2009年7月29日水曜日

映画『ハンテッド』 ・・・フランスのサラリーマンがニンジャに追われるんだそうです

●原題:The Hunted
●ジャンル:ドラマ/アクション/犯罪
●上映時間:106min
●製作年:1995年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:J・F・ロートン
◆出演:クリストファー・ランバート、ジョン・ローン、ジョアン・チェン、原田芳雄、島田陽子、夏木マリ、岡田真澄、その他大勢

 今回は日本を舞台にしたアメリカ映画です。この出演陣を見てどう思われるでしょうか?たぶん皆さんの予想は当たってます。クリストファー・ランバートって、今なにやってるんだろう?

【ストーリー】
 日本に出張中のフランス人ラシーヌ。仕事が成功した勢いで、ホテルで日本人女性キリナをナンパ。夜の名古屋を満喫する。当然その後に一発キメる二人だったが、突然ホテルに侵入してきた忍者一族マカトにキリナは殺されてしまう。ラシーヌも手裏剣を撃ち込まれたが、なんとか一命を取りとめ入院する。この騒ぎを知りラシーヌの前に現れる剣術家タケダと妻ミエコ。タケダ家は200年前にマカトに滅亡寸前まで追いやられた苦い経験があった。子孫のタケダはマカトへの復讐に燃えていたのだ。 タケダはラシーヌと共に新幹線に乗り名古屋を後にする。
 一方、マカトの首領キンジョーは、キリナ殺害の目撃者ラシーヌを逃したことが大ショックであった。一族の恥とばかりにラシーヌにトドメを刺そうと躍起になるが、タケダがこれを簡単に許すはずはなかった。やがて舞台を離れ小島へと移し、最終決戦を迎えるタケダとキンジョー。それを眺めながらも、キリナのことが忘れられないラシーヌは、ある行動に出るが・・・。


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【感想と雑談】
 同名タイトルでウィリアム・フリードキン監督の作品がありましたが、こちらはそれよりも10年も前の親分肌な作品です。簡単には太刀打ちできないオーラが漂っています。『ブラックレイン』に続けとばかりに、日本の古くからの伝統をベースに、外人ビジネスマンが事件に巻き込まれる様を真剣に描いてます。立派なユニバーサル映画でもあります。しかし、開始早々感じる胸騒ぎ。脚本は監督でもあるJ・F・ロートン。大の日本通らしいですが、本作は特異でトンチンカンな空気を漂わせ、最終的にはジェット噴射。またやってしまいました。

 いきなり夜の名古屋から始まり、クリストファー・ランバート演じるラシーヌがウハウハしながら登場します。繁華街の栄で気前良くロケしています。私が元働いていた街なので、懐かしい感じがしました。日本人に作れない半導体でガッポリ契約が取れたとか、ちょっとムカつくことを抜かしながらラシーヌはホテルでキリナを口説きます。キリナを演じるのはジョアン・チェン。普通に英語を喋りますが見た目は日本人なので大丈夫です。キリナの部屋は和室で、続きの襖を開けると浴槽が登場。脱衣場とか洗い場はありません。居間と直結してます。これってアメリカ人の願望なんでしょうか。浴槽に思い切り飛び込まれると、ホテルも大変なことになりますね。

 キリナを殺害しラシーヌに重症を負わす忍者キンジョーを演じるのはジョン・ローン。こちらもパッと見は日本人で、日本語と英語を使い分けるのですが、日本語がどう聞いても吹替えで全然アンマッチ。英語を喋ってたかと思うと突然日本語にスイッチし観る者を混乱させます。なんというチャンポン。声質違いすぎ。後の忍者の里では、仲間と押し問答をするところでオール英会話。忍者は全員日本人の設定なんだけどな。キンジョーがキリナを殺害する理由なのですが、これが一目惚れしたキリナにあっさりふられた金持ちボンボンが、腹いせにマカトに仕事を依頼しただけのことで、深みなど殆どありません。スカスカです。

 怪我しながらも病院を抜け出したラシーヌは、また夜の名古屋をうろつきます。ここで名古屋名物のパチンコ屋に入ります。すると追っ手の忍者も入ってくるのですが、コートで変装したつもりが足袋はそのままなのでラシーヌにバレてしまいます。ラシーヌは店にいた女の子にタクシーを呼んでもらいます。ここで名鉄タクシーが登場。懐かしかったです。列車に乗りたいラシーヌが、一緒に乗った女の子に「ポッポー、シュシュシュー」と言うと、女の子は理解して運転手に駅に行けと命じます。安堵するラシーヌ。結構サスペンスですね。

 ラシーヌを助け、忍者一族マカトへの復讐に燃えるタケダ夫妻。演じるのは原田芳雄と島田陽子。厳格な剣術家タケダと清楚な日本女性ミエコをそれぞれ演じていました。原田芳雄はとにかくカッコよかったです。日本刀をブンブン振り回してました。



 本作最大の見せ場が、新幹線での大攻防戦。迫力のアクションと不思議な新幹線が拝めました。タケダと共に名古屋-三島間を移動するラシーヌを殺害する為、キンジョーが放ったくの一ジュンコが大活躍。演じるのは夏木マリ。顔付きが良すぎます。パーサーに扮したジュンコが運転席までお茶を持っていくと、運転士はジュンコを見て「お、新入りかぁ♪」と嬉しそうに返します。このトンチンカンなやり取りを起爆剤に、新幹線が大暴走を開始します。

 運転士を殺害し自動操縦に切り替えたジュンコと忍者軍団は、ラシーヌ一人の為に乗客全員を殺害しながら後方車両へと移動していきます。この時ジュンコは座った目で「列車を血で染めて世界中にメッセージを送る」とか、恐ろしいことを抜かします。

 タケダは後方車両でテーブルを切り付け気合を入れると(危ないなぁ)、前方車両に移動し忍者を独りずつ迎撃していきます。結構狭い車両ながらも見事な剣さばきを見せてくれて、これまたカッコよかったです。この時ミエコも弓矢で応戦し、ちょこっとだけ『ブレイド3』のジェシカ・ビールを思わせるのでした。

 新幹線の内部は、強烈で豪快な殺陣演出に狭すぎたのか、はたまたJRが非協力だったのか、セットを組んで撮影していました。なので、何かが違う新幹線の内部が堪能できました。説明し難いのですが、観た人は間違いなく「何これ」と思うはずです。また、走行中の新幹線が所々挿入されるのですが、映される度にその姿が100系→0系→300系→0系へとトランスフォーム。一貫性がないのが残念でした。

 三島に到着すると、惨状と化した新幹線の中で警察から事情聴取を受けるタケダ一行ですが、暢気な警察に問題視されず、その場から開放されます。本作では警察やマスコミの介在は殆どありません。何の変哲もない現代の日本が舞台となってるように見えるのですが、忍者一族マカトやタケダ一族の扱い方からすると、もう一つの日本、一種のパラレルワールドになっているようです。

 後半に入ると舞台は離れ小島へと移り、元気になったラシーヌは酔っ払いジジイ(訛り激しくて意味不明)に剣術を習ったり、タケダと喧嘩したりします。ミエコはフォローに忙しくなります。タケダはラシーヌを餌にキンジョーを呼び寄せ、最終決着を付けようと目論見ます。ノコノコやってきたキンジョーと一騎打ちするタケダ。物陰から二人を見つめるラシーヌ。そんな3人の運命は?あとミエコは??どーなる???

 出番が短いながらも強烈な印象を残した夏木マリですが、テレビ番組の『いつみても波乱万丈』に出た時、唯一出演したハリウッド映画のことを話していました。タイトルは言わなかったのですが、本作であることは間違いなかったです。色々と秘話を聞かせてくれたのですが、スケベなジョン・ローンからやたら脱げと言われ、激怒した夏木は「私はそんな女優じゃない」と一喝したそうです。新幹線のことは一言も触れなかったのですが、あの大虐殺スパークぶりからするとこっちの方が一大事なんじゃないでしょうか。

 という訳で、気になった方は、是非ご覧になって下さい。散々書いてしまいましたが、J・F・ロートン監督の思いを汲んで観てやれば、意外な面白さが堪能できるかもしれません。でなければ脱力します。かなり。きっと。

【The Hunted (6/9) Movie CLIP - Train Face-Off (1995) HD 】
 新幹線の中でこんな殺陣をやってます。


【出典】『ハンテッド』/ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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16 件のコメント:

  1. こんばんは~★

    おおっ、原田芳雄さんカッコいいっ!
    見逃してました・・・しかしレビューを読んだらえらい観たくなりました。
    日本人キャストが良いですね♪

    クリストファー・ランバートはまた例によって不老不死の役???
    「ハイランダー」のイメージ強すぎの彼ですがこの作品では日本刀振り回したりしてない事を願いたいです(笑)

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  2. 妙にのんびりした新幹線内での立ち回りと、血尿かと勘違いする位置からの出血にほのぼのした気持ちになれました。
    1995年なのに70~80年代テイストがしますね。

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  3. こんにちは!

    自分の知ってる街で物語が動いていくのを見るとなんだか血が騒ぎますよね(^^;

    記事読んでる間は剣術家の原田芳雄は剣術家というくらいだから和服着てるんだと勝手に想像してたんですが、動画を観ると普通に洋装でした。
    動画ではシャツにネクタイだけのラフな格好でしたけど、どうせ洋装でチャンバラするならスーツ着ていてくれたほうがかっこよかったんじゃないかな。スーツに日本刀って結構やばそうな雰囲気が漂うイメージとしてわたしのなかにあるので。
    原田芳雄はどこか優しげなところがあるのに野性的といった含みのある雰囲気を纏ってるので、凄くかっこいいです。

    トンデモ日本が出てくる映画って、日本人として頭抱えたくなるような部分もあるんですけど、それはそれとして違和感を楽しめたりもするから、嫌いな方ではないと思います。監督の日本への愛情が見て取れるとかなりの部分は許してしまうような感じもあったりして。
    ただ日本人の役は日本の役者さんにやって欲しいなぁと、そういうことは思います。英語が駄目でも日本語で喋って英語字幕入れておけばそれでいいと思うんだけど。
    でも忍者の里では全員英語って書いてありますよね…。ひょっとしてアメリカ人って字幕読むの苦手なのかな。

    応援します☆

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  4. こんにちは。

    作品が生まれた1995年というと、日本では "失われた10年"。 その間にこんな映画が作られていたんですね。 なかなか いい感じの失われぐあいに思えます^ ^

    ガツンと応援!!

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  5. こんにちは!

    クリストファー・ランバートといったら、「ハイランダー」か「モータルコンバット」ぐらいしか思い浮かびませんでしたが、こんなところにも居たんですね。というかキャスト豪華!ちょっと見たいかも…★

    「ハイランダー」で思い出しましたが、日本未公開の4作目はドニー・イェンのハリウッド進出作ですが、見たことあります? ちょっとだけ出てきて、すぐ殺されますが(笑)
    横道それました。
    応援で~す★

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  6. >Benny様
    どうもです!^^

    原田芳雄さんカッコいいですよね!さすが目の付け所が違います。
    結構な日本人役者が出ているのですが、ニンジャものということで、全体的に浮いた感じがします。
    でも、ニンジャの存在に抵抗なければ、バッチリ楽しめると思いますよ^^。

    クリストファー・ランバートは、普通の外人サラリーマンを演じてました。ニンジャの追撃から最後まで逃れるという点では、不老不死と言えるかもしれませんが(笑;)。

    応援コメントありがとうございました♪

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  7. >lifeonmars様
    どうもー!^^

    動画からすると確かにのんびり感がありますね(笑;)。でも、新幹線攻防は全体的に見ると結構迫力あるんですよ。ちょっと笑ってしまうところもありますけどね(笑)。

    血尿ライクなシーン、確かに!特殊効果、しくじったのかなあ^^

    応援コメントありがとうございました♪

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  8. >薄荷グリーン様
    どうもです!^^

    知ってる街が舞台となると、ちょっと嬉しくなりますよね。名古屋って海外からすると何か特別なイメージでもあるんですかね。「ボンベイ・トゥ・ナゴヤ」とか「ミスターベースボール」なんて凄い作品もあったし(笑;)。

    原田芳雄さんは、最初の方はスーツにコートまで着てたんですが、ニンジャ迎撃に入るとシャツだけになっちゃうんですよ。たしかに、最後までビシッとキメた姿でやってもらったら、更にカッコよかったと思います。

    なんだかんだ、トンチンカンな日本を楽しんでしまったクチです。ツッコミ要素って、結構大事ですよね(笑)。
    言語なんですが、日本人役者はちゃんと日本語と英語を使い分けてるんですよ。日本人役をアメリカ人にやらせると、おかしなことになるんですよね。なぜジョン・ローンにやらせたのか不思議です。でもこれもトンチンカンの一部として楽しんでしまったクチです(笑)。

    応援コメントありがとうございました♪

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  9. >Kiona様
    どうも~^^

    失われた10年ですか。そういわれてみると、微妙な名古屋だった気がします(笑;)。
    そういえば「ボンベイ・トゥ・ナゴヤ」もこの頃だったと思います。インド映画なんですが、名古屋の至る所でゲリラダンスするんですよね。爆笑もので失われた10年はすっ飛んでしまいました(笑)。

    ’95年って他にどんな作品があったっけなあ~。

    応援コメントありがとうございました♪

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  10. >Dolitea様
    どうもです!^^

    実は「ハイランダー」に「モータルコンバット」って未見なんですよ。クリストファー・ランバート、カッコよかったですか?彼の作品をまともに観たのは「ハンテッド」だけかも。
    カタコトの日本語喋ったり、学ラン着たりするので、ある意味貴重な作品かもしれません(笑)。

    ドニー・イェンのハリウッド進出作が「ハイランダー4」なんですか?それも未見です~。すぐ殺されるとは、扱いが勿体無い!一番強そうなんだけどなあ。

    応援コメントありがとうございました♪

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  11. この映画も凄そうですね(笑)

    僕も学生時代は名古屋で過ごしたので
    「栄」「名鉄タクシー」の名前は非常に懐かしかったです!
    といっても日進町の時代ですど(笑)

    新幹線のセットも非常に気になりますし・・
    気になるといえば、まだサンシャインも見れてないです(^▽^;)

    お盆休みの間に両方見ましょう!(^^♪

    凸です!(^^)v

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  12. >take51様
    どうもです!^^

    この映画、ある意味凄いですよ(笑)。
    名古屋を舞台にしたこと自体衝撃ですし、全体的にも凄いことになってます。
    なんと、take51様も名古屋時代が!?これは意外でしたなあ。ひょっとして接近遭遇してたかも?(笑)。
    財布の中には未だに名鉄タクシーチケットが入ってたりします(爆)。

    体調を万全にしてからサンシャインとセットで挑んで下さいな(笑)。

    応援コメントありがとうございました♪

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  13. ランバートといえば、フォアローゼズのCM!あの奥二重がカッコ良かったなぁ!
    本当、今、何をしてるのだろうか?

    umeさんはネット環境どんな感じなんでしょうか?もし良ければ、21日(金)か22日(土)にチャットしませんか?テーマはゾンビ映画です。ご都合よろしければー。

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  14. >P様
    どうも!
    レス遅れてすみません!><

    ランバートのフォアローゼスのCMって、洋酒のやつなんですね。焼酎か日本酒あたりの記憶でしたが、全然違いましたね(笑;)。
    ホント、今なにやってるんですかね~。
    この後、フォートレスってSFに出てたと思うのですが、これもあまり印象に残らない作品になってたような・・・。うーむ。

    ゾンビチャットですか??そそりますなあ(笑)。
    ぜひお願いしたいところですが、ちょっとこの辺りが立て込むかもしれないので、また近付いたらP様ブログに返事させて頂きますね♪

    応援コメントありがとうございました~♪

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  15. この映画のパチンコ店内のシーンで、ドル箱を持って横切った者です。今となっては俳優を夢見た若き日の思い出のワンシーンです。このレスを覚えてて劇中で見つけてもらえたらうれしいです。

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  16. >カワムラ様

    これDVD購入してました。さっそく観てみましたよ!
    病院を抜け出した主人公が途中に立ち寄るパチンコ店ですよね。
    ひょっとして、クリストファー・ランバートの前を横切られていくお客さんでしょうか。間違っていたらごめんなさいね。

    俳優を目指されていたのですか。私も一時は映画関係の仕事に憧れていました。裏方的な仕事にですけどね。カワムラ様は出演まで果たされているのですから、羨ましい限りですよ。

    乱暴な記事にしてますけど、妙に愛着があって実はいろんな方に観て頂きたい作品です。埋もらすには勿体ないですね。

    コメントありがとうございました♪

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