の前にして、酔っぱらいのアホ二人組が盛り上がり、車が破壊されると「俺らのクルマがー」って嘆いてるの。ここ恐怖と笑いのギャップが凄まじいです(笑)。

 監督は『ファイナル・デッドブリッジ』('11)のスティーブン・クォーレ。『ファイナル〜』は素晴らしかったですよ。冒頭の橋崩落のスペクタクルさにはビックリしたし、何よりもあのオチの持って行き方に感動しました。シリーズの復活にも貢献されてましたね。何でもジェームズ・キャメロン監督を師に持つらしく、確かに画作りには徹底したスタイルを感じます。

 しかし、本作は映像面に特化しすぎちゃったかな、という印象です。猛威を奮う竜巻を横目に、登場人物らを幾度も交差させながら命に関わるイベントを発生させて、それを回避させるサスペンスとスリラー要素は用意されてるのですが、それほど心に響くようなドラマには感じませんでした。上映時間が90分を切る短さもあるでしょう。そういえばクライマックスで、近年のあるSF作品そっくりなギャグにも見える場面が出ますが、監督はあの作品に思い入れか関係でもあったのだろうか。



 ここらから『ツイスター』を引き合いに出します(笑)。こちらはヤン・デ・ボン監督が、竜巻以前にアクション作品として貫いていて、監督らしいスピード感ある演出がドラマ性と相まって至高な作品になっていると、私は思っています。大半のかたは『ツイスター』を竜巻の脅威が足らずドラマも陳腐で余計なものという評価を下されています。では、本作の評価はどうなんでしょうか。

 『ツイスター』に足らなかった部分が、本作では埋め合わせされてるかと思いますが、いかがなもんでしょうか。最新のCG技術による、炎も一緒に渦巻いたり、人が巻き上げられたりする竜巻映像は、『ツイスター』の比ではないですよね。まあ、それでもどことなくチャチに見えるのは映画としての娯楽性を崩さぬようわざとやってるかもですが。

 『ツイスター』はストームチェイサー視点で竜巻を日々追うアドベンチャーで、本作は被災者視点で突然発生した竜巻の脅威に対抗するスリラーになります。また、両者にドラマ性はあるにしても、前者は映画然としていて、後者はドキュメント然としている。そもそも作りが違いますね。あんなドデカイものまで巻き上げて(笑)視覚的に皆をビビらせる後者の方が、デザスター映画の定義により当てはまるといえるでしょう。

 結局は観る人の価値観によりますが、私的にはヤン・デ・ボン監督が達者な分、『ツイスター』の方が魅力ある作品だな、ということ。人間的な温かみや高揚感もクセになる神作品であります(笑)。デザスターの物差しで計れば、私の評価は間抜けなもので、本作が格段上になるとは思いますが、クォーレ監督、絶対に随所で『ツイスター』リスペクトしてるだろこれ。

 しかし、本作も絶対的に満足できるデザスター映画に仕上がっているんですかね。これまでの評価によれば、ドラマ性を頑張ると破壊の美学が足らないと言われ、破壊性を頑張るとドラマ性が陳腐だと言われる。どっちだよ。ひょっとして、デザスター映画っていうのは永遠に成り立たないジャンルなんじゃないですか。

 という訳で、往年の竜巻デザスター作品のIMDb評価を調べてみました。’89年の作品から辿っています。大半がTV映画となっていてDVDスルーされていますが、この評価からしてその内容は言わずもがな。一番評価の高い(6.4)作品って何!!と思ったら、ドキュメンタリ短編作品でした。除外してもよかったか。で、問題は、肝心の『イントゥ・ザ・ストーム』が『ツイスター』よりも低評価(5.9)なんです。これはどういうこと?

(M):映画 (TM):TV映画 (D):ドキュメンタリ (2015/2/1現在)


 皆から文句たらたらでラジー賞まで食らった『ツイスター』が映画作品として未だ高評価(6.2)である事実。まあドングリの背比べだけどね(笑)。・・・まとめに漏れがあったらご指摘下さい。


 このブログではやっぱし『ツイスター』がNo1ということで。


(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.--U.S.,CANADA, BAHAMAS & BERMUDA
(C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS(BVI) LIMITED--ALL OTHER TERRITORIES ALL RIGHTS RESERVED.
【出典】『イントゥ・ザ・ストーム』/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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2015年1月12日月曜日

映画『鑑定士と顔のない依頼人』 ・・・老人鑑定士が謎の女に翻弄されます

●原題:The Best Offer(La migliore offerta)
●ジャンル:犯罪/ドラマ/ミステリー/ロマンス
●上映時間:131min
●製作年:2013年
●製作国:イタリア
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
◆出演:ジェフリー・ラッシュ、ジム・ストラゲス、シルビア・ホークス、ドナルド・サザーランド、フィリップ・ジャクソン、デルモット・クロウリー、キルナ・スタメル、リナ・ケベド、その他大勢

  皆様、3連休はいかがお過ごしでしょうか?成人の日ですね。自分にはまったく関係ないですけど(笑)。さて、今回はある2作品を立て続けに紹介したいと思います。一気に観た結果、両作ともちょっと気になってしまいましたので。

【ストーリー】
  イタリア。鑑定士バージルはオークションを進行する傍ら、友人ビリーと共謀してお気に入りの絵画を収集する男。独身を貫き孤高の人生を送る変わり者でもあった。ある日、一人の女から売却したい装飾品の鑑定の依頼を受けるバージル。屋敷に住むその女クレアはある理由から、バージルとは電話や壁越しでの会話のみで顔を合わせることがなかった。女性を知らないバージルは、そんな手を焼くクレアに徐々に好意を寄せるようになり・・・。

【感想と雑談】
  『鑑定士〜』は予告編で気になってはいたものの、なんだか重たそうな雰囲気でしたので、似たテーマで何か気が晴れそうな『モネ・ゲーム』('12)もセットで借りることにしました(笑)。『モネ〜』は次回に書くことにします。

 老人鑑定士バージルが豪華なレストランで一人食事をするところが笑えます。別にギャグではないのですが、かなり特異な人物として描かれています。まあ金持ちではあるので、レストラン側も大事な客として彼の誕生日にはケーキをプレゼントする訳です。しかし、バージルは誕生日が1日早いのを理由にケーキには手を付けず、ローソクの火が消えるまで微動だにしないスーパー変わり者。レストラン側も何とかしろよ。

 そんなバージルが、ある屋敷に呼ばれて数々の装飾品の鑑定をすることになります。ここからぐいと話に引き込まれることになります。屋敷では謎の女クレアから壁越しにあれやこれや依頼をされ、また浮き沈みの激しい彼女の性格もあってバージルは翻弄されてしまいます。でも、同時にこれまで殆ど女性を知らなかったバージルは、こんな出会いであっても彼女に強く惹かれることになります。いい感じだと思います。

 しかし、予告編からも期待できた壁の向こうにいる女性はいったい何者で、顔を合わせない理由とは何なのか、という最大のミステリー要素が意外に早くわかってしまうのは残念でした。話はまた別の道を進んでいくことになります。

 これまでバージルが収集してきた絵画はどれもが女性の肖像画ばかり。それらが壁一面に飾られた部屋に一人座るバージルが、今でいう二次元嫁に満足してきたとすれば、ここで俺にも春がきたぜ三次元嫁、という転機が後半に訪れることになるのです。鑑定士のお仕事そのものの要素はさほどなかったですが、バージルが贋作にも個性があるのだと擁護するような発言をするところは印象的でした。



 一方で、度々バージルが屋敷で拾う何かの部品がちょっと謎めいていて、技術屋と共にそれを組み上げながら完成形を推理していくことろはミステリーじみていてよかったです。この部品と姿を見せないクレアの関係とは。え、ひょっとして?なんて色々と想像するのも楽しいのですが、これも中途半端な結果となっていたのは残念でした。ちょっと『ヒューゴの不思議な発明』('11)を思い出しましたが。

 バージルがある意味、絶頂期に入った辺りで、衝撃の展開を迎えます。これを食らうバージル同様に観る人もホントに頭のなか真っ白になるくらい。えー、マジかー。走馬灯のように、これまでの展開が頭の中を巡ります。そういうことだったのか。バージルに感情移入してしまうほど、この展開はキツイものだと思います。人間てやつはここまでできるものか。

 ジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品は『ニュー・シネマ・パラダイス』、『海の上のピアニスト』、『マレーネ』くらいしか観ていませんが、どれも業の深さを風情豊かに落ち着いて描いていたと思います。本作も同様に格調の高さも伺える丁寧な作りで見応えはありました。ある男の波乱の人生と取れば面白かったといえるかな。あのラストの余韻はなんともでしたが。

 鑑定士バージルを演じるはジェフリー・ラッシュ。いぶし銀の変わり者でクレアに共感していく男を遺憾なく発揮していました。また、ちょい役ながら友人ビリーを演じるドナルド・サザーランドもなかなかの存在感。この人黙っていてもドナルド・サザーランドですよね(笑)。

 イタリア作品だからか、裸体も遠慮無く描いていた感もあります。ある人物がガウンだけの姿である仕草をするのですが、ご開帳して見えてた気がします。さりげないのでちょっと経ってから気付いてビックリしました。が、エロスというより芸術だと思うので、これ読んで急いでレンタル屋に走ったりしないよう注意して欲しいです。


 鑑定士になったら気を付けたい事項。


(C)2012 Pasco Cinematografica srl.
【出典】『鑑定士と顔のない依頼人』/Happinet

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映画『モネ・ゲーム』 ・・・英国男と米国女の贋作大作戦です

●原題:Gambit
●ジャンル:コメディ/犯罪
●上映時間:89min
●製作年:2012年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マイケル・ホフマン
◆出演:コリン・ファース、キャメロン・ディアス、アラン・リックマン、スタンリー・トゥッチ、トム・コートネイ、伊川 東吾、その他大勢

 上記の『鑑定士と顔のない依頼人』('13)から立て続けに観た犯罪コメディ作品になります。

【ストーリー】
  イギリス。キュレーターのハリーは仕事の依頼主であるメディア王シャバンダーのことが気に食わなかった。絵画に目のないシャバンダーに一泡吹かせようとハリーは一大作戦を決行。アメリカはテキサス娘PJをモネ作品の所有者に見立て、贋作をシャバンダーに買わせようとするが・・・。

【感想と雑談】
 『鑑定士〜』の次に観て正解でした。逆順に観てたら立ち直れなかったかも、ってそれは大袈裟。こちらは、なかなか軽快な内容で、爆笑とまではいきませんがニヤリとできる楽しい作品でした。しかし、ポスターのヒマワリ顔キャメロン・ディアスはどうにかならんか(笑)。コリン・ファースの対照的な顔付きと並んでるところは、英国と米国の性質を表してますよね。

 舞台は英国がメインで登場人物も英国人が多いですね。冒頭から主人公でキュレーターのハリーと相棒のネルソン少佐の英国訛りの英語が炸裂します。まずは米国テキサスでカウガールPJをスカウトするところ妄想が激しくて思わず笑ってしまいました。我に返ると大変厳しい現実が待っていますが。

 キュレーターというのは一見、鑑定士に見えますが、正式には鑑定士にプラスして収集した資料の専門知識を有し業務を管理監督する専門職を指すそうです。まあ、そんな細かなこと理解してなくても単なる鑑定士のイメージで追っても問題無しです。相棒に描かせたモネの作品『積み藁』の贋作をPJと共にシャバンダーにいかにして売りつけるかが肝となっています。英国風ウィットに富んでいてマンガちっくな作りですね。

 知らなかったのですが、黒縁メガネのコリン・ファースになんとなく昔のマイケル・ケインを連想したところ、これ実はリメイク作品だそうで、オリジナル作品『泥棒貴族』('66)のハリーはまさにマイケル・ケインが演じていたのだとか。どことなく、古きよき犯罪コメディの雰囲気が漂ってる訳です。

 おしとやかな英国人とは対象的に、フランクな米国人のPJを演じるキャメロン・ディアスは、ホントに典型的な米国人ですよね。以前、英国と米国を比較するような『ホリデー』('06)でも米国代表をやってたもんな。しかし、本作でのカウガールしながらの登場シーンは、あれどう見ても男だろ(笑)。代役に女スタントマンでも使えばいいのに。



 悪役のシャバンダーを演じるはアラン・リックマン。バカな体当たり役で新鮮でした。コメディも結構やってるのかな。英国紳士のイメージが吹き飛びました。いかすぜアラン。また、ハリーのライバルでキュレーターを演じるはスタンリー・トゥッチ。髭面だけとつぶらな瞳は隠せない好きな俳優さんです。あまり活躍の場がなかったのは残念。

 オリジナル作品にも登場したのか不明ですが、シャバンダーの取引先として日本企業が登場し、久々にエキセントリックな日本人を堪能できました。そんなヤツいねーよってやつ。しかし、本物の日本人を起用しているところは好感が持てました。仲間うちで話す日本語が流暢なんですよね。

 飛び抜けて注目するところはないのですが、犯罪コメディらしくクライマックスの贋作をめぐる騒動や、その後のオチは清々しくて気持ちのいいものでした。伏線と回収の妙もありますね。上映時間も90分を切る短さだし、なかなかのお手軽さでした。

 ところで、アラン・リックマンが素っ裸でふんぞり返るシーンがあるのですが、ここで股間を思いきりご開帳するのです。うまく隠してますけど。で、ご開帳シーンといえば、先の『鑑定士と顔のない依頼人』にもありました。ご開帳で繋がる2つの作品。配給もGAGA繋がりだし。これをセットで観られたのも不思議な巡りあわせですね。アホか。


 絵画っていいですよね。


(C)2012 GAMBIT PICTURES LIMITED
【出典】『モネ・ゲーム』/Happinet

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2015年1月3日土曜日

映画『her/世界でひとつの彼女』 ・・・超絶性能の女AIが男を天国に導きます

●原題:her
●ジャンル:ドラマ/ロマンス/SF
●上映時間:126min
●製作年:2013年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:スパイク・ジョーンズ
◆出演:ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラ、エイミー・アダムス、マット・レッチャー、オリビア・ワイルド、クリス・プラット、スカーレット・ヨハンソン(声)、スパイク・ジョーンズ(声)、その他大勢

 新年あけましておめでとうございます。皆さん、どんな年越だったでしょうか?私はなんだかいつものように日が変わっただけという感じでした(笑)。本年もよろしくお願い致します。
 さて、今回は割と最近のSF作品を挙げてみたいと思います。

【ストーリー】
 近未来のどこか。セオドアは手紙の代筆会社に務める心優しい男。決別寸前の妻のことで心に穴が開いた状態であった。ある日のこと、新型OSを購入するセオドア。それは最新型AIを搭載したOSであった。インストールと初期設定を終えるとAIは主人となるセオドアに話しかける。サマンサと名乗るその声は聡明な女性そのものであった。賢くウィットに富んだサマンサにセオドアは感動し、やがて生活も楽しいものとなる。しかし、学習能力によって感情を持つようになったサマンサはある提案をしセオドアを混乱させてしまう・・・。



【感想と雑談】
 レンタル屋の新作コーナーで何やら目立つパッケージが。こんな作品あったのですね。手に取って裏面を見てみれば、そのストーリーにビビビとくるものがありました。さえない男とOS(オペレーティングシステム)機能の主従関係を超えた世界。学生時代に何かの少年誌で読んだ同様のSFマンガに感動した記憶が蘇りました。今年1発目の記事にしてしまいます。

 静かな作品ですね。インターフェース技術が発達した時代で、市民はコンピュータを直接の会話形式で操作し、イヤホン型のコミュニケーションツールとスマホっぽい端末を携帯しています。舞台となる都市部は様々な人種が行き交っていて捉えどころのない無国籍風の印象。またどことなく抽象的です。

 冒頭から、代筆業務をこなし、街を歩き、自宅で過ごすセオドアを静かに淡々と追っていきます。抽象的と書きましたが、結構ディティールがしっかりしているところもあります。コンピュータ画面のデザインが映画然してなく質素だし、空間にプレイ画面を映し出す3Dゲームは超技術ですが、なんだかしっくりした存在感。



 好きな時に音声指示でコンピュータをリモート操作できて、例えばベッドの中で手軽に世界中の人とチャットできるのはいいのですが、その反面、悲惨とまではいきませんが人との直の触れ合いがなくなっているのも確かに感じます。薄くて中性的に感じるこの設定は、今のご時世を暗に表してるようで、ちょっと寂しく悲しくもあります。

 セオドアが衝動買いするOS。それに搭載される女性型AIのサマンサが大問題です。この声をスカーレット・ヨハンソンが演じてるとか。もうね、彼女が演じてること内緒にされていてもはっきりわかると思いますよ。うお、スカヨハじゃん(笑)。相変わらずハスキーでセクシーな声だなホントに。ユーモアもあって可愛いとこもあるしで。

 ブラインドデートで相手にキモイといわれ、復縁にほのかな期待を寄せるも妻からキツイ一撃を食らうセオドアも、また中性化した男性像の象徴にも見えます。妻との幸せだった思い出から抜け出せず心に穴の空いたセオドアにしてみれば、高性能のAIに人と同等もしくはそれ以上の関係を求めるのはわかるような気もします。



 それにしても、このAIが万能すぎて、春がきた全開のセオドア。街や駅をサマンサと共に謳歌する様は傍目には危ない人です。それほどサマンサが画期的なAIだということですね。また、セオドアはあろうことか夏の浜辺に長袖&スラックスで現れスマホ片手にサマンサと至福の時を過ごします。これって、かつてのラブプラス片手の熱海旅行を超技術でレベルアップしてますか。でも正直、楽しそう。私もサマンサ欲しいわ。

 繊細でナイーブな空気で充満してますんで、この淡い恋心でどこまで行き付くんだろうなと思っていたら、このセオドアとサマンサは恋愛関係に付き物の行為を普通にやってしまいます。スカヨハ渾身のボイス演技。ここはちょっと意外でした。きっとサマンサが人並みの感情を得たという重要なエピソードだったのでしょう。純粋に人間性を描いただけに過ぎませんが、ファミリー鑑賞は要注意だと思います。

 セオドアを演じるはホアキン・フェニックス。アクの強い風貌してると思ってましたが、こんなんでしたっけ?しかしなかなかの哀愁ぶりであります。そういえばこの人、役者業を引退するっていってた気がするけど。違ったかな。それから、セオドアの別居妻を演じるはルーニー・マーラ。デビッド・フィンチャー監督の『ソーシャルネットワーク』('10)と『ドラゴン・タトゥーの女』('11)に立て続けでヒロインやってましたね。可愛いらしい女優さんです。



 また、セオドアの女友達を演じるのがエイミー・アダムスで、ボサボサの化粧っ気なしで疲れ切ったところは、最近の『アメリカン・ハッスル』('13)でのケバさ(笑)とは実に対象的で、好感が持てました。スッピンを見せてくれる女優さんは正義。全てウエルカムなのです。鼻の形が印象的で好きな女優さんです。

 結局、世界中に同じインターフェースが浸透していることや、OSがネットワークに繋がっていること、そしてサマンサの超越した感情によって、我に返るようなオチに向かっていきますが、一方では救いもあったかと思います。ふと、学習しまくりAIの今後のことを不気味にも感じましたが、考えすぎでしょうか。とにかく頑張れよセオドア。

 サマンサ=スカヨハの実体化じゃじゃーんという期待は力いっぱい外れました。そんな安易な展開になるはずないと片隅にはありましたが、どうしても歯がゆく妄想してしまいますね。スカヨハですからね(笑)。

 ちなみに、吹替版のサマンサ声は、スカヨハが自然体すぎるのに対し、声優さんがやや機械的で固めの口調になっていて、これはこれでいい感じ。オリジナルと聴き比べてみるのも一興でしょう。


 スカヨハ音声の「ラブプラス」を作ってほしい。


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【出典】『her/世界でひとつの彼女』/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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2014年12月30日火曜日

映画『ロミー&ミッシェル』 ・・・お気楽ブロンド娘の二人が同窓会に向けて色々やらかします

●原題:Romy and Michele's High School Reunion
●ジャンル:コメディ
●上映時間:92min
●製作年:1997年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:デビッド・マーキン
◆出演:ミラ・ソルヴィノ、リサ・クードロー、ジャニーン・ガラファロ、アラン・カミング、ジュリア・キャンベル、ジャスティン・セロー、ミア・コテット、クリスティン・バウアー、エレイン・ヘンドリックス、ビンセント・ベントレスカ、カムリン・マンハイム、その他大勢

 今年もあと僅かとなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?既に帰省されてる方、お仕事中の方、様々かと思いますが、健康と安全には是非お気をつけ下さいね。さて今回は、笑いで今年を締めようということで、ちょっと妙な出来ですがコメディ作品を紹介します。

【ストーリー】
 アメリカ。同級生同士のロミーとミッシェルはルームシェアするほどの仲良し。毎日を気ままに過ごしていた。ある日のこと、ロミーは偶然出会った同級生のヘザーから近々、高校時代の同窓会が開催されることを聞く。ロミーとミッシェルはかつてを振り返る。それはいい思い出ではなかった。個性派の二人は周りから浮いた存在で、イジメの対象とされていたのである。なかでもクリスティ率いる女子組はタチが悪かった。ロミーとミッシェルは卒業後10年目にしてかつて自分達をバカにしていた輩を見返してやろうと、同窓会に向けた準備を開始する・・・。



【感想と雑談】
 前からいつか挙げてみたいと思っていたコメディ作品です。最近、コメディが多い気がするけど、笑いは健康にもいいので、今後もちょくちょくいきたいと思います(笑)。しかし、うわ、これもう17年前の作品になるんか。

 タイトルとジャケットデザインからは、ブロンドパー(アッパラパーのブロンド)の二人が人生を謳歌するコメディに違いないと思われることでしょう。当たってます。そのまんまです。しかし、その好き勝手に人生を送るブロンドパーらの緩み具合をオフビート且つシュールに描いているのが問題です。

 イカしたBGMで海原を俯瞰で突き進むタイトルバック。空撮のままカメラが海辺のアパートの一室に入っていくと、ビデオ鑑賞中のロミーとミッシェルが登場。『プリティウーマン』('90)を30回以上は観てると豪語する二人。そして今夜もバッチリ服装をキメて男漁りにディスコ通いするもハズレ。のっけから間の抜けた二人が飛ばし気味で掴みはOKです。



 ロミーを演じるはミラ・ソルヴィノ。タランティーノと付き合ってたくらいだからオタクやバカ映画に理解があるのでしょう。同時期の怪獣映画『ミミック』('97)では本作と正反対なインテリタイプの博士役をやってました。かつてオスカー助演女優賞を取ったというのに、こんな仕事してる彼女こそ女優の鑑(笑)。腹の座ったハスキーな声で力いっぱい間抜けにミッシェルをリードします。

 ミッシェルを演じるはリサ・クードロー。他にも何本か出演作を観ていますが殆ど覚えていない女優です(笑)。あまり美人さんでもなく、おいその歳はなんだ、と思ったりするのですが、それらを補って余りある演技を見せてくれるのが実にいい。終始ロミーとの会話で最後に「私もそう思うわ!アハ」と素っ頓狂に返す辺り、何も考えていないアホさ加減が可笑しいです。

 ばったり遭遇した同級生ヘザーから同窓会のことを聞いたロミーは、ミッシェルとともに卒業アルバムを眺め思い出にふけります。ここで、色んな写真から10年前の当時に継ぎ目なく入っていく演出が面白く、またテンポよく登場人物を描いていて、ちゃんと伏線も張ってたりします。BGMに流れる数々の80年代ロックの名曲も嬉しいところ。しかし、女子高生ロミーとミッシェルを同じ役者がやってるこの無理やり感は(笑)。



 高校生活には様々な派閥が存在するものですが、どうも上から目線になりがちなのがジョックス系のチアリーダー衆です。その団長クリスティと彼氏ボビー率いるグループはロミーとミッシェルにいつも嫌がらせをしていた邪悪な存在。クリスティの何かといい子ぶった言動がムカつきます。演じるジュリア・キャンベル渾身の顔演技ともいえましょう。コイツらがどういう顛末を見せてくれるのか期待も膨らみます。

 田舎ツーソンから都会ロサンゼルスに出てきたというのに、毎日適当で気ままに暮らす二人は同窓会で自慢すべくダイエットや職探しに奮闘しますが、結局はビジネスで成功したフリをして挑むことにします。ビジネススーツにピッチリ身を包んだ二人がファミレスで注文する「ビジネスウーマンスペシャル」。ねーよそんなメニュー(笑)。婆さんウエイトレス困らすでねえ。

 ロミーがハンドル握る道中、共同でポストイットを発明して億万長者になった案で合意しますが、二人はやがて口論からケンカに至ってしまいます。とりあえず同乗を続ける二人は、会場に着くなり別行動に移ります。ここからミッシェル視点になり、なんとなく空気が変わります。全体的にシュールなノリの中、この辺りでは特にそれを感じます。のちにロミーとミッシェルの関係に心を打たれる重要なエピソードになってると思います。



 監督のデビッド・マーキンは、アニメ『ザ・シンプソンズ』('90〜)の制作・脚本・監督を務めたお方。ということは本作もそんなノリで爆進してる訳です。『ザ・シンプソンズ』をご存じの方ならわかると思いますが、あのマンガ然とした独特で現実離れし過ぎた世界観を、本作では実写で構築しているようなものです。アニメほどのナンセンスさはないものの、シュールで間の抜けた演出はすぐ目に付くと思います。

 印象深いのがロミーが豪華なオープンカーを調達してきたくだり。持ち主に性的奉仕をしてゲットしたと冗談を言ったらミッシェルが真に受けてしまい、それを慌てて説明してもミッシェルが全然理解できないところ。その後、曲「フットルース」をかけて二人がイエーイと盛り上がって口ずさむのにすぐ歌詞がわからなくなるところ。そして、発進時に何度もエンストし、恐る恐る加速して今度は大丈夫とわかるや二人が花のようにパッと明るくなるところ。大笑いしました。

 クライマックスでは前衛舞踏かよと思わせるパフォーマンスで引き気味の笑いとともに盛り上げてくれます。何故そうなる、と思わせるところが、作り手のマンガ的な発想なんでしょうね。ちゃんとカタルシスも得られるし、結局はかなりの良作だと思います。こんな記事でも興味湧いた方はぜひご覧になって下さい。少なくとも損はしないと思います。


 これ公開時のタイトル『ロミーとミッシェルの場合』。なぜ変えた。


 さて、今年最後の更新となりました。早いものでこのブログも7年目に入ってます。更新の遅さはご愛嬌として(笑)、ここまで続けられるのもやはりご訪問頂いてる皆様のおかげです。ありがとうございます。まあ、キーワード検索で引っかかってしまい迷い込んだ方が大半でしょうが、こんなブログでもちょっとはお役に立ってることを信じて、これからも続けていきたいと思います。今年も色々とお世話になりました。

 来年も皆様にとって良い年となりますように。


(C)MCMXCVII TOUCHSTONE PICTURES ALL RIGHTS RESERVED
【出典】『ロミー&ミッシェル』/ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

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