●原題:Pushing Tin
●ジャンル:ドラマ/コメディ
●上映時間:124min
●製作年:1999年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マイク・ニューウェル
◆出演:ジョン・キューザック、ビリー・ボブ・ソーン
トン、ケイト・ブランシェット、アンジェリーナ・
ジョリー、その他大勢
●ジャンル:ドラマ/コメディ
●上映時間:124min
●製作年:1999年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マイク・ニューウェル
◆出演:ジョン・キューザック、ビリー・ボブ・ソーン
トン、ケイト・ブランシェット、アンジェリーナ・
ジョリー、その他大勢
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今回はトラコンというちょっと聞き慣れない職場が登場する作品です。役者らも何気に凄い布陣だと思うのですがいかがでしょうか。それと、花粉が始まった予感です。花粉め!今年は少ないはずではなかったのか!!
【ストーリー】
アメリカ。ニューヨークのトラコンは毎日が戦場のような忙しさだが、管制官ニックだけは余裕で仕事をこなしていた。ある日、謎の男ラッセルが中途採用で職場にやってくる。度胸と才能を持ち合わせたラッセルにニックはライバル心を爆発させるが、それはやがてお互いの家庭にも波及する問題に発展する・・・。
【感想と雑談】
しょっぱなから飛び交う旅客機を制御するトラコンのお仕事が描かれます。このトラコンとは、Terminal Rader Approach Controlの略(TRACON)で、端末レーダー着陸誘導システムの意味なんだそうです。本作に登場するニューヨークのトラコンは、ケネディ空港、ニューアーク空港、ラガーディア空港の3空港を担当します。各空港を離着陸する旅客機をレーダーと無線を駆使し誘導するのですが、それぞれニューヨークの玄関口だけあって1日あたり7000便もの数をこなす超多忙な職場となっています。地図で確認してみると3空港は見事ニューヨークを囲むように配置されていて、確かに上空は過密空域であることがわかります。
ここでトラコンの管制官ニックはレーダー表示から素早く的確に旅客機に指示を出します。空域ごとに担当が決まっていて複数人の管制官がレーダーに向かっているのですが、手一杯になると旅客機情報のタグ(?)をどんどん横に流していきます。最終的にタグはニックのところに流れ着くのですが、ニックは鼻歌まじりでこれを捌いていきます。ここで、どのように仕事を捌いているのかをCGで描きます。ニックの目に映るレーダーの映像がアップになると、レーダーの二次元映像が立体的に切り替わり、ニックが飛び交う旅客機に指示を出していく様子が視覚的にわかるようにしてます。面白いですね。
こういう始まり方をするので、管制官ニックにその仲間、そして新入りラッセルらが毎日戦場のトラコンでどう激突し過密空域を制御していくのか、というサスペンス風味を期待したくなるのですが、どちらかというとトラコンよりもニックとラッセルの激突から家庭問題まで波及する様に比重を置いてるようでした。トラコンは密室に近く見た目も動きがないので、これだけでは映画にならないのでしょうかね。航空機の接触事故って起き難そうな気がするんですが、空港への着陸時にはライン取りで大渋滞となるので、舞台の空域あたりになると相当にヤバいんだそうです。もうちょっとこの辺を掘り下げてみるのも面白いんじゃないかなと思いました。
そういえば、『未知との遭遇』('77)の冒頭でもトラコンがUFOに遭遇する様を描いてましたね。ちょっとの出番でしたがパイロットとの会話がサスペンス風味の印象深いシーンでした。
本作はトラコンにそれほど拘らなければ、ドラマや登場人物で楽しめるかもしれません。といいますか、今観直してみるとビックリ要素や大笑い要素もあって、全体的には十分楽しめる作品になってると思います。
ストレス限界な仕事に囲まれながらも毎日がお気楽な家庭持ち男ニックを演じるのはジョン・キューザック。この人とにかくエンタテイメント向きな白人さんというイメージがあります。どうでもいいことですが仲間も典型的な白人ばかりで、なんだか白人臭ぇと思える時があります。
謎の男ラッセルを演じるのはビリー・ボブ・ソーントン。浅黒くて顔つきがいいですねこの人。白人臭ぇ独特なトラコンの中で異彩を放っています。黙ってるだけでも存在感はバツグン。退屈な人生が嫌で破天荒な行動を繰り返してきたラッセルにトラコン連中は興味を覚えます。
ニックはやたらラッセルに挑発的になるんですが、どれもこれも裏目に出てしまうのが笑えます。やがてニックはひょんなことからラッセルの妻メアリーと一晩を過ごしてしまいます。このメアリーがやたらワイルドでフェロモン全開なエロい人妻。演じるのがアンジェリーナ・ジョリーなので納得です。この時のアンジーは23歳で若いです。そんなに古い作品という印象はないのですが、ポッチャリしててやたら幼く見えるんですよね。いやとにかくいいですな!ははは。
このメアリー、夫ラッセルにぞっこんなのか、いたる所でベッタリしまくります。目付きがヤバくてもの凄い光景です。あるイタリアレストランでは歌も上手いうことで美声を披露するラッセル。そんな彼の足元に注目。恍惚の表情でラッセルの右足にまとわりつくメアリーの姿が?!これを見て大声で笑ってしまいました。いねーだろそんな客(笑)!!いやいや、イタリアレストランではこれが普通なのかもしれない。ラッセルの歌声もよく聴いてみれば若干外れてるようだし。ファンタジーとして受け止めておきましょう。というよりも、この夫婦の存在自体がファンタジーですな。
(大惨事に近いイタメシ屋)
ビリーとアンジー演じるファンタジー夫婦はこの後、現実世界でも夫婦となりました。二人の熱愛ぶりは凄まじかったですね。たしか報道陣の前でも前述のイタリアレストランの光景を再現してたかと思います。アンジーはビリーの生血を詰めたビンをネックレスにして身に着けていたとか。ちょっと身震いするほどの熱愛ぶりですが、冷めるのも早かったようで。アンジーはその後ブラピともくっ付いては離れたりと。忙しい世界ですなまったく。(追記:破局したと思ってましたが、どうやらガセでしたかね。失礼しました)
ニックの浮気を知ってブチ切れる妻コニーを演じるのはケイト・ブランシェット。いいです。とにかくいいです。『インディジョーンズ/クリスタルスカルの王国』では初めて見る悪役に痺れたものですが、今回は一般家庭の人妻なんです。何かとニックに言う「冷蔵庫にシチューがあるから」という家庭的な台詞にやられる男性諸氏もいましょう。色白で若くて可愛いですよ。今ではすっかり貫禄付いちゃってますが、この頃もまた魅力的でいいです。とにかくいいです。
ラッセルにやられてばかりで妻コニーにも逃げられたニックは、遂にはトラコンで重大なミスを連発し人生最大のピンチを迎えます。失意の中、ニックはラッセルに会いに行き、全ての思いをブチまけます。一番の思いはコリーを取り戻したいこと。その為にはどうすればいいのか。ラッセルからの答えはある行動にありました。それは二人して空港の滑走路に立ち、そして・・・。
役者が結構豪華な布陣なので、これだけ見るのも有りな作品ではないでしょうか。ドラマ的にはもっとトラコンを挟んで欲しいと思いましたが、特にあのエロすぎるアンジェリーナ・ジョリーが拝めるだけでもヨシとしましょう。まさに雌の野獣ですですから(笑)。航空犯罪をテーマにトラコンをもっとテクニカルに描いたら面白いのが出来そうですが、ひょっとしてそんな作品ありましたっけね。うーん、あったような気がする。なんだったか。
(スパルコ大佐の9年前と、ララ・クロフトの2年前)
最後に。これ1999年の製作なんで、当時のニューヨークのあるビルがしっかりと拝むことができます。例の大事件の前ですからね。舞台となったトラコンでの実際の事件当時の状況は尋常ではなかったと思います。そんな思いを馳せながらも、エンタテイメントとして割り切って楽しめられればと思います。
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【出典】『狂っちゃいないぜ!』/20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント