2010年9月26日日曜日

夕焼けの景色に何かが写りこんでます

 この間、Tシャツとパンツ姿で寝たのですが、夜中に目が覚めた途端「うぉ」となり、思わず毛布を被ってしまいました。これが秋なんでしょうか。窓は全開だったんですけどね(笑)。とにかく、季節の変わり目は気を付けたいものですね。
 
 さて、今回は写真ネタです。ある日のこと、夕焼けが綺麗だったので撮影してみました。で、せっかくなのでブログで紹介しようと思いましたが、そのままでは面白くない。ということで、宇宙囚人303号ことキュラソ星人に登場してもらいました。どうでしょうか。笑えるでしょうか。因みにキュラソ星人とは、ウルトラセブンに登場するガソリンばっか飲んでる宇宙人で、咆哮も上げずに忍び寄る姿がとってもスリラーなやつです。ケムール人をベースにした容姿が結構イケてる宇宙人でもあります。好きな宇宙人の上位に入ってます。1位は?

 それにしても、こういう夕焼け空を背景にしたウルトラシリーズには傑作が多い気がしますね。

 タイトル『夕焼けとキュラソ星人』。そのまんまだ。


 と、大バカなネタで今回は済ましてしまうのでした。『○○○とキュラソ星人』シリーズも悪くないかもしれない(笑)。

<2010/9/26 追記>
 リクエストを頂きましたので、紫男と夕焼けセッションもやってみました。

 タイトル『夕焼けと紫男』。

  
 馬とヒロインまで巨大化しちゃったよ。・・・といいますか、紫男っていったい誰。何者?

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2010年9月20日月曜日

映画『ピカソ・トリガー リーサル・エンジェルス』 ・・・第6弾 薄着の金髪美女とボディビルダーが懲りずに旧日本軍の金塊探し

●原題:L.E.T.H.A.L. Ladies: Return to Savage Beach
●ジャンル:アクション/スリラー
●上映時間:98min
●製作年:1998年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:アンディ・シダリス
◆出演:ジュリー・ストレイン、ロドリゴ・オブレゴン、ジュリー・K・スミス、シェア・マークス、マーカス・バグウェル、クリスチャン・レテリエ、キャリー・ウェストコット、ポール・ローガン、ジェラルド・オカムラ(笑)、その他大勢

 すっかり秋めいてきました。熱帯夜からも開放されて涼しさ満点ですね。いいぞ秋!まあ、あっと言う間に冬になるんでしょうけどね:-p
 そういえば、前回のAtomik Harmonik。あれから毎日聴いているのですが、なんだか身体が軽くなった気がします。やっぱり音楽っていいですよね。
  さて、今回はシリーズもののアレです。例のやつ。遂に最後の6作目に辿り付くことができました。足掛け2年2ヶ月・・・ふぅ。相変わらずのバカンス要素に過ぎ去った夏を思い起こすのも一興でしょう。もういいからと思われても投下しますよ。

【ストーリー】
 アメリカのダラス。安全と秩序を守る組織リーサル・フォースの本部からある極秘情報が盗み出される。それは、旧日本軍がフィリピンから没収した金塊を隠したとされる無人島を示す地図であった。かつてその無人島に遭難した元エージェントらによって、金塊は無事フィリピンに返還され事件は解決していたはずだったが、その後に再び金塊が無人島に運ばれ隠されていることが判明する。犯人はフィリピン人のマルチネスだ。アメリカに散らばるエージェントらは、金塊を狙うマルチネスに立ち向かう為、リーサル・フォースのハワイ支部に集結し作戦を練ることにするが・・・。



【感想と雑談】
 再生した瞬間、アンディ・シダリス御大が元気よく登場します。もうニヤけるしかありません。この日本向けに撮ったであろう特典映像は、ピカソトリガーに新たな楽しみを与えてくれたと言っても過言ではないでしょう。6作品も観てきた人なら誰でもわかります(そんな人どれだけいるんだ)。

 今回も女優ジュリー・ストレインが登場し惜しみなくオッパイをドーンとやりますが、あまりの至近距離に御大も目が眩みます。お決まりの日本向けチラシの紹介では、配給会社がやってしまったのか、ジュリー・ストレインが一切写ってないデザイン。

 ジュリー 「私が日本人似だから金髪の子を選んだのね」
 御大 「そう、ジュリーはよく日本人に間違われるんだ」

 間違われないだろ。

 「ピカソ・トリガー」シリーズは、あくまでも配給会社がタイトル化しただけであって、正式なシリーズではないと思います。だいたいピカソ・トリガーって1作目での悪人のコードネームですからね。別にエージェントや組織を指してる訳じゃないんです。

 まあでも、1、2作目で同じエージェントらが活躍し、その2作目が今回の6作目に繋がってたり、3作目以降のキャラが最後まで継続していることを考えると、これら6作品をシリーズとして捉えてもいいのかなと思ってます。といいますか、どの作品もほぼ一緒なので、いくらでも後付けでシリーズ化しても問題無しです(笑)。御大はどう思ってたのかな。



 一応、最終回ですからね、ここで久々にピカソトリガー(というか御大の全作品)の5大要素を、再確認しておきましょう。

 1.大柄で巨乳の金髪ギャル
 2.大柄でバズーカを持つボディビルダー
 3.爆発するヘリコプター
 4.爆発するジープ
 5.ハワイかラスベガスかダラスでのロケ

 これでバッチリ、ぐっと幅が広がるものと思います。たぶん。

 開始早々、ハワイロケです。久しぶりですね。国の安全と秩序を守るリーサル・フォースのハワイ支部が、いきなり常夏コテージというのが笑えます。ここがまたラジオ局になっていて、DJの女エージェントがアメリカ本土のエージェントらに暗号放送を流します。

「こちらKSXYからお送りするのは、愛とセックスと恋についての占いよ」

一般リスナーも聴いてるので、隠語を交えて流します。こういう暗号放送は実際にあったりするのでちょっと興味深いです。こんなホットな暗号放送をダラスで聞き入る男女のエージェントは、勿論ピカソトリガーならではの裸です。今回気合入れすぎたのか、女エージェントがボカシ入りとなりました。


(遊んでる風にしか見えない、リーサル・フォースのハワイ支部)

 序盤、ハワイ支部からの指令を聞いたダラスのエージェントらはテロリストの殲滅に向かいます。ここで大河を舞台にしたモーターボートとジェットスキーのチェイスシーン。陸地に着くと敵は何故か爆薬ケースを盾にし、エージェントらに銃で応戦。狙えってことだよな。女エージェントは期待に応え、ボウガンを爆薬ケースにぶち込み、敵を大爆破。底抜けにヘッポコなところがピカソ・トリガーです。 

 2作目の『~サベージ・ビーチ』でフィリピンに返還されたはずの金塊が、ある悪人によってちゃっかり無人島に戻され、今回それを再び奪いに行くところにエージェントが絡んでいきます。本筋はこんな感じですが、なんかですね、台詞だけで説明するシーンがダラダラ続くので、ちょっと油断すると訳がわからなくなるのですね。

 でも集中してスジがわかったとしても、何にもならないところがピカソ・トリガーなので、細かいところは気にしないことにします。晴天、バカンス、金髪オッパイ、銃撃戦、爆発、これだけ楽しめればOKなんです。

 そういえば途中、悪人が使う潜水艦が登場するんですね。それに載って例の無人島に向かうんですが、それがどう見ても観光用の潜水艦なんです。で、悪人の女がスイッチを適当に押すと、一応潜水を始めるのですが、速度遅すぎて全然前に進まない。その一方で、ブラック・ウィロウが乗るヨットが優雅に無人島に向かってる。

 またその一方で、女エージェントが水上セスナでブイーンと無人島に向かってる。なんでも「ハワイから無人島まで12時間かかるわ」とのこと。飛行機で12時間かかる距離を、観光用の潜水艦とヨットで移動というのは無理があると思うのですが、なぜか全員がほぼ同時に無人島に到着してしまいます。どこを通ってきたんだよ。考証など気にしないピカソト・リガーです。 


(敵の観光船と潜水艦です。景観がとってもハワイ)

 リーサル・フォースの司令官ブラック・ウィロウを演じるのは我らがジュリー・ストレイン(笑)。ハワイ支部ではシビアな表情でDJに指令を出しますが、その格好は殆ど裸のビキニ姿です。途中、部下が誘拐され、深刻な顔をしたと思ったら「ところで、散歩でもしない?」と側近のボデービルダーに色目を使います。その後、バカンスな散歩を済ませ、プールで熱い行為に走る司令官ブラック・ウィロウ。誘拐された部下の立場は。

 悪人マルチネスを演じるのはロドリゴ・オブレゴン。この人、全6作通して出演されてるのですね。顔付きがゴツイので悪役中心なんだと思いますが、まさにピカソトリガーといえばこの人という存在になっています。今回は、ラストにどんでん返しが待っていて、なかなか奥深い役どころであったと思います。

 エージェントのフーを演じるジェラルド・オカムラですが、あまりお笑い担当に徹していないのが残念でした。いきなり変な日本語の掛け声で登場するのは良かったですが、前作のオッパイビンタ直撃みたいなインパクトはなかったです。

 小柄ですが巨乳に間違いない2人のエージェント、コブラとタイガーを演じるのは前作から引き続きジュリー・K・スミスとシェア・マークス。しかしとにかく凄い。二人とも身体細いのに、あのサイズはいったいナニ?重さもありそうで、ちゃんと支えてあげないと大変なことになりそう。島上陸時のスタイルに世の男性諸氏も大満足。たぶん。


(もう何も言うことはありません。とにかく頑張って欲しいです)

 無人島には悪の手下も到着し、エージェントらは激しく応戦します。その手下らは忍者のくせに、拳銃を使います。なぜ手裏剣を使わない。そこにラジコン爆弾担当のコブラが、ラジコン戦車を忍者に向け発進させます。仁王立ちの忍者の真下で停止するラジコン戦車。何故か微動だにしない忍者は木っ端微塵になるのでした。ピカソ・トリガーは爆発そのもが大事なので、それに至る過程は気にしません。

 クライマックスは、掘り起こした木箱を開けた途端、金塊と一緒に収まっていた爆弾がカウントダウン。「1分以内に起爆装置にコインをはめれ」と音声がせかしますが、それを囲むエージェントらは焦ってるのか焦ってないのかよくわからない状態。コインがはまらないので「ヤスリで削れ」と言うと、万能ナイフを取り出しゴシゴシ削リ出す女エージェント。あと20秒くらいしかないのに奇跡のカウントダウン。間に合いました。よかったです。

 ざっと、こんな感じでしょうか。これで一通り「ピカソ・トリガー」シリーズの記事が出来上がりました。全作品が例の5ヶ条をベースに作られているので、確かにどれも似たような出来でした(『~ダラスコネクション』('94)はちょっと別格)。そういうことからか、御大の上辺だけを述べてる評価が多く感じます。

 ですが、DVD特典をじっくり観てみると、低い予算でいかに工夫を凝らすかを懸命に述べているし、家族ぐるみでエロス好きながらも一貫した姿勢で映画を作ろうとする思いが伝わってきて、ちょっとは見る目を持った方がいいんじゃないかと思うようになりました。正直、好感が持てましたし、なんだか愛着も沸いてきました。あれだけ同じことを延々繰り返すってのも、ある意味凄いことですよね。御大はギャグやネタにしている訳ではなく、純粋に自分が好きで皆に楽しんでもらいたい作品を薦めてきただけだと思うのです。

 ここまで読んで頂いて、ちょっとでも興味が沸きましたら、ぜひ手を伸ばしてみて下さい。間違いなく1時間半を無駄にします。が、そんな中に少しでも萌える要素があったなら優勝です。金髪グラマー、大型拳銃、タンクトップ、安い爆発などなど、アイテムはテンコ盛りです。息子ドリュー・シダリスが監督した4作目『~ダラス・コネクション』辺りがいいでしょう。ダメージは少ない方だと思います。(←薦めるなよ)


(ラストは勿論、全員カンパーイ♪でバッサリ暗転。あれ?フーがいない)

 よろしければ他のシリーズ作品もどうぞ。

 第1弾:『ピカソ・トリガー 殺しのコードネーム』('88)
 第2弾:『ピカソ・トリガー サベージ・ビーチ』('89)
 第3弾:『ピカソ・トリガー エネミー・ゴールド指令』('93)
 第4弾:『ピカソ・トリガー ダラス・コネクション』('94)
 第5弾:『ピカソ・トリガー デイ・オブ・ザ・ウォリアー』('96)

「ピカソ・トリガー」シリーズ完結。


<オマケ>
 シリーズ全作のIMDb評価(2015年1月27日時点)をまとめてみました。


 第1弾が高評価になるのはわかります。しかし、失速するはずのシリーズ中盤でまた盛り返しているという。きっと、御大の息子ドリュー・シダリス監督の功績でありましょう。
 という訳で、みんなも第4弾『ダラスコネクション』だけは観ようぜ(笑)。


(C) MMII MALIBU BAY FILMS. ALL RIGHTS RESERVED.
【出典】『ピカソ・トリガー リーサル・エンジェルス』/ワーナー・ホーム・ビデオ

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2010年9月12日日曜日

Atomik Harmonik ・・・スロベニアといえばこれです

 今回は音楽ネタです。
 スロベニアの音楽ユニット、Atomik Harmonik。

 だいぶ前ですが、キャンディストライパーって一体ナニ、という疑問から辿り着いてしまった曲『Turbo Polka』。これのPVが夢の世界すぎて、しばらくは”もうスロベニアしかない”と勝手に決め付けていた訳ですが、熱もやや冷めてしまったここ最近、またそれに輪をかけるようなPVを発見してしまい再燃焼。ここに紹介する次第であります。また始まったか・・・とお思いでしょうが、今回も懲りずに見守って頂ければと思います(笑)。
 
 Atomik Harmonik のコンセプトは、ヨーロッパのボヘミア地方に伝わる民族音楽Polkaということで、その曲調はとても軽快で牧歌的、そしてビジュアル的には目に染みるほどの眩しさという斬新な組合せ。総合的にハッピーな気分にしてくれる大変素晴らしいもの。メンバーは、男性ボーカル1人、女性ボーカル2人、アコーディオン1人、の4人構成のようです。
 
 PVはどれもこれも趣向を凝らしていますが、まず目に止まるのが女性ボーカルの美貌&ゴージャスさです。よくぞここまで育った!と叫ばずにはいられない容姿に、世の男性諸氏は滅亡寸前です。そして、イケメンとは言い難い男性ボーカルがいつもモテモテの役という、いつか夢は叶うぜな展開を見せてくれます。言葉は勿論わかりませんが、きっと見たまんまのことを歌ってるのでしょう。終始明るくて、とにかくハッピーになれます。一部悶々とするかもしれませんけどね。
 
 スロベニアは近年に社会主義連邦から独立した国の一つですが、元々西側寄りのところや国民気質もあって早くから情勢は安定したんだとか。こんな素敵な音楽が生まれるのも頷けますね。2004年に結成され現在も活動されてる模様ですが、残念ながら日本ではリリースされていないようで、ネットでもあまり情報がヒットしません。周辺諸国では人気があるようですが、かつてのヨーロッパ系のアバやアラベスクみたいに日本で流行ることはないんでしょうかね。スロベニアに行ってみたい今日この頃です。
 
 とにかく素晴らしいとしか言いようのないPV揃いです。・・・もしご覧頂けるようでしたらやや重めですので、一旦ポーズして読込みを進めてから、再生されることをお薦めします。

<2010/9/14 追記>
 後で知ったのですが、Atomik Harmonikは「Turbo Folk」というジャンルになるんだそうです。調べてみると、旧ユーゴスラビア一帯から生まれた比較的新しい音楽のようですが、「Folk=民族」を「ターボ」するってことで、なるほど新しくて激しい民族音楽が期待できる訳です。で、試しにYoutubeで検索してみました。そしたらクロアチアの女性歌手がヒットしたのですが、思ってたよりもアクが強くてヘビーな感じ。でも何度か聴く度にハマッていく予感。旧ユーゴの各国では様々な民族音楽がアレンジされてるってことか。このクロアチアの例からすると、東にいくほど濃い楽曲になっていくんじゃないでしょうか。スロベニアは旧ユーゴの最西端の国なので、Atomik Harmonikは「Turbo Folk」の中では最も明るい音作りをしてるユニットなのでは、と思ったりしてます。


『Brizgalna Brizga』('04)
 意味は「シリンジスプラッシュ」(なにそれ)。ファーストヒット曲のライブです。自分も拡声器持って乱入したくなるほど楽しそう。因みにこれをカバーしたのが『Turbo Polka』になります。ほんとスロベニアっていい国だなあ。素晴らしいです。


『Goveja župca』('06)
 意味は「牛肉スープ」? 出てくる男性連中が羨ましすぎるPVです。そんなに揺らさないで欲しい・・・と日記に書いておきました。素晴らしいです。


『Choco La』('??)
 チョコって色んな効能があるんだよな。思わず身体が熱くなります(笑)。割と最近のPVのようですが、女性ボーカルの1人に異変が起きてるのが気がかり。チョコの食いすぎ?それとも始まってる?素晴らしいです。


『Polkaholik』('06)
 懲りずに追加します(笑)。コントみたいに女性が入り乱れる様が、これまた楽しくて仕方ありません。お色気はデフォルト状態ですが、金髪フェチ、胸フェチ、花嫁フェチ、ナースフェチ、腋フェチにも満足頂ける(たぶん)オマケ付きのお得なPV。何度も観たくなる中毒性あり(自分だけ)。ところで、女性ボーカルの片割れはまた変わってないか。ウェルカムだけども。高画質アップぷりーず。誰も観てくれなくてもOK、これは自分専用の作業用PVなのです。素晴らしいです。


ところでキャンディストライパーってナニ?
 キャンディストライパー(Candy Striper)とは、女の子による病院内のボランティア活動だそうで、制服のピンクのストライプ模様がキャンディ柄に見えるところから命名されたらしいです。

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2010年9月5日日曜日

映画『ラスト、コーション』 ・・・工作員になって異性を騙すともの凄いダッシュが拝めます

●原題:Lust, Caution(色,戒)
●ジャンル:ドラマ/ロマンス/スリラー/戦争
●上映時間:157min
●製作年:2007年
●製作国:アメリカ/中国/台湾/香港
●言語:中国語/日本語/英語
●カラー:カラー
◆監督:アン・リー
◆出演:トニー・レオン、タン・ウェイ、ジョアン・チェン、
ワン・リーホン、トゥオ・ツォンファ、その他大勢
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 まだまだ暑いです。なので、今回もまたホラーかと思いきや、全然違いました。日中戦争を背景にした人間ドラマです。しかも、大半がロマンス要素です。なんですが、いつもとはベクトル正反対ながらも、インパクトはかなりありました。ということで、変な汗をかくところは今回も一緒かもしれません。

【ストーリー】
 1938年。日中戦争まっただ中の中国から香港に逃れていた女子学生ワンは、あるきっかけで抗日思想を掲げる学生劇団に入団する。団長のクァンは、日本界隈の汪兆銘政権下で抗日家を排除し続ける特務機関員を暗殺しようと目論んでいた。工作員に抜擢されたワンは、富豪夫人に成りすまし、特務機関員のトップであるイーへの接触に成功する。しかし、イーと合体を繰り返すうちに、ワンの心には工作員と敵の関係を越えた感情が芽生えてしまう・・・。


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【感想と雑談】
 久々に観たアジア系の作品です。なんか、あまりに激しい性描写のせいで、各国では厳しい上映制限が設けられたらしいです。まあ、激しい描写とか言ってもポルノではないので、ギリギリセーフで映るはずはないのですが、ここはインパクトを頂き幅を広げ放題、と思い手を伸ばした次第です。

 ところで、このタイトルの意味、てっきり”最後の警告”あたりでOKだと思ってたんですが、全然違いましたね。この”ラスト”は色欲とか色情の意味になるんだそうです。因みに、中国語タイトルは『色,戒』。エロス厳禁でしょうか。それは困ります。しかし、綴りをよく見れば違いはわかりますが、カタカナ表記でラストって書かれたら、やっぱ前者と思い込んでしまいます。まあ、LustでもLastでも、内容からして意味は通じるような気はしますが。

 激しい性描写なんて観るのはいいけど、撮る対象としてはとても難しい部類に入るんじゃないでしょうか。監督は誰なんだ?と思っていたら、これがアン・リーだったのですね。過去にアクションやSFヒーローものも撮ってるので注目の的だったのですが、実は監督に対して恥ずかしい思い出があるのです。その名前の響きからして、普通に女流監督だと思っていたのです。アンですからね、アン。周りに豪語してました。「女流監督がスゲーよ」。そしたら後日に写真で見た姿、コーヒーカップを落としそうになりました。力いっぱいオッサンだったのです。改名して欲しいと思いました。


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(どー見てもオッサンなアン・リー監督です)

 アン・リー監督の作品は観てきた限り、どれも人間性を掘り下げた作風であるなと思います。『グリーン・デスティニー』('00)や『ハルク』('03)なんてアクションファンタジーものも撮ってますが、基本的には人間ドラマ重視の展開をしてますね。『グリーン・デスティニー』は中国の時代劇アクションで、やんちゃなチャン・ツィイーと大人の間を置くチョウ・ユンファとミシェル・ヨーの関係。動と静の対比が素晴らしいです。

 『ハルク』はかったるいと不評を聞きますが、監督自らモーションキャプチャしたハルクの一挙一動には凄く拘りがあって大好きです。『アイスストーム』('97)なんてアメリカの片田舎を描いた作品もありましたが、これには強烈な印象が残っています。一見平和な2つの家庭に嵐のごとくドロドロな異変が起きるという、有名な役者勢揃いも手伝ってのインパクト。究極の人間ドラマです。監督が持つアジア人としての繊細さが、欧米系においても一種独特な作りに結びついてるのかなと思います。

 さて、今回のエロス厳禁ですね。前述の通り、人間性に集中しがちなストーリーから狭苦しいものを想像してましたが、そんなことなかったです。主人公の純真な女子学生が抗日運動に傾倒し工作員として活動していく様をサスペンス交え活発的に描いてましたし、当時の上海の町並みもスケール感満載だったりと、結構エンタテイメント。特務機関員イーが日本軍に関わりある人物というのが、我々日本人からして気になる存在というのもあったと思います。

 ところで、イーの豪邸では、ジョアン・チェン演じるイー夫人が友人らとしょっちゅうマージャンをやってるのですが、これを見て思い出したのが『酔拳2』。『酔拳2』では、アニタ・ムイ演じるジャッキーの母親が同じく友人らとマージャンをしていて、旦那が帰ってくると速攻で整体術をやってるフリをするという、てっきり狙い所なんだと思っていたのです。が、本作を観て夫人同士のマージャン三昧は日常茶飯事であることがわかりました。勉強になりますね。イーが帰宅した瞬間、ジョアン・チェンも慌てふためき大暴走すれば楽しいのですが、残念ながら本作ではそういうイベントは起きません。


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 本作の売りである、特務機関員イーと女子学生工作員ワンの激しい関係。いつ命を狙われてもおかしくないイーはとても用心深く、初めはワンの誘いに簡単には乗ってきません。悶々とする中、突然イーが上海へ転勤することになり、暗殺未遂でガックシの抗日劇団ですが、その数年後に新たな抗日組織のスカウトによって元劇団員らに再びチャンスが訪れます。再度アタックしてきたワンに、イーは遂に大爆発。後先考えずに本能でワンの衣服を引き千切りベッドに押し倒します。

 確かに激しい性描写です。花瓶とか柱で隠すようなことはしません。二人の合体している様子をかなり堂々と捉えていて、ヘアもはっきりと映っていますが、肝心の部分は当然ながら見えません。だたし、影で暗くなってるところもあります。なので、明度を上手く調整すればひょっとすると?!かもしれません(笑)。

 女子学生工作員ワンを演じるのはタン・ウェイ。彼女の華奢な体型からすると、富豪夫人を演じるには幼すぎるんではないかと思えました(でもこの時28歳。見えないって)。その代りではないですが、まだ処女だったワンを工作員にする為に劇団員と愛のない初体験から特訓をする描写がなんともいえない後味を残します。

 貫禄ジョアン・チェンを妖艶な工作員役に持ってきた方がいいんじゃないかとも思いましたが、イーが女房よりはずっと若い女がいいという男の平均的本能を爆発させるあたり、それはそれで自然体でよかったと思います。このジョアン・チェン、『ツインピークス』('90)、『ハンテッド』('95)の頃よりずっと歳を取ってしまいましたが、綺麗な女性に変わりはなかったと思います。一応。


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 特務機関員イーを演じるのはトニー・レオン。香港の俳優といえばよく聞く名前ですね。でも代表作が何なのかよくわかりません。とにかくいぶし銀漂ってます。本作では終始ポーカーフェイスで合体の時だけ激しくグラインドな役ですが、ある場面だけもの凄い全身躍動を見せてくれます。トニー猛ダッシュ。一体どーいうことなのかは、観てのお楽しみです。

 何度も合体していくうちに本心から打ち解けるようになったイーは、ワンにある豪快なプレゼントをします。ワンは手玉に取るようになったイーに暗殺のチャンスが訪れたことを実感しますが、一方で芽生えた感情との葛藤に苦しみだします。このプレゼントのやりとりがワンとイーの最大の見せ場となり、その後はラストに向かって淡々と進んでいくだけとなります。さて、二人にはどんな運命が待っているのでしょうか。

 なんだか激しく合体するだけの作品に思われるかもしれませんが、実際は監督の丁寧な演出が冴え渡る見所満載の作品だと思います。少なくとも損はしないと思います。アン・リー監督は次作として『テイキング ウッドストック』('09)という伝説のウッドストック音楽祭の舞台裏を描いた作品を撮ってるんですね。ここでも一家族に焦点を当てた人間ドラマにしているのだとか。今後は、またアクションとかファンタジーものを撮ってもらいたいですね。


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