2015年2月1日日曜日

映画『イントゥ・ザ・ストーム』 ・・・竜巻が迫ってるのに、女の子とイチャイチャしてるとこうなります

●原題:Into the Storm
●ジャンル:アクション/スリラー
●上映時間:89min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:スティーブン・クォーレ
◆出演:リチャード・アーミテージ、サラ・ウェイン・キャリーズ、マット・ウォルシュ、マックス・ディーコン、ネーサン・クレス、アリシャ・デブナム・キャリー、アーレン・エスカペータ、ジェレミー・サンプター、その他大勢

 2月に入りましたね。皆さんいかがお過ごしでしょうか?今まさにインフルエンザの流行時期ですよね。予防策はしっかりとっていきたいですね。
 さて今回は、最近のデザスター作品の紹介です。デザスター作品といえば・・・私が崇めるあの大傑作がありますが、本作の出来はどうなんでしょうか。

【ストーリー】
 アメリカ。スーパーセルの異常発達により竜巻の大発生が危ぶまれる中、田舎町シルバートンでは高校の卒業式が行われ、一方ではピート率いるストームチェイサーが鼻息荒く近辺を通り過ぎようとしていた。突如、発生した竜巻によって校舎は半壊し、卒業生徒らは身動きが取れなくなってしまう。教頭のゲイリーは生徒でもある息子ドニーが工場跡地で被害にあったことを知り救出に向かうが、再度発生した竜巻によって車が破壊されてしまう。駆けつけたストームチェイサーの協力を受け、ゲイリーはドニーの救出に再出発するが・・・。


(インセプション・・・?)

【感想と雑談】
 忘れた頃にやってくるデザスター超大作ってやつでしょうか。本作では大自然の猛威として竜巻(トルネード)が主役ですが、私にとっての竜巻映画は『ツイスター』('96)がマスターピース(笑)です。雨後の筍なDVDスルー作品が多い中、久々に劇場公開された竜巻新作ということで、ちょっくら手を伸ばしてみました。

 うわー凄い迫力。でもなんだか・・・。

 冒頭、車中の若者達が竜巻に襲われます。前方の電柱が火花を散らすけど、夜中なので何が起きてるのかわからない。ウヒャーと盛り上がって前進すると突然、竜巻の姿が目に入り、慌てて車をバックさせるも時すでに遅し。この一部始終をハンディカメラ越しの事故映像として描いています。

 本作は、様々な登場人物によるカメラ越しの映像を挿入することで、大自然の脅威に遭遇する様を生々しく感じられるような効果を狙ってるようです。擬似ドキュメンタリとでもいうのでしょうか。ストームチェイサーだけでなく、卒業式当日の朝から親子の確執やら、ハプニング動画で一攫千金を狙うアホ二人組やら、それぞれハンディカメラの映像が交差しまくります。

 高校の卒業式も架橋に入った辺りで遂に天候が一変、竜巻のお出ましです。ここで地域住民が避難しストームチェイサーも仕事をこなして無事終了・・・という訳にはいきません。どうなるかというと、下心満載のアホ息子と女の子がどこぞで竜巻に襲われ命に関わるカウントダウン開始。察知した親父の高校教頭がストームチェイサーと共に救出に向かうという、スリルでイラッとくる、はた迷惑な展開になります。

 肝心の竜巻ですが、主役だけあってその映像は凄まじいです。乗用車やらトラックやら、はたまた建造物なんかは粉々に散って宙に舞います。この辺りの臨場感ある描写はさすが昨今の映像技術だなと感心します。そんな竜巻を目の前にして、酔っぱらいのアホ二人組が盛り上がり、車が破壊されると「俺らのクルマがー」って嘆いてるの。ここ恐怖と笑いのギャップが凄まじいです(笑)。

 監督は『ファイナル・デッドブリッジ』('11)のスティーブン・クォーレ。『ファイナル〜』は素晴らしかったですよ。冒頭の橋崩落のスペクタクルさにはビックリしたし、何よりもあのオチの持って行き方に感動しました。シリーズの復活にも貢献されてましたね。何でもジェームズ・キャメロン監督を師に持つらしく、確かに画作りには徹底したスタイルを感じます。

 しかし、本作は映像面に特化しすぎちゃったかな、という印象です。猛威を奮う竜巻を横目に、登場人物らを幾度も交差させながら命に関わるイベントを発生させて、それを回避させるサスペンスとスリラー要素は用意されてるのですが、それほど心に響くようなドラマには感じませんでした。上映時間が90分を切る短さもあるでしょう。そういえばクライマックスで、近年のあるSF作品そっくりなギャグにも見える場面が出ますが、監督はあの作品に思い入れか関係でもあったのだろうか。



 ここらから『ツイスター』を引き合いに出します(笑)。こちらはヤン・デ・ボン監督が、竜巻以前にアクション作品として貫いていて、監督らしいスピード感ある演出がドラマ性と相まって至高な作品になっていると、私は思っています。大半のかたは『ツイスター』を竜巻の脅威が足らずドラマも陳腐で余計なものという評価を下されています。では、本作の評価はどうなんでしょうか。

 『ツイスター』に足らなかった部分が、本作では埋め合わせされてるかと思いますが、いかがなもんでしょうか。最新のCG技術による、炎も一緒に渦巻いたり、人が巻き上げられたりする竜巻映像は、『ツイスター』の比ではないですよね。まあ、それでもどことなくチャチに見えるのは映画としての娯楽性を崩さぬようわざとやってるかもですが。

 『ツイスター』はストームチェイサー視点で竜巻を日々追うアドベンチャーで、本作は被災者視点で突然発生した竜巻の脅威に対抗するスリラーになります。また、両者にドラマ性はあるにしても、前者は映画然としていて、後者はドキュメント然としている。そもそも作りが違いますね。あんなドデカイものまで巻き上げて(笑)視覚的に皆をビビらせる後者の方が、デザスター映画の定義により当てはまるといえるでしょう。

 結局は観る人の価値観によりますが、私的にはヤン・デ・ボン監督が達者な分、『ツイスター』の方が魅力ある作品だな、ということ。人間的な温かみや高揚感もクセになる神作品であります(笑)。デザスターの物差しで計れば、私の評価は間抜けなもので、本作が格段上になるとは思いますが、クォーレ監督、絶対に随所で『ツイスター』リスペクトしてるだろこれ。

 しかし、本作も絶対的に満足できるデザスター映画に仕上がっているんですかね。これまでの評価によれば、ドラマ性を頑張ると破壊の美学が足らないと言われ、破壊性を頑張るとドラマ性が陳腐だと言われる。どっちだよ。ひょっとして、デザスター映画っていうのは永遠に成り立たないジャンルなんじゃないですか。

 という訳で、往年の竜巻デザスター作品のIMDb評価を調べてみました。’89年の作品から辿っています。大半がTV映画となっていてDVDスルーされていますが、この評価からしてその内容は言わずもがな。一番評価の高い(6.4)作品って何!!と思ったら、ドキュメンタリ短編作品でした。除外してもよかったか。で、問題は、肝心の『イントゥ・ザ・ストーム』が『ツイスター』よりも低評価(5.9)なんです。これはどういうこと?

(M):映画 (TM):TV映画 (D):ドキュメンタリ (2015/2/1現在)


 皆から文句たらたらでラジー賞まで食らった『ツイスター』が映画作品として未だ高評価(6.2)である事実。まあドングリの背比べだけどね(笑)。・・・まとめに漏れがあったらご指摘下さい。


 このブログではやっぱし『ツイスター』がNo1ということで。


(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.--U.S.,CANADA, BAHAMAS & BERMUDA
(C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS(BVI) LIMITED--ALL OTHER TERRITORIES ALL RIGHTS RESERVED.
【出典】『イントゥ・ザ・ストーム』/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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2 件のコメント:

  1. こんばんは!!
    僕もやっと見る事が出来ました!!(^^♪

    なかなかの映像でしたね!!また音が凄かったので、
    僕的には凄く楽しめました!!(笑)

    自分の記事に書いてますが、教頭先生がホビトの
    トーリン役の男性と知って映画の内容どころ無くなりました(^▽^;)

    この映画を見た直後にホビットを見たのでタイミングとしても
    どんぴしゃりでした(笑)

    この映画、確かにドラマ性という意味では
    イマイチだったかもしれませんね、、
    仰る通り90分弱の映画では仕方がないのかもしれません、、、(^▽^;)

    ツイスターは名前はよく聞きますが未見の映画です。
    どなたかもオススメの映画としてツイスターを挙げられてましたので、
    近日中にやっつけたいと思います!(笑)

    >(インセプション・・・?)

    密かにツボでした(笑)

    触れられてませんがサラ・ウェイン・キャリーズにがっつり応援!!(笑)

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  2. >take51様
    この手は体感型とでもいうんでしょうか、最新設備の劇場で見るべき作品なんでしょうね。

    主人公の教頭がホビットに出ていたとは。全然記憶にないのでググってみたら、ああ!このキャラ演じた俳優さんでしたか。眉毛が凛々しくて本作のスッピン顔からは想像できない姿(笑;)。

    見知らぬ俳優さんばかりでしたので、イメージからの先入観もなく没頭できたかな、とも思っております。
    take51様イチオシのサラ・ウェイン・キャリーズも初見の女優さんです。身長175cmとかガタイがよすぎ(笑)。

    ドラマ性は弱いのですけど、父と子の確執の一因となったナイフが、のちに父と子の絆に繋がるところは、グッときましたね。
    その後の俺様ストームチェイサーが車ごとああなってしまうところでは、正直爆笑してしまいましたが(笑;)。
    あれって、take51様が音響テストでもよく見られる例のSF作品にそっくりのシーンだと思われませんでした?

    全員が佇む写真って、構図が「インセプション」のポスターそっくりだな、と思った次第です(笑)。

    「ツイスター」は古い作品ですので、あまり期待しないで下さいね。言えるのは、本作よりも牧歌的でホノボノとしているところでしょうか。それでも私は大好きな作品です(笑)。

    応援コメントありがとうございました♪

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