2012年10月21日日曜日

映画『トロール・ハンター』 ・・・「ダウンタウンのごっつええ感じ」を思い出します

●原題:Trolljegeren
●ジャンル:ファンタジー/ホラー
●上映時間:90min
●製作年:2010年
●製作国:ノルウェー
●言語:ノルウェー語/英語
●カラー:カラー
◆監督:アンドレ・ウーヴレダル
◆出演:オットー・イェスパーセン、グレン・エルランド・トスタード、ヨハンナ・モールク、トーマス・アルフ・ラーセン、ハンス・モーテン・ハンセン、その他小勢

 今年もあと2ヶ月ちょっとですね。とにかく、できるだけ色んな作品を観るのと、体を動かすように(笑)したいです。

【ストーリー】
 ノルウェーの山間。大学生のトーマス、ヨハンナ、カッレは、研究課題として熊ハンターの取材を行なっていた。ある日のこと、密漁者ハンスの存在を知り、彼に密着取材の許可を得ようとするが、速攻拒否されてしまう。それでも諦めない一行は、夜な夜な山に出向くハンスを追跡することにする・・・。



【感想と雑談】
 トロールハンターです。トロールを狩る人。ストレートなタイトルですね。一応、ファンタジーにジャンル分けされていますが、内容は現代のノルウェーを舞台に一般人が伝説の怪物と対峙する、というものです。こういう作品を待っていました。架空の舞台に剣や魔法というファンタジーはもういいです。
 
 開始早々、「あるフィルムが発見され、検証した結果、本物であると断定した。」というテロップが表示されます。なんだこれ、もう廃れたと思っていたPOV(Point of View:一人称視点)形式かよ。3人の大学生によって撮影されたトロールハントの一部始終の映像を、まんま映画にしたという設定なんですな。観る人によっては酔ってしまいそう。
 
 映像が始まってまず目に付くのが、風光明媚な山間の景色です。撮影時期にあえて選んだのか、暫くはどんよりした暗い雨空が続きますが、記録映像という体裁から目の前に広がる山続きの大自然が生々しく映えていて、これから起きることへの期待度も加速します。この大自然の素晴らしさ。さすがだぜ、ノルウェー。


 
 大学生トーマスらに突撃取材をされ、一言「失せろ」と吐く密猟者ハンスが燻し銀でカッコいいです。一瞬ビク付くトーマスですが、諦めずにハンスを追跡します。この後も、何度か取材を試みるもハンスの態度は変わらず。そんなハンスが一匹狼すぎて、段々と可笑しく見えてきます。やがて、山中でトーマスは何かに肩を噛まれ、ハンスはトロールの仕業であることを匂わせます。
 
 ハンスから取材の許可を得たトーマスらは、やがてトロールに遭遇します。この深夜の森、不気味な咆哮と木々のざわめきが近づいてくる辺り、まさに幼少の頃に抱いた恐怖がそこにありました。この緊張感はなかなかくるものがありました。遂に森の開けた場所に姿を現したトロール。頭が3つ付いています。なんだコイツ。

 トロールとはノルウェーに古くから伝わる妖精であり、一種のマスコット的存在なのだそうです。小型、大型、3つ頭、など様々なタイプがあるそうですが、基本的にブサイクなヒューマノイド怪獣です。

 ハンスの攻撃によってトロールは仕留められます。実はトロールの存在は政府ぐるみで隠蔽されており、ハンスはその唯一のハンターとして、ノルウェー中の山を巡っていたのです。処理後の場所には政府が駆けつけ、熊の仕業であるように偽装しますが、市民への「ロシアの熊がフィンランドとスウェーデンを越えてきたのです。心配すな。」という説明にだんだん無理が生じてきます。


 
 常に眉間に皺をよせるハンスは、日ごろの鬱憤を晴らす為、トロールの存在を取材を通して世間に暴露することにします。疲れてるみたいです。そんな、世間から非常に浮いた孤高のハンス。彼を追えば追うほど、先にも書きましたが、可笑しい空気が漂ってきます。なんかこのノリってどこかで見た気がする・・・。
 
 次のトロール退治では血液採取もすることになったハンス。突然、全身ブリキのロボットみたいな姿で登場し「いやな仕事だぜ」と呟き、巨大な注射器を持って一人突進します。そして、トロールに投げ飛ばされ、かじられ、地面に叩きつけられるハンス。駆けつけたトーマスらに「うー・・・少し体が痛むぜ」。死ぬだろ普通。そして「赤いボタンには触るなよ」と意味不明なことを言い、再度トロールに突進します。おかしいだろ!
 
 このノリ、思い出しました。松本人志です。昔のバラエティ番組「ダウンタウンのごっつええ感じ」で度々やってた、本人演じる様々な変人に、一般人やマスコミが巻き込まれていく不条理なコント。そして、本人が監督・主演した『大日本人』('07)なんかもそうです。まさにあのノリをビンビン感じてしまったのです。きっと、本作の作り手は、リスペクト松本人志であるに違いありません。
 
 作りものの記録映像を本物だと言い切り流し続ける本作は、伝説の妖精と孤高のハンターを題材にし、クソ真面目に描いたことで、観る人によってはただのフェイク作品だけでなくギャグ作品にも昇華するという、裏ワザを秘めた力作であると思います。私はブリキロボットのハンス登場で大笑いし、見事昇華しました(笑)。


 
 肝心のトロールの描写ですが、リアルなCGに、手ぶれ映像に同期したハメ込みもされていて、十分見られる映像になっていました。クライマックスに登場するトロールは必見です(笑)。
 
 やるじゃん、ノルウェー。
 

(C) 2010 FILMKAMERATENE AS ALLE RETTIGHETER FORBEHOLDES. ALL RIGHTS RESERVED.
【出典】『トロール・ハンター』/ワーナー・ホーム・ビデオ

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2012年10月8日月曜日

映画『エターナル 奇蹟の出会い』 ・・・カラオケを歌うミラ・ジョボビッチとロシア版少林サッカーです

●原題:Lucky Trouble
●ジャンル:コメディ/ロマンス/スポーツ
●上映時間:90min
●製作年:2011年
●製作国:ロシア
●言語:ロシア語
●カラー:カラー
◆監督:レベン・ガブリアーゼ
◆出演:ミラ・ジョボビッチ、コンスタンチン・ハゲンスキー、イバン・アーガント、ウラジミール・メニショフ、ガリーナ・ジョボビッチ、ローマン・マディアノフ、その他大勢

 10月に突入していました。衣替えですな。で、体育の日込みの3連休、皆さんいかがお過ごしでしょうか?全国的に天気もよさそうで、行楽三昧なのでしょうね。勿論、ここはインドア三昧。

【ストーリー】
 ロシア。小説家を夢見る教師のスラヴァは、ある日のこと車に轢かれるが、運転していたナージャに速攻で一目惚れ。付き合うことになった二人は、やがて婚約しモスクワで結婚式を迎えることになるが、スラヴァは式の前日に校長の策略によって足止めを食らってしまう。それは、少年サッカーチームの監督となり大会に出場するというものであった。一刻も早く結婚式に向かいたいスラヴァは、適当に少年らを集め、初戦での敗退を目論むが・・・。



【感想と雑談】
 パッケージ写真がなんとなく、ダイアン・レインっぽく見えなくもないですが、正真正銘、ミラ・ジョボビッチなのです。
 
 ミラ・ジョボビッチといえば、バイオハザードを中心に、SF、ホラー、アクション、サスペンス、そしてエロス、という殆ど気の抜けない作品ばっかに出演され、どこか痛々しい非現実的なヒロイン像だったのです。が、本作のパッケージを見た時、今まで無かった彼女のイメージに、期待が一気に膨らんでしまいました。紹介写真の全てにおいて、実にいい表情を見せていたからです。血肉もオッパイも皆無のこの自然な空気。これはイケると思いました。
 
 貧相なツラの教師スラヴァが横断歩道を渡っていると、信号無視の車が突っ込んできます。思い切り衝突され吹っ飛ぶスラヴァ。慌てて駆け寄り覗き込む女性ナージャが、スラヴァのボヤけた視点で映され、徐々に焦点が合ってくると、いましたそこにジョボビッチ。相変わらず美人だなこの人。


 
 一目惚れしたスラヴァは自分に過失があったと警官に言い張り、ナージャを無実にします。そんなスラヴァが気になったナージャは、同乗していたゲスな恋人ダーニャを放っぽって、病院へ直行。いい仲になった二人は、その後のオープニングタイトルとともに、はっちゃけたデートを繰り広げ、すっかり親密な関係になり、婚約までしてしまいます。
 
 オープニングで既にそんな展開かよ。むむむ、ちょっと想像していたのと違いました。事故るタイミングはそれでいいですが、二人の関係は紆余曲折を経て、せめて中盤あたりから互いが気になり出すようにして欲しかったですね。これだと、9割方の残りの時間をどーすんだよ、と心配してしまいます。が、実はこの作品、本筋はこの二人だけではなかったのです。

 なんだよこれは、ロシア版少林サッカーかよ。
 
 東の町パリチキで教師に就くスラヴァは、モスクワでの結婚生活をするべく学校に退職願いを出すも、お局校長は簡単に受理してくれません。スラヴァに残って欲しい校長は、少年サッカー大会の壮行会で、彼が地元チームの監督であると嘘をついてしまいます。更にはパスポート没収までされ、頭がテンパったスラヴァは、適当にホームレス少年を集めチームを結成し、ライバル監督の入れ知恵でわざと負け(笑)、さっさとモスクワへ旅立とうとします。


 
 しかし、路上を厳しく生き抜いてきた少年らに隙はありませんでした。相手を翻弄する動きとチームワークで大会を勝ち進んでいき、スラヴァのモスクワ行きはどんどん伸びていきます。そんなことは黙っておきたいスラヴァは、激しいウソを付きモスクワ到着が遅れることを都度ナージャに連絡。結婚式や披露宴を引き伸ばそうとナージャも大変忙しくなります。カラオケ歌ったりして。ここで何日も式場に足止めを食らってる来客がシュールで笑えます。
 
 少年サッカーチームとスラヴァのギクシャクした関係がドタバタ交えて改善していく辺り、どこかで見たような作風で新鮮味はあまりないですが、合間で一人奮闘するナージャを愛らしく演じるミラ・ジョボビッチが拝めたので全てヨシとします。ついでにナージャの母親役がミラの実の母親ガリーナ・ジョボビッチというのもポイントにしておきます。母親も女優だったとは知らなんだ。
 
 少林サッカー並のテクニックや少年らとの交流も見ていて楽しいので、あまり欲張らずにミラ・ジョボビッチと少年サッカーは分離して、どちらかに絞ってもよかったですね。
 
 それにしても、ミラ・ジョボビッチはお綺麗ですなあ。たしか、結婚して子供もいるのですよね。なのにこの美貌と体型だもんな。バイオハザードでのゾンビ退治もいいですが、これからは本作のような役柄をもっとやっていって欲しいと思います。


 
 そういえば、製作総指揮がティムール・ベクマンベトフなんですね。監督作の『ウォンテッド』('08)くらいしか観ていませんが、サッカー試合中の独特な映像センスは彼ならではなのでしょう。
 
(C) Ltd."Tabbak" all rights reserved.
【出典】『エターナル 奇蹟の出会い』/ファインフィルムズ

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2012年9月29日土曜日

映画『プラダを着た悪魔』 ・・・メリル・ストリープの口が窄まると一貫の終わりになるみたいです

●原題:The Devil Wears Prada
●ジャンル:コメディ/ドラマ/ロマンス
●上映時間:109min
●製作年:2006年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:デビッド・フランケル
◆出演:メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ、スタンリー・トゥッチ、エミリー・ブラント、サイモン・ベイカー、エイドリアン・グレニア、その他大勢

 涼しくなりましたね。これもまた、あっという間に寒くなって冬に突入する訳です。でも、冬は最高。

【ストーリー】
 大学を卒業し、物書きになりたいアンドレアは、NYの有名ファッション雑誌ランウェイの編集部に就職する。そこでは、編集長ミランダが、悪魔のごとくスタッフらをこき使っていた。アンドレアはミランダのアシスタントを担当することになり、物書きへのステップアップとして頑張るが、元々ファッションに興味がないことで、周りからヒンシュクを買いまくり、激務の毎日に恋人との関係にも亀裂が生じてしまう。ミランダの仕事の進め方に我慢ならなくなったアンドレアは、遂に退職を決心するが・・・。



【感想と雑談】
 今回はファッション業界を舞台としたサクセスストーリーです。別にB級専門でもなく何でも観るようにしていますので、今回はこれです。B級偏りにならないよう注意しました。ただし、観方自体はそうとう偏りまくってますけど。
 
 さて本作では、一流ファッション雑誌の編集部が如何にして流行の最先端を維持しているのか、そして、そんな業界に飛び込んだ畑違いの主人公が如何にして成長していくのか、が描かれます。
 
 なかなか素晴らしいと思います。
 
 私にとって、こういうファッション業界は、もの凄い上空を通過していくほど縁のない世界なんですが、どんな業種であっても、仕事に対して取るべき姿勢というのは一緒なんだよな、ということを再認識させられました。


 
 編集長ミランダに「あなたには失望しただす」と言われ、アンドレアは「努力しているのに微塵にも認めてくれない」と嘆きます。そんなグチを聞かされた同僚のナイジェルはアンドレアに言います。「嫌なら辞めればいい。ミランダは自分の仕事をしているだけ。ここは誰もが夢見る職場。そこに就くことができて、甘ったれたこと言ってんじゃねーよ」。
 
 実際、こういう説教だけが全てではないのですが、誰もが夢見る憧れの業界においては、当然生き抜くの為の厳しさであります。仕事に対してどこか甘えや間違った行動をしていないか、ふと自分自身にも当てはめ考えさせられるのでした。このナイジェルが厳しくも優しい目線でアンドレアに説教するシーンは、話の転換ポイントとしても印象に残るものでございましょう。
 
 しかし、編集長ミランダの仕事に対するドSぶりは素晴らしいです。冷徹な顔で、殆どがムチとムチで攻めまくり。無理難題な指示を与えまくるその存在は、まさに悪魔そのもの。オフィスビル周辺で彼女を見かけた通行人が、そそくさと避けていくのも納得です。また、デザインの検討会で彼女の評価が表情にどう表れるかを、ナイジェルが説明してくれるのですが、「クチを窄めたら最悪」というのが本作で何故か一番の笑いどころでした(笑)。


 
 そんなミランダに対しアンドレアは大奮闘します。昼食のステーキと娘の為のハリポタ最新版を同時に要求されるくだりは、さすがにファンタジーに近いものを感じましたが、実際、こういう業界ではあったりするのでしょうか。発行前のハリポタ最新版を入手するとかって(笑)。ハリポタはどうでもいいのですが、開店前のレストランで強引に用意してもらったステーキは実に美味そうでした。でも、この後、ミランダから「なにそれ。昼食は会長と取るから」と言われ、真性M男であれば、踏づけて下さいと叫ぶと同時に昇天確実の仕打ちを頂いてしまいます。
 
 そんな仕事に追われるアンドレアに、恋人や友人らは呆れ、次第に関係が悪化し始めます。仕方がないと言い張るアンドレアはその後も仕事を続け、やがて恋人と距離を置くことになります。色々と葛藤する状況で、ミランダはアンドレアに先輩アシスタントを格下するからそれを本人に伝えるよう指示し、更に追い討ちをかけます。ぎょえーなアンドレアが最終的にどう打開するのかが、クライマックスとなります。
 
 主人公アンドレアを演じるのはアン・ハサウェイ。豪快な目といいクチといい顔力が印象的な女優ですね。ファッションに縁がないという設定に無理を感じてしまう容姿ですが(笑)。そういえば『ダークナイト/ライジング』('12)でキャットウーマン演じてましたが、もっと引きの画でアクションする姿を拝見したかったです。バットポットにまたぐ姿は、非常に美しかったですけどね。(←観てるならこっちを記事にしろよ)

 編集長ミランダを演じるのはメリル・ストリープ。美貌を兼ね備えた悪魔っぷりに、改めて芸達者な女優だと思いました。ミランダの右腕を勤めるゲイっぽいナイジェルを演じるのはスタンリー・トゥッチ。最近注目するようになった男優です。この二人、『ジュリー&ジュリア』('09)でも共演していて、しかも夫婦役をやっていました。この時のメリル・ストリープがまた、本作とは正反対な豪傑主婦を演じていて、毎回のギャップ演技に萌え要素。


 
 ファッション業界や女性だらけの職場が舞台となっていますが、とても観やすくて見せ場もあるし、最後はサッパリ清々しい気分に浸れる作品でありました。


(C) 2006 Twentieth Century Fox Film Corporation and Dune Entertainment LLC
【出典】『プラダを着た悪魔』/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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2012年8月13日月曜日

映画『ロボコップ2』 ・・・マスコミ取材陣が「新型ロボに嫉妬してますか?!」と突撃質問します

●原題:RoboCop 2
●ジャンル:アクション/犯罪/SF
●上映時間:117min
●製作年:1990年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:アービン・カーシュナー
◆出演:ピーター・ウェラー、ナンシー・アレン、トム・ヌーナン、ベリンダ・バウアー、ダン・オハーリー、その他大勢

 暑いです。残暑ってやつですか。まあ、気が付いたら涼しくなってたよ、なんてことりなりそうですが、今この瞬間、とにかく暑いです(笑)。

【ストーリー】
 未来のアメリカ。市政悪化で巨大企業オムニ社の支配下に置かれようとしているデトロイト市。警察まで民営化するオムニ社は犯罪撲滅を目的に生体ロボコップの投入に躍起になっていた。かつて開発に成功した1号は問題児扱いされ、次なる2号の開発に取り組む開発陣。紆余曲折の末、その母体に選ばれたのは、麻薬組織の凶悪な犯罪者ケインであった・・・。



【感想と雑談】
 さて、この夏休み期間の茹だるような暑さの中、午後のロードショーで流れるような作品といえば、この『ロボコップ2』でございましょう。もう、ここのタイトル「懐かしのB級偏り放題」とかにした方がいいかもしれませんね。

 久々に観ましたが、やっぱり面白いです。

 シリーズ失速の法則が存在する中、これはかなり頑張っている作品ではないでしょうか。前作の監督ポール・バーホーベンは続投しておらず、代わりにアービン・カーシュナーが引き継いでいる本作は、一般的に評価は低いのですが、私には掴みがOK過ぎていて、ゲップが出るほどです。



 退廃したデトロイト市のヌメリ感やバイオレンス感が最高だった1作目と打って変わって、本作はいかにもアメリカンな色彩にカラッとした空気なんですが、バイオレンス感では負けていないか、もしくはその上をいっていると思うし、銃器の拘りなんかも健在です。これが重要。

 銃撃戦における怒涛の小銃・サブマシンガンの掃射や、着弾時のド派手な血飛沫、そして無意味に人体を切り刻んだりと、異様に残酷さを強調した演出が多く、特に新型ロボコップ(2号)と化した犯罪者ケインが、暗闇の工場の中、麻薬組織らを殲滅するシーンは、前述の演出が過多ゆえにトラウマになるほどです。

 ケインが標的の中に元恋人を発見した時、急に大人しくなって頭部のモニタに擬似的に生前の自分の顔を映すところは、今観たら笑っちゃうかな・・・と思っていたのですが、その不気味さやサスペンス感は健在でありました。突然ブオォォォンと唸ったかと思ったら戦闘モードに再突入し、元恋人の首をベキッとへし折るところは、初見の劇場鑑賞時では手に汗モード過ぎて参るほどでした(笑;)。


 
 今回、改めてDVDで観直してみて、相変わらずの怖さや面白さを堪能しましたが、当時は知る由もなかったネタや、新たに気に入った点が発見できたのも良かったです。
 
 後に『シンシティ』や『300』等に携わるフランク・ミラーが脚本・カメオ出演(警官役かな)してたらしく、エンドタイトルで名前を見つけた時はへぇーとなってしまいました。ただし本人曰く、脚本が弄られ過ぎて訳わからん出来になってしまっているとのこと。忠実に作ってたらどんな出来になってたんだろう。
 
 また、笑ってしまったのが、クライマックスでのマスコミ取材陣。オムニ社が新型ロボコップ(2号)を大々的にお披露目したら、ケインがバカなので暴走しちゃって群集を惨殺し始めます。それを抑えようと大奮闘し、地下室でガス爆発までさせて散々ボロボロになって地面に這い上がってくるロボコップ1号。
 
 そこにマスコミ取材陣が殺到し、「嫉妬してますか?!新型ロボに嫉妬してますか??!!」と突撃質問。アホか。何だよ嫉妬って。当時からマスコミのクズさ加減まで大風刺していた、ということで私は再評価したいです。


(アホなマスコミ陣は、後にケインの餌食になります。)
 
 映像技術はもう一歩のところでレトロ感は拭えませんし(それでもフィル・ティペットのモーションアニメは見事)、ロボット警官なんてよく考えたら笑っちゃう存在ですが、これを過激にバイオレンスにしたことで、後に評価し続けられる(私によって 笑)作品に昇華しているのだと思います。『アイアンマン2』ではオマージュなシーンがあったし、意外と人気あるんじゃないですかね?
 
 過激さを反省したのか知らんですが、3作目の『ロボコップ3』('93)は妙に道徳感に溢れた内容になってしまって、全く面白くも何ともない出来になっていました。空飛ぶのも当時は早すぎたんじゃないでしょうか。ある意味トラウマとカタルシスがないと作品に魅力は付かないものですね。

 蛇足ですが、アービン・カーシュナー監督は、『スターウォーズ/帝国の逆襲』('80)でも、トーントーンの腹を割いていたので、元から残酷好きのお方だった模様です・・・。

<2012/9/16追記>
 たった今、『ロボコップ』リメイク版が製作中であることを知りました。2013年公開予定だとか。バイオレンス度が気になります。


(C) 1990 ORION PICTURES, CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
【出典】『ロボコップ2』/20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン

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2012年6月24日日曜日

梅雨の時期はAtomik Harmonikで一発吹き飛ばします


 梅雨ですね。ジメジメ。

 しかし、昔はザッと降ってガッと明けたものですが、ここ最近は中途半端な天候続きで気が付いたら明けてた・・・、みたいになっています。気象状況も変化してきてますね。まあ、とにかく雨の多い時期に変わりはないです。
 
 そこで、今回はジメジメ気分を吹き飛ばすのと、皆さんへの景気付けということで、マスターオブ能天気、スロベニアの音楽ユニット、Atomik Harmonikです。また出たぞ。知っている人は知っている、知らない人は知らない(当たり前)な、斬新なPolka音楽です。このネタ何度目だ。興味のある方は続きと動画も見てね。
 
 紹介する曲は、軽快なリズムに合わせ、イントロではヨーロレイヒー♪を連呼、サビではコブシを振り上げナンナンナッ♪とキメまくります。なんだか楽しそうで、素晴らしい曲だと思うのですが、いかがでしょうか。
 
『Atomik Harmonik - Kdo trka (HQ)』
 意味は直訳で「誰がノック」。「ノックするのは誰」くらいの意味かな。
 動画は2006年頃のライブですが、この時の女子ボーカル(左側)のイリス・ソバンは、脱退したオリジナルメンバの後任として参加し、Atomik Harmonikで最も好きな曲『Polkaholik』で素晴らしい容姿と振付を見せてくれたというのに、2週間で脱退してしまいました。たったの2週間。早えーよ。いったい何が。


 Atomik Harmonikは、その後もメンバの交代を繰り返し、リーダの男子ボーカル以外は全員が一新した形となっています。女子ボーカルの無駄なお色気はちゃんと継承されているようで一安心です(笑)。 

 ユニットの構成について簡単に紹介しておきましょう。
 <2004年結成時>
 ・ヤニ・パベツ(Jani Pavec):男子ボーカル
 ・デヤン・チェリク(Dejan Čelik):アコーディオン
 ・シュペラ・グロシェリ(Špela Grošelj):女子ボーカル
 ・シュペラ・クラインレルヒャー・シュペルツァ(Špela Kleinlercher - Špelca):女子ボーカル

 この間、メンバ交代を激しく繰り返し・・・

 <2011年~現在(たぶん)>
 ・ヤニ・パベツ(Jani Pavec):男子ボーカル
 ・デヤン・ヤニャク(Dejan Vunjak):アコーディオン
 ・マテヤ・ポロチニク(Mateja Poročnik):女子ボーカル
 ・サシュカ・ヘレン(Saška Hren):女子ボーカル

 去ったメンバで在籍が一番長かったシュペラ・グロシェリは、美形で歌も上手いので存在感はバツグンでした。その後にソロデビューも果たされています。豊満な方でしたが今はどうでしょうか(笑)。

 とりあえず、最近の曲も紹介しておきますね。
 
『ATOMIK HARMONIK - Tractor Polka (english version) 』
 トラクターポルカ(笑)。2011年頃の曲のようですが、最新のメンバかは不明です。

 
 うーん、牧歌的。


 そろそろ仕事が立て込みそうな予感なので、自分への元気付けも込めてみました。

 早く冬にならないかな(爆)。


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2012年6月17日日曜日

映画『ウソツキは結婚のはじまり』 ・・・結婚指輪は最良の武器にもなれば最悪の自爆装置にもなります

●原題:Just Go with It
●ジャンル:恋愛/コメディ
●上映時間:117min
●製作年:2011年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:デニス・デューガン
◆出演:アダム・サンドラー、ジェニファー・アニストン、ニック・スワードソン、ブルックリン・デッカー、ベイリー・マディソン、グリフィン・グラック、ニコール・キッドマン、デイブ・マシューズ、その他大勢

【ストーリー】
 アメリカ。整形外科医のダニーは、自分を悲惨な既婚者と偽り、同情してくる女をナンパしまくっていた。ある日のこと、美人の女教師パーマーに出会ったダニーは、自分を偽ることなく本気で彼女と付き合うことを決心する。しかし、いつもの小道具の結婚指輪を彼女に見られてしまい、仕方なく既婚者であることを演じる羽目になるダニー。妻役と子供役には、職場の助手であるシングルマザーのキャサリン一家に演じてもらうことにするが・・・。



【感想と雑談】
 ブロガーのtake51様の紹介記事を読み、大変興味を持った恋愛コメディ作品です。人気があるのか、なかなか空かずに待ちぼうけでしたが、先日やっとこさ借りることができました。

 実に楽しくて面白い作品。吹替え版も観てみたのですが、これもまた良かった。恋愛コメディは吹替え版に真価があるのかもしれませんね。

 若くてピチピチ(笑)しかも美女とくれば、男なら誰でも攻略したくなります。捻りどころは、そんな目標を持つ男が、職場で何年も共にしてきた腐れ縁のような女と偽りの夫婦を演じるところにあります。

 整形外科医のダニーを演じるのはアダム・サンドラー。コメディ俳優ですが、本作ではオーバーなバカ演技ではなく適度に笑かすような感じで好印象。ダニーの助手を長年務めてきたシングルマザーのキャサリンを演じるのはジェニファー・アニストン。恋愛コメディといえばの女優さんでしょうか。初見の『モンスター上司』('11)ではエロ上司役がインパクト大でしたが、本作では地味めな普通の女性として登場。このギャップが萌えポイントです。



 あるパーティでダニーは知人のガキが怪我をしたので手当てをします。聞いてみれば、あるブロンド美女に見とれてしまい転倒したとのこと。その美女というのが女教師のパーマーで、程なくしてダニーの目の前に登場。彼女がスローモーションで歩いてくる典型的すぎる演出が笑えます。パーマーを演じるのはブルックリン・デッカー。たしかに美女とは思いますが、ちょっとキツめな顔付きに、お前はホントに見とれたのか?とガキを問い詰めたくなります。(ファンの方すまんです)

 そんなパーマーを自分は既婚者だと偽りながらもモノにしたいダニーは、いつもの職場のノリでキャサリンに妻の役を頼み、共に行動をし始めていきます。初めのうちは何ともない二人ですが、徐々に偽りの夫婦の心に変化が現れます。パーマーが子供好きの為に仕方なく巻き込まれたキャサリンの子供達も、そんな関係に影響を及ぼしていきます。

 後半、舞台がハワイに移ると、パーマーが浮かれ気分に浸る一方で、ダニーとキャサリンに転機が訪れます。ここで登場するキャラクタに大注目。キャサリンの同級生でライバルだったデブリンなのですが、これが背が高くてケバい女だなと思ったら、演じてるのがニコール・キッドマン。うぉ、ニコールこんな役やんのかよ、とちょっと感動してしまいました。いや、ちょっとどころじゃないかな。



 傲慢な女デブリンは、ある行為がいい夫婦の秘訣だといい、それをダニーとキャサリンに目の前でやれと迫ります。渋々それを始める二人ですが、やがてお互いの思いは一気に垂直上昇。それを見ているデブリンは、フゴフゴ、ブヒヒと下品な笑いで見事なゲス女。ダニーに整形したことを見抜かれ一瞬キョドる様といい、目力もスゲーし、ホントにイカすぜ、ニコール。女優の鑑だな。

 ライバル心の火花を散らすキャサリンとデブリンは、フラダンス大会に出場しタイマン勝負に挑みます。ジェニファーもニコールもアラフォーだけど体の線はとてもキレイ。でも、二の腕大決戦に見えてしまうのは、仕方がないことだなと思います。

 それにしても、ジェニファー・アニストンの極め細やかな演技には関心しました。笑わせるだけでなく目線の動きだけでも心情を表したりと、ユーモアを知り尽くした女優の底力ってやつですかね。アダム・サンドラーも素晴らしいですが、目まぐるしい役をこなした彼女に軍配は上がりましょう。

 クライマックスではデブリンも再登場し、ダニー、キャサリン、パーマーの関係に決着が付きます。このハワイ滞在の最終日の出来事は、ちょっと端折った展開でパーマーの顛末に物足りなさも感じましたが、ダニーとキャサリンの素直な思いには誰でも納得の大団円でしょう。というかこれ以外のオチだったら、ストレスしか残らないわな(笑)。

 関係はどうあれ、何気に長く付き合ってきた相手こそ大事にせねば、ということですね。ほっこり温かい気持ちに浸れました。美の対比としての整形外科ネタも意味ありげで小気味良かったです。



ジェニファー・アニストンはいいなあ。ちょっと追ってみようかな。

<2013/1/16追記>
 なんと!本作がリメイク作品であることを今になって知ってしまいました。オリジナルは『サボテンの花』('69)という同じくコメディで、主演がウォルター・マッソー、イングリッド・バーグマン、ゴールディ・ホーン、というなかなかの布陣。これも観てみたいですね。

 って、そんなことよりも!この『ウソツキは結婚のはじまり』が、米国では酷評を受けているという現実。第32回ゴールデンラズベリー賞で、5部門(最低監督賞、最低主演男優賞、最低助演男優賞、最低助演女優賞、最低スクリーンカップル賞)でノミネートされ、うち2部門(最低監督賞、最低主演男優賞)で受賞したんだとか。なんだと!!あんなにゲラゲラ笑えてマイ殿堂入りした傑作だというのに、一体どーいうことだ。あれだ、これが実は日本語吹替え版に真価があるということを米国は気が付いていないのだな。(←意味不明)



(C) 2011 Columbia Pictures,Inc. All Rights Reserved
【出典】『ウソツキは結婚のはじまり』/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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2012年6月4日月曜日

映画『悪魔の植物人間』 ・・・マッドサイエンティストといえば、お約束の人類改造計画

●原題:The Freakmaker
●ジャンル:ホラー/SF
●上映時間:92min
●製作年:1974年
●製作国:イギリス
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジャック・カーディフ
◆出演:ドナルド・プレザンス、トム・ベイカー、ブラッド・ハリス、マイケル・ダン、ジル・ヘイワース、 ジュリー・エーゲ、オルガ・アンソニー、リサ・コリングス、スコット・アンソニー、その他大勢

 6月ですね。鬱陶しい梅雨の時期であります。今年はどんな雨模様になるのかな。そんなに無理して降らんでいいからな梅雨。しかし、今年ももう半分近くまできちゃったんだ。早いな。
という訳で今回は、ジメジメし出すこの時期にピッタリの作品です。

【ストーリー】
 イギリス。ある大学で植物と人類の突然変異について熱弁をかますノルター教授。彼には野望があった。それは人間と植物を掛け合わせた新人類を誕生させることであった。教授は見世物小屋の奇形男リンチに、まともな姿に戻すことを見返りとして学生を誘拐させ、生体実験を繰り返す毎日を送っていた。実験は失敗の連続であった。無残な姿となった瀕死の学生は、見世物小屋の客寄せにとリンチが引き取っていた。やがて、実験は成功し、待望の植物人間が誕生するが・・・。



【感想と雑談】
 古きよき英国産の怪奇ホラー作品です。

 初めて観たのが、だいぶ昔にテレビ放映された時で、なんともいえない余韻が残ったのを覚えています。暫くして、ある場面が問題視されるようになって、放映はされなくなり、ビデオ版もひっそり消えていってしまいました。

 それが先日、いきなりレンタルされているのを発見。ビックリしました。発禁扱いかと思っていたのに。これはフル全開で観直さなければいかん、という訳で借りてきました。

 オープニングタイトルでは、ナショナルジオグラフィックをガサガサにしたような画質で、植物の成長過程を早回しで映すのですが、どんよりしたBGMが拍車をかけていて、早くも先のことが思いやられます。暗いんだこれが。キノコもにょきにょき。

 イギリスのどこぞの大学では、ノルター教授が植物の性質について鼻息荒く講義をしています。演じるのはドナルド・プレザンス。この名前を聞くだけで安心ができ、作品も引き締まって見えます。何故だ(笑)。昔からSFやホラー畑の印象が強い役者さんです。

 このノルター教授、人間も植物のように光合成だけで生きていければ、争いも資源不足も起きない平和な世界が訪れると確信し、夜な夜な自宅の研究室で生体実験を繰り返します。いわゆるマッドサイエンティスト。傍らに生えてる巨大なハエトリ草にウサギを生きたまま放り込みます。まさに適役ドナルド・プレザンス。


(手前左と、その後ろの右から1人目と3人目。至高の女子学生3人衆です。)

 調達される実験用の人間は、大抵が教授の教え子たち。本作では男女5人が事件に巻き込まれますが、ここでは内3人の女子学生に注目。なんといずれも美人か可愛いときている。特に栗毛の子が。ポイントといってもいいくらいに素晴らしいです。正直、大学生には見えない老け顔ですが、そんなことはどうでもいいです。ファンになりたいくらいです。『おっぱいゾンビ』('10)は見習って欲しい。

 誘拐され全裸にされた女子学生(栗毛)は、ノルター教授から注射を打たれ、東宝特撮の自衛隊が使うような極太ビーム砲の照射を浴び続けます。やがて植物人間へと変異する女子学生。しかし重体となり、実験は失敗に終わります。失敗作は近所の見世物小屋へ連れていかれます。トカゲ女と称され見世物にされたその姿は・・・そう、ドナルド・ダックを叩いて伸ばしたような姿。お気に入りの栗毛が・・・(;ω;)。

 なんだかんだ頑張った教授は、遂に男子学生を使って実験を成功させます。しかし、残念なことに早々に植物人間に逃げられてしまいます。それでも、懲りずに女子学生を誘拐し、再度実験しようとすると、教授の元に逃げたはずの植物人間が戻ってきます。その姿は・・・ってパッケージ写真に載ってました。まあ、そんな姿です。ノルター教授と女子学生の運命やいかに・・・。

 70年代といえばのホラー作品なので、カタルシスなクライマックスを迎えることはありません。マッドサイエンティストが迎える妥当な運命でしょう。しかも、ローテクな特撮映像をラストに画面は暗転します。当然の絶望的なオチですが、これはこれで味わい深いものがあります。まあ、今時のホラーを期待すると肩透かしを食らうでしょうが、実は他に見所のある作品なのです。


(仲間の誕生パーティを開催。楽しそうです。)

 それは、本作が問題視される要因となった、見世物として登場してくるフリークス(奇形)たち。ノルター教授の共犯者として登場する長身の顔が崩れたフリークス男のリンチは、特殊メイクを施した役者トム・ベイカー(メイクが見事なので本物に見える)が演じていますが、彼以外のフリークスは全員が本物なのです。

 見世物小屋で生活する彼らを見世物としてだけでなく、ちゃんと台詞を与え、普通に生活している様を映しています。そこに悪意を持った視点は一切ありません。マイノリティな容姿を持っただけで、一般の社会から外れ自らを晒すという行為で生計を立てる彼らも、立派な人格をもった普通の人間です。

 当時は、こういう描写も映画として認められていたようですが、時代が人権やモラルに敏感になったことで、人目に晒すことを問題と捉えるようになったのでしょう。それは今でも続いていることと思いますが、彼らを封印するような行為や考えは改めるべきでは。本当は対等に向き合うことが大事なんだと思います。こういう観点は今に始まった訳ではないですが、本作を観直して、改めてそう思うようになりました。

 一応、ホラー作品なんですけどね、彼らへの愛情もテーマになってるんじゃないでしょうか。顔にコンプレックスを持つリンチも、顔を治したい一心でノルター教授と共謀し、それが負い目となって仲間にあえて攻撃的になっているように見えます。そんな彼が風俗に行くと、店の女は顔を見てもちょっと驚いただけで「平気。男はくよくよしないの」と言います。商売だけじゃない女の優しさが感じ取れたのは自分だけでしょうか。ここでのリンチの要求が、女にただ「愛している」と言って欲しいだけ、というのが泣かせます。

 原題はフリークを創る人。ノルター教授とリンチのこと。どんなに科学が発展しようが人類には慎重に接しないと大きな代償が伴うという教訓と取りましたが、どうでしょうか。なんとも奥深い作品でありました。パッケージ写真を見て鼻で笑うだけというのは、惜しいことかもしれません。


(女子学生が実験台。教授のお手伝いをしたい、とちょっと思ってしまいました。笑)

 フリークスを扱った作品では、他に『フリークス』('32)や『センチネル』('77)という作品も有名ですね。どちらも本物のフリークスが出演されていて、前者は本作の元祖とも言える見世物小屋を描いたドラマで、後者は地獄の門番として登場するホラー作品。どちらもDVD化されました。レンタルはされていない気配ですが、それでも目にすることができるのは素晴らしいことだと思います。


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【出典】『悪魔の植物人間』/ニューライン

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