2015年2月17日火曜日

映画『エクスペンダブル・レディズ』 ・・・女傭兵部隊がテロリスト軍団に殴りこみをかけます

●原題:Mercenaries
●ジャンル:アクション/アドベンチャー
●上映時間:89min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:クリストファー・レイ
◆出演:ゾーイ・ベル、クリスタナ・ローケン、ブリジット・ニールセン、シンシア・ロスロック、ヴィヴィカ・A・フォックス、ニコール・ビルダーバック、ティム・アベル、ジェラード・ウェッブ、その他大勢

 こよみは春ですけど、やっぱり寒いですね。この間、雪降ったし雪。まだまだ降りそうな予感がします。
 さて、前回に引き続き、今回もアルバトロス配給の作品です。割と新作ですが中身はどうなんでしょうか。

【ストーリー】
 カザフスタン。訪問中のアメリカ大統領の娘エリスがテロリスト軍団に拉致されてしまう。テロリストの女頭領ウルリーカは、娘と引き換えに我が領土に恩恵を与えよとホワイトハウスを脅迫。アメリカ大統領の側近らはエリスを救出するべく、ある傭兵部隊を秘密裏に結成する・・・。



【感想と雑談】
 思い付きそうで思い付かなかった『エクスペンダブルズ』の女性版(笑)。本家より人数は少なめですが、その分、配役で勝負なんだぜという意気込みがパッケージからヒシヒシと伝わって来ます。前回に続きアルバトロス配給なので、既に見えた気がしますが、その放っておけない女優陣に手が伸びた次第です。

 かつてのアクション作品で名を馳せた(たぶん)女優らが、様々な経歴を持つ犯罪人として登場します。まずは、テロリスト軍団の女頭領ウルリーカを演じるブリジット・ニールセン。完全にオッサンだろこれ。男装の麗人すぎる。過去の作品からしてキワモノ的な美形ではあったけど、今回の更なる貫禄の付きようはいったい。出オチですね。シルベスタ・スタローンの元嫁ということで本家との繋がりを感じますが微妙に。

 このウルリーカに対抗すべく、アメリカ政府は百洗練磨の女囚人どもをスカウト。政府の役人モナ役をシンシア・ロスロック、囚人側では戦術に精通したカサンドラ役をゾーイ・ベル、狙撃の達人キャット役をクリスタナ・ローケン、殺し屋レイブン役をヴィヴィカ・A・フォックス、そして爆弾の達人メイリン役をニコール・ビルダーバック、それぞれが演じています。

 シンシア・ロスロックは、女格闘家で数多くのアクション作品に出られてますね。香港アクションでは、サモ・ハン・キンポーと互角に戦ったりしてました。凄い人だ。本作では裏方に徹していましたが、レイブンとの確執からキレのある格闘をちょっとだけ見せてくれます。



 ゾーイ・ベルは、なんといってもタランティーノ監督の『デスプルーフ』('07)ですよね。スタントウーマン兼女優としてデビューした姿がとても印象的でした。欧米系のアクション女優って貴重だと思います。本作では45口径コルトガバメントを愛用する渋い主役級で見せ場はテンコ盛りです。

 ヴィヴィカ・A・フォックスは、タランティーノ監督の『キル・ビル1』('03)にも出てたのですね。殆ど記憶にないですが。本作では二丁拳銃とビッチで肝っ玉な言動がなかなかイカしてると思います。両手のグロック19を交互に突き出し連射する様はどうかと思いましたが。

 クリスタナ・ローケンは、実は本作で一番気になった女優です。というかファンです(笑)。彼女は『ターミネーター3』('03)に尽きるでしょうか。ギューンとオッパイ膨らまして警官を惑わし、シュワの股間を握りトイレの壁をぶち抜いてくT−Xの勇姿に、心のガッツポーズを送った諸氏は少なくないはず。終始のポーカーフェイスが真骨頂でしたが、本作では当然の人間役なので(笑)、色んな表情が拝めます。しかしもう36歳なんだ。相応の顔付きになっちゃってるな。ところで、彼女はレズをカミングアウトしてたはず。突撃してもT−Xよろしくぶっ飛ばされるだけかと思うので、遠くから眺めておくだけにしましょう。

 で、最後はニコール・ビルダーバック。この人、メンバのひとりなのにパッケージに姿がないんですよね。配給アルバトロスも失礼なことすんなよと思ったら、本国からしてそういう扱いになってるの。ジェット・リーに匹敵するアジア女優はいなかったのかな。一応、中国人役ですけど、韓国出身でドラマに多く出演されてる模様。本作では爆弾マニアで核ミサイルにウットリするコミカルな役どころです。レイブンに「どーも」と礼を言われると「それは日本語だ!」と怒ります(笑)。



 女優の見本市みたいになってしまいました。中身の方なんですが、はっきりいって安いです。終始スカスカな空気が漂っています。低予算の苦境をかなりのゴリ押しで突破してますので、画面全体の見た目と大真面目な行動をとるキャラクタとのギャップに笑えます。肝心のアクションでは、本家よろしく銃撃戦での血しぶきはド派手ですが、周辺のオブジェクトには殆ど着弾効果がなく、車や壁は頑丈で穴も空きません。爆発エフェクトはCG合成のようです。核ミサイルはスノコに積まれて登場という、もの凄いテキトー感です。

 しかし、そんな中にも見どころがあったりするのです。まず、アクションに付き物の銃火器に一風変わったタイプがあるところ。狙撃の達人キャットに役人がブレイザーR93というドイツ製の狙撃銃をいちいち説明しながら渡します。338口径ラプアマグナム弾を5発装弾とか。有名な銃なのでしょうか。ディティールに拘った印象的なシーンなのです。 それから、所々でカメラワークや演出にセンスと工夫を感じます。頑張ってると思います。

 また、銃撃戦時に敵兵が逃げていきますが、これを見たキャットが「任せれ」と狙撃銃を持ち出し、敵兵を目で追いながらノシノシ歩いてくるところ。ここちょっとした長回しになっていて画面構成と演じるクリスタナの鬼気迫る表情にグッときます。更には敵兵を睨みつけながら、狙撃銃をバイポットで固定し、スムースに伏せ撃ちに移行する辺りのカッコよさ。そして鋭い眼光。撃たれてもいいと思いました。T-Xの面影は皆無だけど。

 クライマックスのC−130輸送機を使ったアクションは、かつての007を彷彿させるほどの盛り上がりっぷりです。機内ではやっぱりスノコに積まれた核ミサイルにヒヤヒヤしながらウルリーカと大戦闘。後部のハッチが開くと機は急上昇し、彼女らはゴロゴロ転がり落ちそうになったりします。危ねえぞ。頑張れよエクスペンダブル・レディズ。

 で、どこか感心もできるんだけどやっぱり爆笑もできる、ひと粒で二度美味しい超B級作品でありました。シリーズ化されたらもっと笑えるぞきっと。


 やっぱり木曜洋画劇場を復活して欲しい。


<オマケ1>
 ブリジット・ニールセン主演の『スタークリスタル』('95)です。ブリジットはこうでなくてはいけません。なんだか『ターミネーター3』のT−Xの元祖にも見てとれますね。クリスタナ・ローケンの立場は?!



<オマケ2>
 『デスプルーフ』の頃に見つけたゾーイ・ベルの可愛いハイキックです。まず彼女のスカート姿というのが衝撃でした(笑)。



(C)2014 The Global Asylum Inc.
【出典】『エクスペンダブル・レディズ』/アルバトロス

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2015年2月7日土曜日

映画『ブロンドジャンクション』 ・・・コマンドーの監督が送る、残念な女アサシン VS 爆弾オッパイ

●原題:Betrayal
●ジャンル:アクション/ドラマ/スリラー
●上映時間:94min
●製作年:2003年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:マーク・L・レスター
◆出演:エリカ・エレニアック、ジュリー・ドゥページ、アダム・ボールドウィン、ジェレミー・レリエット、ジェームズ・レマー、ダミアン・チャパ、その他大勢

 皆さん、いかがお過ごしでしょうか?まだまだ寒いですね。インフルエンザもそうですが、そろそろ気になってくるのが花粉症です。嫌な季節ですホントに。
 さて、今回は犯罪アクションものを紹介したいと思います。いろいろ問題があって楽しい作品です。

【ストーリー】
 アメリカ。凄腕女アサシンのジェインは、今日も常連の組織から仕事を引き受ける。それは組織の売上金を横領してる下っ端の始末であった。手際よく仕事を済ませたジェインは、あろうことか売上金を持ってトンズラする。裏切られ怒り心頭の組織から逃れる為、ジェインは母エミリーと息子ケリーの親子に一般人を装いヒッチハイクを懇願する。親子は快諾するも、それがジェインとのヤバイ珍道中になろうとは知る由もなかった・・・。



【感想と雑談】
 何気に手を伸ばした作品です。パッケージの粋なポーズのブロンド美女(この時はそう見えました)に惹かれたのは当然ですが、なんと監督が『コマンドー』('85)のマーク・L・レスターで、出演陣にも思い出深い女優がいたりしてビックリ。運命の巡り合わせを感じ、即決しました。配給アルバトロス発掘のDVDスルー作品のようです。

 なにこれB級すぎるし、凄く懐かしい気分。

 始まってすぐ浮かんだのが木曜洋画劇場。展開もそうですが、垢抜けない色合いとスタンダードサイズの画面も相俟って、かつての東京12チャンネルありがとうな気分に浸れました。観る前の淡い期待(どんな)は木っ端微塵ですが、その出来が意外すぎて逆に色んな意味で収穫がありました(笑)。

 冒頭、娼婦を装った女アサシンのジェインが酒場でマフィアを始末するくだりはいい感じです。しかしこのジェイン、黙ってればいいのに汚い言動とクチもとが残念すぎる美人。クールビューティさもない自己陶酔ぎみの女。最初の印象が覆されます。演じるはフランス女優のジュリー・ドゥページ。どんな基準で起用したのか知らんですが、このB級臭さには非常にマッチしてる女優といえましょう。

 ひと仕事終えたジェインのしたり顔を拝むと、突然、砂漠のハイウェイが映されます。誰も歩いておらず何も走っていないハイウェイを15秒くらい映すと、次に角度を変えてまた同じような光景を15秒くらい・・・ということを5、6回繰り返す謎のカット。展開に向けた布石のつもりでしょうか。この辺りでコマンドーの監督にしてはどうなの、と思えると同時に笑いがこみ上げてきます。

 ジェインとは対象的に善良な親子。ママのエイミーを演じるはエリカ・エレニアック。『沈黙の戦艦』('92)をご存知の方は思い出して下さい。ケーキの中から飛び出しトップレスで踊りだすプレイメイト役を。実際プレイメイトでもあった女優です。懐かしいなあ。家賃滞納で困窮するシングルマザー役ですが、未だ健在の爆弾オッパイのせいで、ジェインを食ってしまうほどの存在感。笑えます。


(エリカ(左)の独り勝ち。そしてタイトル通りに交差するブロンド集団です)

 組織の金を奪い逃走中のジェインは、親子が車で同じ目的地に移動することを知るや、慌ててヒッチハイクを懇願します。

 ジェイン 「田舎の妹が危篤なんです。わたし足がなくて(;ω;)」

 同情した親子はジェインを乗せ目的地メキシコに向け出発。すると、ジェインは、タバコふかすは親子を見下し始めるわで、情緒不安定な女にしか見えなくなります。親子が可哀想・・・。

 休憩時、笑えるほどの唐突さで車に轢かれそうになったジェインは、殺気まる出しで、いまの車を追えと親子に迫ります。

 ジェイン 「あのゴキブリ野郎が!!とっちめてやる!!!」
 ママ      「そんな態度は止めて!落ち着きなさいよ!」
 ジェイン 「田舎の妹が・・・(;ω;)」

 急転すぎてアホか。

 モーテルで一泊することになった一行。ママ孝行の息子ケリーは、ジェインの部屋で100万ドル入りのカバンを発見します。夜、寝静まった頃、ケリーはカバンをそっと奪うと、ママの寝顔を見ながら「もうお金のことで苦労はかけないよママ」と置き手紙を残します。そして、ひとりヒッチハイクして自宅に戻ります。おい。

 翌朝、カバンを奪われたことで本性を現したジェインは、ママに拳銃を向けケリーのことを脅迫。やがて、追ってきた組織とコントみたいな銃撃戦に突入します。至近距離でショットガンが一発も当たらないスーパー銃撃戦。なんとか逃れたママは、通りがかった男に助けを求め、自宅に向かうことにします。実はこの男、話のキーとなる存在で、このあと二転三転する展開に拍車をかけます。一応スリラー要素です。


(レスリー・ニールセンのコメディ作品にもこんな銃撃戦がありました)

 一方、自宅に戻った息子ケリー。100万ドル入りのカバンを隠すと、お菓子を取り出し、くつろぎます。そして、スイッチオンしたテレビから、ジェインが指名手配中の殺人犯であることを知るや、

 ケリー 「ママがぁー!!!!(;ω;)」

 再びアホか。”殺人犯とは知らずに金を奪っちゃったんだよママ”、と猛省するケリーですが、オマエそういう問題なのか。最大の謎行動を起こす息子ケリーの顛末は爆笑ものです。

 クライマックスはジェインとママの一騎打ちで締めとなります。当然こうでなくてはいけません。ですが、ジェインも殺しのプロと豪語する割にはヘッポコすぎて、ママとの低レベルで対等なキャットファイトになってしまうのは、全体を包む空気から予想はできていましたが、やはり残念ではありました。

 ジェインのこと酷く書いちゃいましたが、実は可愛いところもあったです。今さらですが(笑)。最後の最後まで木曜洋画劇場だったな、と思わせる作品でありました。

 製作と監督をマーク・L・レスターがやってますが、かすかに片鱗はあるものの、残念ながら『コマンドー』には程遠い出来でした。18年も経って力量がなくなったのか、それとも『コマンドー』自体がジョエル・シルバー製作による奇跡の作品であったのか。どっちでもいいです。


 木曜洋画劇場を復活して欲しい。


(C)2002 Betrayal Producrions, Inc.All Rights Reserved
【出典】『ブロンドジャンクション』/パンド

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2015年2月1日日曜日

映画『イントゥ・ザ・ストーム』 ・・・竜巻が迫ってるのに、女の子とイチャイチャしてるとこうなります

●原題:Into the Storm
●ジャンル:アクション/スリラー
●上映時間:89min
●製作年:2014年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:スティーブン・クォーレ
◆出演:リチャード・アーミテージ、サラ・ウェイン・キャリーズ、マット・ウォルシュ、マックス・ディーコン、ネーサン・クレス、アリシャ・デブナム・キャリー、アーレン・エスカペータ、ジェレミー・サンプター、その他大勢

 2月に入りましたね。皆さんいかがお過ごしでしょうか?今まさにインフルエンザの流行時期ですよね。予防策はしっかりとっていきたいですね。
 さて今回は、最近のデザスター作品の紹介です。デザスター作品といえば・・・私が崇めるあの大傑作がありますが、本作の出来はどうなんでしょうか。

【ストーリー】
 アメリカ。スーパーセルの異常発達により竜巻の大発生が危ぶまれる中、田舎町シルバートンでは高校の卒業式が行われ、一方ではピート率いるストームチェイサーが鼻息荒く近辺を通り過ぎようとしていた。突如、発生した竜巻によって校舎は半壊し、卒業生徒らは身動きが取れなくなってしまう。教頭のゲイリーは生徒でもある息子ドニーが工場跡地で被害にあったことを知り救出に向かうが、再度発生した竜巻によって車が破壊されてしまう。駆けつけたストームチェイサーの協力を受け、ゲイリーはドニーの救出に再出発するが・・・。


(インセプション・・・?)

【感想と雑談】
 忘れた頃にやってくるデザスター超大作ってやつでしょうか。本作では大自然の猛威として竜巻(トルネード)が主役ですが、私にとっての竜巻映画は『ツイスター』('96)がマスターピース(笑)です。雨後の筍なDVDスルー作品が多い中、久々に劇場公開された竜巻新作ということで、ちょっくら手を伸ばしてみました。

 うわー凄い迫力。でもなんだか・・・。

 冒頭、車中の若者達が竜巻に襲われます。前方の電柱が火花を散らすけど、夜中なので何が起きてるのかわからない。ウヒャーと盛り上がって前進すると突然、竜巻の姿が目に入り、慌てて車をバックさせるも時すでに遅し。この一部始終をハンディカメラ越しの事故映像として描いています。

 本作は、様々な登場人物によるカメラ越しの映像を挿入することで、大自然の脅威に遭遇する様を生々しく感じられるような効果を狙ってるようです。擬似ドキュメンタリとでもいうのでしょうか。ストームチェイサーだけでなく、卒業式当日の朝から親子の確執やら、ハプニング動画で一攫千金を狙うアホ二人組やら、それぞれハンディカメラの映像が交差しまくります。

 高校の卒業式も架橋に入った辺りで遂に天候が一変、竜巻のお出ましです。ここで地域住民が避難しストームチェイサーも仕事をこなして無事終了・・・という訳にはいきません。どうなるかというと、下心満載のアホ息子と女の子がどこぞで竜巻に襲われ命に関わるカウントダウン開始。察知した親父の高校教頭がストームチェイサーと共に救出に向かうという、スリルでイラッとくる、はた迷惑な展開になります。

 肝心の竜巻ですが、主役だけあってその映像は凄まじいです。乗用車やらトラックやら、はたまた建造物なんかは粉々に散って宙に舞います。この辺りの臨場感ある描写はさすが昨今の映像技術だなと感心します。そんな竜巻を目の前にして、酔っぱらいのアホ二人組が盛り上がり、車が破壊されると「俺らのクルマがー」って嘆いてるの。ここ恐怖と笑いのギャップが凄まじいです(笑)。

 監督は『ファイナル・デッドブリッジ』('11)のスティーブン・クォーレ。『ファイナル〜』は素晴らしかったですよ。冒頭の橋崩落のスペクタクルさにはビックリしたし、何よりもあのオチの持って行き方に感動しました。シリーズの復活にも貢献されてましたね。何でもジェームズ・キャメロン監督を師に持つらしく、確かに画作りには徹底したスタイルを感じます。

 しかし、本作は映像面に特化しすぎちゃったかな、という印象です。猛威を奮う竜巻を横目に、登場人物らを幾度も交差させながら命に関わるイベントを発生させて、それを回避させるサスペンスとスリラー要素は用意されてるのですが、それほど心に響くようなドラマには感じませんでした。上映時間が90分を切る短さもあるでしょう。そういえばクライマックスで、近年のあるSF作品そっくりなギャグにも見える場面が出ますが、監督はあの作品に思い入れか関係でもあったのだろうか。



 ここらから『ツイスター』を引き合いに出します(笑)。こちらはヤン・デ・ボン監督が、竜巻以前にアクション作品として貫いていて、監督らしいスピード感ある演出がドラマ性と相まって至高な作品になっていると、私は思っています。大半のかたは『ツイスター』を竜巻の脅威が足らずドラマも陳腐で余計なものという評価を下されています。では、本作の評価はどうなんでしょうか。

 『ツイスター』に足らなかった部分が、本作では埋め合わせされてるかと思いますが、いかがなもんでしょうか。最新のCG技術による、炎も一緒に渦巻いたり、人が巻き上げられたりする竜巻映像は、『ツイスター』の比ではないですよね。まあ、それでもどことなくチャチに見えるのは映画としての娯楽性を崩さぬようわざとやってるかもですが。

 『ツイスター』はストームチェイサー視点で竜巻を日々追うアドベンチャーで、本作は被災者視点で突然発生した竜巻の脅威に対抗するスリラーになります。また、両者にドラマ性はあるにしても、前者は映画然としていて、後者はドキュメント然としている。そもそも作りが違いますね。あんなドデカイものまで巻き上げて(笑)視覚的に皆をビビらせる後者の方が、デザスター映画の定義により当てはまるといえるでしょう。

 結局は観る人の価値観によりますが、私的にはヤン・デ・ボン監督が達者な分、『ツイスター』の方が魅力ある作品だな、ということ。人間的な温かみや高揚感もクセになる神作品であります(笑)。デザスターの物差しで計れば、私の評価は間抜けなもので、本作が格段上になるとは思いますが、クォーレ監督、絶対に随所で『ツイスター』リスペクトしてるだろこれ。

 しかし、本作も絶対的に満足できるデザスター映画に仕上がっているんですかね。これまでの評価によれば、ドラマ性を頑張ると破壊の美学が足らないと言われ、破壊性を頑張るとドラマ性が陳腐だと言われる。どっちだよ。ひょっとして、デザスター映画っていうのは永遠に成り立たないジャンルなんじゃないですか。

 という訳で、往年の竜巻デザスター作品のIMDb評価を調べてみました。’89年の作品から辿っています。大半がTV映画となっていてDVDスルーされていますが、この評価からしてその内容は言わずもがな。一番評価の高い(6.4)作品って何!!と思ったら、ドキュメンタリ短編作品でした。除外してもよかったか。で、問題は、肝心の『イントゥ・ザ・ストーム』が『ツイスター』よりも低評価(5.9)なんです。これはどういうこと?

(M):映画 (TM):TV映画 (D):ドキュメンタリ (2015/2/1現在)


 皆から文句たらたらでラジー賞まで食らった『ツイスター』が映画作品として未だ高評価(6.2)である事実。まあドングリの背比べだけどね(笑)。・・・まとめに漏れがあったらご指摘下さい。


 このブログではやっぱし『ツイスター』がNo1ということで。


(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.--U.S.,CANADA, BAHAMAS & BERMUDA
(C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS(BVI) LIMITED--ALL OTHER TERRITORIES ALL RIGHTS RESERVED.
【出典】『イントゥ・ザ・ストーム』/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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