2012年9月29日土曜日

映画『プラダを着た悪魔』 ・・・メリル・ストリープの口が窄まると一貫の終わりになるみたいです

●原題:The Devil Wears Prada
●ジャンル:コメディ/ドラマ/ロマンス
●上映時間:109min
●製作年:2006年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:デビッド・フランケル
◆出演:メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ、スタンリー・トゥッチ、エミリー・ブラント、サイモン・ベイカー、エイドリアン・グレニア、その他大勢

 涼しくなりましたね。これもまた、あっという間に寒くなって冬に突入する訳です。でも、冬は最高。

【ストーリー】
 大学を卒業し、物書きになりたいアンドレアは、NYの有名ファッション雑誌ランウェイの編集部に就職する。そこでは、編集長ミランダが、悪魔のごとくスタッフらをこき使っていた。アンドレアはミランダのアシスタントを担当することになり、物書きへのステップアップとして頑張るが、元々ファッションに興味がないことで、周りからヒンシュクを買いまくり、激務の毎日に恋人との関係にも亀裂が生じてしまう。ミランダの仕事の進め方に我慢ならなくなったアンドレアは、遂に退職を決心するが・・・。



【感想と雑談】
 今回はファッション業界を舞台としたサクセスストーリーです。別にB級専門でもなく何でも観るようにしていますので、今回はこれです。B級偏りにならないよう注意しました。ただし、観方自体はそうとう偏りまくってますけど。
 
 さて本作では、一流ファッション雑誌の編集部が如何にして流行の最先端を維持しているのか、そして、そんな業界に飛び込んだ畑違いの主人公が如何にして成長していくのか、が描かれます。
 
 なかなか素晴らしいと思います。
 
 私にとって、こういうファッション業界は、もの凄い上空を通過していくほど縁のない世界なんですが、どんな業種であっても、仕事に対して取るべき姿勢というのは一緒なんだよな、ということを再認識させられました。


 
 編集長ミランダに「あなたには失望しただす」と言われ、アンドレアは「努力しているのに微塵にも認めてくれない」と嘆きます。そんなグチを聞かされた同僚のナイジェルはアンドレアに言います。「嫌なら辞めればいい。ミランダは自分の仕事をしているだけ。ここは誰もが夢見る職場。そこに就くことができて、甘ったれたこと言ってんじゃねーよ」。
 
 実際、こういう説教だけが全てではないのですが、誰もが夢見る憧れの業界においては、当然生き抜くの為の厳しさであります。仕事に対してどこか甘えや間違った行動をしていないか、ふと自分自身にも当てはめ考えさせられるのでした。このナイジェルが厳しくも優しい目線でアンドレアに説教するシーンは、話の転換ポイントとしても印象に残るものでございましょう。
 
 しかし、編集長ミランダの仕事に対するドSぶりは素晴らしいです。冷徹な顔で、殆どがムチとムチで攻めまくり。無理難題な指示を与えまくるその存在は、まさに悪魔そのもの。オフィスビル周辺で彼女を見かけた通行人が、そそくさと避けていくのも納得です。また、デザインの検討会で彼女の評価が表情にどう表れるかを、ナイジェルが説明してくれるのですが、「クチを窄めたら最悪」というのが本作で何故か一番の笑いどころでした(笑)。


 
 そんなミランダに対しアンドレアは大奮闘します。昼食のステーキと娘の為のハリポタ最新版を同時に要求されるくだりは、さすがにファンタジーに近いものを感じましたが、実際、こういう業界ではあったりするのでしょうか。発行前のハリポタ最新版を入手するとかって(笑)。ハリポタはどうでもいいのですが、開店前のレストランで強引に用意してもらったステーキは実に美味そうでした。でも、この後、ミランダから「なにそれ。昼食は会長と取るから」と言われ、真性M男であれば、踏づけて下さいと叫ぶと同時に昇天確実の仕打ちを頂いてしまいます。
 
 そんな仕事に追われるアンドレアに、恋人や友人らは呆れ、次第に関係が悪化し始めます。仕方がないと言い張るアンドレアはその後も仕事を続け、やがて恋人と距離を置くことになります。色々と葛藤する状況で、ミランダはアンドレアに先輩アシスタントを格下するからそれを本人に伝えるよう指示し、更に追い討ちをかけます。ぎょえーなアンドレアが最終的にどう打開するのかが、クライマックスとなります。
 
 主人公アンドレアを演じるのはアン・ハサウェイ。豪快な目といいクチといい顔力が印象的な女優ですね。ファッションに縁がないという設定に無理を感じてしまう容姿ですが(笑)。そういえば『ダークナイト/ライジング』('12)でキャットウーマン演じてましたが、もっと引きの画でアクションする姿を拝見したかったです。バットポットにまたぐ姿は、非常に美しかったですけどね。(←観てるならこっちを記事にしろよ)

 編集長ミランダを演じるのはメリル・ストリープ。美貌を兼ね備えた悪魔っぷりに、改めて芸達者な女優だと思いました。ミランダの右腕を勤めるゲイっぽいナイジェルを演じるのはスタンリー・トゥッチ。最近注目するようになった男優です。この二人、『ジュリー&ジュリア』('09)でも共演していて、しかも夫婦役をやっていました。この時のメリル・ストリープがまた、本作とは正反対な豪傑主婦を演じていて、毎回のギャップ演技に萌え要素。


 
 ファッション業界や女性だらけの職場が舞台となっていますが、とても観やすくて見せ場もあるし、最後はサッパリ清々しい気分に浸れる作品でありました。


(C) 2006 Twentieth Century Fox Film Corporation and Dune Entertainment LLC
【出典】『プラダを着た悪魔』/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

にほんブログ村 映画ブログへにほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログパーツ