2010年1月31日日曜日

映画『トロメオ&ジュリエット』 ・・・トロマ発シェイクスピア 頭にトが付いてます ト 要注意です

●原題:Tromeo and Juliet
●ジャンル:コメディ/ドラマ/ロマンス/スリラー
●上映時間:107min
●製作年:1996年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ロイド・カウフマン
◆出演:ジェーン・ジェンセン、ウィル・キーナン、ウィリアム・ベックウィズ、アール・マッコイ、ロイド・カウフマン、ジェームズ・ガン、その他大勢

 新年早々これまたバッタバタしまくって今頃の更新となってしまいました。皆さんお元気でしょうか?今年一発目はトロマ映画でいきたいと思います♪(笑)

【ストーリー】
 現代のアメリカ。キャピ・キャピュレットとモンティ・キューはかつては映画会社を共に設立するほどの仲であったが、キャピの突然の策略によってモンティは経営権を剥奪されてしまう。以来、両氏はファミリーまで巻き込んでの犬猿の仲となり、血で血を洗う抗争の毎日を送っている。そんな中、キュー家の息子トロメオとキャピュレット家の娘ジュリエットが恋に落ち、密かに結婚までしてしまう。これを知った両家の争いは更に悪化。激怒したキャピュレット家に親友を殺されたトロメオは、仕返しにジュリエットの従兄を殺してしまう。この先、両家に平和はやってくるのか・・・。



【感想と雑談】
 ボンクラ映画の極北(と勝手に思ってます)『ビッグヒット』('98)。皆さんご覧になってるでしょうか?我らがマーク・ウォルバーグ(笑)とバカ演技絶好調ルー・ダイヤモンド・フィリップスが格闘するビデオレンタル屋。この店、やたらとトロマ映画のポスターが貼ってありました。もう最高です。で、この中に本作『トロメオ&ジュリエット』のポスターもあったりして、とても気になってたんです。前から存在は知ってたものの、なかなかソフト化されないので幻と化してたのですが、つい先日レンタル屋の密集した棚の中から大発見。私の謎の動体視力が見逃しませんでした。昨年リリースされたんですね。

 いつものトロマ映画を期待しながらパッケージを手に取ったのですが、今時のリリースなのか割と洗練されたデザイン。まあ、これはトロマ映画としては、というレベルなので(笑)。そんなことよりもですね、これってあのシェイクスピアの悲劇「ロミオ&ジュリエット」をベースにしてるの丸わかりなんですが、実は私、本家の原作や映画化作品のどれも一切チェックしてないんですよ。だから『イット』でしか動くオリビア・ハッセーを見たことがないんです(関係ない?)。話の流れはなんとなくわかるのですが、原作を知ってないと楽しめない部分とか、結構スルーした形になってるかもしれません。

 肝心の中身ですね。スタート直後にいつものトロマのトレードマーク(赤地にビル群が影になってるヤツ)が現れ完全ワクワクモードですよ。オープニングのクレジットでキャピュレット家とキュー家の関係と登場人物が一通り説明されるのですが、最後にトカゲが鼠を丸呑みするカットが入ったりします。これってなんだ?原作に関係あるのか??それともトロマ印なのか??

 両家のうちキュー家なんですが、これって原作ではモンタギュー家ってなってますね。苗字だと思うのですが、本作ではこれを変形してモンティ・キューというのが主の姓名になってます。もう一方のキャピュレット家は原作通りのようですが、主の姓名キャピ・キャピュレットってどうなんでしょうか。原作通りですか?キャピ。



 観ていくと、所々いつものノリで脱線したりするのですが、ヘビーな恋愛原作をベースにしてるせいか、トロマ作品としては一本筋が通っていて、割とまとまってる印象を受けます。これは脚本が後に『ドーン・オブ・ザ・デッド』や『スリザー』で成功するジェームズ・ガンということも関係してるのかもしれません。という訳で、素晴らしい展開が期待できる反面いつものトロマ節が薄まってるんじゃないかと不安になってしまいますが、さすがはトロマ、表に出せるほどマトモな作品にはしません。

 わはは。ジェームズ・ガンなんか出演までしてて「ピーナッツを探そう♪ピーナッツを探そう♪」と家族で歌いながら車を運転。すると突然生首がボンネットに飛んできて大事故発生。大破する車。ちなみにこの車が大破するカットは、後の『悪魔の毒々モンスター/新世紀絶叫バトル』('00)にも流用されてました。さすがトロマです。

 トロメオが父親のモンティ・キューに寄り添うと、すかさず屁を連発するモンティ。屁の音がトロマ印のSEでちょっと安心してしまいます。トロマ印のSEって、とてもチープでどんな場面でもマッチしてないんですが、逆にそれがとても可笑しいです。トロメオが偶然ジュリエットに出会い恋に落ちてしまうパーティ会場ですが、何故か毒々モンスターやカブキマンが女の子らとダンスをしています。どーいうことだ?!と思ったら、これは仮装パーティなのでありました。また上手いことやってるなトロマったら。

 両家の抗争の様子は大抵狂ってるもので、車から突き落とされると消火栓に当って頭がカチ割れたり、鉄板で首がチョンパされたりします。チョンパは『オーメン』みたいですね。チープな特殊メイクもトロマ印です。また、暴走車にヒットされた父親を見た娘の不自然な驚き顔や、何かあるたびに度を越したリアクションが拝めるのもトロマ印というところです。ロイド・カウフマン監督もクラブで喧嘩が始まれば自らオーバーリアクション役に参戦。いい監督です。

 トロメオとジュリエットは主人公でもあるので比較的マトモです。密かに結婚した後、真昼間の公衆の面前で合体したり、お互い大事な部分に刺青を入れあったりと、結構下品なことをやらかすんですが、周囲のインパクトがデカ過ぎるので割といい青春を送っているように見えます。原作でもこういう熱い描写があるのでしょうか。ジュリエット役のジェーン・ジェンセンがちょっとエマニュエル・ベアールを思わせる可愛さなんですが、元々進んでた策略結婚の話をブチ壊すのにある薬を飲みヒドい形相に変身する様は、彼女の女優魂を感じるところです。


(左のお方がロイド・カウフマン監督です)

 キャピ・キャピュレット役のウィリアム・ベックウィズが結構鬼気迫る演技を見せます。ボウガン片手に娘のジュリエットを何かある度に折檻する様は、見ていてトロマ映画ということを忘れてしまいます。モンティ・キューと違って殆ど弄られないし屁もしないし。しかしラストでは大バカな結末がスパークします。格闘後テレビに頭が刺さった状態のままキャピはしぶとくトロメオとジュリエットに迫りますが、最終的にジュリエットの反撃を食らい・・・。

 これぞトロマ印。アホすぎます。観ている最中は笑える気がしないんですが、観終わった後からジワジワとくる凶悪さを持っていて、電車通勤時は大変な目にあいます。

 最後、古風なヒゲ面のオッサンが「ナハハ、ナハハハハ」と笑って画面が暗転します。シェイクスピアでしょうか。「オイラ自らパロっちゃったよ♪」はたまた「こんなヒドイ映画にしちゃったけど天国では御大笑ってくれてるよ♪」とでもいいたかったんでしょうかね。

 エンドクレジットでもハメ外しを忘れないトロマです。わざわざ「本作で演じた役者」と前置きしてから役者一覧が流れていくので一体なんだ???と思っていると、その後に「本作で演じてない役者」と出て、サンドラ・ブロック、ジョン・トラボルタ、ミシェル・ファイファー・・・とか流れていきます。当たり前だよ!(笑)

 トロマ映画って、ホント下品でエロでグロでバカでチープで、得るものこれっぽっちも無いんですが、何故かまた何度か観たくなる魔力みたいなものがあるんですよ。人間本来の本能をくすぐるものがあると思うんです。コテコテに塗り固められた完璧な作品よりも、凄い底辺なんだけども普段見られない何かがあって、ついそれが脳内で根を張り巡らしてしまうような。なんだこの説明(笑)。とにかくロイド・カウフマンのセンスに嵌ったら最後だと思います。皆嵌れ。

 トロメオって名前は、トロマ+ロメオから来てると思うんですが、まさかこの語呂に気づいてから製作を思いついたんじゃないだろな、ロイド・カウフマン(笑)。



 一応トレーラーです。あまり無理しないでね(笑)。


 こちらは余力があればご覧になって下さい。ピーナッツを探そう♪です。


(C)MCMXCVI TROMA INC.
【出典】『トロメオ&ジュリエット』/DARK RABBIT

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