2014年12月30日火曜日

映画『ロミー&ミッシェル』 ・・・お気楽ブロンド娘の二人が同窓会に向けて色々やらかします

●原題:Romy and Michele's High School Reunion
●ジャンル:コメディ
●上映時間:92min
●製作年:1997年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:デビッド・マーキン
◆出演:ミラ・ソルヴィノ、リサ・クードロー、ジャニーン・ガラファロ、アラン・カミング、ジュリア・キャンベル、ジャスティン・セロー、ミア・コテット、クリスティン・バウアー、エレイン・ヘンドリックス、ビンセント・ベントレスカ、カムリン・マンハイム、その他大勢

 今年もあと僅かとなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?既に帰省されてる方、お仕事中の方、様々かと思いますが、健康と安全には是非お気をつけ下さいね。さて今回は、笑いで今年を締めようということで、ちょっと妙な出来ですがコメディ作品を紹介します。

【ストーリー】
 アメリカ。同級生同士のロミーとミッシェルはルームシェアするほどの仲良し。毎日を気ままに過ごしていた。ある日のこと、ロミーは偶然出会った同級生のヘザーから近々、高校時代の同窓会が開催されることを聞く。ロミーとミッシェルはかつてを振り返る。それはいい思い出ではなかった。個性派の二人は周りから浮いた存在で、イジメの対象とされていたのである。なかでもクリスティ率いる女子組はタチが悪かった。ロミーとミッシェルは卒業後10年目にしてかつて自分達をバカにしていた輩を見返してやろうと、同窓会に向けた準備を開始する・・・。



【感想と雑談】
 前からいつか挙げてみたいと思っていたコメディ作品です。最近、コメディが多い気がするけど、笑いは健康にもいいので、今後もちょくちょくいきたいと思います(笑)。しかし、うわ、これもう17年前の作品になるんか。

 タイトルとジャケットデザインからは、ブロンドパー(アッパラパーのブロンド)の二人が人生を謳歌するコメディに違いないと思われることでしょう。当たってます。そのまんまです。しかし、その好き勝手に人生を送るブロンドパーらの緩み具合をオフビート且つシュールに描いているのが問題です。

 イカしたBGMで海原を俯瞰で突き進むタイトルバック。空撮のままカメラが海辺のアパートの一室に入っていくと、ビデオ鑑賞中のロミーとミッシェルが登場。『プリティウーマン』('90)を30回以上は観てると豪語する二人。そして今夜もバッチリ服装をキメて男漁りにディスコ通いするもハズレ。のっけから間の抜けた二人が飛ばし気味で掴みはOKです。



 ロミーを演じるはミラ・ソルヴィノ。タランティーノと付き合ってたくらいだからオタクやバカ映画に理解があるのでしょう。同時期の怪獣映画『ミミック』('97)では本作と正反対なインテリタイプの博士役をやってました。かつてオスカー助演女優賞を取ったというのに、こんな仕事してる彼女こそ女優の鑑(笑)。腹の座ったハスキーな声で力いっぱい間抜けにミッシェルをリードします。

 ミッシェルを演じるはリサ・クードロー。他にも何本か出演作を観ていますが殆ど覚えていない女優です(笑)。あまり美人さんでもなく、おいその歳はなんだ、と思ったりするのですが、それらを補って余りある演技を見せてくれるのが実にいい。終始ロミーとの会話で最後に「私もそう思うわ!アハ」と素っ頓狂に返す辺り、何も考えていないアホさ加減が可笑しいです。

 ばったり遭遇した同級生ヘザーから同窓会のことを聞いたロミーは、ミッシェルとともに卒業アルバムを眺め思い出にふけります。ここで、色んな写真から10年前の当時に継ぎ目なく入っていく演出が面白く、またテンポよく登場人物を描いていて、ちゃんと伏線も張ってたりします。BGMに流れる数々の80年代ロックの名曲も嬉しいところ。しかし、女子高生ロミーとミッシェルを同じ役者がやってるこの無理やり感は(笑)。



 高校生活には様々な派閥が存在するものですが、どうも上から目線になりがちなのがジョックス系のチアリーダー衆です。その団長クリスティと彼氏ボビー率いるグループはロミーとミッシェルにいつも嫌がらせをしていた邪悪な存在。クリスティの何かといい子ぶった言動がムカつきます。演じるジュリア・キャンベル渾身の顔演技ともいえましょう。コイツらがどういう顛末を見せてくれるのか期待も膨らみます。

 田舎ツーソンから都会ロサンゼルスに出てきたというのに、毎日適当で気ままに暮らす二人は同窓会で自慢すべくダイエットや職探しに奮闘しますが、結局はビジネスで成功したフリをして挑むことにします。ビジネススーツにピッチリ身を包んだ二人がファミレスで注文する「ビジネスウーマンスペシャル」。ねーよそんなメニュー(笑)。婆さんウエイトレス困らすでねえ。

 ロミーがハンドル握る道中、共同でポストイットを発明して億万長者になった案で合意しますが、二人はやがて口論からケンカに至ってしまいます。とりあえず同乗を続ける二人は、会場に着くなり別行動に移ります。ここからミッシェル視点になり、なんとなく空気が変わります。全体的にシュールなノリの中、この辺りでは特にそれを感じます。のちにロミーとミッシェルの関係に心を打たれる重要なエピソードになってると思います。



 監督のデビッド・マーキンは、アニメ『ザ・シンプソンズ』('90〜)の制作・脚本・監督を務めたお方。ということは本作もそんなノリで爆進してる訳です。『ザ・シンプソンズ』をご存じの方ならわかると思いますが、あのマンガ然とした独特で現実離れし過ぎた世界観を、本作では実写で構築しているようなものです。アニメほどのナンセンスさはないものの、シュールで間の抜けた演出はすぐ目に付くと思います。

 印象深いのがロミーが豪華なオープンカーを調達してきたくだり。持ち主に性的奉仕をしてゲットしたと冗談を言ったらミッシェルが真に受けてしまい、それを慌てて説明してもミッシェルが全然理解できないところ。その後、曲「フットルース」をかけて二人がイエーイと盛り上がって口ずさむのにすぐ歌詞がわからなくなるところ。そして、発進時に何度もエンストし、恐る恐る加速して今度は大丈夫とわかるや二人が花のようにパッと明るくなるところ。大笑いしました。

 クライマックスでは前衛舞踏かよと思わせるパフォーマンスで引き気味の笑いとともに盛り上げてくれます。何故そうなる、と思わせるところが、作り手のマンガ的な発想なんでしょうね。ちゃんとカタルシスも得られるし、結局はかなりの良作だと思います。こんな記事でも興味湧いた方はぜひご覧になって下さい。少なくとも損はしないと思います。


 これ公開時のタイトル『ロミーとミッシェルの場合』。なぜ変えた。


 さて、今年最後の更新となりました。早いものでこのブログも7年目に入ってます。更新の遅さはご愛嬌として(笑)、ここまで続けられるのもやはりご訪問頂いてる皆様のおかげです。ありがとうございます。まあ、キーワード検索で引っかかってしまい迷い込んだ方が大半でしょうが、こんなブログでもちょっとはお役に立ってることを信じて、これからも続けていきたいと思います。今年も色々とお世話になりました。

 来年も皆様にとって良い年となりますように。


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【出典】『ロミー&ミッシェル』/ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

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