2009年3月29日日曜日

映画『ジャガーノート』 ・・・ドラム缶を見かけたら注意した方がいいです

●原題:Juggernaut
●ジャンル:ドラマ/アクション/犯罪/スリラー
●上映時間:109min
●製作年:1974年
●製作国:イギリス
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:リチャード・レスター
◆出演:リチャード・ハリス、アンソニー・ホプキンス、オマー・シャリフ、イアン・ホルム、デビッド・ヘミングス、シャーリー・ナイト、その他大勢(船員、乗客)

 スギ花粉はだいぶ落ち着いたようですね。でも、花粉はスギだけじゃないんですよね。今度はヒノキですかなぁ。まだ暫くは無視する生活が続きそうです(笑;)。昨年買って余っていた市販薬ですが、今年も余りそうです。無視の成果が現れてます♪(←本当?
さて、今回は久々の映画記事となります。また古~いのですが、とても面白くて肩が凝る作品であります(笑)。

【ストーリー】
 英国はサウザンプトン港。豪華客船ブリタニック号がアメリカに向けて出航する。北大西洋の海は荒れていたが航行は順調であった。ある朝、船会社の男やもめ専務の元に電話が入る。ジャガーノートと名乗るその男はブリタニック号に爆弾を仕込んだドラム缶を7式セットしたと言い、解除の仕方を教える代償として50万ポンドの大金を要求する。冷たい汗が流れる専務。その傍らでバブゥーと叫ぶ赤ちゃん。
 政府は爆弾解除の為、英国軍のファロン中佐をリーダーとする爆弾処理班を輸送機でブリタニック号に送り込み、警察は爆弾犯人の逮捕に奔走する。運悪くブリタニック号に妻子を乗せてしまった警視は頭が痛い。船会社の専務は50万ポンドを即用意する考えだが、政府の役人はテロに屈するな、払う必要はないと言い切る。1200名の乗客の命を優先する専務は激怒する。
 50万ポンドを払わなければ十数時間後には爆弾が作動してしまう。果たしてファロン中佐は爆弾を解除し、英国警察は犯人を挙げることができるのか・・・。



【感想と雑談】
 これは凄い。何回観ても手に汗握れる傑作です。

 ジャガーノートという名称は、まんまヒンドゥー教の破壊神の名前から取ったもので、『X-MEN/ファイナルディシジョン』では、そんなイメージまんまで壁をタックルでブチ破る暴走機関車みたいな同名キャラがいた。本作はファンタジーではないので、そういうおかしなところはないが、豪華客船をいとも簡単に沈めることのできる犯人は、これはこれで非常にたちの悪い破壊神である。

 のっけからブリタニック号の出航式が描かれる。ブラスバンドが高らかに演奏し、見送る人や乗客らは紙テープを投げ合ったりするが、早くも空気が死んでいる。みな内心嬉しくないらしい。どんよりとした曇り空の下、この先嫌なことが起きることを予感しているようだ。

 この時、ブリタニック号に乗る妻子らに手を振るのがジョン警視だ。演じるのはアンソニー・ホプキンス。若すぎる。後にハンニバル役を演じることを思うと感慨深いものがある。

 米国の海洋パニック『ポセイドン・アドベンチャー』の大ヒットからの影響は間違いないのだが、派手さを強調するハリウッドとは随分違った印象である。英国では元々ドキュメンタリ映画が盛んだったらしく、そういう視点が根付いているのか、あまり抑揚のない淡々とした描き方をしている。その分、本物志向を貫いていて、ヘタに誤魔化そうとするところがない。

 豪華客船ブリタニック号は本物の客船を貸し切り、実際に海原に出してオールロケを敢行している。本当に荒れた天候を選んで航行させ、船内や甲板の様子もセットの別撮りではなく同時に撮影しているのだ。船員や乗客らの背後に写るドス黒い海面のうねりは全て本物。スタッフに役者らのプロ根性には驚かされる。しかし、大変だったろうな。



 このブリタニック号と英国本土の2つを舞台に、複数のドラマが緊張感を持って描かれる。英国本土で不快感を煽る役人に対抗する船会社の専務にはプチ応援だ。この専務役を演じるのがイアン・ホルム。犯人から電話が来ると、受話器を押さえずに脇の逆探知係に「ヤツだ」と言う。大丈夫なのか。後の『エイリアン』でグルグル回転することを思うと感慨深くなる。

 警察は片っ端から関係していそうな退役軍人を尋問しまくるが、どいつもこいつも一筋縄ではいかないヤツばかりだ。

 一方のブリタニック号。船長から爆弾の件を知らされ一気に落ち込む乗客ら。道化役の船員は懸命に明るく振る舞い仮想パーティを開催するも乗客らは全然乗ってこない。逃げ場のない空間に爆弾と一緒であれば当然のことだ。そんな状況下に置かれた乗客らの人間味溢れる様も丁寧に描かれる。悲観的な中にもユーモアが見え隠れしていて、ドラマに幅を効かせているのだ。こういうのが英国映画の特徴なのかな。とにかくいいと思う。

 さて、大問題の爆弾である。大容量のドラム缶に爆薬と巧妙なトラップを含んだ回路が仕込まれ、ヘタに動かそうものならセンサが働き即作動という最悪な爆弾だ。犯人のジャガーノートは、デモンストレーションとかぬかし、甲板に仕掛けていた小型爆弾を作動させたりと、かなりの技術と余裕を持った人物である。この最悪の爆弾を処理するのがファロンをリーダーとする爆弾処理班である。輸送機からパラシュートで降下し、荒れ狂う海原からブリタニック号に乗り込むまでが一苦労だというのに、まだその先に修羅場が待っているのだ。



 直前までファロンは右腕のチャーリーと共に博物館に仕掛けられた爆弾を処理していて、素人作りは我慢ならねぇ♪と言い鼻歌まじりに作業を進める。彼も抜群の腕を持つ人物だ。演じるのはリチャード・ハリス。大好きな役者さんである。死が隣り合わせであってもユーモアを忘れず、己の技術を信じ今日まで生きてきたという、限界ギリギリのプロの姿を見事に演じている。

 本物志向の本作では、爆弾本体や処理工程の描き方も半端にはしない。まずは1式の爆弾を選び側面に遠隔から力技で穴を開けることにする。この時に使用される切削機のデザインや重量感が素晴らしい。ボンベガスの注入からドリルが回転し、潤滑液が噴射する様。この工程だけでシビれまくりだ。この時に警視の息子が閉鎖区間に入り込んでしまい、助けに入った船員と処理員の一人が爆死してしまう。息子はちゃっかり助かったりするが、ちっとも可愛くない。このガキめ!

 体制を改めたファロンと処理員は、それぞれ各爆弾の前に付く。この時の彼らの装備や行動は電気工事そのものである。シンクロスコープで波形を確認しながらドライバーやニッパ、テスタ等の電工フルセットで挑むのだ。ドラム缶の側面には楕円形の蓋がネジ止めされているのだが、その蓋を外すまでが早くも一苦労だ。犯人の考えを読みながら慎重にネジを外していく。ネジが全て外れても蓋をすぐに外さずに、明かりを消してから挑む。蓋を外したところ、案の定、光センサが構えていたので、その配線を切断しやっと明かりを付けて内部の作業に入る。この時点で早くも息が詰まりそうになる。

 他の処理員は、ファロンが一作業するごとに、それに続いて同じ作業を行なう。ファロンがミスを犯した場合、チャーリーが引継いでミスを訂正し、またミスすれば別の処理員が引き継いでいくのだ。爆弾の内部は武骨な電気部品がカラフルな配線と共に所狭しと配置されていて、それらを一つ一つテスターで確認しながら処置していく。

 この辺り、作業工程を通してファロンと犯人のプロ同士の駆引きを黙々と追っているのが素晴らしい。また、並行して英国の本部では、ファロンとの交信から状況をトレースし、専門家が分析しアドバイスをする。こういったディテールの細かさが奥行きを出し、爆弾処理をワンマンショーに留めていないのも実にいい。



 途中アクシデントが発生するも、不屈の精神でファロンは処理を続け、遂に爆弾の構造からある人物が関与していることを突き止める。英国では証拠を掴んだ警察が犯人を逮捕するが、未だ爆弾の処理は解決していない。赤のケーブルと青のケーブルのどちらを切断するかで止まっているのだ。爆弾が作動するまであと数分。脱出を命ずる本部を無視し、ファロンは犯人との会話を要求する。遂に犯人は口を開き、切断するべき色を伝えるのだが・・・。

 この2色のケーブルのどちらを切断するかというサスペンス要素は、後の爆弾処理が描かれる作品に多大な影響を残したそうです。細密で電子化した現代からすると、荒削りでアナログな爆弾は古臭いの一言で片付けられるかもしれないけど、それを作ったのも処理するのも腕に技術を持った職人というところが、ドラマを形成する上で重要な要素になっていると思うのです。なので、以降の同様の作品でこれほど感動できるものはないと思っています。

 後の『ブローン・アウェイ/復讐の序曲』('94)という同じく爆弾魔と処理班の戦いを描いた作品では、どんな凄い爆弾処理を見せてくれるのか♪と期待したものですが、なんと突然ヤケクソになって回路を丸ごと引き千切って解除するという、実にハリウッド的で有り得ない展開に。役者が良かっただけに非常に残念でした。

 最後の最後まで命をかけた駆引き。『ジャガーノート』は爆弾処理を疑似体験できる究極の作品なのであります。

<追記 2010/8/1>
 TSUTAYAで名作100選みたいな企画やってて、なんと本作がその1作品として大量に置いてありました。アピールするの遅ぇーよ。で、DVDでは未見だったので速攻レンタルしたところ、本作がつまんなかったら返金するという「おもしろ責任制」という企画もやってて、その為のアンケート用紙を渡されました。返却時に出さないといけないらしいです。返金してもらう理由は一切ない作品ですが、用紙には満足できなかった点も書け(必須)となってます。まあ、後で考えて何か書いておこう。



【出典】『ジャガーノート』/20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン

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2009年3月21日土曜日

ジオラマ化計画 その2 ・・・マニュアル作成に挑戦

 たまに、検索ワード”ジオラマ”でこちらに辿り着かれる方がいらっしゃいます。
ジオラマとは模型を使って色んな風景を再現したもので、展示場や博物館等によく置かれているものと思います。どっかのデパートで見た、都会から片田舎までを網羅したNゲージ用の巨大なジオラマには感動しました。

 以前、1枚写真をジオラマ風にする「ジオラマ化計画」を記事にしているのですが、ジオラマ化前後の写真を並べただけで、作り方を知りたい方には役立たずな記事になってることと思います。(本当のジオラマを作りたい方には完璧役立たずですね 笑;)。
そこで、色々調べ回り独自(勝手)に確立した方法ではありますが、備忘録も兼ねて以下に作り方を紹介したいと思います。何か違うと思われたなら、それはたぶん私の技術不足なので、もっと凄いところを検索頂ければと思います(笑)。

 ジオラマ化写真の特徴は被写界深度の表現にあります。被写界深度とは焦点が合う長さみたいなものです。一般的に遠景の写真は被写界深度が深く(長く)、手前から奥までが一様に焦点が合っています。模型等の小さい被写体の近影(接写)写真は被写界深度が浅く(短く)、手前と奥が極端に焦点がずれています。この被写界深度を人工的に浅くすることで遠景写真がジオラマ風に仕上がる訳です。

 さて、作り方の前に、まずは使用するソフトについて。 使用するのは「GIMP」というフォトレタッチソフト。バージョンは、2.2.17。UnixOSを土台に開発されてきたフリーソフトで、最近はWindows版やMac版も配布されています。市販のフォトレタッチソフト「PhotoShop」にも匹敵するそうですが、私にはよくわかりません(爆)。でも、GIMPは写真をいじくる以外に、ごっついロゴマークやイラストなんかも描けたりして、フリーソフトの中では最強の部類に入るものだと思います。

 今回はこのGIMPを使った説明になりますが、メニュー類は当バージョンのものになります。GIMPはバージョンごとにメニュー配置やデザインが変ったりするので、オールマイティな説明にはなっていません。ある程度グラフィックソフトの知識があれば応用も効くと思いますが、この点はご勘弁を。そもそも知識のある人がここに来るのかという疑問が沸くのですが、それはなかったことにします(笑)。

 これからGIMPをやってみようかなぁ~の方、こちらがお奨めサイトです^^
『GIMP2を使おう』
http://www.geocities.jp/gimproject/gimp2.0.html

 こちらは実践型マニュアルやプラグインが豊富なサイトで、とてもわかりやすく勉強になります。2009年3月時点で最新バージョンは2.6.6ですが、PCのスペックを食いそうな予感なので、私は2.2.17のままです(笑;)。

 今回は標準装備されていない機能を使う為、追加プラグインも組み込みます。
「GREYCstoration v2.9 (最新版)」(ノイズ除去プラグイン)
http://www.geocities.jp/gimproject/plug-ins/greycstoration-v2.9.html

 本体のインストール、プラグインの手順は上記サイトを参照頂ければと思います。

 それでは以下のサンプル画像をジオラマ化してみましょう。


1.ノイズ除去プラグインを適用したGIMP2.2.17を起動します。
(Fig.1)


 「The GIMP」ウィンドウは必ず開きますが、「レイヤー|取り消し」ウィンドウが開かない場合は、次の方法で作り上げます。
 「The GIMP」ウィンドウのメニューから、[ファイル]→[ダイアログ]→[レイヤー]を選択すると、新規に「レイヤー」ウィンドウが開きます。次に「レイヤー」ウィンドウ右上の三角マークをクリックして[タブに追加]→[取り消し履歴]を選択すると、レイヤータブと取り消し履歴タブが現れます。タブで切り替えて使うのは面倒くさいので分離します。取り消し履歴タブをドラッグして、ゆっくりと下に移動していくとウィンドウ最下部のラインが色付いて反応しますのでドラッグを離します。すると、レイヤーと取り消し履歴が上下に並んだウィンドウになります。これらは必須の機能ではないですが、あった方が非常に便利です。

 このレイヤーですが、私もボケでたまに使うコスプレイヤーの略称ではなくて(笑)、ここではマジメに「階層」や「層」の意味で使用されます。各パーツごとに色塗りした複数の透明シートを重ね合わせ、何重もの階層から1枚の絵を完成させる。この透明シートがレイヤーになります。細かい描画をする際に複数のレイヤーに分けることで、部分的な修正、差替え、編集等が非常にやりやすくなります。結構使いますレイヤー。

<2011/03/06修正・追記
 被写界深度を人工的に浅くする為、手前と奥をぼかすのに夫々のレイヤーをわざわざ作るという手順を踏んできましたが、その後に「クイックマスク」という機能を使うことで余分なレイヤーは不要ということが判明しましたので、後半の手順を大幅に修正しました。

 

2.それでは準備OKということで、サンプル画像を読み込みます。画像データを「The GIMP」ウィンドウにドラッグすると自動的に画像が開きます。
(Fig.2)


3.「レイヤー」ウィンドウに「背景」というレイヤーが入りました。これをバックアップ扱いにする為、コピーを作成します。「レイヤー」ウィンドウの下側にある紙が2枚重なってる複製ボタンをクリックします。すると「背景 コピー」というレイヤーができるので、これをダブルクリックして名前を「ベース」に変更します。以降「背景」レイヤーは使用しません。
(Fig.3)


4.この「ベース」レイヤーをジオラマ化の基本にする為にいくつか弄くります。まず「色カーブ」を使ってコントラストを強調し、遠景写真特有の大気による霞みを除きます。画像ウィンドウの[レイヤー]→[色]→[カーブ]を選択します。開いた「カーブ」ウィンドウで下図のように線を掴んで曲げてやります。画像を見ながら暗くなり過ぎない程度にクッキリ見えるように調整します。よければ[OK]で適用します。間違ったり、気に食わなかったりしたら「レイヤー|取り消し」ウィンドウの一番下の戻るボタンで元に戻しましょう。
(Fig.4)


5.次に色の彩度を上げて模型らしく鮮やかな色にします。画像ウィンドウの[レイヤー]→[色]→[色相-彩度]を選択します。開いた「色相-彩度」ウィンドウで、下図のように彩度バーを調整します。ここは60でいいでしょう。[OK]で適用します。
(Fig.5)


6.次にノイズ除去を利用することで細かいディテールを潰し、模型っぽい質感を出します。ここでプラグインの「GREYCstoration」を使用します。画像ウィンドウの[フィルタ]→[強調]→[GREYCstoration]を選択します。開いた「GREYCstoration」ウィンドウでは、最下段の[Number of iterations]の値を2にします。他のパラメータは・・・不明です(爆)。デフォルト値でいいでしょう。[OK]で適用します。これで質感が出ました。
(Fig.6)


7.ジオラマの基本的な部分が出来ましたので、これから被写界震度を浅くする為に手前と奥にボカシをかけていきます。それでは、「ベース」レイヤーを選択した状態で「レイヤー」ウィンドウの下側にある複製ボタンを押してコピーレイヤーを追加します。そして名前を「ボカシ」に変更します。「背景」レイヤーは非表示にします。レイヤーの表示/未表示はレイヤーの左側にある目玉をクリックすることで切り替えられます。
(Fig.7)


8.「ボカシ」レイヤーを選択した状態で、「The GIMP」ウィンドウの[円形領域ボタン]をクリックして、画像ウィンドウで焦点を合わせたい部分を横長の楕円で囲みます。今回は中央ではなく下側を楕円で囲っていますが、ポジションや囲む形はお好みで構いません。(下図の選択領域の破線、ちょっと見辛いかな)
(Fig8)


9.画像ウィンドウのメニューから[選択]→[反転]を選択し、左下にある「クイックマスク切替ボタン」をクリックします。下図のように楕円の領域にマスク(赤味)がかかり、これからの処理の対象外領域となります。ここでクイックマスクモードに入りますので、「レイヤー|取り消し」ウィンドウのレイヤー選択がクリアされます。モードが終了するまでレイヤーは選択しないで下さい。
(Fig.9)


10.画像ウィンドウの[フィルタ]→[ぼかす]→[ガウシアンぼかし]を選択します。「ガウシアンぼかし」ウィンドウが開きますので、[ぼかし半径]の[水平]と「鉛直」を90にします。プレビュー画面で変化の具合がわかります。よければ[OK]をクリックします。マスクにボカシがかります。
(Fig.10)


11.画像ウィンドウの「クイックマスク切替ボタン」をクリックしてクイックマスクモードを解除します。するとマスクがかかっていた領域が破線で囲まれます(8項で囲った範囲より少々小さくなります)。次に「レイヤー|取り消し」ウィンドウの「ボカシ」レイヤーを選択します。
(Fig.11)


12.画像ウィンドウの[フィルタ]→[ぼかす]→[ガウシアンぼかし]を選択します。「ガウシアンぼかし」ウィンドウが開きますので、[ぼかし半径]の[水平]と「鉛直」を8.0にします。プレビュー画面で変化の具合がわかります。よければ[OK]をクリックします。画像ウィンドウの[選択]→[なし]を選択して、選択領域(破線)をクリアします。
 これで、手前と奥にボカシが入ったレイヤーが出来上がりましたが、このままだと城の本体(下側)は焦点が合っているのに、塔(上側)はボケてしまっています。次項から塔にかかっているボカシを取り除きます。
(Fig.12)


13.ここからやるのは、「ボカシ」レイヤーでボカシが入ってしまった塔を消去して、下層の「ベース」レイヤーの塔を表示させることです。まず「ベース」レイヤーのみ表示にします。
(Fig.13)


14.次に塔の部分と城本体の上半分くらいをパスツールで囲います。やり方は「The GIMP」ウィンドウの[パスツールボタン]をクリックして、消去したい部分をパスツールで囲っていきます。輪郭よりも気持ち内側を打点した方がいいでしょう。間違ったポイントを打点したら取り消しボタンで元に戻します。一周したところで、Ctrlキーを押しながら開始点をクリックするとパスが繋がります。この後、修正したいポイントをドラッグすることで微調整が可能となります。
 細かい作業なので、画像ウィンドウの[表示]→[ズーム]を選択して、一時的に表示をデカくしてやりましょう。200%とか。囲んだらエンタを押してパスを選択領域(破線)にします。
(Fig.14)


15.「ボカシ」レイヤーを選択した状態で、画像ウィンドウの[編集]→[消去]を選択します。これで塔にかかっていたボカシが取り除かれました。画像ウィンドウの[選択]→[なし]を選択して、選択領域(破線)をクリアします。
 「ボカシ」「ベース」レイヤーを表示にすると、塔の焦点が合った(ように見える)ことがわかります。これで完成です。
(Fig.15)


 画像ウィンドウの[ファイル]→[別名で保存]を選択し、任意の場所に任意の名前を付けてデータを保存します。拡張子を「.xcf」にすると作業データとして、直前までのレイヤーや打点したパス情報等も合わせて保存されます。「.jpg」にすると直前までの画像ウィンドウに表示された状態が画像データとして保存されます。パラメータはお好みに合わせて♪
保存形式は他にも沢山ありますので、用途に合わせてご利用下さい。

【ジオラマ化前】


【ジオラマ化後】


 これで完成としましたが、実は塔の周りにやや黒っぽいモヤがかかった状態になっています。「ボカシ」レイヤーを塔ごとぼかした際、塔の色が周りに滲み出た為です。ただパッと見にはこれでいいんでねぇの♪と思いますので、これで完成とします。・・・って、ダメですか(笑;)。
 背丈のある建物が入るとちょっと面倒になりますが、手前と奥をぼかすことを基本に、ぼかす範囲、ぼかす度合い、色合い等、試行錯誤してベストな状態に持っていくだけです。あと画像は俯瞰気味の構図を使うのが良いと思います。今回の方法がご参考になれば幸いです。

 因みに以下が、塔周りのモヤを無くした一生懸命バージョン(笑)です。この作り方については、また機会があれば紹介したいと思います。 ⇒「ジオラマ化計画 その3」



 次は映画の記事が書けるかな・・・(笑;)。

<追記>
 今回、多層のレイヤーを使って手前と奥のボカシを作成しましたが、ある機能を使えば1層のレイヤーだけで作成できることが、その後に判明しました。「クイックマスク」という機能ですが、これを利用すれば7~18項の工程が、ちょっとの作業で済んでしまうのでした(汗;)。興味のある方は「クイックマスク」機能を攻めてみて下さい。マニュアルはまたいずれ直したいと思います(笑)。
 あと塔の滲み消しなんですが、これは今回と次回(3回目)で紹介している一生懸命バージョンの方法しか今のところ思いついておりませんので。これが一番やっかいなのに。。。

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2009年3月14日土曜日

『バッド・テイスト』の思い出 ・・・またかとお思いでしょうが

前回に紹介しました『バッド・テイスト』ですが、実はある思い出があります。

まだ『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の公開が絶好調の頃でしたか、あるショップで『バッド・テイスト』のDVDが売られていました。 あまり安い値段ではありませんでしたが、これは一つ家宝にすべきと即購入。ビデオテープのよろしくない画質と音質からオサラバできると、ウハウハ帰宅し速攻で鑑賞開始。

ほとんど変わりありませんでした。元々16mmフィルムだからか、気持ち映像の粗さは良くなった程度で、音質は殆ど変わりないように感じました。画面サイズもビデオと同じくほぼスタンダードサイズだったし。何よりも「たけし軍団」による吹替えが入ってないのが残念でした。 文句ばかりですが、大好きな作品をDVDで持てる嬉しさは変わりなかったです。よく考えれば、これ以上に画質や音質が劣化することなく保存ができるので、とても喜ばしいことです。鑑賞を続けました。

ピーター・ジャクソン演じる隊員デレクが丘の上でエイリアン軍団と戦うシーン。マシンガン片手にデレクがエイリアンを迎え撃つところです。盛り上がってきました。撃たれているにも関わらず突進してきたエイリアンは、その勢いでデレクに覆い被さります。その時、別のエイリアンが現れるや、デレクは覆い被さってるエイリアンの腹にマシンガンを捻じ込み、背中から飛び出させた銃口から弾を撒き散らそうとします。

その時、再生がピタッと止まりました。ポーズを押した訳でもなく、勝手に止まったのです。何をやっても再生が続行されません。完全フリーズ状態。その時プレーヤーとして使っていたのはPS2でした。ちょっと調子悪いのかなと思い、強制的に電源をOFF/ONし、初めから再生。フリーズちょっと手前まで早送り。また同じところで完全フリーズ。再度、電源OFF/ON。結果変らず・・・。因みに早送りしたままだと無事通過します。PS2の調子が悪くなった時は、本体を寝かせたり逆さまにすると良いという情報を思い出し、有り得ない置き方まで含め色々試してみたのですが、結果に変わりはありませんでした。必ず同じシーンでフリーズします。悲劇です。

ソフトの不良品に違いない、ということで後日ショップへ急行。店員に途中でフリーズする旨を伝えると、じゃあ確認させて下さいということで、店頭に置かれたデモ用のモニタへ移動。ちょっと待ってください、ここで再生するんですか?人がいっぱいショップの前を通ってますよ?ここでこれを流すのは・・・ということも言えないまま、店員は勝手に再生を開始。小心者の自分がここにいました(笑;)。

フリーズ手前まで早送りし、完全フリーズを待ちますが、その間にも血肉飛び散るシーンが流れていきます。
    店員 「・・・・・・あー、凄いですね・・・(苦笑)」
    私   「・・・・・・あー、そーですね・・・(汗)」
この間、まるでAVビデオをレンタルしようと列に並び自分の番がきた瞬間に店員がおっさんから若い娘にチェンジしたような、まさにそんな空気が流れます。なにこの例え。通りすがり客の視線を感じる数分間。

で、問題のシーンが接近。固唾を飲んで待ってると、何事もなかったように通過。ショップのプレーヤーでは正常に再生されるのでした。店員によれば、プレーヤーによってはそういうこともあるそうで、特にPS2は可能性が高いとのこと。内心「コイツ、こんな変な映画観やがってよ」とか思っていたに違いない店員に、とりあえずメーカーに確認してもらうようお願いして、いったん引き上げ。

因みに、フリーズした時のシーンがコレ(笑;)。


後日、再度ショップに行くと同じ店員から、メーカーの言い分としては全てのプレーヤーを保証している訳ではないので云々かんぬん・・・。要はどうしようもないのでゴメンしてねとのこと。またこの店員、自前のPS2でも試してくれたらしく、確かに例のシーンで完全フリーズすることを確認されたとのこと。店員、いいヤツじゃん!『バッド・テイスト』のファンが増えたかな! ちょっと感動しました。
結局、当時うちにはPS2しかなく、他に再生できる手段がなかったことから、返品扱いしてもらえることになり、全額返ってくることになりました。

この時はラッキーでしたが、今にしてみればそのまま持っていればよかったなと。その後、『バッド・テイスト』のDVDは廃盤となり普通に購入ができなくなりました。でも、返品する前にメイキング映像だけちゃっかし頂いているので(笑)、昔からのビデオの画質が我慢できれば、別にいいかなとも思ってます。どっちなんだ??

結構な大作の割にオチがサッパリな駄文記事となりました。失礼しました(笑;)。

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2009年3月8日日曜日

映画『バッド・テイスト』 ・・・グロッとさわやか、ニュージーランド最強伝説

●原題:Bad Taste
●ジャンル:アクション/コメディ/ホラー/SF
●上映時間:88min
●製作年:1987年
●製作国:ニュージーランド
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ピーター・ジャクソン
◆出演:ピーター・ジャクソン、テリー・ポッター、ピート・オハーン、マイク・ミネット、クレイグ・スミス、その他大勢(エイリアン農夫)

 どうも^^。ここのところ、週一くらいの更新ペースになってます。早めたいところですが、なかなか難しいですね。まあ、マイペースでいかせてもらいます(笑;)。
 さて、今回は家宝に等しい作品ですが、これをサンディの次に持ってきてしまったのはちょっと反省かも(笑)。でも、書いたもんは仕方ないです。音楽がサンディなら、映画はこれ!思い切り公開します。ピーター・ジャクソンの伝説の処女作品です。(中盤に小さいですがちょっとキツめの写真を貼ってます。気持ちご注意下さい 笑;

【ストーリー】
 ニュージーランド。海岸沿いの町カイホロから、突然凶悪なエイリアンに襲撃されたという連絡が入る。出動した宇宙防衛局の隊員デレク、オジー、フランク、バリーの4人は、カイホロが農夫姿のエイリアンに占領されているのを確認。エイリアンは人類を食料にするべく、カイホロ町民をその試食用に選んだのだ。デレクは一人して駆逐しようとするも、エイリアンの反撃に遭い崖から転落し頭を強打してしまう。残る3人は海岸沿いの屋敷がエイリアンのアジトであることを突き止めるが、その時に偶然やってきた集金係が拉致されるのを目撃する。屋敷に潜入した3人は無事に集金係を救出するが、エイリアンに発見され激しく攻防。そこに死んだと思われたデレクが突然登場。喜ぶ3人だったが、既にデレクの頭はおかしくなっていた・・・。

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【感想と雑談】
 以前紹介した『吐きだめの悪魔』とセットで持ちたいこの1本、『バッド・テイスト』です(笑)。

 『ロード・オブ・ザ・リング』で一世を風靡したニュージーランドの雄、ピーター・ジャクソン監督が4年半の歳月をかけて自主製作した長編デビュー作品です。新聞社に勤めながら同僚や友人らの協力のもと、作り上げた本作は手作り感が満載。汁気たっぷりのスプラッタ描写に能天気なギャグセンス。『ロード・オブ・ザ・リング』の原点ここにあり。ない?

 ピーター・ジャクソンの素晴らしいところは、好き勝手にやる一方で映画的手法をちゃんと押さえているところ。なので、パッと見は安っぽいのに観終わって充実した気分に浸れるのは、ちゃんと映画としての骨格が成り立っているから。4年半もの長期間を資金集めに奔走し撮影が続けられたのも情熱と才能があってこそ。製作、脚本、監督、特撮、特殊メイク、俳優、殆どこなしたのも伊達じゃない。勿論、同僚や友人らの協力もあってこそだ。

 開始早々、ニュージーランドの町カイホロが映されるが、潮風に晒され寂れた人気のない光景はなかなかイイ感じである。ここで、斥候として現地入りしている宇宙防衛局の隊員デレクとバリーが登場。バリーが町内を偵察していると農夫に化けたエイリアンに見つかり追われるハメになる。海岸の岩場まで追い詰められたバリーは、44マグナムでエイリアンの頭を吹き飛ばし、その様を望遠鏡で見守っていたデレクが狂喜する。

 このシーンだけで早くもピーター・ジャクソン節が炸裂していて、手作りクレーンによるカメラ視点の上昇、手作りステディカムによる岩場の移動撮影、エイリアンのダミーヘッド等が拝めることになる。また編集も素晴らしい。バリーを追跡するエイリアンを背後から接近していくとカメラが上昇し上から見据えた俯瞰の画になったり、岩場でエイリアンのふらつく足元からカメラが上昇すると上半分がなくなったエイリアンの頭部が映されたりする。別撮りしたカットを巧みに結合して、テンポよくあたかも1カットのように見せるセンス。これは後の『ブレインデッド』で更に洗練されることになる(『ミート・ザ・フィーブルズ』がその前にあるけど、これは未見><)。

 このセンスは最後まで生かされていて、スピード感溢れる画作りは16mmフィルムの粗を十分に補っている。ピーター・ジャクソンは製作する上で必要となるものは極力手作りで揃えたそうで、中でも先のクレーンやステディカムまで作ったとは驚きである。自分が好きなものや皆に楽しんでもらいたいものを実現する為には、努力も惜しまないお人なのだ。

 スプラッター要素については、ここがピーター・ジャクソンの一番の爆発どころ(笑)。頭を吹き飛ばされたエイリアンの脳ミソを別のエイリアンがスプーンでガッついたり、屋敷の中にカイホロ町民肉が詰まったダンボール箱が山積みになっていて、その周辺に散らばった肉片をモップで掃除したり、チェーンソーで刻まれたエイリアンが内臓ともども四散したりと。脳ミソ、肉、内臓が実に生々しい。特殊メイクというよりも、知り合いの肉屋から軽く巻き上げてきた本物なんじゃないかと思われる。


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 隊員デレクとエイリアン・ロバートの2役(上の写真)を演じるのはピーター・ジャクソン本人。パッと見別人。崖っぷちでエイリアンと戦った挙句、転落し後頭部が割れてしまうデレクは、元々暴走気味だったところがフル加速。度々脳ミソをこぼしては後頭部を押さえ付け、仕留めたエイリアンから脳ミソを補充してはヒヒヒと笑う。有り得ないだろ(笑)。一方、エイリアン・ロバートはエイリアンの死体から脳ミソをホジホジしたりするが、極めつけは屋敷の中でエイリアン軍団に自分のゲ○を振舞うところだ。エイリアンの大ボスを先頭にボウルにテンコ盛りになった○ロを回し食いする。ノオォォォ。この軍団に潜入していた隊員フランクもこれを食わされるのだが、彼の表情からして味は悪くなかったらしい(笑;)。

 エイリアンの正体の造形が、また見事な出来栄えなのである。数は少ないけど一つ一つ丁寧に作られ、形だけでなくちゃんと表情も変るようになっている。また、転落したり首をもぎ取られる時の全身ダミーなんかもそうだ。どんだけ苦労して作ったんだ。デレクが崖から転落する時、ホントに役者が転落しているのかと思った。まあ、これは撮り方の上手さもあるのだろうけど。

 宇宙防衛局とエイリアン軍団の戦いも、発狂デレクの大暴走によって急展開を迎える。最後に生き残ったエイリアンの大ボスは、実は宇宙船だった屋敷をデレクを乗せたまま発進。地球を離れ宇宙を航行する屋敷(笑)。ここで思った。後の『ザスーラ』はこれをパクったのではないかと。
 ラスト、デレクはチェーンソーごとエイリアンの大ボスに脳天からダイブ。デレクが貫通しデロデロになる大ボス。そしてデレクの笑い声が宇宙に響き渡る。その後にとるデレクの行動とは・・・。

 気が狂っているんじゃないかと思われそうだが、ピーター・ジャクソンは至って冷静に楽しんでいるようだ。ここまでやってくれるとヒドいとか胸クソ悪いとか、そんなの遥か彼方まですっ飛んでしまう。潔すぎて笑える立派なエンターテイメント。ピーター・ジャクソンの凄さが一発でわかる快作。キャッチコピーの「グロッとさわやか」は名文句である。更にはニュージーランドの大自然も牧歌的でよろしいし。羊にロケット砲が当たって木っ端微塵になるぞ。宇宙防衛局の隊員達だって素人丸出しの風貌だけど、何度も観るうちに愛着も沸いてくる。フォローになってない気がする。
・・・やっぱり観てもらないとわからない世界かな(笑;)。

 『バッドテイスト』のDVDには特典として『グッドテイスト』というメイキング映像が入っていて、完成直後のピーター・ジャクソンのインタビュー、撮影用品の紹介、共演した友人らの実生活の様子等、短時間ながらも盛り沢山の内容だ。ミニチュア屋敷の爆破テストまで収まっているのは驚いた。ここでピーター・ジャクソンが手作りプロップやクレーン等の説明をするのだが、見ていてホントに感心してしまう。このメイキングを観て『バッドテイスト』の幅が更に広がったし、『ロード・オブ・ザ・リング』の原点が垣間見えた気がする。まだ言ってる。

 ビデオリリース時に日本語吹替え版を担当したのはたけし軍団。初めて観たのが吹替え版だったので、内容よりもたけし軍団の棒読み台詞にインパクトを受けたのでした。組合せが素敵すぎる(笑)。
 残念ながらDVDには吹替えは収録されていないので、もしワゴンセールで吹替え版ビデオを発見されたら、即買いだと思います。ビデオデッキがあればの話しだけど。それと、現在DVDはなんとか購入できるみたいなんだけど、レンタルには置かれていないんですよね。ちょっとは考えてくれないかな。

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IMDbの評価が6.8/10?? どーいうことだ。10/10じゃないのか。

【出典】『バッド・テイスト』/ハピネット・ピクチャーズ

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2009年3月1日日曜日

音楽『サンディ&ザ・サンセッツ』 ・・・サンディ(Sandii)といえば


どうもです!久々に音楽ネタです。
特に極めている訳でもなく、完璧に個人的視点で好き勝手に書きたいと思いますので、絶対当てにしないで下さい(笑)。
以前にも記事にした大好きなサンディについてです。好きで好きで堪らないサンディです(笑)。改めて記事にしたいと思います。

日本人とスペイン人のハーフであるサンディは、ハーフだけに留まらず他の歌手とは一線を画した存在感がありました。身体全体を包み込んでくれるような、しっとり優しくも力強いあの歌声にはなんとも言えない気持ちよさがあって、未だに私にとっての歌姫No1であったりします。トップ・オブ・ザ・歌姫。そして、グラマー美人(笑)。名前を知らない方も、歌声はどこかで耳にしてるんじゃないでしょうか。

日本で生まれ幼少時代をハワイで過ごしたサンディは、70年代から日本に戻り歌手として活動を開始。’76年に「GOODBYE MORNING」で世界歌謡祭グランプリ最優秀歌唱賞を受賞したりと、その歌唱力がハンパでなかったことがわかります。
サンディの歌声を初めて聴いたのは’78年製作のミステリー映画『ナイル殺人事件』のイメージソング「MYSTERY NILE」でした。ラジオから流れていたのを聴いただけで、詳しいことはわかりませんでしたが、やたらきれいな歌声がとにかく印象的でした。その後もサンディは、ゴダイゴやイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のバックコーラス、『ルパン三世』の主題歌等、一部名前を変えながら様々な活躍をしていきます。

サンディを意識して聴くようになったのは、’80年代のサンディ&ザ・サンセッツというバンド活動に入ってからでした。当時、愛読していた雑誌「宝島」(笑)で初めて知ったのですが、海外では高い評価を受けていたそうで、写真を見てそんじょそこらの歌手やグループには無いオーラ全開というのが一目でわかりました。これはイカンということで早速ベストアルバム『VIVA LAVA LIVA』(’84年)を購入。やられました。基本ロックのところにテクノや日本的なエッセンス琉球音楽等がミックスされた独特なメロディ。そしてリズム。新し過ぎました。サンディの美声も相まって神の領域。完璧にやられました。海外で大人気というのも頷けました。もっと早くから意識しておけばと地団太を踏みました。

その後に発表されるアルバムはどれも素晴らしく、日本が誇る最強バンドとして有り難く聴かせてもらいました。サンディの活動の中では、このバンド時代が一番好きです。海外で評価されるほど国内ではスルーされがちですが、このサンディ&ザ・サンセッツもご多分に漏れず、国内では殆どメジャーな扱いはされなかったようです。ニューウェーブ(笑)という新しすぎる音楽性が合わなかったのでしょうか。リーダー久保田麻琴のセンスが多分に出ていて、日本含めアジア的要素を取り入れた音作りは、世界に通用するのに十分な威力を持っていました。これにエキゾチックな顔立ちに英語も堪能というサンディが加わってた訳ですから、海外に向かうのも当然だったのでしょう。初めから国内を相手にするつもりもなかったかもしれません。琉球音楽をルーツにアジア音楽の第一人者とされる久保田麻琴は、バンド解散後もサンディをバックアップしていくことになります。

サンディの初ソロアルバム『EATING PLEASURE』は、遡ってちょうど’80年に発表されました。実際に聴きだしたのはだいぶ後になってからでしたが、これもまた凄すぎました。バックをあのYMOや後にバンドを組むことになる久保田麻琴率いるサンセッツらが固め、テクノでロックでエスニックな曲が連発される、それは斬新すぎるアルバムでありました。収録曲で一番のお気に入りは、琉球音楽のフレーズがテクノ調に入り乱れる「ALIVE」。サンディの弾けるような歌声に参りました。未だに色褪せない名曲です。

’90年代に入るとバンドは解散され、サンディはソロ活動に入っていきます。アジア的要素は更に強化され範囲も広がっていきます。パシフィック(太平洋)に面した民族音楽にまで傾倒され、最終的にはハワイへと行き着きます。音作りもテクノやハウス方面に進み、美空ひばりや童謡のカバーまでしたりと面白いことになりますが、何よりもサンディの歌声が円熟期に入りだしたということでしょうか。更に艶と貫禄が増した歌声は圧巻の一言。これがまたミディアムテンポな曲によく映えるのです。

’90年代後半から、サンディは幼少時代を過ごしたハワイへと戻り、ハワイ音楽、フラダンスに身を置くことになります。それまで活動してきた音楽に対する答えがここにあったのかはよくわかりませんが、同じような音楽をダラダラ続けていくよりもいいんじゃないかと思いますし、また何よりもサンディらしいオチでもあるなと思います(笑)。
その後、サンディは音楽活動と共にフラダンスの道を極め、遂には長年の修行の成果が実り、フラの正統的継承者クム・フラ(フラマスター)の称号を授かることになります。これは凄いことです。現在は東京でフラ教室「Sandii's Hula Studio」を開かれてるそうです。

正直、ハワイ傾倒以降のサンディは聴いていません。未だ自分の中ではサンディ&ザ・サンセッツのサンディなのですから。これが偏り道ってヤツです(笑)。でも、これから歳をとり人生のことを考えるようになったら、突然サンディのハワイ音楽を聴くようになるのかもしれません。それと「Sandii's Hula Studio」に通ってフラ道を生きるとか(笑)。野郎のフラダンスは無し??

貴重なライブ映像が結構アップされていて嬉しい限りです。以下にいくつか紹介させて頂きます。

『LOVE SICK』(’80年)
実は今回の記事は最近このPVを発見したことがきっかけなのです。メディアに挙がらないものだと諦めていたサンディですが、こんなレアな映像が存在していたとは驚きです。この曲は初ソロアルバム『EATING PLEASURE』から。こんなにハツラツと歌う当時のサンディが拝めるとは!こんなカッチョいいバンドでベースを弾いてみたい!!左のギターが久保田麻琴ですね。
最後にプライベート風のオチも入っていて、大変貴重なPVといえましょう。


『OPEN SESAME』(’82年)
おそらくは’87年前後のライブと思われます。この曲はアルバム『IMMIGRANTS』から。開けゴマ♪ですね(笑)。これを聴いてファンになりました。アジア的エッセンスがスパークしている、サンディ&ザ・サンセッツを代表する名曲です。ホントにいい時代でした。


『HAI HAI HAI』(’94年)
ソロ活動も熟してきた頃のサンディです。何よりもこの歌声です。堪りません。エスニックな雰囲気にDJスクラッチも入る楽しい曲です。アルバム『DREAM CATCHER』から。ここに挙げてるPVは全てテレビ放映されたもののようですが、一切目にすることはありませんでした。何チャンネルで流してたんですか!!
上の「OPEN SESAME」でもそうですが、スパークしているステージに対して非常にダウナーな観客席。サンディなんだぞぅ!!


『Love Squall』(’79年)
オマケ。『ルパン三世(第2シーズン)』のエンディング曲です。声がやたら若いですが、間違いなくサンディの声です。因みにこの時はサンドラ・ホーン名義で歌ってました♪


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