●ジャンル:アドベンチャー/SF/スリラー
●上映時間:107min
●製作年:2007年
●製作国:イギリス/アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ダニー・ボイル
◆出演:キリアン・マーフィ、真田広之、クリス・エヴァンス、
ミシェル・ヨー、ローズ・バーン、クリフ・カーティス、
ベネディクト・ウォン、トロイ・ギャリティ
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蒸し暑いです。早く梅雨が明けて欲しいですね。まあ、その後も更に蒸し暑くなるのでしょうが(笑;)。
【ストーリー】
太陽が衰え始めた2057年、地球には氷河期が訪れていた。太陽を復活させるには核爆弾を撃ち込み再燃させるしかない。過去に作戦決行したものの失敗に終わったイカロス1号に続き、改めて選ばれた8名のクルーがイカロス2号で再出発する。暫く航行も順調だったが、水星の軌道に差し掛かった頃、イカロス2号はある電波を受信する。それは消息不明となっていたイカロス1号からの救命信号だった。そのまま救出に向かえば航路を変えるというリスクが伴うが、まだ使用していないと見られるイカロス1号の核爆弾を合わせれば作戦の成功率もアップする。イカロス1号の救出を決断したクルーらは、イカロス2号の航路を変更する。しかし、それが最強の貧乏クジであることをクルーらは知る由もなかった・・・。
【感想と雑談】
生命の源である太陽が貧弱となった為に、選ばれたクルーらが命をかけて核爆弾を撃ち込みに向かう。このプロットにどうしても思い出す作品がありました。『クライシス2050』というSF作品ですが、皆さんご存知でしょうか?
もう20年ほど前になりますが、学研とNHKが企画しスタッフや役者の殆どをハリウッドに発注し制作したという、嫌な予感満載の作品です。同時期にNHKは、これに登場する巨大な球状宇宙船ヘリオス号とクルーの一人を演じた別所哲也を、『銀河オデッセイ』という連続ドキュメンタリにも登場させ、延々宇宙を航行するという二股かけるような企画をやっていました。
この『銀河オデッセイ』は素晴らしかったです。宇宙の遥か彼方の様子を、最新のCGと独自開発した望遠カメラを用いて、とてもリアルに美しい映像で拝ませてくれました。銀河系中心のエネルギー放出の様子や、レンズ効果として表現されるブラックホールの姿などなど、これぞNHKドキュメンタリな出来栄えでした。
肝心の映画『クライシス2050』は、膨張し始めた太陽を元に戻すためにヘリオス号を向かわすというもので、特撮をリチャード・エドランド、デザイン関係をシド・ミード、役者にチャールトン・ヘストンという、とても豪華な布陣だった訳ですが、これが心に何も残らないダメダメな出来となっていました。責任放棄なキャプテンを始め誰一人頼れるクルーはいないし、一方で地球では老軍人が孫を探してウロウロしたり、悪の企業が暗躍したりと、太陽が一大事の割にベクトル散らかしっ放しで暴走してる感じ。
記憶が曖昧なところもありますが、肝心な太陽とヘリオス号がどうなったことより、チャールトン・ヘストンが地上でバズーカをぶっ放すラストを覚えているという、テーマからかけ離れた印象を残す作品となってました。因みに、観に行った劇場では日本語吹替えとなっていました。キャプテンが放つ「そんなこと知らねーよ!一体どーすりゃいいんだ!!」というスーパー投げやりな台詞が耳に残ってます。当時としては吹替えは珍しいのかな?学研&NHK制作だからかよくわかりませんが、完璧に見た目は外国作品なので、いらんことすんなやと、数人しかいない劇場で怒ったものです。
まあ、以上は私個人の記憶の範囲ですので間違いもあるだろうし、実は見所もあったかもしれません。
と、こんな思い出があったものですから、今回の『サンシャイン2057』には、つい身構えてしまうのでした。前置き長くなりました(笑;)。
さすがに学研&NHKは絡んでいないと思いますが、どうしてこうも似たような題材にしましたかね。イギリス映画で監督もダニー・ボイルがやってるせいか、中身の方はかなり丁寧に一本筋で話は進みます。いきなり宇宙船が航行しているところから始まって、クルーらの日常生活が描かれます。一人のクルーは行き先に何かを見出そうとしているのか、やたら窓から太陽を直視しようとします。太陽の核心に迫ろうとする神秘的な雰囲気も漂ってます。
『クライシス2050』では描かれなかった(と思われる)科学的考証もしっかりしてるなと思いました。太陽に接近しているので直感的に高温に晒されるんだろうな、と思ってしまうのですが、この宇宙船は細い船体の前方に巨大な傘状の遮光板が付いてるだけなんですね。太陽光に晒される物質があって初めて温度が上昇する訳で、太陽光に晒されない部分はどこにいても真空の宇宙に変りないのです。
太陽の間近でドッキングしたイカロス1号と2号がある事故で切り離されてしまいます。その際に宇宙に放り出されたクルーの身体は真空の為に凍結し船体に当たった拍子に腕が砕けますが、遮光板の陰から飛び出た途端、太陽光によって一瞬で蒸発してしまいます。太陽の間近でこういった演出にはちょっとビックリしましたが、考証はしっかりしている訳で唸ってしまいますね。
その一方で、ちょっと記憶が怪しいのですが、重力の作り方については、はっきりしていないように思いました。遮光板の内側にある部屋から太陽を見る時にクルーは普通にイスに座ったり歩いたりしてたし。ちょっと考えてしまったのですが、ひょっとすると船体そのものが回転して重力を出していたのかもしれませんね。レンタル返しちゃったので再確認できないなあ(笑;)。ご存知の方いらしたら、是非ご指摘下さい。
また、人間の心理描写として極限状態に置かれたクルーがプログラミングでうっかりミス(設定忘れ)をするところに、考えさせるものがありました。これが発端となって、話はドツボにはまっていくのですが、当事者の本人には苦痛だけが残り、周りのクルーらにも被害が及びます。これはかなり教訓となりましたね。クルーがそれぞれ専任化していて少人数で効率的に仕事を進めるのはいいのですが、人間はミスを犯すものとしてチェック機能を設けなかったことは大問題。映画では展開上仕方ないですが、現実ではしっかり取り組みたい問題です。
トラブルが多発しながらも、残ったクルーが如何にして核爆弾を投下し、太陽を無事復活させるのかが焦点になる訳ですが、話は思わぬ方に進んでしまいます。イカロス1号に関わる事項で詳しくは書けないのですが、個人的にはちょっとボケたかなあ、という感想です。進むに連れてクルーがどんどん犠牲になっていくところも頂けなかったです。善によって悪がどんどん昇天していくのは大歓迎なんだけどな。なので同じようなテーマの『ザ・コア』も苦手で、しかも東宝特撮みたいな豪快なシーンが登場するだけに残念なところです(笑;)。
現実的に考えたら行けっこない太陽に何かを求めようとしたのかな。恒星によっては巨星から白色矮星へと移行して、爆発後に中性子星やブラックホールに姿を変えたりしますが、その重力は並大抵のものではありません。光も抜け出せない領域が出来た時、そこに人間が行けたとしたら一体どうなるのか。普通に考えると強い重力によってバラバラになりそうですが、相対性理論とかの概念を入れると時間軸にも影響が出てそれだけの結果に終わるものでもないそうです。ちょっと大袈裟ですが、こういう要素も含んでたのかな、とも思いました。
『クライシス2050』よりはずっと素晴らしい出来ですが(笑;)、やっぱし『ツイスター』みたいに昇天も少なく、ちょっとでも元気がもらえるような展開がいいですね。・・・って竜巻と太陽では規模が違いすぎるか(笑)。
植物好きのコラゾン役を演じるミシェル・ヨー。残念ながら自慢のスコーピオンキックは封印されてます。