2010年3月10日水曜日

映画『モンスター・オブ・ザ・デッド/ビキニビーチの惨劇』 ・・・ナマズ怪獣が本気を出すそうです

●原題:Monster from Bikini Beach
●ジャンル:ホラー/スリラー
●上映時間:95min
●製作年:2008年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ダーリン・ウッド
◆出演:ステファン・バーゴ、ゲーリン・ハワード、ステファン・ヒデゥン、ルイセル・ハンソン、アダム・サーク、その他大勢(ビキニ数十名)

 今回は久々の「~・オブ・ザ・デッド」ものです。ご多分に漏れず非常にヘッポコなんですが、それはオリジナル部分に限ってのことで、実は配給会社がとんでもないものを仕込んだ当たりクジみたいな作品です。

【ストーリー】
 アメリカのどこぞの町カマロビル。夜の川辺でカップルが遊んでいると、突然川から巨大ナマズが出現。男をなぎ倒し、女を川に引きずり込む。翌朝、カップルの変死体が発見されるや、地元カメラマンのアーチーとTVレポーターのラクエルが速攻で現場にやってくる。アーチーは昔から伝わる巨大生物の存在を訴えるがラクエルは相手にしない。その一方、地元の悪徳刑事サミーは麻薬組織からブツを巻上げようと躍起になっていた。成功したら嫌気のさしたカマロビルを去るつもりだ。ある日、サミーが目を付けていた麻薬組織のメンバが惨殺される。現場には巨大な足跡が残っていた。そこに駆け付けたアーチーとラクエルから巨大生物の話を持ちかけられるもサミーは聞く耳を持たない。そうこうしているうちにカマロビルでは若い女性で賑わうゴーゴーダンス大会が開催されようとしていた・・・。



【感想と雑談】
 「~・オブ・ザ・デッド」シリーズのタイトルも、散々ネタ出尽くしたかと思ってましたが、まだまだあるんですね。このタイトルに惹かれたのはいうまでもないのですが、手にしたパッケージの裏面を見た瞬間、衝撃が走りました。日本語吹替についてなんですが、実はこれ2種類入ってて、そのうちの一つがなんと「モンスターしゃべっちゃう」版。モンスターがしゃべるのかよ・・・。これについては後ほど語ることにして、まずはどんな作品なのかを紹介してみましょう。

 開始早々、夜の川辺でカップルが遊んでいます。ビキニ姿で踊る彼女と嬉しそうに酒を飲む彼氏。この踊る彼女ですが、いきなり尻のアップで登場するので、その飛ばし方から大体そういう作品であることがわかります。タイトルにビキニビーチってあるくらいですから。やがて我慢できなくなった彼氏は彼女の尻をムギュウーとします。すると、川から巨大ナマズが出現。

 デカい頭に人間サイズのボディを持つナマズ怪獣。ハリボテ全開です。サスペンスの定石がはなから木っ端微塵で、開始数分でその姿を現します。巨大なカギ爪で引っぱたかれた彼氏は安っぽい内臓をドバー、ビキニを剥ぎ取られた彼女はオッパイをドーン。お約束です。そして悲鳴を上げながら画面から消えていく彼女。この女優、残念ながら本作で一番可愛いかったりします。一応掴みはOKでございましょう。

 実はもの凄くチープで粗めの映像なんですが(ビデオ撮りかな)、この後のオープニングタイトルが正直カッコいいんですよ。緑色に揺らめく水面をバックに青く照らされたビキニ姿の女性が踊るだけという、シンプルながらも007のタイトルっぽさも感じさせるセンスなんです。ここで凄い作品なんじゃないかと思えてくるのですが、本編に戻ると冒頭のチープな映像に戻ってしまうので、ああやっぱりーとズッこけてしまいます。


(吹替えではカッパと呼ばれるアーチーと、TVレポーターのラクエル)

 変死体が発見されるや速攻で現場に登場する、主人公の地元カメラマンのアーチーとTVレポーターのラクエル。このアーチー、髪型が凄いです。アメリカ人にこんなヤツいるんかと思えるくらいにインパクト大。ラクエルはもうちとお肌の手入れをされた方がヨロシイんじゃないかという残念な美人さんです。でもサービスタイムのシャワーシーンで全裸になってくれるのでヨシとします。

 この2人とは対照的に裏で暗躍する刑事サミー。足が本当に悪いらしい初老の役者が演じてます。怪獣エピソードに全然絡まずオープンカーを運転しては、一人ナレーションでブツブツ喋ってるだけ。ヘッポコな作風からするとやたら重厚な演技をカマしてるので非常に浮いてしまってます。いったい脚本にどんだけ幅を持たせようとしているのか。結局、アーチーとラクエルに合流し怪獣と対決することになりますが。

 カマロビルは昔は広大な沼地だったらしく、そこに生息していたナマズが何故か巨大化。川辺周辺に出現しては人を襲うだけの存在となった模様です。やたら女性好きらしく、ゴーゴーダンス大会のビキニ女性らを最終ターゲットにします。特殊メイクや造型もチープでいい加減なんですが、展開や演出具合からすると味わい深いものがあります。クライマックスの大暴れシーンでは1カットだけCGによる首チョンパがあって、ここだけ豪勢にするのはどーかと思いました。ラストは刑事サミーの機転(というか暴走行為)で一応ハッピーエンドを迎えますが、溜飲はこれっぽっちも下がることはありません。オリジナル音声ではね。

 一通り観終わってから、再びタイトル画面にゴー。
 そして、お待ちかねの吹替え「モンスターしゃべっちゃう」版にチェンジ!!

 初っ端から豪快な吹替えが始まります。オリジナルでは一切会話のなかった川辺のカップルがしゃべりまくります。出オチに近いです。アドリブでしょうか。2人は一切クチを動かしてないというのにこの情報量。ここだけでも通常の吹替え版と同じなんですから、モンスターがしゃべりだすと一体どうなるのか。ほどなくナマズ怪獣が出現しました。

 凄いです。色々しゃべってきます関西弁で。なんかボヤきに近いです(笑)。捕らえた彼女を引きずり画面から消える際には「はい、フレームアウトー」とか言ってます。この「モンスターしゃべっちゃう」版は通常吹替えにモンスター吹替えを追加したものですが、既に通常吹替えからして暴走しまくってて、普通しゃべらないオブジェまでもガンガンしゃべったりします。トーテムポールとか。最初、誰の吹替えやってんだよと思ってしまいました(笑)。


(アーチーにラクエル、そして友人たち。とにかく残念な一行です)

 ナマズ怪獣は出現する度にしょーもない台詞を大連発。川辺にいるアーチーとその友人の目の前に出現し「M字開脚しろや、ほれぇー」と放つと、殴られでんぐり返った友人はズーズー弁で「うぁー、M字開脚ぅ」と返します。その後、暴れまくるナマズ怪獣から友人に再びカットが戻ると、まだでんぐり返ったままで「M字開脚ぅ」と繰り返します。怪獣も怪獣ですが友人も友人。下らなさすぎるだろ(笑)!!

 この「モンスターしゃべっちゃう」版が本作の吹替えマックス値になっていて、全ての配役が色々と大暴走してます。オリジナルの展開は最低限保った状態で、声優さんが出演者らの容姿のことやその場で思い付いたようなことをベラベラしゃべりまくる感じですね。最後の最後までそんな調子。これはもうオリジナルとは別次元の作品へと昇華しています。大変素晴らしいです。

 こんな作品に惹かれるのって、幼少の頃から楽しんでいたギャグ映画とかアニメ番組の影響でしょうかね。特に「怪獣王ターガン」というアメリカ産アニメの吹替え。あまりのメチャクチャさにこれ絶対にアドリブだよなと思いながら観ていたものです(笑)。配給会社のJVDはメチャクチャな吹替えでは定評があるそうで、今回もだいぶカマしてくれたようです。そういえば初期に記事にしていた『マシーン・オブ・ザ・デッド』もJVD発でした。これも相当メチャクチャな吹替えで、本作を観ていてなんか似てるなーと思っていたら配給元が一緒だった訳です。納得。他の配給作品も観たくなってきました。

 そういえば今年2010年のアカデミー賞が発表されましたね。そんなメインストリームからかけ離れた本作ではありますが、逆にアカデミー賞作品なんかでは味わえない魅力全開な作品なんだと思います。が、やっぱし無理がありますか。


(一応、ゴーゴーダンス大会が惨劇に見舞われます)

 しかし、ビーチ、ビーチいう割には川辺しか出てこなかった気がする。川辺も砂浜があればビーチって呼ぶんでしたっけ? 

『Beach Girls And The Monster (1965) - Trailer』 ひょっとして、これのリメイクなんか?!
(C)2008 TFO Productions All Rights Reserved 【出典】『モンスター・オブ・ザ・デッド/ビキニビーチの惨劇』/ジェィ・ブイ・ディー にほんブログ村 映画ブログへにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへブログパーツ

2010年2月28日日曜日

映画『狂っちゃいないぜ!』 ・・・戦場のような職場トラコンよりもアンジー自体が相当ヤバいそうです

●原題:Pushing Tin
●ジャンル:ドラマ/コメディ
●上映時間:124min
●製作年:1999年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マイク・ニューウェル
◆出演:ジョン・キューザック、ビリー・ボブ・ソーン
トン、ケイト・ブランシェット、アンジェリーナ・
ジョリー、その他大勢
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 今回はトラコンというちょっと聞き慣れない職場が登場する作品です。役者らも何気に凄い布陣だと思うのですがいかがでしょうか。それと、花粉が始まった予感です。花粉め!今年は少ないはずではなかったのか!!

【ストーリー】
 アメリカ。ニューヨークのトラコンは毎日が戦場のような忙しさだが、管制官ニックだけは余裕で仕事をこなしていた。ある日、謎の男ラッセルが中途採用で職場にやってくる。度胸と才能を持ち合わせたラッセルにニックはライバル心を爆発させるが、それはやがてお互いの家庭にも波及する問題に発展する・・・。



【感想と雑談】
 しょっぱなから飛び交う旅客機を制御するトラコンのお仕事が描かれます。このトラコンとは、Terminal Rader Approach Controlの略(TRACON)で、端末レーダー着陸誘導システムの意味なんだそうです。本作に登場するニューヨークのトラコンは、ケネディ空港、ニューアーク空港、ラガーディア空港の3空港を担当します。各空港を離着陸する旅客機をレーダーと無線を駆使し誘導するのですが、それぞれニューヨークの玄関口だけあって1日あたり7000便もの数をこなす超多忙な職場となっています。地図で確認してみると3空港は見事ニューヨークを囲むように配置されていて、確かに上空は過密空域であることがわかります。

 ここでトラコンの管制官ニックはレーダー表示から素早く的確に旅客機に指示を出します。空域ごとに担当が決まっていて複数人の管制官がレーダーに向かっているのですが、手一杯になると旅客機情報のタグ(?)をどんどん横に流していきます。最終的にタグはニックのところに流れ着くのですが、ニックは鼻歌まじりでこれを捌いていきます。ここで、どのように仕事を捌いているのかをCGで描きます。ニックの目に映るレーダーの映像がアップになると、レーダーの二次元映像が立体的に切り替わり、ニックが飛び交う旅客機に指示を出していく様子が視覚的にわかるようにしてます。面白いですね。

 こういう始まり方をするので、管制官ニックにその仲間、そして新入りラッセルらが毎日戦場のトラコンでどう激突し過密空域を制御していくのか、というサスペンス風味を期待したくなるのですが、どちらかというとトラコンよりもニックとラッセルの激突から家庭問題まで波及する様に比重を置いてるようでした。トラコンは密室に近く見た目も動きがないので、これだけでは映画にならないのでしょうかね。航空機の接触事故って起き難そうな気がするんですが、空港への着陸時にはライン取りで大渋滞となるので、舞台の空域あたりになると相当にヤバいんだそうです。もうちょっとこの辺を掘り下げてみるのも面白いんじゃないかなと思いました。

 そういえば、『未知との遭遇』('77)の冒頭でもトラコンがUFOに遭遇する様を描いてましたね。ちょっとの出番でしたがパイロットとの会話がサスペンス風味の印象深いシーンでした。



 本作はトラコンにそれほど拘らなければ、ドラマや登場人物で楽しめるかもしれません。といいますか、今観直してみるとビックリ要素や大笑い要素もあって、全体的には十分楽しめる作品になってると思います。

 ストレス限界な仕事に囲まれながらも毎日がお気楽な家庭持ち男ニックを演じるのはジョン・キューザック。この人とにかくエンタテイメント向きな白人さんというイメージがあります。どうでもいいことですが仲間も典型的な白人ばかりで、なんだか白人臭ぇと思える時があります。

 謎の男ラッセルを演じるのはビリー・ボブ・ソーントン。浅黒くて顔つきがいいですねこの人。白人臭ぇ独特なトラコンの中で異彩を放っています。黙ってるだけでも存在感はバツグン。退屈な人生が嫌で破天荒な行動を繰り返してきたラッセルにトラコン連中は興味を覚えます。

 ニックはやたらラッセルに挑発的になるんですが、どれもこれも裏目に出てしまうのが笑えます。やがてニックはひょんなことからラッセルの妻メアリーと一晩を過ごしてしまいます。このメアリーがやたらワイルドでフェロモン全開なエロい人妻。演じるのがアンジェリーナ・ジョリーなので納得です。この時のアンジーは23歳で若いです。そんなに古い作品という印象はないのですが、ポッチャリしててやたら幼く見えるんですよね。いやとにかくいいですな!ははは。

 このメアリー、夫ラッセルにぞっこんなのか、いたる所でベッタリしまくります。目付きがヤバくてもの凄い光景です。あるイタリアレストランでは歌も上手いうことで美声を披露するラッセル。そんな彼の足元に注目。恍惚の表情でラッセルの右足にまとわりつくメアリーの姿が?!これを見て大声で笑ってしまいました。いねーだろそんな客(笑)!!いやいや、イタリアレストランではこれが普通なのかもしれない。ラッセルの歌声もよく聴いてみれば若干外れてるようだし。ファンタジーとして受け止めておきましょう。というよりも、この夫婦の存在自体がファンタジーですな。


(大惨事に近いイタメシ屋)

 ビリーとアンジー演じるファンタジー夫婦はこの後、現実世界でも夫婦となりました。二人の熱愛ぶりは凄まじかったですね。たしか報道陣の前でも前述のイタリアレストランの光景を再現してたかと思います。アンジーはビリーの生血を詰めたビンをネックレスにして身に着けていたとか。ちょっと身震いするほどの熱愛ぶりですが、冷めるのも早かったようで。アンジーはその後ブラピともくっ付いては離れたりと。忙しい世界ですなまったく。(追記:破局したと思ってましたが、どうやらガセでしたかね。失礼しました)

 ニックの浮気を知ってブチ切れる妻コニーを演じるのはケイト・ブランシェット。いいです。とにかくいいです。『インディジョーンズ/クリスタルスカルの王国』では初めて見る悪役に痺れたものですが、今回は一般家庭の人妻なんです。何かとニックに言う「冷蔵庫にシチューがあるから」という家庭的な台詞にやられる男性諸氏もいましょう。色白で若くて可愛いですよ。今ではすっかり貫禄付いちゃってますが、この頃もまた魅力的でいいです。とにかくいいです。

 ラッセルにやられてばかりで妻コニーにも逃げられたニックは、遂にはトラコンで重大なミスを連発し人生最大のピンチを迎えます。失意の中、ニックはラッセルに会いに行き、全ての思いをブチまけます。一番の思いはコリーを取り戻したいこと。その為にはどうすればいいのか。ラッセルからの答えはある行動にありました。それは二人して空港の滑走路に立ち、そして・・・。

 役者が結構豪華な布陣なので、これだけ見るのも有りな作品ではないでしょうか。ドラマ的にはもっとトラコンを挟んで欲しいと思いましたが、特にあのエロすぎるアンジェリーナ・ジョリーが拝めるだけでもヨシとしましょう。まさに雌の野獣ですですから(笑)。航空犯罪をテーマにトラコンをもっとテクニカルに描いたら面白いのが出来そうですが、ひょっとしてそんな作品ありましたっけね。うーん、あったような気がする。なんだったか。


(スパルコ大佐の9年前と、ララ・クロフトの2年前)

 最後に。これ1999年の製作なんで、当時のニューヨークのあるビルがしっかりと拝むことができます。例の大事件の前ですからね。舞台となったトラコンでの実際の事件当時の状況は尋常ではなかったと思います。そんな思いを馳せながらも、エンタテイメントとして割り切って楽しめられればと思います。

(C) 1999 Twentieth Century Fox Film Corporation, Monarchy Enterprises B.V. and Regency Entertainment (USA), Inc. All Rights Reserved.
【出典】『狂っちゃいないぜ!』/20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント

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2010年2月18日木曜日

映画『ピカソ・トリガー エネミー・ゴールド指令』 ・・・第3弾 薄着の金髪美女とボディビルダーがバカンス中に金塊を発見します

●原題:Enemy Gold
●ジャンル:アクション/アドベンチャー
●上映時間:92min
●製作年:1993年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ドリュー・シダリス
◆出演:ブルース・ペンホール、マーク・バリエール、スージー・
シンプソン、タイ・コリンズ・ジュリー・ストレイン、ロドリゴ・
オブレゴン、その他大勢
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 この「ピカソ・トリガー」シリーズは一昨年にも記事にしてました。2作目で止めておりましたが、先日レンタル屋で目に入ってしまい、また観たい度がアップした次第です。という訳で、需要皆無の作品とは思いますが、久しぶりに出すことにしますシリーズ第3作目を。ははは・・・。

【ストーリー】
 アメリカは南部のダラス。あるモーテルではFBIのクリスとマークそして美人ベッキーらが捜査のプランを立てていた。ターゲットは黒幕サンチアゴが率いる麻薬組織だ。見事3人は麻薬を押収し手下どもを逮捕する。しかし上司ディクソンは無断で行われた一連の捜査を問題とし3人を停職としてしまう。意気消沈するもクリスは幼少からの夢であった南北戦争時に隠された金塊探しを提案。3人は埋められたとされる森林地帯へ向け出発。これを聞きつけた黒幕サンチアゴは、遠方より殺し屋を呼ぶと鼻息荒く3人を追跡する・・・。



【感想と雑談】
 このDVD、再生ボタンを押すと本編が始まることなく、いきなり・・・

 「やあ、アンディ・シダリスだ」

 と、小太りエロ親父のアンディ・シダリスが元気よく登場。このシリーズのDVDは必ず初めに製作陣の御大シダリス親父が自ら作品を宣伝します。この時、御大が横に呼び寄せるのがお抱え女優のジュリー・ストレイン。

 「どこにでもいる普通の女の子だろ?」と御大のたまう彼女は180cmの長身に紐みたいな下着姿。この容姿そして顔付きからしてまさに雌の野獣です。御大に抱きついたりオッパイ出したりして、たしかに普通の女の子ですね(違)。しかしスゲェ。このコントにも見えるやり取りが終わると、やっとこさ本編に突入します。

 前回にも書いているのですが、このシリーズは御大の中学生魂を中心に掲げた5ヶ条が元になっています。なので、エロス、アクション、バカンス要素が入り乱れて終わりという、要するにどれもこれも見た目が一緒の作品となっています。

 今回は一応、南北戦争時代に南軍の将軍が隠したとされる金塊探しがテーマになってます。が、先の通りの要素によって、そんなテーマよりも多々ある見た目の問題が気になって仕方がなくなります。因みに本作は御大の息子ドリュー・シダリスが監督やってます。

 本編に入るといきなり南北戦争の真っ最中です。が、何かの祭かイベントに乗じて撮ったのか、全体的にホノボノとしていて緊迫感が全くありません。そんな最中に南軍の将軍と軍曹が、北軍から奪ってきた金塊をある樹木の根っこに埋めます。ここでジャジャーンとタイトルバック。ENEMY GOLD・・・敵の金塊 ですかな。直訳でいくと。

 突然、シーンは現代のダラス空港に移ります。これがまたシリーズならではの直結編集と言いますか、時の流れを流暢に表現するようなことをしません。面倒臭いようです。ここで一人の金髪美女の足元をカメラが舐めるように追い、車に載るとそのまま移動。FBI捜査官ベッキーです。たぶん元プレイメイトだと思います。小柄でちょっと可愛いです。

 あるモーテルでは、二人のマッチョ捜査官がなにやら銃器の点検を行なっています。自動拳銃にリボルバー銃と様々。やや手元がおぼつかないようです。そうこうしてるうちに先のベッキーがやってきました。軽く打合せをした後、「武器はあるのかい?」と聞かれたベッキーは「まずは戦闘服に着替えるわ」と返します。出ました。ここで着替えタイムです。バスルームに固定されたカメラが延々と着替え中のベッキーを捉えます。必然性のないエロス。無駄に溢れ返ったオッパイタイム。

 このシリーズのエロスはあくまでも健康的なもので、ポルノみたいに生々しい直接描写はありません。心配不要です。ベッキーの露出度全開のデフォルト戦闘服が完了すると、クリスとマークはタンクトップ姿で拳銃を股間に差し込みます。ホルスターを使う概念は無いようです。モロに銃は男のメタファ全開なんです。


(よく見ると車ではなく荷台が爆発してます)

 3人が向かう先では麻薬組織の連中がたむろしてます。ここでも全員がマッチョ野郎。マッチョ同士で格闘技をやったりじゃれ合ったりしてます。シリーズのエロスに付属するマッチョ要素で、野郎で活躍するのは全員マッチョでしかもハンサムです。暑苦しいです。ここで3人の捜査官が乱入するとシリーズのアクション要素、銃撃戦タイムが開始。全員がタンクトップ以下の格好で”銃撃戦ってこうだよね”と言わんばかりの撃ち方で激しく応戦します。ほぼ棒立ちのままで。

 ここでは特に捜査官マークのリボルバー銃(44マグナム)の撃ち方が大袈裟でイカしてます。ベッキーはハイテクボウガンを駆使し敵を一網打尽にします。どこがハイテクかというと矢が命中して3秒後に爆発するあたり。ハイテクと呼べるか微妙ですが、本人がそう言ってるし、一番見栄えのある武器ではあります。

 裸に近い格好で3人揃ってジャグジーに浸かっていると元ボスから連絡が入りますが、この元ボスが女性でまた意味もなくシャワー全開で登場。無駄に溢れる裸体です。元ボスが頑張ったものの停職を免れなかった3人は、気晴らしに金塊探しのキャンプへと出かけます。これを聞きつけた黒幕サンチアゴは遠方から一人の殺し屋を呼びます。名前はジュエル・パンサー。お抱え女優ジュリー・ストレインの登場です。色んな意味で凄いですこの人。とにかく殺しのプロなんだそうです。この後、サンチアゴとジュエル・パンサーは、3人の捜査官を追跡し始めます。ここからやっと現代のエネミーゴールド騒動が始まります。

 川を移動したい為、ジュエル・パンサーは森林警備隊のスピードボートを狙います。目が点の警備隊員に、ビキニ姿のジュエル・パンサーが「ハイキングに来たの♪」とか抜かすので、観てる側が「ねーよ」と思ってると、今度はどこに隠してたのか大型拳銃でいきなり警備隊員を射殺。燃料庫に逃げ込んだ他の警備隊員には、照明弾をブチ込み大爆殺。銃器を振り回したり、近くで爆発を起こしたりと、そんな危険な行為の割りに非常に薄着でいられるのも、シリーズの醍醐味だったりします。


(ジュリー・ストレイン、実に眩しいですね)

 3人が泊まるコテージを発見したサンチアゴの手下らは、ボスにいい格好をしようと勝手に3人を殺そうと忍び寄ります。が、何を思ったのか手下はコテージの前でベッキーが使うバギーを盗み森の奥へと逃走。どこに行く。立場がはっきりしない脚本もピカソトリガーの醍醐味です。

 気付いたクリスとマークはバイクで追跡します。逃走中の手下は、ヘラヘラ顔で余所見していた為、樹木に激突します。このオートマチックで手下を仕留めた樹木が大問題。なんと例のエネミーゴールドが埋められた場所だったのです。過去にたまたま拾った将軍の日記から、目印として樹木にナイフを突き刺していることを知っていたクリスは、目の前の樹木に刺さったナイフを発見。ウルトラが付くくらいにご都合な脚本も言わずもがなです。

 金塊の存在も察知したサンチアゴは、更に目の色変えて3人を追跡します。やがて3人とサンチアゴ+ジュエル・パンサーが対峙。自動小銃を突き付けられ形勢不利になるも、ベッキーは隙を突いてジュエル・パンサーに殴りかかります。

 ヘッポコな格闘ですが、サンチアゴは「こいつはいいキャットファイトだぜ」と嬉しそうです。結局、逆転とはならず3人は危機一髪に陥りますが、ここで元ボスが駆け付け応戦。サンチアゴとジュエル・パンサーが乗ったヘリコプターに向けハイテクボウガンを発射します。3秒後にヘリコプター大爆発。

 本シリーズはヘリコプターの爆発も売りにしているのですが、ホバーリングしてる様子に突然画面いっぱいの炎が広がるので、実際なにが爆発したのかよくわかりません。予算の都合上、本物を爆破する訳にはいかないようです。この他にも、非常に薄い爆発シーンとか多々拝めます。

 残りのバカンス要素なんですが、前2作品までは舞台がハワイとなっていて、青い海や空がとってもバカンスしてました。本作はダラスが舞台となっているので、海が無い代わりに広大な川と森林地帯がバカンスの象徴となっていました。常に天候は快晴、登場人物はバカンス気分、というのは変わらずだったかな。というかこの変わりなさがシリーズの売りでもあるんですが(笑)。

 このシリーズはシダリス家で作られているのですが、特典を観て驚いたのがエロスの演出をシダリス奥さん(監督の母)が担当していること。てっきり監督がウハウハ撮ってると思ってたんですが、どうやら母親の才能が開花してたようです。どっちにしろ一家してエロスに囲まれているのは間違いないです。

 シリーズが進むに連れ洗練度はアップしていくようですが、観たあと何も残らない出来というのは本シリーズを貫く不変のスタンスと言えましょう。肩に力入るような映画ばっかご覧になってる方、たまにはこんな作品もいかがですか。アンディ・シダリス親父が羨ましくなったら終わりだと思いますが(笑)。因みに既に他界されてます。

 もし余力があるようでしたら、前2作品の記事もどうぞ。乱暴な記事ですけど(笑;)

第1弾:『ピカソ・トリガー 殺しのコードネーム』('88)
第2弾:『ピカソ・トリガー サベージ・ビーチ』('89)
第4弾:『ピカソ・トリガー ダラス・コネクション』('94)
第5弾:『ピカソ・トリガー デイ・オブ・ザ・ウォリアー』('96)
第6弾:『ピカソ・トリガー リーサル・エンジェルス』('98)


(前作より人数減ってるけど、やっぱりカンパーイ♪でその後バッサり暗転)

© MMII MALIBU BAY FILMS. ALL RIGHTS RESERVED.
【出典】『ピカソ・トリガー エネミー・ゴールド指令』/ワーナー・ホーム・ビデオ

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2010年2月9日火曜日

映画『ラスト・ボーイスカウト』 ・・・ブルース・ウイリスといえば、タバコとこの一撃です

●原題:The Last Boy Scout
●ジャンル:アクション/コメディ/ミステリー/スリラー
●上映時間:105min
●製作年:1991年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:トニー・スコット
◆出演:ブルース・ウイリス、デイモン・ウェイアンズ、チェルシー・フィールド、チェルシー・ロス、ハル・ベリー、ビリー・ブランクス、その他大勢
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 最近、めっきり外に出なくなってます。行くのはTSUTAYAくらいで。あ、いつものことか。今回は、また微妙に古いというか懐かしい作品を挙げることにします。ああそういえばあったねこんな作品・・・と皆さん思われること請け合いです(笑)。

【ストーリー】
 アメリカ。元シークレットサービスのジョーは大統領の命を救ったことで一躍有名となったが、ある上院議員への暴行事件によって今では飲んだくれの探偵となり、落ちぶれた人生を送っていた。ある日、ダンサーのコリーの警護を請負うことになったジョーは、早速コリーの店に出向くが、そこではコリーの恋人であり元フットボール選手のジミーが待受けていた。気に入らないジミーはジョーに突っかかるが、その直後にコリーは何者かによって殺されてしまう。何らかの陰謀にコリーが絡んでいたことを察したジョーとジミーは手を組み調査を開始する。やがてフットボール界とスポーツ賭博に絡む陰謀を暴きだす二人だったが・・・。


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【感想と雑談】
 もう、どこからどう見てもブルース・ウイリス=ジョン・マクレーン刑事な出で立ちが素晴らしいです。こうでなくてはいけません。まだフサフサしてますものね。のっけから飲んだくれて車中でイビキかいてるジョーは、子供らにイタズラされそうになるや銃を向け豪快に威嚇します。まるで後の『ダイハード3』('95)のマクレーン刑事みたいです。登場シーンとしては掴みはOKでございやしょう。この後も子供に銃が向けられるシーンが何度か出てきます。この作品、結構好き放題やってますね。

 オープニングからフットボール番組のアメリカンな主題歌が流れ、細かいカット割りと軽快な演出で本編に入っていくあたりは、なんともトニー・スコット監督らしいです。この能天気なノリからは当時に王道だった犯罪アクション映画の息を感じ取ることができます。脚本はシェーン・ブラック。80年代後半から犯罪アクションの脚本家として引っ張りだこだったらしく、確かにこの方が書いた作品は心に残ってるアクション映画の大半を占めてる気がします。

 シェーン・ブラック初期脚本の『リーサル・ウェポン』('87)は衝撃的でした。また『プレデター』('87)では出演もしてたりして才能ある方なんだなと思いました。因みに『プレデター』ではシュワちゃん部隊のメガネ野郎役だったはず。あ!『ドラキュリアン』('87)も書いてたんだ!レトロモンスター大集合の楽しいSF作品でした。

 なんでまたこんな古き良きアクション時代の作品を持ってきたかというと、たまたま再見したら驚きの役者が出てたのに気付いたこと、そしてあるシーンでの心のガッツポーズ度が未だに衰えていなかったからです。・・・まあ、あまり感動は無いかもしれませんが、とりあえずいってみましょう(笑)。

 冒頭の話の肝となるフットボール試合。劣勢チームLA・スタリオンのスター選手ビリーにある電話がかかってきます。「この試合には大金がかかってる。どんな手を使ってでも勝利しろ。しくじったら命はないぞ」。もう頭いっぱいいっぱいになったビリーはそのまま試合に出るやタッチダウン寸前で銃を大乱射。そして自決するビリー。


(ビリー隊長の勇姿です)

 ・・・ビリー??この名前・・・そしてこの顔、どっかで見たことある・・・と思って調べてみると、なんとあのビリー隊長ではないか!ビリーズブートキャンプのビリー・ブランクスさん、あの方なのです(笑)。

 しかし役名までビリーだなんて。結構役者として活躍されてたみたいですね。他で観たのは『未来警察TC2000』('93)というSFなんですが、後の『ブレイド』('98)を思わせるイカした役どころが印象深いです。とにかくこの発見は嬉しかった♪

 それからもう一人。元フットボール選手ジミーの恋人コリー。黒人さんの女優で大変可愛いのですが、これまたどっかで見たなぁと思ったら・・・ハル・ベリーなのでした。当時スルーしてた役者が後にブレイクして知名度が上がると、今回みたいに時間差の発見があって楽しいですよね。他にもこんな作品が山ほどあるんでしょうね。ラブリーなハル・ベリーも当時は使い捨てだったのか、あっけなく殺され退場してしまうのでした。まあ、男臭さを追求したいアクション映画にキャンキャン吼える女子供は控えてもらってOKではあります。


(ほぼデビュー作らしいです)

 さて、心のガッツポーズ度全快のシーンです。ジミーと共に調査を進める探偵ジョーは遂に組織に捕まってしまいます。目覚めるとそこは大豪邸。目の前ではチンピラがニヤニヤしながら椅子に座ったジョーを見下しています。ジョーはチンピラにタバコを要求します。この余裕が素晴らしいのですが、まだまだです。タバコとライターの火を差し出したチンピラはいきなりジョーを殴ります。血を垂らしながらジョーは再度タバコを要求しますが、この時「今度やったら殺すぞ」と付け加えます。ニヤつきを止めないチンピラは再度タバコを差し出すと、懲りずにまたジョーを殴ります。

 この直後、直後ですよ、ジョーは立ち上がるやいなやチンピラの顔面に一撃パンチを食らわすのです。ズガッ!! この勢いが堪りません。この後、パタリと大の字になって目出たく昇天されるチンピラ。その横で椅子に座り直しタバコを吹かすジョー。これを見て「ホ、ホントに殺しやがった・・・」と腰を抜かすもう一人のチンピラ。カッコ良すぎるぜジョー!このシーンはいつ観てもスカッとします。ホント笑いと共にガッツポーズ級のカタルシスです。

 ブルース・ウイリスは、飲んべえでヘビースモーカーのクセにやたら心強いという印象がありますね。『ダイハード』のイメージを引きずってる感がありますけど、どんな作品でもこういう役どころが拝めるのは大変嬉しいものです。やっぱりブルース・ウイリスはこうでなくちゃね。


(この後、チンピラに天国が待ってます)

 落ち目になってたLA・スタリオンの腹黒オーナーは、収益を上げる為にスポーツ賭博を合法化しようと上院議員らを買収しますが、一人の議員が賄賂が少ないと突っぱねたので、議員を殺害しこれをジョーの仕業に見せかけようと企みます。しかし、ジョーはジミーと娘の助けを借りながら、逆にオーナーと組織の殺し屋を追い詰めていきます。クライマックスはフットボール試合真っ最中のスタジアム。そこでジョーと殺し屋の一騎打ち。

 もう散々テレビで放映されてるでしょうし、新鮮味も無いアクション作品だと思います。でも私にとっては例のチンピラ一撃のシーンだけで国宝級(どんなだ)の傑作になってる訳です。こういうのを”カマしてくれる作品”と勝手に命名してたりします(笑)。皆さんの印象はいかがかな?


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(C) 1991 Warner Bros. Inc
【出典】『ラスト・ボーイスカウト』/ワーナー・ホーム・ビデオ

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2010年1月31日日曜日

映画『トロメオ&ジュリエット』 ・・・トロマ発シェイクスピア 頭にトが付いてます ト 要注意です

●原題:Tromeo and Juliet
●ジャンル:コメディ/ドラマ/ロマンス/スリラー
●上映時間:107min
●製作年:1996年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ロイド・カウフマン
◆出演:ジェーン・ジェンセン、ウィル・キーナン、ウィリアム・ベックウィズ、アール・マッコイ、ロイド・カウフマン、ジェームズ・ガン、その他大勢

 新年早々これまたバッタバタしまくって今頃の更新となってしまいました。皆さんお元気でしょうか?今年一発目はトロマ映画でいきたいと思います♪(笑)

【ストーリー】
 現代のアメリカ。キャピ・キャピュレットとモンティ・キューはかつては映画会社を共に設立するほどの仲であったが、キャピの突然の策略によってモンティは経営権を剥奪されてしまう。以来、両氏はファミリーまで巻き込んでの犬猿の仲となり、血で血を洗う抗争の毎日を送っている。そんな中、キュー家の息子トロメオとキャピュレット家の娘ジュリエットが恋に落ち、密かに結婚までしてしまう。これを知った両家の争いは更に悪化。激怒したキャピュレット家に親友を殺されたトロメオは、仕返しにジュリエットの従兄を殺してしまう。この先、両家に平和はやってくるのか・・・。



【感想と雑談】
 ボンクラ映画の極北(と勝手に思ってます)『ビッグヒット』('98)。皆さんご覧になってるでしょうか?我らがマーク・ウォルバーグ(笑)とバカ演技絶好調ルー・ダイヤモンド・フィリップスが格闘するビデオレンタル屋。この店、やたらとトロマ映画のポスターが貼ってありました。もう最高です。で、この中に本作『トロメオ&ジュリエット』のポスターもあったりして、とても気になってたんです。前から存在は知ってたものの、なかなかソフト化されないので幻と化してたのですが、つい先日レンタル屋の密集した棚の中から大発見。私の謎の動体視力が見逃しませんでした。昨年リリースされたんですね。

 いつものトロマ映画を期待しながらパッケージを手に取ったのですが、今時のリリースなのか割と洗練されたデザイン。まあ、これはトロマ映画としては、というレベルなので(笑)。そんなことよりもですね、これってあのシェイクスピアの悲劇「ロミオ&ジュリエット」をベースにしてるの丸わかりなんですが、実は私、本家の原作や映画化作品のどれも一切チェックしてないんですよ。だから『イット』でしか動くオリビア・ハッセーを見たことがないんです(関係ない?)。話の流れはなんとなくわかるのですが、原作を知ってないと楽しめない部分とか、結構スルーした形になってるかもしれません。

 肝心の中身ですね。スタート直後にいつものトロマのトレードマーク(赤地にビル群が影になってるヤツ)が現れ完全ワクワクモードですよ。オープニングのクレジットでキャピュレット家とキュー家の関係と登場人物が一通り説明されるのですが、最後にトカゲが鼠を丸呑みするカットが入ったりします。これってなんだ?原作に関係あるのか??それともトロマ印なのか??

 両家のうちキュー家なんですが、これって原作ではモンタギュー家ってなってますね。苗字だと思うのですが、本作ではこれを変形してモンティ・キューというのが主の姓名になってます。もう一方のキャピュレット家は原作通りのようですが、主の姓名キャピ・キャピュレットってどうなんでしょうか。原作通りですか?キャピ。



 観ていくと、所々いつものノリで脱線したりするのですが、ヘビーな恋愛原作をベースにしてるせいか、トロマ作品としては一本筋が通っていて、割とまとまってる印象を受けます。これは脚本が後に『ドーン・オブ・ザ・デッド』や『スリザー』で成功するジェームズ・ガンということも関係してるのかもしれません。という訳で、素晴らしい展開が期待できる反面いつものトロマ節が薄まってるんじゃないかと不安になってしまいますが、さすがはトロマ、表に出せるほどマトモな作品にはしません。

 わはは。ジェームズ・ガンなんか出演までしてて「ピーナッツを探そう♪ピーナッツを探そう♪」と家族で歌いながら車を運転。すると突然生首がボンネットに飛んできて大事故発生。大破する車。ちなみにこの車が大破するカットは、後の『悪魔の毒々モンスター/新世紀絶叫バトル』('00)にも流用されてました。さすがトロマです。

 トロメオが父親のモンティ・キューに寄り添うと、すかさず屁を連発するモンティ。屁の音がトロマ印のSEでちょっと安心してしまいます。トロマ印のSEって、とてもチープでどんな場面でもマッチしてないんですが、逆にそれがとても可笑しいです。トロメオが偶然ジュリエットに出会い恋に落ちてしまうパーティ会場ですが、何故か毒々モンスターやカブキマンが女の子らとダンスをしています。どーいうことだ?!と思ったら、これは仮装パーティなのでありました。また上手いことやってるなトロマったら。

 両家の抗争の様子は大抵狂ってるもので、車から突き落とされると消火栓に当って頭がカチ割れたり、鉄板で首がチョンパされたりします。チョンパは『オーメン』みたいですね。チープな特殊メイクもトロマ印です。また、暴走車にヒットされた父親を見た娘の不自然な驚き顔や、何かあるたびに度を越したリアクションが拝めるのもトロマ印というところです。ロイド・カウフマン監督もクラブで喧嘩が始まれば自らオーバーリアクション役に参戦。いい監督です。

 トロメオとジュリエットは主人公でもあるので比較的マトモです。密かに結婚した後、真昼間の公衆の面前で合体したり、お互い大事な部分に刺青を入れあったりと、結構下品なことをやらかすんですが、周囲のインパクトがデカ過ぎるので割といい青春を送っているように見えます。原作でもこういう熱い描写があるのでしょうか。ジュリエット役のジェーン・ジェンセンがちょっとエマニュエル・ベアールを思わせる可愛さなんですが、元々進んでた策略結婚の話をブチ壊すのにある薬を飲みヒドい形相に変身する様は、彼女の女優魂を感じるところです。


(左のお方がロイド・カウフマン監督です)

 キャピ・キャピュレット役のウィリアム・ベックウィズが結構鬼気迫る演技を見せます。ボウガン片手に娘のジュリエットを何かある度に折檻する様は、見ていてトロマ映画ということを忘れてしまいます。モンティ・キューと違って殆ど弄られないし屁もしないし。しかしラストでは大バカな結末がスパークします。格闘後テレビに頭が刺さった状態のままキャピはしぶとくトロメオとジュリエットに迫りますが、最終的にジュリエットの反撃を食らい・・・。

 これぞトロマ印。アホすぎます。観ている最中は笑える気がしないんですが、観終わった後からジワジワとくる凶悪さを持っていて、電車通勤時は大変な目にあいます。

 最後、古風なヒゲ面のオッサンが「ナハハ、ナハハハハ」と笑って画面が暗転します。シェイクスピアでしょうか。「オイラ自らパロっちゃったよ♪」はたまた「こんなヒドイ映画にしちゃったけど天国では御大笑ってくれてるよ♪」とでもいいたかったんでしょうかね。

 エンドクレジットでもハメ外しを忘れないトロマです。わざわざ「本作で演じた役者」と前置きしてから役者一覧が流れていくので一体なんだ???と思っていると、その後に「本作で演じてない役者」と出て、サンドラ・ブロック、ジョン・トラボルタ、ミシェル・ファイファー・・・とか流れていきます。当たり前だよ!(笑)

 トロマ映画って、ホント下品でエロでグロでバカでチープで、得るものこれっぽっちも無いんですが、何故かまた何度か観たくなる魔力みたいなものがあるんですよ。人間本来の本能をくすぐるものがあると思うんです。コテコテに塗り固められた完璧な作品よりも、凄い底辺なんだけども普段見られない何かがあって、ついそれが脳内で根を張り巡らしてしまうような。なんだこの説明(笑)。とにかくロイド・カウフマンのセンスに嵌ったら最後だと思います。皆嵌れ。

 トロメオって名前は、トロマ+ロメオから来てると思うんですが、まさかこの語呂に気づいてから製作を思いついたんじゃないだろな、ロイド・カウフマン(笑)。



 一応トレーラーです。あまり無理しないでね(笑)。


 こちらは余力があればご覧になって下さい。ピーナッツを探そう♪です。


(C)MCMXCVI TROMA INC.
【出典】『トロメオ&ジュリエット』/DARK RABBIT

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2009年12月31日木曜日

映画『マイノリティ・リポート』 ・・・未来の警官隊が非常にヤバイものを装備してます

●原題:Minority Report
●ジャンル:SF/犯罪/アクション/ドラマ/ミステリー
●上映時間:145min
●製作年:2002年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:スティーブン・スピルバーグ
◆出演:トム・クルーズ、マックス・フォン・シドー、
コリン・ファレル、サマンサ・モートン、その他大勢
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 どうも!今回は微妙に懐かしいスピルバーグのSF作品です。あまり触れられることのない点をネタとして強調してみました。今年の偏り道最後の記事として締めくくりたいと思います。大晦日にコレかよ!とかいうツッコミは大歓迎です(笑)。

【ストーリー】
 2054年のアメリカ。多発していた殺人事件は犯罪予防局の予知能力システムよって見事に減少。予知能力システムはプリコグと呼ばれる3人の予知能力者によって構成され、局員のジョンは予知された情報を元に現場へ急行する日々を送っていた。そんなある日のことシステムはジョン自身が殺人を犯すことを予知してしまう。そんなはずはないとジョンは動転しながらも真相解明の為に逃走。一方、法を犯す前に逮捕することが気に入らない司法省は、そんなジョンを手がかりに犯罪予防局を潰そうと躍起になる・・・。


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【感想と雑談】
 これ、最近なんかの動画(特撮ベスト100・・・だったかな)で犯罪予防局の空飛ぶパトカー発進の映像が紹介された際、ここ確かにカッコよかったよなと思ったのと、初見の時からすんごく気になってた部分もありましたんで、今更ながら記事にしてみました。

 初めて観た時はよくわからない話でした。大筋は陰謀に巻き込まれたトム・クルーズ演じる局員ジョンが、いかにして悪を暴き事件を解決していくかという内容なんですが、プリコグと呼ばれる予知能力者の特性を利用したトリックや、どの時点で何が起きているのかがあまり理解できなくて、ラスト付近は真相解明しましたという流れを傍観しているようなものでした。

 今回DVDで何度か見直してみて、だいたいわかるようになったのですが、証言や回想、未来ならではのアイテムが入り乱れてのインパクト状態に未だ釈然としない部分があります。これは更に見直していけば精度は上がっていきそうですが、矛盾点は多々残りそうです。この手の作品は矛盾などは容認しないと成り立ちませんが問題はその程度ですね。

 デビッド・リンチ作品は矛盾そのものをパズルのように楽しむことができますが、本作は現実に起きていることをストレートに表現しているはずなので、いかに矛盾を感じさせないかが重要なんだと思います。・・・って、頭の回転が鈍い私がこんな偉そうなこと言うのもあれなんですが(笑;)。

 見た目でいきますと、未来が舞台ということで、目を見張るアイテムはてんこ盛りです。2054年という割と間近な時代設定からか、景観については現代のデザインを大部分残しているのですが、前半だけにCGで描かれた超未来都市が出てきます。最初にジョンがカプセルみたいな自動操縦の車で逃走するところですね。当局に操縦を奪われたので車から脱出しようとすると、突然に道路が垂直に折れ曲がって振り落とされそうになりすが、この辺りのビジュアルインパクトは相当なものです。

 この後、下降を続ける車からビルのベランダに飛び込むと、そこでは妙な団体がヨガ(?)のポーズでお出迎え。スピルバーグ流一発ギャグですね。とりあえず笑っておきましょう。後半に入ると都市部から遠のくせいか、車は普通のタイヤ式になって景観は現代的に落ちついてしまいます。ちょっとアンバランスな感じ。


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 ジョンがプリコグの予知した情報を分析する時に使うスクリーンは冒頭での目玉となっていて印象深いです。しかし手の動きだけで操作するのは斬新ですが、使いこなすのは大変そうです。腕が疲れそうだし。

 また、ジョンの自宅にはコーンフレークがあるのですが、その箱自体がスクリーンになっていて、やたらアニメのキャラが騒いでいます。こんなのが実現化したら鬱陶しいと思うのですが、案の定ジョンは思い切り投げ捨ててしまいます(笑)。いいぞ。

 こういう一方的なインターフェースは他にも導入されていて、ビルやトンネルの壁面、そしてなんと新聞までも見出しや宣伝がウジャウジャ動いています。新聞は読みづらそうです。話逸れますが、この新聞が登場する地下鉄のシーンで、背後に頭だけ写ってるのキャメロン・ディアスなんだそうです。よく見てみると確かに目元が彼女っぽいです。カメオ出演だとか。

 アイテムの中で直感的に実現性を感じるのが、個人を特定するデバイス群ですね。指紋と同じく個人を特定できる網膜情報を登録しておいて、いたるところでセンサが働きます。バイオメトリクスによる住民カードですね。特定の場所で個人認証をするには大変便利ですが、この未来ではマーケットにも随分と適用されていて、街中を歩いていると色んな広告に仕込まれたセンサが反応。

 「やあジョン、寂しくないかい?」
 「やあジョン、ストレスが溜まっているようだね」
 「やあジョン、旅行なんてどうだい?」

 やたら広告が個人攻撃を仕掛けてきます。鬱陶しい事この上なし。電車に乗るとき手ぶらで清算が出来るのは便利な気はしますが。しかしここまで管理された社会って居心地悪いですよね。


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 未来ということで警官隊も黙ってはいません。先に発進シーンがカッコいいと書いた長距離移動用の空飛ぶパトカー(なんて名前だろう?)ですが、よく見るとカタツムリみたいなデザインでちょっと不恰好。『ブレードランナー』のスピナーの方が100万倍カッコいいです。

 警官隊らはちょっとした移動ではジェットパックを背負ってこれまた空中移動します。ジョンを発見し逮捕しようと躍起になって空から舞い降ります。その動作からしてワイヤで吊ってるのは見え見えですが、デジタル処理でワイヤを消しているので、リアルなんだけども変なシーンになってます。また、人間を自由に飛ばすには、かなりの推進力が必要のはずですが、ジェットパックからはちょびっとしかジェットが出ていません。

 ジョンと乱闘する際に大勢でジェット噴射させているのですが、周りは真っ黒こげにもならず皆平気です。更にジョンと取っ組み合いながらアパートの窓から飛び込むと、食事中の家族の頭上でホバーリングするのですが、焼けるのはハンバーグだけです。普通なら全員がハンバーグになるはずです。まあ、ネタにできる矛盾点ということでヨシとしましょう(笑)。

 警官隊の装備品がまたいくつかあるのですが、スパイダーという網膜センサを備えた小型ロボットは本作の特撮場面で一番費用がかかっていそうです。手のひらサイズで関節のない3本足をウネウネ動かし移動するその姿は奇怪な虫そのもの。捜査の為アパートに放たれたスパイダー群をカメラが天井越しの視点で追っていくところは、各部屋で住民らが色んな反応を示していて面白いです。喧嘩真っ最中の夫婦がスパイダーが近づいたときだけピタッと喧嘩を止めるのは笑いどころで、こういうギャグは至るところで拝めることになります。

 また、司法省の役人が装備する銃が面白いです。銃床を掴みながら銃身をクルリと一回転させることで発射が可能となり、また発射されるのが実弾ではなく一種の衝撃波になっています。ジョンがこれを器用に扱いながらアクロバティックに役人らを吹き飛ばす様は見ていて気持ちがいいのですが、あるシーンのみの短い出番となっているのは非常に残念なところです。


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 さて、初見の時からすんごく気になってた部分というのが、警官隊のある装備品に対する字幕翻訳なんです。それは警官隊が路地裏でジョンを取り囲んだ時に放つ一言

 「嘔吐棒の準備はいいか?」

 ・・・嘔吐棒?!なんだ嘔吐棒って??その後、暴れ出したジョンにその警棒らしきものを逆に押し付けられ激しくリバースする警官隊。そして大惨事。なるほど確かに嘔吐棒。でも他にもっといい翻訳なかったのかなあ。吹替では「嘔吐誘発スティック」とか言ってるし。

 調べてみると英語では「SICK-STICKS」と付けられています。気分を悪くさせて抵抗力を無くす警棒のようですが、その効果からまんま翻訳するのもどうなんでしょう。せめて生体鎮圧棒か生体鎮圧スティックとか・・・でもなんかゴチャゴチャしちゃうなあ。嘔吐棒ならスッキリするのか(どこが)。ちなみに翻訳担当は我らが戸田奈津子先生・・・。「AUTO-BOW」とかいう自動式ボウガンだったらよかったのにね!(←意味不明)。皆さんだったらどんな訳にしますか?

 最後に役者について。予知能力者プリコグの紅一点アガサの母親役をジェシカ・ハーパーが演じてます。有名どころで『サスペリア』の主人公役がありましたが、私にとっては『ファントム・オブ・パラダイス』('74年)のフェニックス役が思い出の女優さんなんです。今回は台詞は全然ないし出番も非常に少ないのですが、事件のキーにもなっているので心に残る存在となってました。さすがに昔の面影は遠のいてましたが、またお目にかかれて嬉しかったです^^。

 すっかりアクの強い展開や映像が前面に出てしまった本作ですが、子供っぽい残酷性やイタズラ心が垣間見えるのは昔と変わりないスピルバーグ節だなと思います。なんだかんだ嫌いじゃないですこの作品。ご覧になってる皆さんの印象はいかがでしょうか?


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 さて、ついに2009年も終わりですね。今年も当ブログは更新頻度が激減しながらもなんとか続けることができました。こんなブログにお付き合い頂いた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。来年もまた色々ありそうですが、なんとか楽しい年にしたいものですね。

 今年も色々とお世話になりました。それでは皆様、よい新年をお迎え下さい♪

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