●原題:Minority Report
●ジャンル:SF/犯罪/アクション/ドラマ/ミステリー
●上映時間:145min
●製作年:2002年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:スティーブン・スピルバーグ
◆出演:トム・クルーズ、マックス・フォン・シドー、
コリン・ファレル、サマンサ・モートン、その他大勢
●ジャンル:SF/犯罪/アクション/ドラマ/ミステリー
●上映時間:145min
●製作年:2002年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:スティーブン・スピルバーグ
◆出演:トム・クルーズ、マックス・フォン・シドー、
コリン・ファレル、サマンサ・モートン、その他大勢
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どうも!今回は微妙に懐かしいスピルバーグのSF作品です。あまり触れられることのない点をネタとして強調してみました。今年の偏り道最後の記事として締めくくりたいと思います。大晦日にコレかよ!とかいうツッコミは大歓迎です(笑)。
【ストーリー】
2054年のアメリカ。多発していた殺人事件は犯罪予防局の予知能力システムよって見事に減少。予知能力システムはプリコグと呼ばれる3人の予知能力者によって構成され、局員のジョンは予知された情報を元に現場へ急行する日々を送っていた。そんなある日のことシステムはジョン自身が殺人を犯すことを予知してしまう。そんなはずはないとジョンは動転しながらも真相解明の為に逃走。一方、法を犯す前に逮捕することが気に入らない司法省は、そんなジョンを手がかりに犯罪予防局を潰そうと躍起になる・・・。
【感想と雑談】
これ、最近なんかの動画(特撮ベスト100・・・だったかな)で犯罪予防局の空飛ぶパトカー発進の映像が紹介された際、ここ確かにカッコよかったよなと思ったのと、初見の時からすんごく気になってた部分もありましたんで、今更ながら記事にしてみました。
初めて観た時はよくわからない話でした。大筋は陰謀に巻き込まれたトム・クルーズ演じる局員ジョンが、いかにして悪を暴き事件を解決していくかという内容なんですが、プリコグと呼ばれる予知能力者の特性を利用したトリックや、どの時点で何が起きているのかがあまり理解できなくて、ラスト付近は真相解明しましたという流れを傍観しているようなものでした。
今回DVDで何度か見直してみて、だいたいわかるようになったのですが、証言や回想、未来ならではのアイテムが入り乱れてのインパクト状態に未だ釈然としない部分があります。これは更に見直していけば精度は上がっていきそうですが、矛盾点は多々残りそうです。この手の作品は矛盾などは容認しないと成り立ちませんが問題はその程度ですね。
デビッド・リンチ作品は矛盾そのものをパズルのように楽しむことができますが、本作は現実に起きていることをストレートに表現しているはずなので、いかに矛盾を感じさせないかが重要なんだと思います。・・・って、頭の回転が鈍い私がこんな偉そうなこと言うのもあれなんですが(笑;)。
見た目でいきますと、未来が舞台ということで、目を見張るアイテムはてんこ盛りです。2054年という割と間近な時代設定からか、景観については現代のデザインを大部分残しているのですが、前半だけにCGで描かれた超未来都市が出てきます。最初にジョンがカプセルみたいな自動操縦の車で逃走するところですね。当局に操縦を奪われたので車から脱出しようとすると、突然に道路が垂直に折れ曲がって振り落とされそうになりすが、この辺りのビジュアルインパクトは相当なものです。
この後、下降を続ける車からビルのベランダに飛び込むと、そこでは妙な団体がヨガ(?)のポーズでお出迎え。スピルバーグ流一発ギャグですね。とりあえず笑っておきましょう。後半に入ると都市部から遠のくせいか、車は普通のタイヤ式になって景観は現代的に落ちついてしまいます。ちょっとアンバランスな感じ。
ジョンがプリコグの予知した情報を分析する時に使うスクリーンは冒頭での目玉となっていて印象深いです。しかし手の動きだけで操作するのは斬新ですが、使いこなすのは大変そうです。腕が疲れそうだし。
また、ジョンの自宅にはコーンフレークがあるのですが、その箱自体がスクリーンになっていて、やたらアニメのキャラが騒いでいます。こんなのが実現化したら鬱陶しいと思うのですが、案の定ジョンは思い切り投げ捨ててしまいます(笑)。いいぞ。
こういう一方的なインターフェースは他にも導入されていて、ビルやトンネルの壁面、そしてなんと新聞までも見出しや宣伝がウジャウジャ動いています。新聞は読みづらそうです。話逸れますが、この新聞が登場する地下鉄のシーンで、背後に頭だけ写ってるのキャメロン・ディアスなんだそうです。よく見てみると確かに目元が彼女っぽいです。カメオ出演だとか。
アイテムの中で直感的に実現性を感じるのが、個人を特定するデバイス群ですね。指紋と同じく個人を特定できる網膜情報を登録しておいて、いたるところでセンサが働きます。バイオメトリクスによる住民カードですね。特定の場所で個人認証をするには大変便利ですが、この未来ではマーケットにも随分と適用されていて、街中を歩いていると色んな広告に仕込まれたセンサが反応。
「やあジョン、寂しくないかい?」
「やあジョン、ストレスが溜まっているようだね」
「やあジョン、旅行なんてどうだい?」
やたら広告が個人攻撃を仕掛けてきます。鬱陶しい事この上なし。電車に乗るとき手ぶらで清算が出来るのは便利な気はしますが。しかしここまで管理された社会って居心地悪いですよね。
未来ということで警官隊も黙ってはいません。先に発進シーンがカッコいいと書いた長距離移動用の空飛ぶパトカー(なんて名前だろう?)ですが、よく見るとカタツムリみたいなデザインでちょっと不恰好。『ブレードランナー』のスピナーの方が100万倍カッコいいです。
警官隊らはちょっとした移動ではジェットパックを背負ってこれまた空中移動します。ジョンを発見し逮捕しようと躍起になって空から舞い降ります。その動作からしてワイヤで吊ってるのは見え見えですが、デジタル処理でワイヤを消しているので、リアルなんだけども変なシーンになってます。また、人間を自由に飛ばすには、かなりの推進力が必要のはずですが、ジェットパックからはちょびっとしかジェットが出ていません。
ジョンと乱闘する際に大勢でジェット噴射させているのですが、周りは真っ黒こげにもならず皆平気です。更にジョンと取っ組み合いながらアパートの窓から飛び込むと、食事中の家族の頭上でホバーリングするのですが、焼けるのはハンバーグだけです。普通なら全員がハンバーグになるはずです。まあ、ネタにできる矛盾点ということでヨシとしましょう(笑)。
警官隊の装備品がまたいくつかあるのですが、スパイダーという網膜センサを備えた小型ロボットは本作の特撮場面で一番費用がかかっていそうです。手のひらサイズで関節のない3本足をウネウネ動かし移動するその姿は奇怪な虫そのもの。捜査の為アパートに放たれたスパイダー群をカメラが天井越しの視点で追っていくところは、各部屋で住民らが色んな反応を示していて面白いです。喧嘩真っ最中の夫婦がスパイダーが近づいたときだけピタッと喧嘩を止めるのは笑いどころで、こういうギャグは至るところで拝めることになります。
また、司法省の役人が装備する銃が面白いです。銃床を掴みながら銃身をクルリと一回転させることで発射が可能となり、また発射されるのが実弾ではなく一種の衝撃波になっています。ジョンがこれを器用に扱いながらアクロバティックに役人らを吹き飛ばす様は見ていて気持ちがいいのですが、あるシーンのみの短い出番となっているのは非常に残念なところです。
さて、初見の時からすんごく気になってた部分というのが、警官隊のある装備品に対する字幕翻訳なんです。それは警官隊が路地裏でジョンを取り囲んだ時に放つ一言
「嘔吐棒の準備はいいか?」
・・・嘔吐棒?!なんだ嘔吐棒って??その後、暴れ出したジョンにその警棒らしきものを逆に押し付けられ激しくリバースする警官隊。そして大惨事。なるほど確かに嘔吐棒。でも他にもっといい翻訳なかったのかなあ。吹替では「嘔吐誘発スティック」とか言ってるし。
調べてみると英語では「SICK-STICKS」と付けられています。気分を悪くさせて抵抗力を無くす警棒のようですが、その効果からまんま翻訳するのもどうなんでしょう。せめて生体鎮圧棒か生体鎮圧スティックとか・・・でもなんかゴチャゴチャしちゃうなあ。嘔吐棒ならスッキリするのか(どこが)。ちなみに翻訳担当は我らが戸田奈津子先生・・・。「AUTO-BOW」とかいう自動式ボウガンだったらよかったのにね!(←意味不明)。皆さんだったらどんな訳にしますか?
最後に役者について。予知能力者プリコグの紅一点アガサの母親役をジェシカ・ハーパーが演じてます。有名どころで『サスペリア』の主人公役がありましたが、私にとっては『ファントム・オブ・パラダイス』('74年)のフェニックス役が思い出の女優さんなんです。今回は台詞は全然ないし出番も非常に少ないのですが、事件のキーにもなっているので心に残る存在となってました。さすがに昔の面影は遠のいてましたが、またお目にかかれて嬉しかったです^^。
すっかりアクの強い展開や映像が前面に出てしまった本作ですが、子供っぽい残酷性やイタズラ心が垣間見えるのは昔と変わりないスピルバーグ節だなと思います。なんだかんだ嫌いじゃないですこの作品。ご覧になってる皆さんの印象はいかがでしょうか?
さて、ついに2009年も終わりですね。今年も当ブログは更新頻度が激減しながらもなんとか続けることができました。こんなブログにお付き合い頂いた皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。来年もまた色々ありそうですが、なんとか楽しい年にしたいものですね。
今年も色々とお世話になりました。それでは皆様、よい新年をお迎え下さい♪