
●ジャンル:アクション/犯罪/ドラマ/スリラー
●上映時間:110min
●製作年:1976年
●製作国:スウェーデン
●言語:スウェーデン語
●カラー:カラー
◆監督:ボー・ヴィデルベルイ
◆出演:カール・グスタフ・リンドステット、スヴェン・ヴォルテル、トーマス・ヘルベルク、ホーカン・セルネル、ビルギッタ・ヴァルベルイ、その他大勢
今年も終わりですね。色々と大変な年でありましたが、そんな年の最後を飾るのに選んだ作品がコレです。前回の記事は『刑事ジョン・ブック』でした。で、今回は『刑事マルティン・ベック』。おお、”刑事”と”ック”繋がりじゃないか、とプチ感動してますが、別に狙った訳ではないです。偶然です、偶然。
【ストーリー】
スウェーデンはストックホルム。ある病院で患者が惨殺される事件が発生。殺人課のベテラン刑事マルティン・ベックは、被害者が同業のニーマン警部であることに動揺しつつも、彼が大勢から恨みを買うような人物だったことから、犯人の動機が復讐心にあることを確信する。やがて、地道な捜査から犯人を絞り込み、事件も解決かと思われた矢先、ストックホルム市内で大乱射事件が発生したとの連絡がベック刑事に入る・・・。

【感想と雑談】
レンタル屋でふと目に入った作品。パッケージのデザインが、いい感じのレトロ具合。スウェーデン産の刑事ドラマです。ハリウッド産の同様のジャンルは腐るほど観てきましたが、ヨーロッパ産といえば『ダーティ・デカ まかりとおる』('77)というイタリア作品くらいしか観たことがありません。因みにこの『ダーティ・デカ~』は半端なくヘボかった記憶しかないです。
さて、今回の刑事ドラマ。開始早々、夜の病院です。入院中のオッサンがふと横に目をやると、窓越しの暗闇に人間の目が浮かびます。オッサンをじーっと見てるの。くっきりと目だけが。おいぃぃ。このカットやたらと怖い。ここでオッサンよせばいいのに窓に近寄ると、飛び込んできた犯人に銃剣でメッタ刺しにされます。血の量も多くて生々しい描写。ヘタなホラーよりも恐ろしい展開です。因みにこの時の撮影、豚の血液を使ったのだとか。やたら色合いや固まり具合がリアルだったのも納得です。
事件発生ということで主人公の刑事マルティン・ベックの登場です。若くてイケメンな刑事を想像していたのですが、これが見事にベテランのオッサン刑事。殺人課の他の刑事らも皆オッサン領域だったりします。そんな刑事らが腰を据え聞き込み調査を行なう様を、さり気ない動作を交えながら、警察内の人間関係を含めじっくり淡々と描いていきます。
どちらかというと日本のサスペンスドラマに近いノリかな。まあそれよりも上をいく感じで、冒頭の刑事らの日常勤務にホンモノの麻薬常習犯を登場させたり(ちゃんと台詞あり)、警察署含め殆どをロケで撮影してたりと、現実性を追求した空気で充満しきっています。華も殆どないし。ヨーロッパ産特有の空気もあるのでしょうが、実際どこの国でも捜査状況ってこんな感じなんだろうなと思いますね。ところで、刑事の一人が下半身丸出しで登場し妻と合体するシーンがあったのですが、これぞスウェーデンってやつなんでしょうね。ボカシもバッチリだし。
終始こんなペースかと思っていると突然、一発の銃声が鳴り響いて急展開に。犯人がストックホルム市内のビルの屋上から大乱射をおっ始めます。凄い緩急の付け方ですね。二部構成かよと思えるくらい。まさに静と動。静かだったカメラワークも刑事らの動向に合せて慌しくなります。この時の俯瞰で捕らえたストックホルムの町並みがカラフルで美しいこと。誰が見てもヨーロッパ作品であることがわかります。
大勢の警官らが射殺され、ヘリコプターまで撃ち落されたりと、結構手に汗握る展開になりますが、ラストは意外にあっけない締めくくりに感じました。え、事件はそれで終わり?そしてベック刑事のその後は?詳しくは書きませんが、ヘタに盛り上げるよりも、こいうバッサリ感なラストを持ってくるのも、本作の魅力の一つなのかもしれません。
これ原作は有名なシリーズ小説なんですね。作者はスウェーデンのマイ・シューヴァルとペール・ヴァールーの夫妻。他の映画化作品では『マシンガン・パニック』('73)もそうなんですね。これも面白かったな。昔から自分との接点があったんだと感慨深くなりました。って単なる勉強不足なだけか。
70年代のスウェーデン作品は初体験でしたが、丁寧な刑事ドラマが味わい深くて、また大群衆パニックに実物のヘリコプターを落としたりするスペクタクルな見せ場まで押さえていて、意外な拾い物でありました。DVDには特典が付いていて、まだチラ見しかしていないので、今度じっくり観てみようと思います。
さて、本記事で今年は最後となります。更新をもっと伸ばしたかったのですが、これはまた来年の目標にしようかと思います。
今年も訪問頂いた皆様どうもありがとうございました。来年は皆様にとって良い年となりますように。
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【出典】『刑事マルティン・ベック』/紀伊國屋書店