
●ジャンル:ファンタジー/ホラー
●上映時間:90min
●製作年:2010年
●製作国:ノルウェー
●言語:ノルウェー語/英語
●カラー:カラー
◆監督:アンドレ・ウーヴレダル
◆出演:オットー・イェスパーセン、グレン・エルランド・トスタード、ヨハンナ・モールク、トーマス・アルフ・ラーセン、ハンス・モーテン・ハンセン、その他小勢
今年もあと2ヶ月ちょっとですね。とにかく、できるだけ色んな作品を観るのと、体を動かすように(笑)したいです。
【ストーリー】
ノルウェーの山間。大学生のトーマス、ヨハンナ、カッレは、研究課題として熊ハンターの取材を行なっていた。ある日のこと、密漁者ハンスの存在を知り、彼に密着取材の許可を得ようとするが、速攻拒否されてしまう。それでも諦めない一行は、夜な夜な山に出向くハンスを追跡することにする・・・。
【感想と雑談】
トロールハンターです。トロールを狩る人。ストレートなタイトルですね。一応、ファンタジーにジャンル分けされていますが、内容は現代のノルウェーを舞台に一般人が伝説の怪物と対峙する、というものです。こういう作品を待っていました。架空の舞台に剣や魔法というファンタジーはもういいです。
開始早々、「あるフィルムが発見され、検証した結果、本物であると断定した。」というテロップが表示されます。なんだこれ、もう廃れたと思っていたPOV(Point of View:一人称視点)形式かよ。3人の大学生によって撮影されたトロールハントの一部始終の映像を、まんま映画にしたという設定なんですな。観る人によっては酔ってしまいそう。
映像が始まってまず目に付くのが、風光明媚な山間の景色です。撮影時期にあえて選んだのか、暫くはどんよりした暗い雨空が続きますが、記録映像という体裁から目の前に広がる山続きの大自然が生々しく映えていて、これから起きることへの期待度も加速します。この大自然の素晴らしさ。さすがだぜ、ノルウェー。
大学生トーマスらに突撃取材をされ、一言「失せろ」と吐く密猟者ハンスが燻し銀でカッコいいです。一瞬ビク付くトーマスですが、諦めずにハンスを追跡します。この後も、何度か取材を試みるもハンスの態度は変わらず。そんなハンスが一匹狼すぎて、段々と可笑しく見えてきます。やがて、山中でトーマスは何かに肩を噛まれ、ハンスはトロールの仕業であることを匂わせます。
ハンスから取材の許可を得たトーマスらは、やがてトロールに遭遇します。この深夜の森、不気味な咆哮と木々のざわめきが近づいてくる辺り、まさに幼少の頃に抱いた恐怖がそこにありました。この緊張感はなかなかくるものがありました。遂に森の開けた場所に姿を現したトロール。頭が3つ付いています。なんだコイツ。
トロールとはノルウェーに古くから伝わる妖精であり、一種のマスコット的存在なのだそうです。小型、大型、3つ頭、など様々なタイプがあるそうですが、基本的にブサイクなヒューマノイド怪獣です。
ハンスの攻撃によってトロールは仕留められます。実はトロールの存在は政府ぐるみで隠蔽されており、ハンスはその唯一のハンターとして、ノルウェー中の山を巡っていたのです。処理後の場所には政府が駆けつけ、熊の仕業であるように偽装しますが、市民への「ロシアの熊がフィンランドとスウェーデンを越えてきたのです。心配すな。」という説明にだんだん無理が生じてきます。
常に眉間に皺をよせるハンスは、日ごろの鬱憤を晴らす為、トロールの存在を取材を通して世間に暴露することにします。疲れてるみたいです。そんな、世間から非常に浮いた孤高のハンス。彼を追えば追うほど、先にも書きましたが、可笑しい空気が漂ってきます。なんかこのノリってどこかで見た気がする・・・。
次のトロール退治では血液採取もすることになったハンス。突然、全身ブリキのロボットみたいな姿で登場し「いやな仕事だぜ」と呟き、巨大な注射器を持って一人突進します。そして、トロールに投げ飛ばされ、かじられ、地面に叩きつけられるハンス。駆けつけたトーマスらに「うー・・・少し体が痛むぜ」。死ぬだろ普通。そして「赤いボタンには触るなよ」と意味不明なことを言い、再度トロールに突進します。おかしいだろ!
このノリ、思い出しました。松本人志です。昔のバラエティ番組「ダウンタウンのごっつええ感じ」で度々やってた、本人演じる様々な変人に、一般人やマスコミが巻き込まれていく不条理なコント。そして、本人が監督・主演した『大日本人』('07)なんかもそうです。まさにあのノリをビンビン感じてしまったのです。きっと、本作の作り手は、リスペクト松本人志であるに違いありません。
作りものの記録映像を本物だと言い切り流し続ける本作は、伝説の妖精と孤高のハンターを題材にし、クソ真面目に描いたことで、観る人によってはただのフェイク作品だけでなくギャグ作品にも昇華するという、裏ワザを秘めた力作であると思います。私はブリキロボットのハンス登場で大笑いし、見事昇華しました(笑)。
肝心のトロールの描写ですが、リアルなCGに、手ぶれ映像に同期したハメ込みもされていて、十分見られる映像になっていました。クライマックスに登場するトロールは必見です(笑)。
やるじゃん、ノルウェー。
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【出典】『トロール・ハンター』/ワーナー・ホーム・ビデオ