●原題:The Toxic Avenger Part II
●ジャンル:アクション/アドベンチャー/コメディ/ホラー/SF
●上映時間:103min
●製作年:1989年
●製作国:アメリカ
●言語:英語/日本語/ロシア語
●カラー:カラー
◆監督:ロイド・カウフマン、マケル・ハーツ
◆出演:ロン・ファジオ、ジョン・アルタムラ、フィービー・レグレ、リック・コリンズ、リサ・ガイ、ジェシカ・ダブリン、ジャック・クーパー、エリカ・シケル、安岡力也、桂木麻也子、関根勤、忍竜、永井豪、その他日本の役者大勢(笑)
もう7月も中旬になっちゃった。皆さんいかがお過ごしでしょうか?梅雨もどうかな、終わりかな?でもこれから台風の季節にもなるんですよね。鬱陶しいですね。
さて、暑い夏といえばホラー。ということで今回は、懐かしのバカホラー作品です。
【ストーリー】
アメリカ。毒々モンスターことメルビンによって悪徳市長と取り巻きのワルが一掃されたトロマビルは平和で溢れていた。しかし、平和すぎて自分の存在価値に悩みを抱くメルビンは、カウンセラー通いの日々を送っていた。その一方、悪徳企業アポカリプス社は核廃棄物の処理場をトロマビルにしようと目論んでいたが、それにはメルビンが邪魔すぎる。ということで、日本が開発した毒々パワーを消し去るアンチトロマトンで退治することに決定。日本に父がいるという嘘を流し、メルビンを日本に向かわせる作戦に出る・・・。
【感想と雑談】
暫くソフト化から外れていたのが、昨年に晴れて再販されるようになった作品です。と、書くと、どんな作品?傑作なの??と期待させるのもアレなので、とってもバカ映画の名作と初めにいっておきます。久々に観たらやっぱりヒドかったので(笑)、今更感ありますけど記事にします。
1作目の「悪魔の毒々モンスター」(’84)がよっぽど好調だったのか、トロマ映画のあるじでもあるロイド・カウフマン監督は、シリーズ2作目として日本のマーケットに着目したようです。当時、ビデオ全盛の日本も日本で、世界のトンデモ映画の需要が相当あったのか、そんなこんなで出来上がった本作ですが、日本を舞台にしようが志はいつものトロマ映画です。見慣れた日本もトロマにかかるとバカの王国になってしまいます。
とはいっても、すぐ日本に舞台が移る訳ではありません。まず米国トロマビルを舞台に、濃厚でドアホなエピソードが爆進します。平和なトロマビル。主人公メルビンが盲目の彼女クレアと障害者施設でボランティア活動をしていると、土地を奪おうとする悪徳企業アポカリプス社によって施設を爆破されます。
怒り心頭で瓦礫の山から立ち上がるメルビン。そこにリムジンで乗りつけたアポカリプス社長と女重役が放つ自慢の刺客らは、顔面ペイント、女装、マリオ、半獣人、という出で立ちで、何かのイベントにしか見えません。そんな刺客らをメルビンは、車イスで粉々に潰したり、パンチで顔面を貫通したり、腕をもぎ取ったりと、朝飯前の格闘でのし続けます。
こんな様を深刻に見守る社長ら。メルビンのパンチで頭部の高速回転が止まらない刺客を見た女重役が漏らす一言「完璧な計画だったのに・・・」。完璧じゃねーよ。こういうのが普通の作品ではまず見られない光景です。音声については殆どがアフレコで、SE(効果音)含めて妙に誇張する演出が際立っています。バカ映像とバカ音声のダブルパンチがトロマ映画の醍醐味でしょうか。
父親が日本にいることを知らされたメルビンは、サーフボードで太平洋を渡り、ゴジラスタイル(笑)で東京に上陸します。ここからエキストラは全員、日本人で占めることになりますが、ちゃんとトロマ演出によるオーバーアクションを見ることができます。すんごい無理してる感ありありの(笑)。
(浅草でロケ撮影。この注目度ですよ。)
結構な日本の役者やタレントが頑張っています。関根勤は中継レポーター役として度々登場。修学旅行の生徒らに東京タワーを解説するくだり「これが東京タワーだ!全て鉄!」。そしてメルビンと目が合った途端「チョエェェ」と奇声を上げます。安岡力也はハーフ顔を買われたのかメルビンの父親ビック・マック役(笑)。マフィアみたいに貫禄あるのに相撲取りに変身しちゃう。
父親探しを手伝うヒロインを演じるのは桂木麻也子。当時人気のAV女優だそうです。昭和の雰囲気全開でオッパイを見せてくれるよ。こんな日本側とメルビンの絡みをゲリラ撮影しまくったのか、容赦なく注目しまくる通行人の姿がいちいち笑えます。山手線のホームとか浅草とかよく撮ったな。
仰々しいセットや仕掛け等はいっさいなく、そこらの下町や商店街で適当に撮ってる感は、トロマ映画の低コストと稚拙なセンスの賜物です。路地裏や魚市場の匂い立つような描写は、むしろトロマ映画だからこその、唯一無二の日本の一面を出せてるのではないか、とも思えます。その一方、日本人には理解できない(笑)エキセントリックな新しい日本もそこにあります。
エログロ度は米国が舞台だと安心と信頼のレベルですが、日本が舞台になると随分ソフトになるのは仕方のないことですかね。オッサンの腰痛が治ったり、鼻をタイヤキにしたり、女風呂に入ったら野菜をぶち込んでシャブシャブにしたり。ホノボノしてる。ただ、英語のセリフになると、いつものトロマ映画らしい吹替えとSEになるので一安心ですが。
唯一、日本でのグロ描写は、メルビンとの格闘の末、魚屋に投げ込まれた力士姿のビック・マック(笑)が庖丁人に細切れにされるところ。実はこの前にも伏線として、魚をやや汚らしく残酷に捌く場面が度々挿入されていて、ロイド・カウフマン監督が日本特有の残酷性として見出しちゃのかな、なんて思えます。
日本でメルビンが散々弄られてる最中、悪徳企業はトロマビルを破壊し続けますが、それも長くは続きません。サーフボードで帰国したメルビンが返り討ちにします。爆弾抱えたヒットマンを、メルビンがタクシーで追跡すると、途中、フロントガラスごと屋根が吹っ飛び、全員ドリフのコントみたいになります。運ちゃんは怒り心頭ですが、メルビンに「イカしたオープンカーになったね」といわれると、満面の笑みを浮かべます。アホか。ねーよそんなオープンカー。
とまあ、日本をメインにしたヒドい作品ですが、下手に真面目に描いた勘違い日本よりも、ずっと気を楽にして観ることのできるバカ映画だと思います。エログロ耐久性を必要とするやや上級者向けではありますが、これからトロマ映画を見たいと思われてる方(いるのか?)は、初級編として選んでみるのもいいでしょう。同じくトロマ映画で日本出資の『カブキマン』(’90)なんてのもあるので、併せて観るのもいいかも。ソフト化されてるか知らないけど。
なんだかんだ、トロマ映画っていいと思います。
第1弾 ⇒ 『悪魔の毒々モンスター』
第3弾 ⇒ 『悪魔の毒々モンスター/毒々最後の誘惑』 ← 早く再リリースすれ
第4弾 ⇒ 『悪魔の毒々モンスター/新世紀絶叫バトル』
(C) MCMLXXXIV H.C.H. CO./TROMA, INC.
【出典】『悪魔の毒々モンスター 東京へ行く』/映像文化社
こんにちは。
返信削除いいですねぇ、トロマ。
ついに日本が舞台になったのも嬉しいところですが…もうほとんどと言っていいほど忘れてます。
ただ、お相撲さんのところと鯛焼きネタがあったことだけは覚えてます。(^^;
浅草とかゲリラロケだったんですね。
あの姿で…いったいなんだ?と思ったことでしょうね。(^^)
>白くじら様
返信削除トロマは数々のサイテー映画の配給もしてたりしますけど、やっぱりロイド・カウフマン御大が監督した作品に尽きますね。
今回、日本にきてメガホン握ったら、こんな作品になったとか(笑)。
お相撲さん、鯛焼き以外にも、ちょんまげサラリーマンなんてのもいましたよ。
なんか日本にきても、適当に思いついたことしか画にしてない感じですけど、それが心地よかったりもするんですよね〜。
浅草はロケの許可とってるかもですが、山手線ホームのところは絶対ゲリラ撮影だと思いますよ。
しかし、みんな凝視しすぎ(笑)。
シリーズは、あとパート3が残っていますね。リリースされるかなあ。
コメントありがとうございました♪
こんばんは!!
返信削除これまた凄そうな映画ですね!(笑)
最初の主演者の中で見た桂木麻也子。
どこかで聞いた名前・・・、と思ったら
そうですよ!AV女優ですよ!!(笑)
樹まり子とかと一緒の世代ではなかったでしょうか?記憶が曖昧です、、(^▽^;)
こういうのを知ってしまうと見たくなりますね~
かみさんと見るのは辛そうですね!(笑)
>take51様
返信削除さすがです。かつてのAV女優マスタといえばtake51様ですね。
すみません、私、日本ものには疎いもので、海外ものでしたらなんとか・・・(笑;)
これ、平成直前の昭和最後のバカ映画になるかもしれません。スカイツリーではなく”東京タワー”ですからね(笑)。
貴重かどうかはわかりませんが、日本が舞台のゆるいギャグ映画にも取れますので、同じトロマ映画の中でも見易い部類に入るかと思いますよ。
ただ、ファミリー鑑賞するには確実に地雷となりますので、ご注意下さい(笑)。
コメントありがとうございました♪
お久しぶりです。
返信削除あ、私もレンタルで出ていたので、最近見直しましたよ。
いやー、お馬鹿ですよね。
しかもそのバカを日本でやってくれたから、たまらない作品。
これ、日本人以外面白いのか?って思えるできばえです。
こんなのをさくっと作ってしまう、トロマ映画は本当にいいですよね~!
>とら様
返信削除これ、米国パートと日本パートの作りが全然違うのですね。
米国だとトロマの残念な画質とアクの強さが全開なんですけど、
日本になると変に上品になってる。
機材は日本で調達したのかなあ。
できれば全編作りを統一して欲しかったですね。
完璧に米国のノリで関根勤を撮って欲しかった(笑)。
当時の世界を代表するバカ映画が舞台に日本を選んでくれた貴重な作品として、
日本人は誇りに思っていいくらいだと思います(笑)。