●原題:You Don't Mess with the Zohan
●ジャンル:アクション/コメディ/ドラマ
●上映時間:113min
●製作年:2008年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:デニス・デューガン
◆出演:アダム・サンドラー、ジョン・タトゥーロ、エマニュエル・シュリキー、ニック・スワードソン、レイニー・カザン、イド・モッセリ、ロブ・シュナイダー、マライア・キャリー、ジョージ・タケイ、その他大勢
夜が寒くなりました。ついに毛布オンリーから掛け布団スタンバイです。しかし、よく考えたら来月で今年も終わりの季節なんですよね。寒くなるのも当たり前ですが、なんだかイマイチ冬モードの感覚がありません。なんでだ?暖かいから?
【ストーリー】
アメリカはニューヨーク。イスラエルのスーパーエージェント・ゾーハンの夢はスーパー美容師になること。闘う毎日を送るより、髪を切って皆を幸せにしたいゾーハンは、パレスチナのエージェント・ファントムとの対決で殉職を装い、母国に内緒で渡米してきたのだ。早速、有名美容師に売り込むゾーハンだが、あっさり門前払いを食らってしまい、途方に暮れてしまう。途中知り合った青年マイケルやイスラエル人オーリの協力を得て、中東タウンのある美容院に就くことになるが、そこの経営者はパレスチナ人のダリアであった・・・。
【感想と雑談】
開始早々、イスラエルが誇るスーパーエージェント・ゾーハンが海辺に登場し、彼がどれほどスーパーなのかが描かれます。マッチョ野郎共や牛と綱引きしても楽勝し、全裸でバーベキューをやれはブン投げた焼魚をケツでキャッチし、そんな彼を見ただけでイスラエル美女はフェロモン全開になります。つまり、そんなヤツいねーよ、なノリです。
主演はアダム・サンドラーで、監督はデニス・デューガン。『ウソツキは結婚のはじまり』('11)のコンビですね。これ結構楽しめた作品だったので、本作もイケると即断し借りたのでした。イスラエルとパレスチナの根深い現実問題を背景にしていますが、根底のテーマは平和そのものですね。
ケタ外れの戦闘能力に、もの凄い中東訛りで、母国の食材やジュースをこよなく愛し、20年前のトレンドを貫き通すというゾーハン役への気合の入れようは、実際ユダヤ系でもあるアダム・サンドラーの真骨頂なのでしょう。
パレスチナの強敵エージェント・ファントム役のジョン・タトゥーロもなんだか意気揚々と演じていて楽しそう。冒頭では暫くゾーハンとのコントのような対決が続き、手榴弾で羽子板をやった結果、爆発でゾーハン死亡!に狂喜するファントム。ここで両人の腐れ縁という設定が印象付けられた後、実は生きていたゾーハンが渡米し、本編の美容院騒動へと突入します。
ニューヨークでは、青年マイケルを交通事故から救ったことで、ゾーハンはマイケル家に居候することになります。マイケル役はニック・スワードソン。彼も『ウソツキは~』に出ていたし、他の作品でもアダム・サンドラーと共演していますね。なかなかのコメディ役者だと思います。本作では、生真面目なママ思いの青年ですが、居候のお礼にとゾーハンがママに一発キメているのを見てしまい、この先試練が始まるナイスガイ。
中東タウンで、パレスチナ人のダリアが経営する美容院に就くことになるゾーハン。初めは清掃係りを命じられますが、やがてスタッフに欠員が生じたことで、急遽、客を担当することになります。ここから、ゾーハンのスーパー美容師タイムが始まります。
客がご老人(殆ど)だろうと、女性であることを尊重するゾーハンのテクニックは、容姿を褒めちぎり、イヤリングをクチで外し、股間のモッコリを押し付け、髪をナメナメし、シャワーを天井に向けてぶちまけ、最後に個室で一発キメてやることです。風俗だろこれでは。しかし、へアスタイルの出来栄えは素晴らしく、個室サービスも相まって、その評判はクチ込みで広がり、連日、ご老人の長蛇の列が出来ることになります。
ゾーハンの客の扱い方が飛び抜け過ぎているので、ここは一番の笑いどころです。ご老人が嬉しそうに若返っていく様を見るのも、なんだか微笑ましくていいです。この勢いで、マイケルママにもヘアカットを施し一発キメるゾーハンですが、それを見たマイケルが胃薬を飲むのが、また笑えます(笑)。
(よく考えると、大惨事な美容院だったりします。)
本作では、イスラエルのフィジーバブレフという飲料水や、ホムスという食べ物がやたら登場します。特にホムス。『宇宙戦争』('05)で、娘ダコタ・ファニングがデリバリしたあるものを、ダメ親父トム・クルーズがクチにします。その途端、トムは動きがピタリと止まり、これは何かとダコタに問います。そしてダコタの答えに、
トム「ホムス・・・?!」
このやり取りからホムスが気になっていた貴兄も、本作を見ることでだいぶ溜飲が下がるものと思います。『宇宙戦争』では非常に不味そうな演出をされたホムスですが、ひよこ豆と白ゴマを原料にしたペーストで、実は美味い食べ物なんだそうです。トムとダコタのくだりについては、これもユダヤ系のスピルバーグ監督ならではのギャクだったのかもしれませんね。
話逸れました。
悪徳企業の都市開発計画によって、立ち退きを迫られている中東タウン。ゾーハンのおかげで繁盛することになったパレスチナ美容院も例外ではありませんでした。悪徳企業の巧妙な嫌がらせによって、中東タウンではイスラエル人とパレスチナ人が、一触即発な状態に陥ります。
その一方、パレスチナ人からゾーハンが生きているとの知らせを受けたファントムは戦闘モードに突入。速攻で渡米し、中東タウンで暴れだします。ゾーハンもその知らせを受け、現場に急行します。この後、悪徳企業も巻き込み、二つの民族争いは、いったいどうなってしまうのでしょうか・・・。
実際の中東問題は深刻な状況であり、そう簡単に解決策は見つかる様相もありません。本作は、そんな関係が少しでも良くなってくれれば、という思いが笑いと共に込められていて、どちらにも偏らず温かい目で描かれています。絵空ごとではあるのですが、ゾーハンとダリアがデート中に民族間の争いに言及するくだりでは、素の情勢が垣間見える瞬間であり何ともいえないもどかしさもあるのが、印象的でした。
まあ、エンタテイメントのコメディですからね、楽しめないといけません。下品だったり、好き放題やったりもしていて、なかなか痛快でやるじゃんか。ファミリー鑑賞にはやや危ういコメディですが、納得のオチも用意されているし、十分楽しめる作品だと思います。
そういえば、マライア・キャリーも本人役でゲスト出演していましたが、この作り手達って、サプライズ的な配役も考えているのかな。『ウソツキは~』ではニコール・キッドマン、最近の『ジャックとジル』('11)ではアル・パチーノ出したりしてるし。他にもそんな作品あるのかな。
ディスコ、ディスコ、グーグー♪(ホムスほどではないですが、ノリノリになると発せられるかけ声で耳に残りました 笑)
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【出典】『エージェント・ゾーハン』/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2012年11月12日月曜日
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