
●ジャンル:ドラマ/アクション/犯罪
●上映時間:106min
●製作年:1995年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:J・F・ロートン
◆出演:クリストファー・ランバート、ジョン・ローン、ジョアン・チェン、原田芳雄、島田陽子、夏木マリ、岡田真澄、その他大勢
今回は日本を舞台にしたアメリカ映画です。この出演陣を見てどう思われるでしょうか?たぶん皆さんの予想は当たってます。クリストファー・ランバートって、今なにやってるんだろう?
【ストーリー】
日本に出張中のフランス人ラシーヌ。仕事が成功した勢いで、ホテルで日本人女性キリナをナンパ。夜の名古屋を満喫する。当然その後に一発キメる二人だったが、突然ホテルに侵入してきた忍者一族マカトにキリナは殺されてしまう。ラシーヌも手裏剣を撃ち込まれたが、なんとか一命を取りとめ入院する。この騒ぎを知りラシーヌの前に現れる剣術家タケダと妻ミエコ。タケダ家は200年前にマカトに滅亡寸前まで追いやられた苦い経験があった。子孫のタケダはマカトへの復讐に燃えていたのだ。 タケダはラシーヌと共に新幹線に乗り名古屋を後にする。
一方、マカトの首領キンジョーは、キリナ殺害の目撃者ラシーヌを逃したことが大ショックであった。一族の恥とばかりにラシーヌにトドメを刺そうと躍起になるが、タケダがこれを簡単に許すはずはなかった。やがて舞台を離れ小島へと移し、最終決戦を迎えるタケダとキンジョー。それを眺めながらも、キリナのことが忘れられないラシーヌは、ある行動に出るが・・・。
【感想と雑談】
同名タイトルでウィリアム・フリードキン監督の作品がありましたが、こちらはそれよりも10年も前の親分肌な作品です。簡単には太刀打ちできないオーラが漂っています。『ブラックレイン』に続けとばかりに、日本の古くからの伝統をベースに、外人ビジネスマンが事件に巻き込まれる様を真剣に描いてます。立派なユニバーサル映画でもあります。しかし、開始早々感じる胸騒ぎ。脚本は監督でもあるJ・F・ロートン。大の日本通らしいですが、本作は特異でトンチンカンな空気を漂わせ、最終的にはジェット噴射。またやってしまいました。
いきなり夜の名古屋から始まり、クリストファー・ランバート演じるラシーヌがウハウハしながら登場します。繁華街の栄で気前良くロケしています。私が元働いていた街なので、懐かしい感じがしました。日本人に作れない半導体でガッポリ契約が取れたとか、ちょっとムカつくことを抜かしながらラシーヌはホテルでキリナを口説きます。キリナを演じるのはジョアン・チェン。普通に英語を喋りますが見た目は日本人なので大丈夫です。キリナの部屋は和室で、続きの襖を開けると浴槽が登場。脱衣場とか洗い場はありません。居間と直結してます。これってアメリカ人の願望なんでしょうか。浴槽に思い切り飛び込まれると、ホテルも大変なことになりますね。
キリナを殺害しラシーヌに重症を負わす忍者キンジョーを演じるのはジョン・ローン。こちらもパッと見は日本人で、日本語と英語を使い分けるのですが、日本語がどう聞いても吹替えで全然アンマッチ。英語を喋ってたかと思うと突然日本語にスイッチし観る者を混乱させます。なんというチャンポン。声質違いすぎ。後の忍者の里では、仲間と押し問答をするところでオール英会話。忍者は全員日本人の設定なんだけどな。キンジョーがキリナを殺害する理由なのですが、これが一目惚れしたキリナにあっさりふられた金持ちボンボンが、腹いせにマカトに仕事を依頼しただけのことで、深みなど殆どありません。スカスカです。
怪我しながらも病院を抜け出したラシーヌは、また夜の名古屋をうろつきます。ここで名古屋名物のパチンコ屋に入ります。すると追っ手の忍者も入ってくるのですが、コートで変装したつもりが足袋はそのままなのでラシーヌにバレてしまいます。ラシーヌは店にいた女の子にタクシーを呼んでもらいます。ここで名鉄タクシーが登場。懐かしかったです。列車に乗りたいラシーヌが、一緒に乗った女の子に「ポッポー、シュシュシュー」と言うと、女の子は理解して運転手に駅に行けと命じます。安堵するラシーヌ。結構サスペンスですね。
ラシーヌを助け、忍者一族マカトへの復讐に燃えるタケダ夫妻。演じるのは原田芳雄と島田陽子。厳格な剣術家タケダと清楚な日本女性ミエコをそれぞれ演じていました。原田芳雄はとにかくカッコよかったです。日本刀をブンブン振り回してました。
本作最大の見せ場が、新幹線での大攻防戦。迫力のアクションと不思議な新幹線が拝めました。タケダと共に名古屋-三島間を移動するラシーヌを殺害する為、キンジョーが放ったくの一ジュンコが大活躍。演じるのは夏木マリ。顔付きが良すぎます。パーサーに扮したジュンコが運転席までお茶を持っていくと、運転士はジュンコを見て「お、新入りかぁ♪」と嬉しそうに返します。このトンチンカンなやり取りを起爆剤に、新幹線が大暴走を開始します。
運転士を殺害し自動操縦に切り替えたジュンコと忍者軍団は、ラシーヌ一人の為に乗客全員を殺害しながら後方車両へと移動していきます。この時ジュンコは座った目で「列車を血で染めて世界中にメッセージを送る」とか、恐ろしいことを抜かします。
タケダは後方車両でテーブルを切り付け気合を入れると(危ないなぁ)、前方車両に移動し忍者を独りずつ迎撃していきます。結構狭い車両ながらも見事な剣さばきを見せてくれて、これまたカッコよかったです。この時ミエコも弓矢で応戦し、ちょこっとだけ『ブレイド3』のジェシカ・ビールを思わせるのでした。
新幹線の内部は、強烈で豪快な殺陣演出に狭すぎたのか、はたまたJRが非協力だったのか、セットを組んで撮影していました。なので、何かが違う新幹線の内部が堪能できました。説明し難いのですが、観た人は間違いなく「何これ」と思うはずです。また、走行中の新幹線が所々挿入されるのですが、映される度にその姿が100系→0系→300系→0系へとトランスフォーム。一貫性がないのが残念でした。
三島に到着すると、惨状と化した新幹線の中で警察から事情聴取を受けるタケダ一行ですが、暢気な警察に問題視されず、その場から開放されます。本作では警察やマスコミの介在は殆どありません。何の変哲もない現代の日本が舞台となってるように見えるのですが、忍者一族マカトやタケダ一族の扱い方からすると、もう一つの日本、一種のパラレルワールドになっているようです。
後半に入ると舞台は離れ小島へと移り、元気になったラシーヌは酔っ払いジジイ(訛り激しくて意味不明)に剣術を習ったり、タケダと喧嘩したりします。ミエコはフォローに忙しくなります。タケダはラシーヌを餌にキンジョーを呼び寄せ、最終決着を付けようと目論見ます。ノコノコやってきたキンジョーと一騎打ちするタケダ。物陰から二人を見つめるラシーヌ。そんな3人の運命は?あとミエコは??どーなる???
出番が短いながらも強烈な印象を残した夏木マリですが、テレビ番組の『いつみても波乱万丈』に出た時、唯一出演したハリウッド映画のことを話していました。タイトルは言わなかったのですが、本作であることは間違いなかったです。色々と秘話を聞かせてくれたのですが、スケベなジョン・ローンからやたら脱げと言われ、激怒した夏木は「私はそんな女優じゃない」と一喝したそうです。新幹線のことは一言も触れなかったのですが、あの大虐殺スパークぶりからするとこっちの方が一大事なんじゃないでしょうか。
という訳で、気になった方は、是非ご覧になって下さい。散々書いてしまいましたが、J・F・ロートン監督の思いを汲んで観てやれば、意外な面白さが堪能できるかもしれません。でなければ脱力します。かなり。きっと。
【The Hunted (6/9) Movie CLIP - Train Face-Off (1995) HD 】
新幹線の中でこんな殺陣をやってます。
【出典】『ハンテッド』/ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン