2015年1月3日土曜日

映画『her/世界でひとつの彼女』 ・・・超絶性能の女AIが男を天国に導きます

●原題:her
●ジャンル:ドラマ/ロマンス/SF
●上映時間:126min
●製作年:2013年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:スパイク・ジョーンズ
◆出演:ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラ、エイミー・アダムス、マット・レッチャー、オリビア・ワイルド、クリス・プラット、スカーレット・ヨハンソン(声)、スパイク・ジョーンズ(声)、その他大勢

 新年あけましておめでとうございます。皆さん、どんな年越だったでしょうか?私はなんだかいつものように日が変わっただけという感じでした(笑)。本年もよろしくお願い致します。
 さて、今回は割と最近のSF作品を挙げてみたいと思います。

【ストーリー】
 近未来のどこか。セオドアは手紙の代筆会社に務める心優しい男。決別寸前の妻のことで心に穴が開いた状態であった。ある日のこと、新型OSを購入するセオドア。それは最新型AIを搭載したOSであった。インストールと初期設定を終えるとAIは主人となるセオドアに話しかける。サマンサと名乗るその声は聡明な女性そのものであった。賢くウィットに富んだサマンサにセオドアは感動し、やがて生活も楽しいものとなる。しかし、学習能力によって感情を持つようになったサマンサはある提案をしセオドアを混乱させてしまう・・・。



【感想と雑談】
 レンタル屋の新作コーナーで何やら目立つパッケージが。こんな作品あったのですね。手に取って裏面を見てみれば、そのストーリーにビビビとくるものがありました。さえない男とOS(オペレーティングシステム)機能の主従関係を超えた世界。学生時代に何かの少年誌で読んだ同様のSFマンガに感動した記憶が蘇りました。今年1発目の記事にしてしまいます。

 静かな作品ですね。インターフェース技術が発達した時代で、市民はコンピュータを直接の会話形式で操作し、イヤホン型のコミュニケーションツールとスマホっぽい端末を携帯しています。舞台となる都市部は様々な人種が行き交っていて捉えどころのない無国籍風の印象。またどことなく抽象的です。

 冒頭から、代筆業務をこなし、街を歩き、自宅で過ごすセオドアを静かに淡々と追っていきます。抽象的と書きましたが、結構ディティールがしっかりしているところもあります。コンピュータ画面のデザインが映画然してなく質素だし、空間にプレイ画面を映し出す3Dゲームは超技術ですが、なんだかしっくりした存在感。



 好きな時に音声指示でコンピュータをリモート操作できて、例えばベッドの中で手軽に世界中の人とチャットできるのはいいのですが、その反面、悲惨とまではいきませんが人との直の触れ合いがなくなっているのも確かに感じます。薄くて中性的に感じるこの設定は、今のご時世を暗に表してるようで、ちょっと寂しく悲しくもあります。

 セオドアが衝動買いするOS。それに搭載される女性型AIのサマンサが大問題です。この声をスカーレット・ヨハンソンが演じてるとか。もうね、彼女が演じてること内緒にされていてもはっきりわかると思いますよ。うお、スカヨハじゃん(笑)。相変わらずハスキーでセクシーな声だなホントに。ユーモアもあって可愛いとこもあるしで。

 ブラインドデートで相手にキモイといわれ、復縁にほのかな期待を寄せるも妻からキツイ一撃を食らうセオドアも、また中性化した男性像の象徴にも見えます。妻との幸せだった思い出から抜け出せず心に穴の空いたセオドアにしてみれば、高性能のAIに人と同等もしくはそれ以上の関係を求めるのはわかるような気もします。



 それにしても、このAIが万能すぎて、春がきた全開のセオドア。街や駅をサマンサと共に謳歌する様は傍目には危ない人です。それほどサマンサが画期的なAIだということですね。また、セオドアはあろうことか夏の浜辺に長袖&スラックスで現れスマホ片手にサマンサと至福の時を過ごします。これって、かつてのラブプラス片手の熱海旅行を超技術でレベルアップしてますか。でも正直、楽しそう。私もサマンサ欲しいわ。

 繊細でナイーブな空気で充満してますんで、この淡い恋心でどこまで行き付くんだろうなと思っていたら、このセオドアとサマンサは恋愛関係に付き物の行為を普通にやってしまいます。スカヨハ渾身のボイス演技。ここはちょっと意外でした。きっとサマンサが人並みの感情を得たという重要なエピソードだったのでしょう。純粋に人間性を描いただけに過ぎませんが、ファミリー鑑賞は要注意だと思います。

 セオドアを演じるはホアキン・フェニックス。アクの強い風貌してると思ってましたが、こんなんでしたっけ?しかしなかなかの哀愁ぶりであります。そういえばこの人、役者業を引退するっていってた気がするけど。違ったかな。それから、セオドアの別居妻を演じるはルーニー・マーラ。デビッド・フィンチャー監督の『ソーシャルネットワーク』('10)と『ドラゴン・タトゥーの女』('11)に立て続けでヒロインやってましたね。可愛いらしい女優さんです。



 また、セオドアの女友達を演じるのがエイミー・アダムスで、ボサボサの化粧っ気なしで疲れ切ったところは、最近の『アメリカン・ハッスル』('13)でのケバさ(笑)とは実に対象的で、好感が持てました。スッピンを見せてくれる女優さんは正義。全てウエルカムなのです。鼻の形が印象的で好きな女優さんです。

 結局、世界中に同じインターフェースが浸透していることや、OSがネットワークに繋がっていること、そしてサマンサの超越した感情によって、我に返るようなオチに向かっていきますが、一方では救いもあったかと思います。ふと、学習しまくりAIの今後のことを不気味にも感じましたが、考えすぎでしょうか。とにかく頑張れよセオドア。

 サマンサ=スカヨハの実体化じゃじゃーんという期待は力いっぱい外れました。そんな安易な展開になるはずないと片隅にはありましたが、どうしても歯がゆく妄想してしまいますね。スカヨハですからね(笑)。

 ちなみに、吹替版のサマンサ声は、スカヨハが自然体すぎるのに対し、声優さんがやや機械的で固めの口調になっていて、これはこれでいい感じ。オリジナルと聴き比べてみるのも一興でしょう。


 スカヨハ音声の「ラブプラス」を作ってほしい。


(C)2013 UNTITLED RICK HOWARD COMPANY LLC ALL RIGHTS RESERVED.
【出典】『her/世界でひとつの彼女』/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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2 件のコメント:

  1. 明けましておめでとうございます!
    新年早々、素敵な記事の紹介を有難うございます!(笑)

    ホアキン・フェニックスは久しぶりのような気がします。
    それも楽しみですが、スカヨハですか~

    願わくばAIを彼女が演じてることを
    忘れていて「え?これヨハンソンじゃない??」
    という展開を期待しますが、物忘れの酷い僕でも
    流石に無理かも??(笑)

    鑑賞後、改めてお邪魔をさせて頂きます!
    素晴らしい映画の情報をありがとうございます!!
    速攻で食いついちゃいました(爆)

    我らがヨハンソンに今年もがっつり応援です!!\(^o^)/

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  2. >take51様
    あけけましておめでとうございます。

    内なるパワー(笑)が込められてる作品なので挙げてしまいした。
    気になられたようでよかったです。

    スカヨハったら普段通りの口調で演じるものだから、コンピュータではなく透明人間を相手にしているかのようです(笑)。
    ところどころ掠れたり裏返ったりする声が生々しくて、人工音声も発達したな〜の時代なんですけど、やっぱりスカヨハで頭いっぱいになりますね。

    なんかスカヨハ祭りになってしまいました(笑)。

    感想お聞かせ頂けると幸いです。

    スカヨハ応援頂きました。ありがとうございます♪
    本年もよろしくお願い致します。

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