●原題:Vacation
●ジャンル:アドベンチャー/コメディ
●上映時間:99min
●製作年:2015年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー
◆出演:エド・ヘルムズ、クリスティナ・アップルゲイト、スカイラー・ギゾンド、スティール・ステビンズ、チェビー・チェイス、クリス・ヘムズワース、レスリー・マン、ビヴァリー・ダンジェロ、チャーリー・デイ、ノーマン・リーダス、レジーナ・ホール、その他大勢
【ストーリー】
アメリカ。国内線パイロットのラスティは、愛する家族と幸せな生活を送っていたが、一方ではマンネリも感じていた。妻のデビーが毎年の丸太小屋バカンスに飽きていることを知るや、ラスティは一念発起し新たなバカンスを計画する。それは家族で4000キロ先の遊園地ワリーワールドに向けて旅をすることだった・・・。
【感想と雑談】
ちょっとベタなパッケージに身構えてしまいましたが、クリスティナ・アップルゲイトが出てるんですね。思い入れのある女優なので興味が湧いてしまいました。あ、よく見たらマイティソーのクリス・ヘムズワースも出てるとか(笑)。これはいったい。
なんという絶品コメディ。
ああやっぱアメリカって凄いわ、と唸らせるほどのセンス・オブ・バカ度です。オープニングタイトルから早くも一般人のバカンス写真を使った二段オチ演出に、これはイケる!!と確信しました(笑)。本編でのキャラクタの造形は素晴らしく、どいつもこいつも特徴的で無駄なく立ちまくり状態です。シーン毎にとにかく笑える仕掛けがテンコ盛りで、コメディとはそういうものですがとにかくいい。
冒頭、国内線パイロットのラスティが乱気流で大揺れしながら乗客の美人ママのおっぱいを鷲掴みにするという、「ドリフ大爆笑」(古いよ)さながらのコントが素晴らしいです。観る人の心も鷲掴みです。演じるエド・ヘルムズをじっくり見たの始めてなんですが、いいコメディアンですね。
ちょっと疲れた感じの妻デビーを演じるのがクリスティナ・アップルゲイトなんですが、大好きな『ビッグ・ヒット』('98)に出ていたことで印象付いてる女優です。初めは普通の良きママですが、歴戦のコメディエンヌがそれを許すはずもなく、ネジが徐々に外れて台詞どころか体当たりで下品ネタに突撃していくところは感動ものです。女優の鑑です。好きだぞクリスティナ(笑)。
また、息子兄弟の設定にもツボりました。暴力的な弟が温和すぎる兄をしょっちゅうイジメるという、過激で可愛くもある兄弟関係には大笑いしました。女の子に見とれている兄に弟が突然ビニール袋攻めするところは、その状況やBGMも相まって神がかりでしたし、のちに再度ビニール袋攻めが活かされるところは痛快でもありました。何度も見直したいシーンです(笑)。
こんな家族が西海岸の遊園地に向かう4000キロの珍道中は『なんちゃって家族』('13)の比ではないと思いました。旅の過程で思い出作りをしたいパパは色んなサービスをしますが、その全てが豪快なトラブルに繋がってるのが楽しいです。珍道中をサポートするのはキャンピングカーではなくアルバニア製の謎のセダンで、これだけでも飛び抜けたアイテムなんですが、特にある言語で暴走するカーナビに息子が「なんでこんなに怒ってるの?!」と呆れるところは、作り手のわかってる感がヒシヒシと伝わる瞬間でした(笑)。
『モンスター上司』('11)の脚本コンビが手がけていて、その経緯もあってか脇役陣もなかなか豪華ですね。コメディ役者系では、ママ友のレジーナ・ホール、脳天気バカ嫁のレスリー・マン、急流下りガイドのチャーリー・デイ、なんてのが飛び抜けていました。ところで、ラスティの豪傑父親のチェビー・チェイスは本作に繫がる前日譚『ホリデーロード4000キロ』('83)で同じ役をまんま演じられていたんですね。母親役も本作と同じくビヴァリー・ダンジェロで。世代をまたがった一大ドラマになってるんだこれ。
強烈な髪型でリスペクト俺様のクリス・ヘムズワースや、謎のトラック野郎のノーマン・リーダスには、そんな役もやるんだとビックリですが、やはり真の役者ほど潔くバカ役もこなすということですね。凄くわかります(笑)。そういえば冒頭の乱気流でいじられる乗客親子のパパ役をコリン・ハンクス(トム・ハンクスの息子)がやってました。だから何って感じですが(笑)。
本作のいいところは、ハチャメチャ路線のところ、それでも根底には家族の幸せを願う思いがあるところです。国際線パイロットとの確執から繫がるクライマックスで目的をやり遂げようとする家族の結束はカタルシス以外のなにものでもないです。下品なネタが多いですが、どのシーンも愛さずにはいられない魅力ある作品です。
吹替でも観たのですが、やはりコメディってのは化けるものですね。翻訳やアドリブの妙もあってか、オリジナル音声とは違った面白さを感じます。コメディ作品はベテラン声優も本領発揮の場ではないでしょうか。ぜひ吹替でも観て頂きたいです。
しかし、4000キロのドライブ旅行ってどんなよ。
(C)2015 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
【出典】『お!バカんす家族』/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2016年5月15日日曜日
2016年5月5日木曜日
映画『私がクマにキレた理由』・・・ スカーレット・ヨハンソンが子守で大奮闘します
●原題:The Nanny Diaries
●ジャンル:コメディ/ドラマ/ロマンス
●上映時間:106min
●製作年:2007年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:シャリ・スプリンガー・バーマン、ロバート・プルチーニ
◆出演:スカーレット・ヨハンソン、ローラ・リニー、ニコラス・アート、クリス・エヴァンス、ポール・ジアマッティ、ドナ・マーフィー、アリシヤ・キーズ、ジュリー・ホワイト、その他大勢
【ストーリー】
アメリカ。せっかく大学を卒業できたというのに、この先の人生を見いだせず、就職に興味を持てないアニー。ある日、公園で男の子を相手にしたことで親であるミセスXから強引に子守の誘いを受けてしまう。その場の勢いで仕事を引き受けるアニーだったが・・・。
【感想と雑談】
マーベルのSF超大作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』('16)が大変素晴らしい出来だったので、やはりここはひとつ、スカーレット・ヨハンソン(スカヨハ)にスポットを当ててみたいと思いました。『シビル・ウォー〜』のことを書けよ、というご意見が聞こえますが、ここはそういうポリシーですので。
若かりし頃のスカヨハです。
冒頭いきなり大学の卒業式でコケるという失態をかます主人公アニー。彼女の独り立ちが描かれます。演じるは何かと強靭でセクシーなイメージのあるスカヨハですが、本作では地味めなヒロインを演じています。これが素晴らしい。最近の現代ドラマ『ドンジョン』('13)とかも純愛なヒロインでしたが、ダイナマイトすぎる性格と容姿が問題でした。
地味なリクルートスーツを決めて商社へ面接しに行くも、アニーは自分の人生が何なのか分からなくなり路頭を彷徨いだします。このスカヨハがナチュラルメイク(っていうの?)でケバくもなんともないんですよ。当然ながら初々しい。で、意外と背が低いみたいで、他の役者と並ぶとえらくちっちゃくて、全てが相まって愛らしい(笑)。
(キャプテン・アメリカの4年前とブラック・ウィドウの3年前です)
セレブなミセスXから名前を聞かれアニーと答えるも、”ナニー(子守)”と聞き間違えられたせいで、強引に子守の仕事を任されることになります。子守に楽なイメージを持つアニーは気軽に受けますが、実は大変な仕事でした。子守を雇うのは大抵がセレブ層で、当然まず子供の世話を殆どしません。ミセスXもご多分に漏れずで、更に傲慢で高飛車という性格が付いてきて、ワガママな注文にアニーも辟易します。『プラダを着た悪魔』('05)の子守業界版ともいえましょう。
はじめは状況にムカつき放題のアニーも、ミスター&ミセスX(なんだよその名前)夫妻の根深い問題に子供が取り残されていることを知り、子守を通して家族再生と自己成長のなんたらかんたら・・・で、要はとってもいいお話しなのですが、そんなことよりもスカヨハにスポットなので、スカヨハのことを書きます。
コメディでもあるので微笑ましいスカヨハ要素がテンコ盛りです。特筆すべきは、アニーが子供のイタズラで パンツが丸見えになるところ。しかも後ろ向きで前かがみになります。グラマー体型がかますパンツ姿で可愛いのですが、これを目撃するイケメン学生が問題です。演じるはクリス・エヴァンス。まさかのヒーロー&ヒロインの顔合わせです。でも、マーベル作品ではないので、二人ともお気楽な関係です。クリスは学生といっても体型は既にキャプテン・アメリカなので、いつか暴れるんじゃないかと不安になります(笑)。スカヨハの方はブラック・ウィドウが微塵にも想像できない華奢な雰囲気ですが。
手強い子供に翻弄されながらも心を通わせたり、トラブル発生時に慌てふためいたりと、不器用なんだけど、純真に一所懸命に向かい合うスカヨハがとにかくいいです。古風なメイドのコスプレしてちょこちょこ歩くところなんか可愛かったな。ちなみにイケメン学生の目の前で披露するこのメイド服がアメリカ国旗をなぞったデザインで、なんだかキャプテン・アメリカを彷彿とさせます。クリスは普通のポロシャツ姿だったりして、なにこのクロスオーバー。二人に対するなんかの暗示だったんでしょうかこの作品は。
この子守という仕事はアメリカでは普通に浸透しているようで、いろんな作品で見かけますよね。よく日雇い的にギャラを渡してサイナラする場面とか。でも、日本では単に表に出てきていないだけかもですが、まあ馴染みがないですね。なので、子供相手の大変さはわかるものの、子守自体はアメリカならではのテーマであり、日本人には理解し難い歴史的な深い意味があるのかもしれません。
まあでも、等身大でフレッシュなスカヨハが微笑ましいし、ホロリとするオチもあったりで、コメディ寄りのドラマ作品として楽しめると思います。邦題のタイトルの意味は、ちゃんとクライマックスに用意されていますので。これが何なのかは実際に観て頂ければと思います。もし興味がありましたらね。スカヨハファンで未見の方は、ぜひレンタル屋へ行ってみるべし。
スカヨハは、『スカーレット・ヨハンソンの百点満点大作戦』('04)でもクリス・エヴァンスとの共演とパンツもろ見え(笑)が堪能できます。こっちの方が更に若いですね。というか昔の作品ほどナチュラルなスカヨハが堪能できるということですね。
・・・久々に記事を更新しました。次回がまたどうなるかわかりませんが、マイペースでいきたいと思います。
(C)Copyright MMVII by The Weinstein Company, LLC. All Rights Reserved.
【出典】『私がクマにキレた理由』/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
●ジャンル:コメディ/ドラマ/ロマンス
●上映時間:106min
●製作年:2007年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:シャリ・スプリンガー・バーマン、ロバート・プルチーニ
◆出演:スカーレット・ヨハンソン、ローラ・リニー、ニコラス・アート、クリス・エヴァンス、ポール・ジアマッティ、ドナ・マーフィー、アリシヤ・キーズ、ジュリー・ホワイト、その他大勢
【ストーリー】
アメリカ。せっかく大学を卒業できたというのに、この先の人生を見いだせず、就職に興味を持てないアニー。ある日、公園で男の子を相手にしたことで親であるミセスXから強引に子守の誘いを受けてしまう。その場の勢いで仕事を引き受けるアニーだったが・・・。
【感想と雑談】
マーベルのSF超大作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』('16)が大変素晴らしい出来だったので、やはりここはひとつ、スカーレット・ヨハンソン(スカヨハ)にスポットを当ててみたいと思いました。『シビル・ウォー〜』のことを書けよ、というご意見が聞こえますが、ここはそういうポリシーですので。
若かりし頃のスカヨハです。
冒頭いきなり大学の卒業式でコケるという失態をかます主人公アニー。彼女の独り立ちが描かれます。演じるは何かと強靭でセクシーなイメージのあるスカヨハですが、本作では地味めなヒロインを演じています。これが素晴らしい。最近の現代ドラマ『ドンジョン』('13)とかも純愛なヒロインでしたが、ダイナマイトすぎる性格と容姿が問題でした。
地味なリクルートスーツを決めて商社へ面接しに行くも、アニーは自分の人生が何なのか分からなくなり路頭を彷徨いだします。このスカヨハがナチュラルメイク(っていうの?)でケバくもなんともないんですよ。当然ながら初々しい。で、意外と背が低いみたいで、他の役者と並ぶとえらくちっちゃくて、全てが相まって愛らしい(笑)。
(キャプテン・アメリカの4年前とブラック・ウィドウの3年前です)
セレブなミセスXから名前を聞かれアニーと答えるも、”ナニー(子守)”と聞き間違えられたせいで、強引に子守の仕事を任されることになります。子守に楽なイメージを持つアニーは気軽に受けますが、実は大変な仕事でした。子守を雇うのは大抵がセレブ層で、当然まず子供の世話を殆どしません。ミセスXもご多分に漏れずで、更に傲慢で高飛車という性格が付いてきて、ワガママな注文にアニーも辟易します。『プラダを着た悪魔』('05)の子守業界版ともいえましょう。
はじめは状況にムカつき放題のアニーも、ミスター&ミセスX(なんだよその名前)夫妻の根深い問題に子供が取り残されていることを知り、子守を通して家族再生と自己成長のなんたらかんたら・・・で、要はとってもいいお話しなのですが、そんなことよりもスカヨハにスポットなので、スカヨハのことを書きます。
コメディでもあるので微笑ましいスカヨハ要素がテンコ盛りです。特筆すべきは、アニーが子供のイタズラで パンツが丸見えになるところ。しかも後ろ向きで前かがみになります。グラマー体型がかますパンツ姿で可愛いのですが、これを目撃するイケメン学生が問題です。演じるはクリス・エヴァンス。まさかのヒーロー&ヒロインの顔合わせです。でも、マーベル作品ではないので、二人ともお気楽な関係です。クリスは学生といっても体型は既にキャプテン・アメリカなので、いつか暴れるんじゃないかと不安になります(笑)。スカヨハの方はブラック・ウィドウが微塵にも想像できない華奢な雰囲気ですが。
手強い子供に翻弄されながらも心を通わせたり、トラブル発生時に慌てふためいたりと、不器用なんだけど、純真に一所懸命に向かい合うスカヨハがとにかくいいです。古風なメイドのコスプレしてちょこちょこ歩くところなんか可愛かったな。ちなみにイケメン学生の目の前で披露するこのメイド服がアメリカ国旗をなぞったデザインで、なんだかキャプテン・アメリカを彷彿とさせます。クリスは普通のポロシャツ姿だったりして、なにこのクロスオーバー。二人に対するなんかの暗示だったんでしょうかこの作品は。
この子守という仕事はアメリカでは普通に浸透しているようで、いろんな作品で見かけますよね。よく日雇い的にギャラを渡してサイナラする場面とか。でも、日本では単に表に出てきていないだけかもですが、まあ馴染みがないですね。なので、子供相手の大変さはわかるものの、子守自体はアメリカならではのテーマであり、日本人には理解し難い歴史的な深い意味があるのかもしれません。
まあでも、等身大でフレッシュなスカヨハが微笑ましいし、ホロリとするオチもあったりで、コメディ寄りのドラマ作品として楽しめると思います。邦題のタイトルの意味は、ちゃんとクライマックスに用意されていますので。これが何なのかは実際に観て頂ければと思います。もし興味がありましたらね。スカヨハファンで未見の方は、ぜひレンタル屋へ行ってみるべし。
スカヨハは、『スカーレット・ヨハンソンの百点満点大作戦』('04)でもクリス・エヴァンスとの共演とパンツもろ見え(笑)が堪能できます。こっちの方が更に若いですね。というか昔の作品ほどナチュラルなスカヨハが堪能できるということですね。
・・・久々に記事を更新しました。次回がまたどうなるかわかりませんが、マイペースでいきたいと思います。
(C)Copyright MMVII by The Weinstein Company, LLC. All Rights Reserved.
【出典】『私がクマにキレた理由』/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2016年2月13日土曜日
映画『しあわせはどこにある』・・・ ロザムンド・パイクとの同棲に戦慄を覚えますが大丈夫ですたぶん
●原題:Hector and the Search for Happiness
●ジャンル:アドベンチャー/コメディ/ドラマ
●上映時間:120min
●製作年:2014年
●製作国:イギリス/ドイツ/カナダ/南アフリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ピーター・チェルソム
◆出演:サイモン・ペグ、ロザムンド・パイク、ステラン・スカルスガルド、ジャン・レノ、トニ・コレット、クリストファー・プラマー、伊川東吾、バリー・アトスマ、その他大勢
【ストーリー】
イギリス。精神科医のヘクターは何の問題もなく日々の生活を送っていた。同棲する恋人クララもそんなヘクターを愛情いっぱいに世話してくれていた。しかし、患者へのカウンセリングを繰り返すうちに、ヘクターは果たして自分は幸せな人生を歩んでいるのだろうかと疑問を持ち始める。意を決したヘクターは、クララをひとり残して幸せ探しの旅に出るが・・・。
【感想と雑談】
今年一発目の映画記事です(おせーよ)。昨年の話題作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』('15)をメインに、もう1本何か見ようと徘徊して見つけたのが本作。サイモン・ペグが出演とか共通点だし、何よりもロザムンド・パイクが出てるじゃんか。パッケージもいい雰囲気。一緒に借りました。
すまんトム、こっちの方が面白かったわ。
どっちも世界を股にかける一大スケールな展開で結構命がけなところも共通点なんですが、異国の旅路でいろんな経験を積むロードムービー的な本作の方がしっくりきましたね。自分が歳をとった所為もあるかもですが(笑)。あくまでも比較なんで『ミッション~』も十分なエンタテイメント作品で楽しかったです。
さて、本作の主人公はサイモン・ペグ演じる精神科医ヘクター。人柄はいいのに職業柄か何かと悩みがちな男。なんですが、とにかく注目点はその恋人クララを演じるロザムンド・パイクなんですよ。冒頭、悪夢にうなされるヘクターが飛び起きると、いきなり目の前に笑顔のクララがいるの。やべえ、逃げてヘクター!!って思わず叫んじゃいそう。『ゴーン・ガール』('15)がフラッシュバックする瞬間です(笑)。
クララは完璧な恋人ぶりで、ヘクターの健康にも気を使うし、公の場ではちゃんとヘクターを引き立てたりする。素晴らしい。素晴らしすぎて逆に裏があるのでは・・・とちょっとでも勘ぐると『ゴーン・ガール』がフラッシュバック・・・って、そういう設定じゃないから。イギリス人の血統も手伝ってか落ち着きも感じる美人さんですね。製薬会社に務める彼女がバイアグラ系新薬の話をする時、効能を示すのに拳を立てる仕草がとても可愛いと思いました。
勿論、ロザムンド祭だけで終わる作品ではありません。ヘクターが愛するクララを置いてまで実行に移した幸せ探しの旅。異国での様々な経験やトラブルの教訓から”幸せ”の欠片をメモに書き留めていくのですが、その旅路で出会う人々がとにかく魅力的なんですね。例えば、
中国へ向かう旅客機で出会う大企業の堅物社長エドワードを演じるはステラン・スカルスガルド。味わいある北欧男優ですね。ブスッとした態度で、ヘクターみたいな男は最も敬遠するはずなのに、何かを感じて気を許しちゃう。一緒に豪遊までしちゃったりする。がむしゃらに働いて稼いで引退して余生を送ることが幸せみたいなエドワード。
アフリカのホテルで出会う麻薬王ディエゴを演じるはジャン・レノ。久々に見たなこの人。貫禄付いてます(笑)。メモ書きするのにディエゴから借りたペンがその後の命を左右するトラブルに関わるところは、本作が優しい世界だけで終わらないことがわかる結構な見せ場。妻の重病に悩むディエゴはヘクターに出会ったことで幸せになれるのかな。
そして、アメリカで再会する元恋人アグネスを演じるはトニ・コレット。好きな女優です。『シックスセンス』('99)で息子から告白を受ける時の演技が忘れられません。アグネスの存在はどことなく彼女に未練がましいヘクターと現恋人クララとの関係に当然ながら影響を及ぼします。やがて、スカイプ映像に映るクララの冷めていく態度が不安を煽ることに。ここで『ゴーン(以下略
クライマックス。沢山の出会いを経たヘクターは、最終地アメリカの大学で脳の幸せ度合いを測定する機械にかけられます。旅路での経験とクララのことを思い起こすヘクターにやがて反応しだす機械。果たして”幸せ”が何であるのか、ヘクターは解き明かすことができるのでしょうか・・・。
オチがどうあれ、ヘクターが取った行動は意味のあることなんだなと思いました。異世界に触れることで新しきを知るというのは今更ですけど大事なことですよね。別に教訓じみてる訳ではないのですが。それと、旅路での色んな人との出会いは何かと印象的ですが、別れ際をヘタに感動的にしてないところもよかったです。
社長エドワードは別れ際にヘクターが抱擁する素振りを見せるとスッと身を引くし(この二人の間は必見)、麻薬王ディエゴは帰国したヘクターに電話までしてあることを伝えますが捨て台詞を吐くとすぐに画面の外に去ってしまいます。あくまでもヘクターの通過点としてドライな扱いだったかもしれませんが、ヘクターの人柄が本人の気づかぬところで、幸せの何かを振りまいていたのは確かでしょうね。
カラフルで丁寧に作られた大変見やすい作品です。サイモン・ペグとロザムンド・パイクは『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』('14)でも共演されてましたが、対極的に疲れきった設定でした。なのでロザムンドは、本作の方が嫁にしたい度No1です(笑)。
『ゴーン・ガール』とセットで観ると危険かもしれない。
(C)2014 Egoli Tossell Film/ Co-Produktionsgesellschaft "Hector 1" GmbH & Co. KG/Happiness Productions Inc./ Wild Bunch Germany/ Construction Film. 2014 All Rights Reserved.
【出典】『しあわせはどこにある』/角川書店
●ジャンル:アドベンチャー/コメディ/ドラマ
●上映時間:120min
●製作年:2014年
●製作国:イギリス/ドイツ/カナダ/南アフリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ピーター・チェルソム
◆出演:サイモン・ペグ、ロザムンド・パイク、ステラン・スカルスガルド、ジャン・レノ、トニ・コレット、クリストファー・プラマー、伊川東吾、バリー・アトスマ、その他大勢
【ストーリー】
イギリス。精神科医のヘクターは何の問題もなく日々の生活を送っていた。同棲する恋人クララもそんなヘクターを愛情いっぱいに世話してくれていた。しかし、患者へのカウンセリングを繰り返すうちに、ヘクターは果たして自分は幸せな人生を歩んでいるのだろうかと疑問を持ち始める。意を決したヘクターは、クララをひとり残して幸せ探しの旅に出るが・・・。
【感想と雑談】
今年一発目の映画記事です(おせーよ)。昨年の話題作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』('15)をメインに、もう1本何か見ようと徘徊して見つけたのが本作。サイモン・ペグが出演とか共通点だし、何よりもロザムンド・パイクが出てるじゃんか。パッケージもいい雰囲気。一緒に借りました。
すまんトム、こっちの方が面白かったわ。
どっちも世界を股にかける一大スケールな展開で結構命がけなところも共通点なんですが、異国の旅路でいろんな経験を積むロードムービー的な本作の方がしっくりきましたね。自分が歳をとった所為もあるかもですが(笑)。あくまでも比較なんで『ミッション~』も十分なエンタテイメント作品で楽しかったです。
さて、本作の主人公はサイモン・ペグ演じる精神科医ヘクター。人柄はいいのに職業柄か何かと悩みがちな男。なんですが、とにかく注目点はその恋人クララを演じるロザムンド・パイクなんですよ。冒頭、悪夢にうなされるヘクターが飛び起きると、いきなり目の前に笑顔のクララがいるの。やべえ、逃げてヘクター!!って思わず叫んじゃいそう。『ゴーン・ガール』('15)がフラッシュバックする瞬間です(笑)。
クララは完璧な恋人ぶりで、ヘクターの健康にも気を使うし、公の場ではちゃんとヘクターを引き立てたりする。素晴らしい。素晴らしすぎて逆に裏があるのでは・・・とちょっとでも勘ぐると『ゴーン・ガール』がフラッシュバック・・・って、そういう設定じゃないから。イギリス人の血統も手伝ってか落ち着きも感じる美人さんですね。製薬会社に務める彼女がバイアグラ系新薬の話をする時、効能を示すのに拳を立てる仕草がとても可愛いと思いました。
勿論、ロザムンド祭だけで終わる作品ではありません。ヘクターが愛するクララを置いてまで実行に移した幸せ探しの旅。異国での様々な経験やトラブルの教訓から”幸せ”の欠片をメモに書き留めていくのですが、その旅路で出会う人々がとにかく魅力的なんですね。例えば、
中国へ向かう旅客機で出会う大企業の堅物社長エドワードを演じるはステラン・スカルスガルド。味わいある北欧男優ですね。ブスッとした態度で、ヘクターみたいな男は最も敬遠するはずなのに、何かを感じて気を許しちゃう。一緒に豪遊までしちゃったりする。がむしゃらに働いて稼いで引退して余生を送ることが幸せみたいなエドワード。
アフリカのホテルで出会う麻薬王ディエゴを演じるはジャン・レノ。久々に見たなこの人。貫禄付いてます(笑)。メモ書きするのにディエゴから借りたペンがその後の命を左右するトラブルに関わるところは、本作が優しい世界だけで終わらないことがわかる結構な見せ場。妻の重病に悩むディエゴはヘクターに出会ったことで幸せになれるのかな。
そして、アメリカで再会する元恋人アグネスを演じるはトニ・コレット。好きな女優です。『シックスセンス』('99)で息子から告白を受ける時の演技が忘れられません。アグネスの存在はどことなく彼女に未練がましいヘクターと現恋人クララとの関係に当然ながら影響を及ぼします。やがて、スカイプ映像に映るクララの冷めていく態度が不安を煽ることに。ここで『ゴーン(以下略
クライマックス。沢山の出会いを経たヘクターは、最終地アメリカの大学で脳の幸せ度合いを測定する機械にかけられます。旅路での経験とクララのことを思い起こすヘクターにやがて反応しだす機械。果たして”幸せ”が何であるのか、ヘクターは解き明かすことができるのでしょうか・・・。
オチがどうあれ、ヘクターが取った行動は意味のあることなんだなと思いました。異世界に触れることで新しきを知るというのは今更ですけど大事なことですよね。別に教訓じみてる訳ではないのですが。それと、旅路での色んな人との出会いは何かと印象的ですが、別れ際をヘタに感動的にしてないところもよかったです。
社長エドワードは別れ際にヘクターが抱擁する素振りを見せるとスッと身を引くし(この二人の間は必見)、麻薬王ディエゴは帰国したヘクターに電話までしてあることを伝えますが捨て台詞を吐くとすぐに画面の外に去ってしまいます。あくまでもヘクターの通過点としてドライな扱いだったかもしれませんが、ヘクターの人柄が本人の気づかぬところで、幸せの何かを振りまいていたのは確かでしょうね。
カラフルで丁寧に作られた大変見やすい作品です。サイモン・ペグとロザムンド・パイクは『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』('14)でも共演されてましたが、対極的に疲れきった設定でした。なのでロザムンドは、本作の方が嫁にしたい度No1です(笑)。
『ゴーン・ガール』とセットで観ると危険かもしれない。
(C)2014 Egoli Tossell Film/ Co-Produktionsgesellschaft "Hector 1" GmbH & Co. KG/Happiness Productions Inc./ Wild Bunch Germany/ Construction Film. 2014 All Rights Reserved.
【出典】『しあわせはどこにある』/角川書店
2016年1月13日水曜日
ありがとう、デビッド・ボウイ
デビッド・ボウイが旅立たれました。
ガンを患われていたこと知りもせず、どうしてるのかなと思っていた矢先のことでした。
ラジオで耳にした「アシュズ・トゥ・アシュズ」の旋律が気に入って、初めて買ったアルバムが輸入盤の「スケアリーモンスターズ」。これでドハマリした以降、70年代まで遡ってアルバムを買い漁りました。
にわかファンではありましたが、70年代後半から80年代前半がこれ以上妖艶な男がいるのかってくらいカッコよくて、音楽面やビジュアル面からの刺激がその後の私の人生に大きく影響してくれたと思っています。
寂しいとか悲しいとかではなく、とにかく感謝の気持ちを伝えたいです。
どうもありがとう! 我らがデビッド・ボウイ!
2015年12月28日月曜日
映画『キングスマン』・・・ 英国流スパイアクションの定番がやって参りました
●原題:Kingsman: The Secret Service
●ジャンル:アクション/アドベンチャー/コメディ
●上映時間:129min
●製作年:2014年
●製作国:イギリス
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マシュー・ヴォーン
◆出演:コリン・ファース、タロン・エガートン、マイケル・ケイン、マーク・ストロング、サミュエル・L・ジャクソン、ソフィア・ブテラ、スフィ・クックソン、マーク・ハミル、その他大勢
【ストーリー】
イギリス。どの政府にも属さない独立諜報機関キングスマン。エージェントのハリーは、ある事件をきっかけに、かつて作戦の最中に命を落とした同僚の息子エグジーをスカウトする。不良同然ながらも父親の血を継ぐだけあってエグジーには十分な素質があった。一方、キングスマンはアメリカのIT実業家ヴァレンタインが世界規模の陰謀を企てていることを察知。ハリーとエグジーは捜査に移るが・・・。
【感想と雑談】
実に素晴らしい。こういうリズムを持った作品ってホントにいいものです。根底が幼少の頃に胸踊らせた007シリーズのユーモアと奇想天外さであって、それを近代的な脚本と技術で底上げしてるという、
イギリスの面目躍如ですよこれは。
伝統と規律を重んじる精神のもと、紳士たる身だしなみから繰り出す壮絶なアクションは、これぞ静と動を併せ持つイギリスというやつではないですか。同じ英語圏のヒャハーなアメリカよりも、日本に通じるものがありますね。この諜報機関は、まさに世界を相手にする必殺仕事人です。名作『レモ/第一の挑戦』('85)もそんなお話しでした(笑)。
政府の指揮下に公正性がないことを嘆いた財閥は秘密裏に諜報機関を設立しますが、その本拠地に選ばれたのが伝統ある高級スーツ店キングスマンなのです。店内では趣きある調度品が落ち着きを醸す一方、超技術によるギミックが仕掛けられていて、紳士エージェントの表裏と同様に、ローテクとハイテクの対比が鮮明で目を見張るところです。これぞイギリスにしか出せない魅力というやつ。
スパイといえばの小道具も粋なものばかりで、紳士傘が武器と盾を兼ねてるところはいかにもです(笑)。ケレン味溢れる点では小道具だけでなく、密かに建築された広大な施設も外せません。後半の舞台となるヴァレンタインの根城も下僕たちを見下ろすようにガラス張りの司令室が設置してあって、ここでドンパチやるとか懐かしい空気が充満しまくりです。
主演はイギリス側のコリン・ファースと重鎮マイケル・ケイン。このコンビは新旧スパイやクライム関連の繋ぎ役でもあるようですね。マイケルは古くからスパイ作品の常連だし、主役の絵画泥棒を演じた『泥棒貴族』('66)のリメイク作品『モネ・ゲーム』('12)ではコリンが主役を演じてましたしね。
また、若手役者も揃えてエージェントの世代交代まで描いてる辺り、ロートルな世界で終わらせないフレッシュさは今風といったところですね。昔ながらの007って幼い時期が描かれていなかったので斬新といえるのかも。最近の007はシリアスにそんな路線に入ってる気はしますがね。
スパイアクションには魅力ある悪役も欠かせません。アメリカ側のそんな期待を裏切らないIT実業家ヴァレンタインを演じるは我らがサミュエル・L・ジャクソン。ニヒルでもなんでもなく、狡猾で変なところで気弱なヒップホップ野郎。今時の申し子みたいでよろしい。しかし今回のサミュエル、『ジャッキー・ブラウン』('98)の銃器密売人に戻ったかのような若々しさなんですが、なんと今年67歳なんだとか!見えないぜサミュエル。
本作の最大の見せ場はなんといっても主人公ハリーの身のこなし。イギリス人の血統を醸しながらの戦闘シーンが素晴らしすぎます。同じイギリス人のマシュー・ヴォーン監督だからこその手腕でしょうか。独特のスピード感とワンカットのような巧妙な編集、そして縦横無尽なカメラワークによる一大殺陣はカタルシスの連続。粋なBGMがこれまた拍車をかけます。演じるコリン・ファースもよくあれだけ体が動いたもんです(全て本人が演じたと信じたい)。『96時間』シリーズはちょっとは見習って欲しい。
ちょっと笑ってしまったのが、ヴァレンタインの女用心棒があるエージェントを迎え撃つところ。この女用心棒、両足が刃物を備えた義足になっていて、新体操みたいな技を繰り出すの。で、このエージェントが一瞬で唐竹割りにされるのね。ペローンって真っ二つ。安すぎるCGがまるでワザとやったかのようで、きっと『殺し屋1』('01)へのオマージュもあるに違いない。
また、見た後で笑ってしまったのが、マーク・ハミル。出てたの全然気づかなかったです。かなり前面に出ていた人物なのに。言われてみればたしかにマークの面影あったような・・・。最新のスターウォーズを見る前に、本作で近況のお姿を拝んでしまいました(笑)。
マシュー・ヴォーン監督は、経歴をみてみれば、なるほどクライム系の作品群を手がけられていたのですね。コミック原作の映画化に力を入れられているようですが、前作の『Xメン:ファースト・ジェネレーション』('11)よりも、『キック・アス』('10)での小気味よいユーモアとアクション性が更にパワーアップして帰ってきた感があります本作は。お勧めしたい逸品です。
ちょっとスーツを着こなしてみたいと思いました。
さて、今年はこれが最後の記事となります。素敵な作品で締めることができてよかったです(笑)。しかしまあ、ブログも8年目に突入とか、よく続いているもんです。あとどれだけ続けられるかな。。
迷いこまれた方にちょっとでも役に立てればと来年もとりあえず頑張っていこうと思います。
それでは来年も皆様にとって良い年となりますように。
(C)20th Century Fox Film Corp. All rights reserved
【出典】『キングスマン』/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
●ジャンル:アクション/アドベンチャー/コメディ
●上映時間:129min
●製作年:2014年
●製作国:イギリス
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マシュー・ヴォーン
◆出演:コリン・ファース、タロン・エガートン、マイケル・ケイン、マーク・ストロング、サミュエル・L・ジャクソン、ソフィア・ブテラ、スフィ・クックソン、マーク・ハミル、その他大勢
【ストーリー】
イギリス。どの政府にも属さない独立諜報機関キングスマン。エージェントのハリーは、ある事件をきっかけに、かつて作戦の最中に命を落とした同僚の息子エグジーをスカウトする。不良同然ながらも父親の血を継ぐだけあってエグジーには十分な素質があった。一方、キングスマンはアメリカのIT実業家ヴァレンタインが世界規模の陰謀を企てていることを察知。ハリーとエグジーは捜査に移るが・・・。
【感想と雑談】
実に素晴らしい。こういうリズムを持った作品ってホントにいいものです。根底が幼少の頃に胸踊らせた007シリーズのユーモアと奇想天外さであって、それを近代的な脚本と技術で底上げしてるという、
イギリスの面目躍如ですよこれは。
伝統と規律を重んじる精神のもと、紳士たる身だしなみから繰り出す壮絶なアクションは、これぞ静と動を併せ持つイギリスというやつではないですか。同じ英語圏のヒャハーなアメリカよりも、日本に通じるものがありますね。この諜報機関は、まさに世界を相手にする必殺仕事人です。名作『レモ/第一の挑戦』('85)もそんなお話しでした(笑)。
政府の指揮下に公正性がないことを嘆いた財閥は秘密裏に諜報機関を設立しますが、その本拠地に選ばれたのが伝統ある高級スーツ店キングスマンなのです。店内では趣きある調度品が落ち着きを醸す一方、超技術によるギミックが仕掛けられていて、紳士エージェントの表裏と同様に、ローテクとハイテクの対比が鮮明で目を見張るところです。これぞイギリスにしか出せない魅力というやつ。
スパイといえばの小道具も粋なものばかりで、紳士傘が武器と盾を兼ねてるところはいかにもです(笑)。ケレン味溢れる点では小道具だけでなく、密かに建築された広大な施設も外せません。後半の舞台となるヴァレンタインの根城も下僕たちを見下ろすようにガラス張りの司令室が設置してあって、ここでドンパチやるとか懐かしい空気が充満しまくりです。
主演はイギリス側のコリン・ファースと重鎮マイケル・ケイン。このコンビは新旧スパイやクライム関連の繋ぎ役でもあるようですね。マイケルは古くからスパイ作品の常連だし、主役の絵画泥棒を演じた『泥棒貴族』('66)のリメイク作品『モネ・ゲーム』('12)ではコリンが主役を演じてましたしね。
また、若手役者も揃えてエージェントの世代交代まで描いてる辺り、ロートルな世界で終わらせないフレッシュさは今風といったところですね。昔ながらの007って幼い時期が描かれていなかったので斬新といえるのかも。最近の007はシリアスにそんな路線に入ってる気はしますがね。
スパイアクションには魅力ある悪役も欠かせません。アメリカ側のそんな期待を裏切らないIT実業家ヴァレンタインを演じるは我らがサミュエル・L・ジャクソン。ニヒルでもなんでもなく、狡猾で変なところで気弱なヒップホップ野郎。今時の申し子みたいでよろしい。しかし今回のサミュエル、『ジャッキー・ブラウン』('98)の銃器密売人に戻ったかのような若々しさなんですが、なんと今年67歳なんだとか!見えないぜサミュエル。
本作の最大の見せ場はなんといっても主人公ハリーの身のこなし。イギリス人の血統を醸しながらの戦闘シーンが素晴らしすぎます。同じイギリス人のマシュー・ヴォーン監督だからこその手腕でしょうか。独特のスピード感とワンカットのような巧妙な編集、そして縦横無尽なカメラワークによる一大殺陣はカタルシスの連続。粋なBGMがこれまた拍車をかけます。演じるコリン・ファースもよくあれだけ体が動いたもんです(全て本人が演じたと信じたい)。『96時間』シリーズはちょっとは見習って欲しい。
ちょっと笑ってしまったのが、ヴァレンタインの女用心棒があるエージェントを迎え撃つところ。この女用心棒、両足が刃物を備えた義足になっていて、新体操みたいな技を繰り出すの。で、このエージェントが一瞬で唐竹割りにされるのね。ペローンって真っ二つ。安すぎるCGがまるでワザとやったかのようで、きっと『殺し屋1』('01)へのオマージュもあるに違いない。
また、見た後で笑ってしまったのが、マーク・ハミル。出てたの全然気づかなかったです。かなり前面に出ていた人物なのに。言われてみればたしかにマークの面影あったような・・・。最新のスターウォーズを見る前に、本作で近況のお姿を拝んでしまいました(笑)。
マシュー・ヴォーン監督は、経歴をみてみれば、なるほどクライム系の作品群を手がけられていたのですね。コミック原作の映画化に力を入れられているようですが、前作の『Xメン:ファースト・ジェネレーション』('11)よりも、『キック・アス』('10)での小気味よいユーモアとアクション性が更にパワーアップして帰ってきた感があります本作は。お勧めしたい逸品です。
ちょっとスーツを着こなしてみたいと思いました。
さて、今年はこれが最後の記事となります。素敵な作品で締めることができてよかったです(笑)。しかしまあ、ブログも8年目に突入とか、よく続いているもんです。あとどれだけ続けられるかな。。
迷いこまれた方にちょっとでも役に立てればと来年もとりあえず頑張っていこうと思います。
それでは来年も皆様にとって良い年となりますように。
(C)20th Century Fox Film Corp. All rights reserved
【出典】『キングスマン』/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2015年12月16日水曜日
映画『モンスター上司2』・・・ 今度はハラスメント上司でなく悪徳起業に戦いを挑みますアホ三人衆が
●原題:Horrible Bosses 2
●ジャンル:コメディ/犯罪
●上映時間:108min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ショーン・アンダーソン
◆出演:ジェイソン・ベイトマン、チェーリー・デイ、ジェイソン・サダイキス、ジェイミー・フォックス、ケビン・スペイシー、ジェニファー・アニストン、クリストフ・ヴァルツ、クリス・パイン、ジョナサン・バンクス、リンゼイ・スローン、その他大勢
【ストーリー】
アメリカ。ニック、デール、カートの三人は、にっくき上司らと決別し、自らが職場の上司になるべく会社を起こすことにする。発案したシャワー用品を売り込もうとやっきになる三人は、ある大企業から莫大な注文を受けるも、そこの悪徳社長の策略によって大借金を負うことになり、工場設備や特許までも失う寸前となる。意を決した三人は、悪徳社長の息子を誘拐し身代金を巻き上げようと策略するが・・・。
【感想と雑談】
前作は劇場公開されたのに、本作は未公開だったのですね。気付いたらレンタル屋に並んでいました。しばらく後回しにしていたのですが、改めてパッケージを見てみると、なんとクリストフ・ヴァルツが出てるじゃないですか。即決ですよこれはもう。しかしまあ、シリーズ失速の法則は免れないだろうな、と構えていたら、
意外や楽しめたという。
前作に引き続き、三人の主役にジェイソン・ベイトマン、チェーリー・デイ、ジェイソン・サダイキス、相変わらずの憎まれ元上司役にケビン・スペイシー、ジェニファー・アニストン、悪友の犯罪アドバイザー(笑)役にジェイミー・フォックスという、よくやったぜと思えるところに、新キャラとしてクリストフ・ヴァルツとクリス・パインまで起用するとか、随分とゴージャスな布陣になっています。
前作では、名優らが嬉々と演じるハラスメント上司をいかに楽しく懲らしめるかに見所があったはずなのに、急激なハードボイルド展開に熱も覚めちゃった感じでした。なので今回の続編ではちょっとは気の利いたコメディらしさを期待していたのですが、これがまったく同じといってもいいくらいの展開。またかよ急激ハードボイルドだし。
しかし、これが面白く感じました。前作で受けた犯罪コメディの妙な印象も咀嚼するうちに耐性ができて作品全体のリズムを楽しめるようになったのかもしれません。なにこの自己分析。きっとこれは、本筋関係なく三人のアホさ加減と、それを加速させる脇役のボケとツッコミを楽しむべきシリーズなのです。過激大好き細かいことは気にすんな、というアメリカ人の偉大なノリも見え隠れします。
コメディアンらが三本矢となって暴走機関車のように作品を牽引する様はウザさを通り越して(笑)言うことなしです。ここでは脇役らに注目します。まず続投のケビン・スペイシー、ジェニファー・アニストン、そしてジェイミー・フォックスらが失速せずに全力投球しているのが素晴らしいです。特にジェニファーの自助会を壊滅させる程のエロ依存症をもって主役の三人を虜にしてしまう演技はコメディエンヌの最高峰といってもいいでしょう。メイキングで見せる、どうしてもクチにできない台詞で恥じらう様も至高です。
続いて本作で新参の脇役の一人。悪徳社長の息子を演じるクリス・パインは、さほどいい印象のない役者だったところ、初めて等身大な姿を見た思いです。って、こんなキャラは等身大とはいわんか(笑)。コメディ作品だからか、生き生きとした様が好印象となりましたよ。カーク船長なんかより、もっとこういう役やれ。
今回、興味を引くきっかけとなった脇役のもう一人。悪徳社長を演じるクリストフ・ヴァルツ。もう言うことなしに大好きな役者であります。タランティーノ作品『イングロリアス・バスターズ』('09)での何ヶ国語もこなすナチス高官の嫌らしさといったら、彼以外に誰が演じることができたでしょうね。独特で流暢な言い回しの中に表裏を垣間見せる様が真骨頂で、欧州生まれが持つ迫力みたいなものも感じます。そんなクリストフは本作でも実に嫌らしい悪役を好演していました。
前作でハラスメント上司を持つことに嫌気の差した三人は、会社を起こすことで自らが上司になりますが、悪徳起業に道を閉ざされたことで、再びドタバタと走り回ることになります。あまりのピンチさに、元の上司や悪友にすがりつくものだから目も当てられない。でも、なんだかいい感じ。むしろ前作よりも好きな流れかもしれない。
ハードボイルドに至る展開は、ハラスメント上司に対するより、ビジネス上の悪意に対する犯罪計画からの方が、違和感なく納得もいくんじゃないでしょうか。コメディであれば尚さらです。監督が変わったことで演出や雰囲気にも差が出ていますが、潔く犯罪に手を染めることで、スピード感やスマートさがあるし、ハードボイルドもどんでん返しになってるところがいいですね。こういうテーマのコメディにしては一線を超えすぎな点は変わらずですが、総合的に私は続編の本作を推したいです。
シリーズを通して歯ブラシの粋な扱い方を学びました。
(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
【出典】『モンスター上司2』/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
●ジャンル:コメディ/犯罪
●上映時間:108min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ショーン・アンダーソン
◆出演:ジェイソン・ベイトマン、チェーリー・デイ、ジェイソン・サダイキス、ジェイミー・フォックス、ケビン・スペイシー、ジェニファー・アニストン、クリストフ・ヴァルツ、クリス・パイン、ジョナサン・バンクス、リンゼイ・スローン、その他大勢
【ストーリー】
アメリカ。ニック、デール、カートの三人は、にっくき上司らと決別し、自らが職場の上司になるべく会社を起こすことにする。発案したシャワー用品を売り込もうとやっきになる三人は、ある大企業から莫大な注文を受けるも、そこの悪徳社長の策略によって大借金を負うことになり、工場設備や特許までも失う寸前となる。意を決した三人は、悪徳社長の息子を誘拐し身代金を巻き上げようと策略するが・・・。
【感想と雑談】
前作は劇場公開されたのに、本作は未公開だったのですね。気付いたらレンタル屋に並んでいました。しばらく後回しにしていたのですが、改めてパッケージを見てみると、なんとクリストフ・ヴァルツが出てるじゃないですか。即決ですよこれはもう。しかしまあ、シリーズ失速の法則は免れないだろうな、と構えていたら、
意外や楽しめたという。
前作に引き続き、三人の主役にジェイソン・ベイトマン、チェーリー・デイ、ジェイソン・サダイキス、相変わらずの憎まれ元上司役にケビン・スペイシー、ジェニファー・アニストン、悪友の犯罪アドバイザー(笑)役にジェイミー・フォックスという、よくやったぜと思えるところに、新キャラとしてクリストフ・ヴァルツとクリス・パインまで起用するとか、随分とゴージャスな布陣になっています。
前作では、名優らが嬉々と演じるハラスメント上司をいかに楽しく懲らしめるかに見所があったはずなのに、急激なハードボイルド展開に熱も覚めちゃった感じでした。なので今回の続編ではちょっとは気の利いたコメディらしさを期待していたのですが、これがまったく同じといってもいいくらいの展開。またかよ急激ハードボイルドだし。
しかし、これが面白く感じました。前作で受けた犯罪コメディの妙な印象も咀嚼するうちに耐性ができて作品全体のリズムを楽しめるようになったのかもしれません。なにこの自己分析。きっとこれは、本筋関係なく三人のアホさ加減と、それを加速させる脇役のボケとツッコミを楽しむべきシリーズなのです。過激大好き細かいことは気にすんな、というアメリカ人の偉大なノリも見え隠れします。
コメディアンらが三本矢となって暴走機関車のように作品を牽引する様はウザさを通り越して(笑)言うことなしです。ここでは脇役らに注目します。まず続投のケビン・スペイシー、ジェニファー・アニストン、そしてジェイミー・フォックスらが失速せずに全力投球しているのが素晴らしいです。特にジェニファーの自助会を壊滅させる程のエロ依存症をもって主役の三人を虜にしてしまう演技はコメディエンヌの最高峰といってもいいでしょう。メイキングで見せる、どうしてもクチにできない台詞で恥じらう様も至高です。
続いて本作で新参の脇役の一人。悪徳社長の息子を演じるクリス・パインは、さほどいい印象のない役者だったところ、初めて等身大な姿を見た思いです。って、こんなキャラは等身大とはいわんか(笑)。コメディ作品だからか、生き生きとした様が好印象となりましたよ。カーク船長なんかより、もっとこういう役やれ。
今回、興味を引くきっかけとなった脇役のもう一人。悪徳社長を演じるクリストフ・ヴァルツ。もう言うことなしに大好きな役者であります。タランティーノ作品『イングロリアス・バスターズ』('09)での何ヶ国語もこなすナチス高官の嫌らしさといったら、彼以外に誰が演じることができたでしょうね。独特で流暢な言い回しの中に表裏を垣間見せる様が真骨頂で、欧州生まれが持つ迫力みたいなものも感じます。そんなクリストフは本作でも実に嫌らしい悪役を好演していました。
前作でハラスメント上司を持つことに嫌気の差した三人は、会社を起こすことで自らが上司になりますが、悪徳起業に道を閉ざされたことで、再びドタバタと走り回ることになります。あまりのピンチさに、元の上司や悪友にすがりつくものだから目も当てられない。でも、なんだかいい感じ。むしろ前作よりも好きな流れかもしれない。
ハードボイルドに至る展開は、ハラスメント上司に対するより、ビジネス上の悪意に対する犯罪計画からの方が、違和感なく納得もいくんじゃないでしょうか。コメディであれば尚さらです。監督が変わったことで演出や雰囲気にも差が出ていますが、潔く犯罪に手を染めることで、スピード感やスマートさがあるし、ハードボイルドもどんでん返しになってるところがいいですね。こういうテーマのコメディにしては一線を超えすぎな点は変わらずですが、総合的に私は続編の本作を推したいです。
シリーズを通して歯ブラシの粋な扱い方を学びました。
(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
【出典】『モンスター上司2』/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015年11月29日日曜日
映画『ドン・ジョン』・・・ もの凄いスカヨハを存分に堪能します
●原題:Don Jon
●ジャンル:コメディ/ドラマ/ロマンス
●上映時間:90min
●製作年:2013年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジョセフ・ゴードン=レビット
◆出演:ジョセフ・ゴードン=レビット、スカーレット・ヨハンソン、ジュリアン・ムーア、トニー・ダンザ、グレン・ヘドリー、ブリー・ラーソン、ロブ・ブラウン、ジェレミー・ルーク、その他ポルノ動画大勢
【ストーリー】
アメリカ。リア充の独身男ジョンは夜な夜なナンパする人生を送っていた。今日も美女とベッドインしたジョンは、事が終わった後である行為に没頭する。それはネットでポルノ動画を鑑賞し全力投球することであった。生身の女性とどれだけ付き会おうが、ジョンはポルノ動画に別次元の快楽を求めていたのである。ある日のこと、ジョンはセクシー美女バーバラをナンパするが、彼女が予想外に夢見る乙女だったので調子が狂いだす。更には、もう一人の女性エスターとも知り合ったことで、ジョンは人生の一大事を迎えることになる・・・。
【感想と雑談】
ジョセフ・ゴードン=レビットは、『インセプション』('10)や『ダークナイト/ライジング』('12)でのスマートで堅物なイメージが強かったので、今回の変貌具合にはちょっと驚いてしまいました。主人公ジョンを演じるだけでなく、脚本と監督までやってるなんて、
これがジョセフの本気ってやつ。
クラブでナンパしては持ち帰り、自宅で合体し終わると、添い寝する美女をそっと退け、ジョンは別室でパソコンをパカと開けます。そしてポルノサイトを呼び出し、今日のオカズとなる動画を物色します。ポルノ動画の快楽こそ至高とのたまうジョン。この時ターゲットオンすると全力投球でアヘ顔になるところ、全盛期のロバート・パトリックを思い出してしまいました。液体金属ロボT−1000の人。ちょっと似てませんかね。
今回の目玉はスカーレット・ヨハンソンでありましょう。我らがスカヨハ。ビバ!スカヨハ。ブロンドセクシー美女バーバラ役の匂い立つエロさ本領発揮ですよ。本当に素晴らしい。ジョンの期待とは裏腹に純愛と家庭を重んじるバーバラは、初デートでいきなりジョンを映画に誘いますが、当然それは恋愛作品だったりします。スクリーンを恍惚な表情で見つめるバーバラの顔面ドアップは圧巻です。
ここで鑑賞する架空の恋愛作品ですが、恋人同士をチャニング・テイタムとアン・ハサウェイが演じています(笑)。街角で出会い、愛し合い、ビンタを食らい、涙ながらに許しを乞い、遂に結婚し、そしてオープンカーで疾走する、というもの凄くベタな展開にジョンは辟易しますが、それでもバーバラの超絶セクシー美女ぶりに、今までない感情で突き進むことになります。わかる、わかるぞ。しかし、付き合っていくうちに、バーバラに対し違和感を覚えることになるジョンです。
ところどころ登場するジョンの家族がまたいい感じです。マフィアみたいなパパはタンクトップ姿でやたら凄むけどジョンに彼女ができたことを嬉しそうにするところが可愛い。ママも豪快で明るくて可愛い。妹はいつも無口でスマホを弄ってるけど実は有能だったりする。この家族と共に日曜礼拝に参じる度、ジョンは婚前の性交渉とポルノ鑑賞(笑)を懺悔しますが、その様は逆に自分の罪を正当化しているようにも見えます。宗教のスタイルも様々なのでしょうか。
絶好調なジョンの前に現れる熟女エスターを演じるはジュリアン・ムーア。登場した途端、いきなり泣きだします。『ブギーナイツ』('97)でも離婚調停で親権を奪われ号泣するポルノ女優役をやってたのでどうしても重なってしまいました。あれは名演技でありました。バーバラとは真逆の性格を備えたエスターの登場によって、ジョンの人生に変化が起こります。エスターが示すジョンへの態度は、バーバラとは対象的に心地よいものです。ビバ!スカヨハに変わりはないですが、年上の女性もいいものですね。一方、かつて『がきデカ』でこまわり君がいった「年上にも限度がある」にも同感ではありますが。意味不明。
中盤、バーバラがジョンの嘘つき行為を問いただすところは、スカヨハのプンプンすぎる演技が可愛いし大笑いもできたので、コメディに間違いないなとは思いましたが、この作品、間違いなくファミリー鑑賞はNGです。ポルノ動画やポルノ用語が満載ですので。こういう男性の心理を描いた作品は、女性に受け入れられるのか嫌悪感を抱かれるのか気になるところです。
もの足りなさは感じますが、こういう題材を面白い視点でさらりと描いている辺り、ジョセフ・ゴードン=レビット監督の今後に期待したいと思います。次作もスカヨハを起用して下さい。
ところで、ジョンが閲覧しまくるのが『PornHub』というポルノサイトなんですが、これ実在するサイトなんですね。動画配信だけでなくオリジナル商品も発売しているアメリカでは大手のサイトのようです。で、最近、このサイトへのアクセス数が激減した期間があったそうで、それがアメリカ産ゲーム『Fallout4』が発売された直後のことだそうです。RPGの最高峰といわれる大人気のシリーズ最新作なので、世界中の男性陣はポルノそっちのけでプレイに没頭したという(笑)。わかる、わかるぞ。
スカヨハの体のラインが凄すぎる。
<追記>
ジョセフはロバート・ゼメキス監督の最新作『ザ・ウォーク』('15)で究極の綱渡り師を演じるようですね。シリアス系ですがゼメキス印のジョセフも楽しみです。
(C)2013 Don Jon Nevada, LLC. All Rights Reserved.
【出典】『ドン・ジョン』/KADOKAWA/角川書店
●ジャンル:コメディ/ドラマ/ロマンス
●上映時間:90min
●製作年:2013年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジョセフ・ゴードン=レビット
◆出演:ジョセフ・ゴードン=レビット、スカーレット・ヨハンソン、ジュリアン・ムーア、トニー・ダンザ、グレン・ヘドリー、ブリー・ラーソン、ロブ・ブラウン、ジェレミー・ルーク、その他ポルノ動画大勢
【ストーリー】
アメリカ。リア充の独身男ジョンは夜な夜なナンパする人生を送っていた。今日も美女とベッドインしたジョンは、事が終わった後である行為に没頭する。それはネットでポルノ動画を鑑賞し全力投球することであった。生身の女性とどれだけ付き会おうが、ジョンはポルノ動画に別次元の快楽を求めていたのである。ある日のこと、ジョンはセクシー美女バーバラをナンパするが、彼女が予想外に夢見る乙女だったので調子が狂いだす。更には、もう一人の女性エスターとも知り合ったことで、ジョンは人生の一大事を迎えることになる・・・。
【感想と雑談】
ジョセフ・ゴードン=レビットは、『インセプション』('10)や『ダークナイト/ライジング』('12)でのスマートで堅物なイメージが強かったので、今回の変貌具合にはちょっと驚いてしまいました。主人公ジョンを演じるだけでなく、脚本と監督までやってるなんて、
これがジョセフの本気ってやつ。
クラブでナンパしては持ち帰り、自宅で合体し終わると、添い寝する美女をそっと退け、ジョンは別室でパソコンをパカと開けます。そしてポルノサイトを呼び出し、今日のオカズとなる動画を物色します。ポルノ動画の快楽こそ至高とのたまうジョン。この時ターゲットオンすると全力投球でアヘ顔になるところ、全盛期のロバート・パトリックを思い出してしまいました。液体金属ロボT−1000の人。ちょっと似てませんかね。
今回の目玉はスカーレット・ヨハンソンでありましょう。我らがスカヨハ。ビバ!スカヨハ。ブロンドセクシー美女バーバラ役の匂い立つエロさ本領発揮ですよ。本当に素晴らしい。ジョンの期待とは裏腹に純愛と家庭を重んじるバーバラは、初デートでいきなりジョンを映画に誘いますが、当然それは恋愛作品だったりします。スクリーンを恍惚な表情で見つめるバーバラの顔面ドアップは圧巻です。
ここで鑑賞する架空の恋愛作品ですが、恋人同士をチャニング・テイタムとアン・ハサウェイが演じています(笑)。街角で出会い、愛し合い、ビンタを食らい、涙ながらに許しを乞い、遂に結婚し、そしてオープンカーで疾走する、というもの凄くベタな展開にジョンは辟易しますが、それでもバーバラの超絶セクシー美女ぶりに、今までない感情で突き進むことになります。わかる、わかるぞ。しかし、付き合っていくうちに、バーバラに対し違和感を覚えることになるジョンです。
ところどころ登場するジョンの家族がまたいい感じです。マフィアみたいなパパはタンクトップ姿でやたら凄むけどジョンに彼女ができたことを嬉しそうにするところが可愛い。ママも豪快で明るくて可愛い。妹はいつも無口でスマホを弄ってるけど実は有能だったりする。この家族と共に日曜礼拝に参じる度、ジョンは婚前の性交渉とポルノ鑑賞(笑)を懺悔しますが、その様は逆に自分の罪を正当化しているようにも見えます。宗教のスタイルも様々なのでしょうか。
絶好調なジョンの前に現れる熟女エスターを演じるはジュリアン・ムーア。登場した途端、いきなり泣きだします。『ブギーナイツ』('97)でも離婚調停で親権を奪われ号泣するポルノ女優役をやってたのでどうしても重なってしまいました。あれは名演技でありました。バーバラとは真逆の性格を備えたエスターの登場によって、ジョンの人生に変化が起こります。エスターが示すジョンへの態度は、バーバラとは対象的に心地よいものです。ビバ!スカヨハに変わりはないですが、年上の女性もいいものですね。一方、かつて『がきデカ』でこまわり君がいった「年上にも限度がある」にも同感ではありますが。意味不明。
中盤、バーバラがジョンの嘘つき行為を問いただすところは、スカヨハのプンプンすぎる演技が可愛いし大笑いもできたので、コメディに間違いないなとは思いましたが、この作品、間違いなくファミリー鑑賞はNGです。ポルノ動画やポルノ用語が満載ですので。こういう男性の心理を描いた作品は、女性に受け入れられるのか嫌悪感を抱かれるのか気になるところです。
もの足りなさは感じますが、こういう題材を面白い視点でさらりと描いている辺り、ジョセフ・ゴードン=レビット監督の今後に期待したいと思います。次作もスカヨハを起用して下さい。
ところで、ジョンが閲覧しまくるのが『PornHub』というポルノサイトなんですが、これ実在するサイトなんですね。動画配信だけでなくオリジナル商品も発売しているアメリカでは大手のサイトのようです。で、最近、このサイトへのアクセス数が激減した期間があったそうで、それがアメリカ産ゲーム『Fallout4』が発売された直後のことだそうです。RPGの最高峰といわれる大人気のシリーズ最新作なので、世界中の男性陣はポルノそっちのけでプレイに没頭したという(笑)。わかる、わかるぞ。
スカヨハの体のラインが凄すぎる。
<追記>
ジョセフはロバート・ゼメキス監督の最新作『ザ・ウォーク』('15)で究極の綱渡り師を演じるようですね。シリアス系ですがゼメキス印のジョセフも楽しみです。
(C)2013 Don Jon Nevada, LLC. All Rights Reserved.
【出典】『ドン・ジョン』/KADOKAWA/角川書店
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