
●ジャンル:アドベンチャー/コメディ
●上映時間:99min
●製作年:2015年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー
◆出演:エド・ヘルムズ、クリスティナ・アップルゲイト、スカイラー・ギゾンド、スティール・ステビンズ、チェビー・チェイス、クリス・ヘムズワース、レスリー・マン、ビヴァリー・ダンジェロ、チャーリー・デイ、ノーマン・リーダス、レジーナ・ホール、その他大勢
【ストーリー】
アメリカ。国内線パイロットのラスティは、愛する家族と幸せな生活を送っていたが、一方ではマンネリも感じていた。妻のデビーが毎年の丸太小屋バカンスに飽きていることを知るや、ラスティは一念発起し新たなバカンスを計画する。それは家族で4000キロ先の遊園地ワリーワールドに向けて旅をすることだった・・・。

【感想と雑談】
ちょっとベタなパッケージに身構えてしまいましたが、クリスティナ・アップルゲイトが出てるんですね。思い入れのある女優なので興味が湧いてしまいました。あ、よく見たらマイティソーのクリス・ヘムズワースも出てるとか(笑)。これはいったい。
なんという絶品コメディ。
ああやっぱアメリカって凄いわ、と唸らせるほどのセンス・オブ・バカ度です。オープニングタイトルから早くも一般人のバカンス写真を使った二段オチ演出に、これはイケる!!と確信しました(笑)。本編でのキャラクタの造形は素晴らしく、どいつもこいつも特徴的で無駄なく立ちまくり状態です。シーン毎にとにかく笑える仕掛けがテンコ盛りで、コメディとはそういうものですがとにかくいい。
冒頭、国内線パイロットのラスティが乱気流で大揺れしながら乗客の美人ママのおっぱいを鷲掴みにするという、「ドリフ大爆笑」(古いよ)さながらのコントが素晴らしいです。観る人の心も鷲掴みです。演じるエド・ヘルムズをじっくり見たの始めてなんですが、いいコメディアンですね。

ちょっと疲れた感じの妻デビーを演じるのがクリスティナ・アップルゲイトなんですが、大好きな『ビッグ・ヒット』('98)に出ていたことで印象付いてる女優です。初めは普通の良きママですが、歴戦のコメディエンヌがそれを許すはずもなく、ネジが徐々に外れて台詞どころか体当たりで下品ネタに突撃していくところは感動ものです。女優の鑑です。好きだぞクリスティナ(笑)。
また、息子兄弟の設定にもツボりました。暴力的な弟が温和すぎる兄をしょっちゅうイジメるという、過激で可愛くもある兄弟関係には大笑いしました。女の子に見とれている兄に弟が突然ビニール袋攻めするところは、その状況やBGMも相まって神がかりでしたし、のちに再度ビニール袋攻めが活かされるところは痛快でもありました。何度も見直したいシーンです(笑)。
こんな家族が西海岸の遊園地に向かう4000キロの珍道中は『なんちゃって家族』('13)の比ではないと思いました。旅の過程で思い出作りをしたいパパは色んなサービスをしますが、その全てが豪快なトラブルに繋がってるのが楽しいです。珍道中をサポートするのはキャンピングカーではなくアルバニア製の謎のセダンで、これだけでも飛び抜けたアイテムなんですが、特にある言語で暴走するカーナビに息子が「なんでこんなに怒ってるの?!」と呆れるところは、作り手のわかってる感がヒシヒシと伝わる瞬間でした(笑)。

『モンスター上司』('11)の脚本コンビが手がけていて、その経緯もあってか脇役陣もなかなか豪華ですね。コメディ役者系では、ママ友のレジーナ・ホール、脳天気バカ嫁のレスリー・マン、急流下りガイドのチャーリー・デイ、なんてのが飛び抜けていました。ところで、ラスティの豪傑父親のチェビー・チェイスは本作に繫がる前日譚『ホリデーロード4000キロ』('83)で同じ役をまんま演じられていたんですね。母親役も本作と同じくビヴァリー・ダンジェロで。世代をまたがった一大ドラマになってるんだこれ。
強烈な髪型でリスペクト俺様のクリス・ヘムズワースや、謎のトラック野郎のノーマン・リーダスには、そんな役もやるんだとビックリですが、やはり真の役者ほど潔くバカ役もこなすということですね。凄くわかります(笑)。そういえば冒頭の乱気流でいじられる乗客親子のパパ役をコリン・ハンクス(トム・ハンクスの息子)がやってました。だから何って感じですが(笑)。
本作のいいところは、ハチャメチャ路線のところ、それでも根底には家族の幸せを願う思いがあるところです。国際線パイロットとの確執から繫がるクライマックスで目的をやり遂げようとする家族の結束はカタルシス以外のなにものでもないです。下品なネタが多いですが、どのシーンも愛さずにはいられない魅力ある作品です。
吹替でも観たのですが、やはりコメディってのは化けるものですね。翻訳やアドリブの妙もあってか、オリジナル音声とは違った面白さを感じます。コメディ作品はベテラン声優も本領発揮の場ではないでしょうか。ぜひ吹替でも観て頂きたいです。
しかし、4000キロのドライブ旅行ってどんなよ。
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【出典】『お!バカんす家族』/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント