
●ジャンル:SF/スリラー/戦争
●上映時間:93min
●製作年:2009年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マーク・アトキンス
◆出演:アントニオ・サバトJr、トレイシー・ローズ、マット・ラスキー、チャコ・ヴァダケス、その他大勢
クリスマスですね。皆さん盛り上がっているのでしょうか?今回は前々から気になってたSFファンタジー作品です。クリスマスとは100%無縁です。出演陣を見てビビビときた人は大正解です。
【ストーリー】
現代。アメリカ軍特殊部隊のジョン・カーターは中東のどっかで任務中、仲間の裏切りから重傷を負ってしまう。かろうじて意識のあるジョンにアメリカ軍が告げたのは火星探索の命令。地球の代替惑星の探索に躍起になっていたアメリカ軍は、担ぎこまれたジョンに白羽の矢を立てたのだ。やがて謎の技術で体外離脱したジョンは火星に降り立つ。しかし、そこでジョンが目にしたのは、覇権争い真っ最中のヘリウム王国とサーク族の二大勢力であった・・・。
【感想と雑談】
これ、実はちゃんとした原作が存在してるんですね。原題は『Princess of Mars(火星のプリンセス)』。1911年の作品だそうで、かなり年季が入っています。日本がデザインした小説の挿絵が海外でも人気とか、色々と歴史は深いようですね。でも、映画化作品が配給によってこんなタイトルとデザインにされては、どう見てもパチもんの王様です。実はリリース時から気になってましたが、旧作扱いになるまで待ちました(笑)。
火星で空気製造の重要性を訴えるヘリウム王国と単に覇権欲しさで野蛮な行動をとるサーク族の争いに、地球から体外離脱してきた主人公が巻き込まれるという展開は、なんだか例の3D超大作を思わせるものがあります。原作の立場からするとこれはパチもん大逆転になるのでしょうか。やったぜ『アバター・オブ・マーズ』。
と、心のガッツポーズをかましたかったのですが、残念ながら本作は色々と負けてしまってます。とにかくスカスカです。
雪山を空撮から捉えた壮大なオープニングにワクワク度が急上昇するも、本編に入ると残念度が一気に急上昇。中東のどっかの暑そうな砂漠で特殊部隊の主人公ジョンが登場します。オープニングの雪山は一体なんだったのか。作戦上、隠密行動をとるジョンですが、あまりにも人気を感じない隙間だらけの展開です。オープニングから期待できる展開との激しい落差。主人公ジョンを演じるのは『ビッグヒット』('98)で殺し屋チームの色男を演じたアントニオ・サバトJr。本作でも抑揚のない色男ぶりを発揮。
ジョンはどうやって火星に移動するのか。例の3D超大作でも科学的な説明は無いものの見せ場としては十分成り立っていましたが、本作でもある意味負けてはいません。暗闇の中、大怪我したジョンの目の前でライトアップされた上司が言います。「火星を調査して欲しい。キミはじきに死ぬが、この16GBのUSBメモリを使って再構築するから安心したまえ。」。秋葉原で投げ売りしてそうなUSBメモリ。こんなんで宇宙を行き来できるのか。
(お約束のCGモンスターも登場します。それと野次馬が二人)
そんなこんなで、たぶんUSBメモリでデータ化されたジョンは、あっと言う間に飛ばされてしまいます。で、気が付いたら火星の砂漠。どうやって体を再構築したのか。そんなことはお構いなしに、バツグンの跳躍力が付いたジョンは30mくらいをひとっ飛び。この下半身に関する変化も、例の3D超大作にありましたね。
さて、肝心の火星のプリンセスです。実は本作を見るきっかけとなったのがこの配役でした(笑)。ヘリウム王国のプリンセスにして絶世の美女、デジャー・ソリス姫を演じるのが、あのトレイシー・ローズなのです。出ました。ポルノ絶好調の時に年齢詐称の問題で業界を去った伝説の女優です。その後は一般女優として再出発し、様々な作品に出演されてます。
プリンセス役をやるには貫禄が付き過ぎという問題もトレイシー・ローズなら許せます。結構な歳なんですがストライクゾーンにします。トレイシー・ローズの今の姿が拝めるだけでもヨシとしなければなりません。本作を観た後にジョン・ウォーターズ監督の『シリアルママ』('94)を観たのですが、これにもトレイシーは出演してました。この頃は若くて可愛かったですが、本作でもなかなかのものです。B級女優になってる気がしないでもないですが、いいんですトレイシー・ローズなら。
作り手がトレイシー・ローズに舞い上がったせいか、本作はヘッポコ演出の特盛り状態です。例えばプリンセスを乗せた飛空挺を発見するや即攻撃に移るサーク族。遠方から吹き矢みたいなライフルでペコペコ撃ちます。3人くらいで。飛空挺は飛空挺で頑丈そうなのに火を吹いてヤバイ状態に陥ります。それを見たサーク族のリーダーは「よし、フックを投げろ!」と手下に命令。飛空挺に向けてブン投げられたフックは、思い切り届きませんでした。コントかよ。全体的にローテク文明なので人手に頼る点が多しです。
(どっかで見た形の飛空挺。本作はスターウォーズ/EP6の香りが漂ってます)
また、サーク族に捕まったプリンセスは拷問にかけられます。仰向けにされたプリンセスのヘソの上にゴボゴボ煙を吐くフラスコをかかげる拷問係(露出度の高い女)。フラスコをよく見るとドライアイスの塊が数個。拷問係は中身をブチまけることなく体をウネウネしてるだけ。やがて助っ人の乱入で救出されるプリンセス。フラスコは一体なんだったのか。
色々と問題を抱える作品ですが、実はところどころでハッとするシーンもあったりします。先に挙げたプリンセスを乗せた飛空挺が登場するところや、空気製造設備を遠方から捉えた構図なんかは、私のお気に入りです。どっかで見た気がするのは、それが『スターウォーズ/EP6』とそっくりだからでしょうか。でもパクリ元かと思わせるその『スターウォーズ/EP6』も、この火星のプリンセスに影響を受けていたという事実。
クライマックスは空気製造設備で迎えることになります。あまりカタルシスは得られませんでしたが、その後のジョンとプリンセスの関係があの様に締めくくられるのはちょっと意外で、心に残る結果となりました。
とは言っても、全体的に格安イメージなので、期待度ワクワクで観た人は体を壊すかもしれません。いないかそんな人。原作ファンの人はどうなんでしょうか。なんでも今度ディズニーも映画化に着手するそうです。ゴージャス度が急上昇しそうですが、勿論プリンセス役にはトレイシー・ローズを希望します。起用して下さい。ディズニーならやってくれます。きっと。
という訳で、トレイシー・ローズの最近のお姿です。懐かしい人、挙手。
トレイシー・ローズ
最も目にされてる一般作品は『ブレイド』('98)なんじゃないでしょうか。ビッチなバンパイア役がハマってました。一時、歌手としても活躍されていました。
今年最後の記事になるかな。訪問、応援コメント頂いた皆様、どうもありがとうございました。来年もこんな感じで続けていきたいと思いますので、またよろしくお願いしますね。
それでは皆様、良いお年をお迎え下さい♪
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【出典】『アバター・オブ・マーズ』/アルバトロス株式会社