2016年2月13日土曜日

映画『しあわせはどこにある』・・・ ロザムンド・パイクとの同棲に戦慄を覚えますが大丈夫ですたぶん

●原題:Hector and the Search for Happiness
●ジャンル:アドベンチャー/コメディ/ドラマ
●上映時間:120min
●製作年:2014年
●製作国:イギリス/ドイツ/カナダ/南アフリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ピーター・チェルソム
◆出演:サイモン・ペグ、ロザムンド・パイク、ステラン・スカルスガルド、ジャン・レノ、トニ・コレット、クリストファー・プラマー、伊川東吾、バリー・アトスマ、その他大勢

【ストーリー】
イギリス。精神科医のヘクターは何の問題もなく日々の生活を送っていた。同棲する恋人クララもそんなヘクターを愛情いっぱいに世話してくれていた。しかし、患者へのカウンセリングを繰り返すうちに、ヘクターは果たして自分は幸せな人生を歩んでいるのだろうかと疑問を持ち始める。意を決したヘクターは、クララをひとり残して幸せ探しの旅に出るが・・・。



【感想と雑談】
 今年一発目の映画記事です(おせーよ)。昨年の話題作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』('15)をメインに、もう1本何か見ようと徘徊して見つけたのが本作。サイモン・ペグが出演とか共通点だし、何よりもロザムンド・パイクが出てるじゃんか。パッケージもいい雰囲気。一緒に借りました。

 すまんトム、こっちの方が面白かったわ。

 どっちも世界を股にかける一大スケールな展開で結構命がけなところも共通点なんですが、異国の旅路でいろんな経験を積むロードムービー的な本作の方がしっくりきましたね。自分が歳をとった所為もあるかもですが(笑)。あくまでも比較なんで『ミッション~』も十分なエンタテイメント作品で楽しかったです。

 さて、本作の主人公はサイモン・ペグ演じる精神科医ヘクター。人柄はいいのに職業柄か何かと悩みがちな男。なんですが、とにかく注目点はその恋人クララを演じるロザムンド・パイクなんですよ。冒頭、悪夢にうなされるヘクターが飛び起きると、いきなり目の前に笑顔のクララがいるの。やべえ、逃げてヘクター!!って思わず叫んじゃいそう。『ゴーン・ガール』('15)がフラッシュバックする瞬間です(笑)。

 クララは完璧な恋人ぶりで、ヘクターの健康にも気を使うし、公の場ではちゃんとヘクターを引き立てたりする。素晴らしい。素晴らしすぎて逆に裏があるのでは・・・とちょっとでも勘ぐると『ゴーン・ガール』がフラッシュバック・・・って、そういう設定じゃないから。イギリス人の血統も手伝ってか落ち着きも感じる美人さんですね。製薬会社に務める彼女がバイアグラ系新薬の話をする時、効能を示すのに拳を立てる仕草がとても可愛いと思いました。



 勿論、ロザムンド祭だけで終わる作品ではありません。ヘクターが愛するクララを置いてまで実行に移した幸せ探しの旅。異国での様々な経験やトラブルの教訓から”幸せ”の欠片をメモに書き留めていくのですが、その旅路で出会う人々がとにかく魅力的なんですね。例えば、

 中国へ向かう旅客機で出会う大企業の堅物社長エドワードを演じるはステラン・スカルスガルド。味わいある北欧男優ですね。ブスッとした態度で、ヘクターみたいな男は最も敬遠するはずなのに、何かを感じて気を許しちゃう。一緒に豪遊までしちゃったりする。がむしゃらに働いて稼いで引退して余生を送ることが幸せみたいなエドワード。

 アフリカのホテルで出会う麻薬王ディエゴを演じるはジャン・レノ。久々に見たなこの人。貫禄付いてます(笑)。メモ書きするのにディエゴから借りたペンがその後の命を左右するトラブルに関わるところは、本作が優しい世界だけで終わらないことがわかる結構な見せ場。妻の重病に悩むディエゴはヘクターに出会ったことで幸せになれるのかな。

 そして、アメリカで再会する元恋人アグネスを演じるはトニ・コレット。好きな女優です。『シックスセンス』('99)で息子から告白を受ける時の演技が忘れられません。アグネスの存在はどことなく彼女に未練がましいヘクターと現恋人クララとの関係に当然ながら影響を及ぼします。やがて、スカイプ映像に映るクララの冷めていく態度が不安を煽ることに。ここで『ゴーン(以下略



 クライマックス。沢山の出会いを経たヘクターは、最終地アメリカの大学で脳の幸せ度合いを測定する機械にかけられます。旅路での経験とクララのことを思い起こすヘクターにやがて反応しだす機械。果たして”幸せ”が何であるのか、ヘクターは解き明かすことができるのでしょうか・・・。

 オチがどうあれ、ヘクターが取った行動は意味のあることなんだなと思いました。異世界に触れることで新しきを知るというのは今更ですけど大事なことですよね。別に教訓じみてる訳ではないのですが。それと、旅路での色んな人との出会いは何かと印象的ですが、別れ際をヘタに感動的にしてないところもよかったです。

 社長エドワードは別れ際にヘクターが抱擁する素振りを見せるとスッと身を引くし(この二人の間は必見)、麻薬王ディエゴは帰国したヘクターに電話までしてあることを伝えますが捨て台詞を吐くとすぐに画面の外に去ってしまいます。あくまでもヘクターの通過点としてドライな扱いだったかもしれませんが、ヘクターの人柄が本人の気づかぬところで、幸せの何かを振りまいていたのは確かでしょうね。

 カラフルで丁寧に作られた大変見やすい作品です。サイモン・ペグとロザムンド・パイクは『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』('14)でも共演されてましたが、対極的に疲れきった設定でした。なのでロザムンドは、本作の方が嫁にしたい度No1です(笑)。


 『ゴーン・ガール』とセットで観ると危険かもしれない。


(C)2014 Egoli Tossell Film/ Co-Produktionsgesellschaft "Hector 1" GmbH & Co. KG/Happiness Productions Inc./ Wild Bunch Germany/ Construction Film. 2014 All Rights Reserved.
【出典】『しあわせはどこにある』/角川書店

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