2008年5月28日水曜日

映画『めがね』 ・・・今日も浜辺でメルシー体操です

●原題:めがね
●ジャンル:ドラマ/コメディ
●上映時間:106min
●製作年:2007年
●製作国:日本
●言語:日本語
●カラー:カラー
◆監督:荻上直子
◆出演:小林聡美、もたいまさこ、その他小勢
◎評価:★★★★★★★★☆☆

『かもめ食堂』のスタッフによる新作だ。『めがね』・・・いったいどんな映画なのか。予備知識オールゼロで挑みます。

【ストーリー】日本のどこかの南の島。季節は春。そこに一人の女タエコがやってくる。黙々と歩いた末に到着したのは一軒の宿ハマダ。非常にオープンな宿で一人の男ユージが切り盛りしている。フレンドリーに接してくるユージだが、素っ気ない受け答えをするタエコ。
その宿はタエコにとって不思議というか不可解というか、普段の生活リズムにはありえない場所であった。そこではユージの他に、地元女教師のハルナ、そしてこの時期になると必ずお手伝いしに訪れる女サクラがいた。このサクラ、周りの連中からはやたら慕われてる不思議な存在だ。毎朝欠かさず浜辺で地元の子供らにメルシー体操を教えている。
宿ではすることがないので、観光スポットを訪ねるタエコだが、返ってくる答えは”観光スポットなんてない、やるとしたら黄昏ることだよ”。皆、どうやら黄昏てるらしい(引用①)。
実はタエコは携帯電話が繋がらない場所ならどこでもいいという決断のみでここに訪れたのだが、妙に絡まれたりして空気にも馴染めない為に早々に引き上げ、もう一軒の宿マリンパレスに向かう。しかしそこでは電波が注入された宿主が待ち構えていた。逃げるように引き返し、再び宿ハマダのお世話になるタエコ。
黄昏る・・・という言葉を意識し始めたタエコは近所のスーパーで毛糸を買い、浜辺で編み物をし始める(引用②)。聞こえてくるのは波の静かな音だけだ。時間がゆっくりと過ぎていく。タエコの心の中に変化が現れてきたようだ・・・。

【感想と雑談】
毎日仕事に追われて携帯電話が鳴り続ける生活をしているとふとどこかの孤島に行って全てを忘れたくなる、という題材はもう誰もが思いつくものだと思う。本作もそれと同じ思いで主人公が南の島に行くのだが、そこに住む人や同じく訪れてきた人がどことなく不思議な存在として描かれていて、主人公が戸惑いながらも目覚めていく過程を興味深く観られたと思う。
本作のタイトルは登場する主要人物が全員めがねを着用しているところから来ているのであろう。『かもめ食堂』もそうだったが、この女流監督さんは、そういう説明的な台詞は一切入れずに逆に間の入れ方で魅せてくれる人なのだと思う。これも引き続いて小林聡美ともたいまさこ(「OH!たけし」の親子であるな)が続投しているが、絶妙な間に拍車をかける名演技で現実的な面もシュール的な面も一つの箱庭にキレイに納めた感じだ。所々で挿入される素朴な料理もこれまた花を添えていた。よく言われることかもしれないが、これは観る映画ではなく感じる映画だ。
そしてこれは究極の癒し映画でもある。あの海のキレイなこと。キレイすぎる。透明すぎる(引用③)。自分もぜひ行ってみたいところだ。自分は編み物はできないが、とにかくあの浜辺でマッタリと時間を忘れて過ごしてみたいと思う(引用④)。勿論、携帯電話はボッキリ真っ二つに割ってトドメを刺してからな!繋がらないからいいじゃんではダメ。あの忌々しいボケ携帯電話を破壊できる特典を付けてこそ夢の楽園になるのだ(違。
これ劇場の大画面で観たら間違いなく疑似体験できるんだろうな。あの浜辺での一時を。

・・・・・・ところでメルシー体操ってなんだ?

【本作シーンからいくつか引用紹介】

①ゆっくりとカメラがパンする。見よこの海を。黄昏にチャレンジ中のタエコ。


②浜辺で編み物をするタエコ。夏ではなく春というこの季節が実によさげだ。


③この海!どれだけ透明なのよ。


④ほとんど動きのない構図で一同に介するこの場面。なんだか心地がいいよ。

© めがね商会 2007
【出典】『めがね』/VAP,INC(VAP)(D)

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2008年5月25日日曜日

なにこのPV・・・凄すぎる

スパイスガールズの『Wannabe』って曲のPV。
今更なんだけど、これ凄いPVだよね。ボケーッと観ていくうちに、はたと気が付いた。これカットがないじゃん。やたらスムースなカメラワークで彼女らを交互に切替えながら映し出していってる。どっかのレストランの外から始まり、暴徒と化したスパイスガールズがレンストランに乱入、散々暴れまくった後に店を出て二階建てバスに乗り込み去っていく・・・。これが1カットで描かれているのだ。まあ、彼女らも頑張ってるが、尊敬するのはカメラマンだ。ステディカムを背負ってこの4分近くもの移動撮影をこなしているからだ。お疲れ様です。
ところで、スパイスガールズといえばベッカムのカミさんのビクトリアなのだが、ひょっとしてソロパートはないのか?他の曲は知らないのであれなのだが、このPVではちょこまか動いているだけで歌ってなかったぞ。ひょっとしてあれか、SM○Pの中○クンみたいな存在なのか?



ちなみに、これがスパイスガールズ本家のPVを観るきっかけとなった、吉幾三コラボの傑作です(笑。左上の娘がメアリー・エリザベス・ウィンステッドに見えて仕方がない。

2008年5月24日土曜日

映画『かもめ食堂』 ・・・一度は行ってみたい国フィンランド

●原題:かもめ食堂
●ジャンル:ドラマ/コメディ
●上映時間:102min
●製作年:2006年
●製作国:日本
●言語:日本語/フィンランド語
●カラー:カラー
◆監督:荻上直子
◆出演:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、フィンランドの方々
◎評価:★★★★★★★☆☆☆

評判を聞いていて以前から観たいと思っていた邦画だ。滅多に観ない邦画なのだが。

【ストーリー】フィンランドで一人食堂を開く日本人のサチエ。近所のババア連中から窓越しに冷やかし光線を浴びるだけの毎日だ。すなわち閑古鳥。店名はかもめ食堂。
ある日、地元の日本オタク青年が来店してきた。突然彼からガッチャマンの歌詞を訪ねられるサチエ。出だしはわかるがその後が思い出せない。悶々とするサチエだが、その後偶然会った日本人ミドリから歌詞を教えてもらう。お礼にと自宅に招待されたミドリは、宛てもない為店を手伝うことにする。
二人になったことで活性化し出したのか、冷やかしババア連中がいい匂いを嗅ぎ付けて来店してきた。クチコミからか徐々に来客が増えていくかもめ食堂だ。
しばらくすると、空港で手荷物を紛失したという日本人マサコが来店してくる。彼女も宛てのない旅行者のようで実に謎の多い女だ。ややオフビートな行動を取りながらも、マサコはミドリ同様に店を手伝うことにする。これで3人体制となった。その後も店は繁盛を続け、同時に様々な人間模様が描かれていく・・・。

【感想と雑談】
のっけからフィンランドはヘルシンキの港町で丸々太ったかもめのドアップが映し出される。これがかもめ食堂の名前の由来だろう。なぜフィンランドで食堂なんぞを開こうとしたのか、はっきりとした説明は特にない。小林聡美演じるサチエも片桐はいり演じるミドリとのダラダラした会話の中でなんとなく出来そうだからって言ってるだけだ。この作品は、そういう説明的なことにはお構いなく、フィンランドで食堂を開いたら日本人がやってきて手伝ってくれてお客さんも来てくれるようになった、という流れを淡々と映し出しているだけだ。
波もそんなにないし、破壊的なお笑いがある訳でもない。しかし、淡々とした中にも光るところがあってなんだかんだ目が離せない。これは小林聡美、片桐はいり、もたいまさこの個性的な女優陣が無駄のない演技でしっかりと支え光のある映画にしているのだと思う。
フィンランドでのオールロケだそうでキャストも現地の役者を起用している。一人印象的で影のある男が出てくるのだけども、どこかで見たなと思ったら、フィンランド映画の『過去のない男』に出てたマルック・ペロトラだった。なんか凄いコラボに思えた(笑。
食堂ものといえば料理なのだが、フィンランド人も日本人と同じく鮭を食べるからとサチエは日本食で勝負する。自宅や食堂で出される料理の本当に美味しそうなこと。フィンランド人キャストが果たして本当に美味しがって食べていたのかは深く考えないでおこう(笑;)。


フィンランドはヘルシンキの港町に店を出すサチエ。閑古鳥絶好調。皿は磨きすぎでピカピカ。


同じ日本人のミドリにガッチャマンの主題歌を教えれと迫るサチエ。メモ用紙に歌詞を速記するミドリ。ムーミンが気になるらしい。


ふとした思い付きから、店でシナモンロールを焼いてみた。いい香りが全開。


日本からの旅行者らしいマサコがやってきた。空港で手荷物を紛失したらしい。店を出ると怪しさ全開の行動を起こす謎の女。

© かもめ商会
【出典】『かもめ食堂』/バップ

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2008年5月22日木曜日

映画『タイム・アフター・タイム』 ・・・未来のアメリカでH・G・ウェルズVS切り裂きジャック

●原題:Time After Time
●ジャンル:アドベンチャー/SF/スリラー/ロマンス/ドラマ
●上映時間:112min
●製作年:1979年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ニコラス・メイヤー
◆出演:マルコム・マクドウェル、その他大勢
◎評価:★★★★★★★☆☆☆

 シンディ・ローパーの歌を思い出した方、たしかに懐かしいですね。でも本作もずいぶんと懐かしい映画ですよ。

【ストーリー】
 1893年のイギリス。霧の都ロンドン。ある夜、アホそうな娼婦が一人ブラブラしていると男に声をかけられる。金貨を渡されウハウハ気分になった娼婦だが、裏路地に入った途端、男に腹を裂かれ殺されてしまう。
 それから間もない頃、作家であり科学者でもある男H・G・ウェルズが自作のタイムマシンのお披露目パーティを開いていた(引用①)。目を丸くする友人達と地味に盛上っていたところだが、突然の警察の訪問でパーティが台無しになってしまう。警察は切裂きジャックがまた現れたので捜査に協力して欲しいと言う。”物騒な世の中だぜ”とウェルズ一行が盛り下がっていると、招いた友人の外科医スティーブンソンの鞄から血まみれの手袋が発見される。スティーブンソンが先のアホ娼婦を殺害した連続殺人鬼切り裂きジャックだったのだ!
 慌てて家中を探す警察だが既にスティーブンソンの姿はなかった。何故ならスティーブンソンはタイムマシンを使って未来にワープしてしまったからだ。
 殺人鬼を未来に送り込んでしたったのは自分のせいだと反省するウェルズは、安全装置によって無人で戻ってきたタイムマシンに乗込み、スティーブンソンを捕らえる為に操作パネルに設定されたままの時代へと向かう。
 そこは1979年のアメリカ。H・G・ウェルズ展を開催していた博物館にワープしたウェルズ。”これが未来かよ♪”と感心しながらも、まずはイギリス銀行に向かい、スティーブンソンが換金しに来たか探りを入れる。するとそこの換金担当の女エイミーに一目惚れされナンパされるウェルズ。その日のうちに家に招かれベッドイン。早すぎるだろ。
 勿論、スティーブンソンは換金に来ていた。その時にエイミーは宿泊先も聞いていた。ウェルズは早速宿泊先のホテルに乗込むが、スティーブンソンと対面しながらも結局逃がしてしまう。その後、ウェルズとエイミーの関係を知ったスティーブンソンは、エイミーを人質にしタイムマシンで別の時代に逃亡することを計画する。果たしてウェルズはスティーブンソンを捕らえることができ、そしてエイミーを無事に救うことができるのか・・・。

【感想と雑談】
 なかなか良い映画である。
 イギリスに実在した作家H・G・ウェルズと伝説の殺人鬼である切り裂きジャックを絡めたSFファンタジースリラーである。切り裂きジャックを題材に入れながらも血まみれは殆ど無く、19世紀の男ウェルズがタイムトラベラーお約束の珍行動を取りながらも殺人鬼を懸命に追跡し、その一方で現代のアメリカ女性に困惑し感動する様を描いている(引用②)。

 冒頭では娼婦を殺人鬼の視点で追っていき、いきなり殺人の様子を描くのだが、目を見開く娼婦の顔面ドアップだけという想像におまかせモードとなっていて、それからは、ほぼウェルズの視点で追跡劇が描かれることになる。暴力こそ未来の姿と訴える殺人鬼のスティーブンソンにウェルズは反対していたが、実際行ってみるとその通りなのでガックリくるウェルズだ。しかし、そこで出会うエイミーが現代流の女をアピールしながらも心を癒してくれる存在だったりする(引用③)。このエイミー、アメリカ女にしてはオットリ口調でややとぼけた性格をしているので、殺人鬼が暗躍する一方でお笑い要素ありのラブストーリーも味わえる展開になっている。

 なかなか小技の効いた傑作だと思う。タイムマシンの特撮も静止画に光学合成というスーパーローテクなのだが、これも味わいというものだ。昔はよくテレビ放映されていたのだが、またやってくれないものか。しょーもないバカ大作に安いドラマの延長みたいな邦画ばっか流してないで、こういう作品をもっとやるべきだろう。

 監督はニコラス・メイヤー。本作が初監督のようだ。なるべく各キャラクタに特徴を持たせ判り易くしたそうで、最近観た『ロードオブザリング』については誰が誰だか判らんので全員に名札を付けてくれ、と怒ってらっしゃった(笑)。
 H・G・ウェルズを演じるのはマルコム・マクドウェル。『時計仕掛けのオレンジ』の印象が強烈だが、本作ではイギリス紳士という正反対の役柄を好演している。これまでのイメージを払拭する為に本作の出演を決めたそうだ。悪役専門の役者が善人役をやるとこれまた味わい深い。
 殺人鬼スティーブンソンを演じるのはデビッド・ワーナー。実力派の舞台俳優だそうだ。『オーメン』で首チョンパされるカメラマン演じてた人(引用④)。
 銀行に勤める女エイミーを演じるのはメアリー・スティーンバージェン。後の『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』でドクの恋人役を演じていて、間違いなく本作の影響によるものである。面白いのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』では逆に彼女が過去の西部の時代で現代のドクを迎えるところだ。
 音楽はミクロス・ローザ。思い出すのが『ベンハー』なんだけど、本作でも力強い壮大なメロディを聴かせてくれます。

 なんだかまた『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズが観たくなってきたぞ(笑)。


①レトロフューチャーなタイムマシン登場。半信半疑なパーティの来客達。紳士の国なのでタイムマシンにタックルとかしない。


②未来のアメリカにワープしたウェルズ。そこはとても文明の進んだ世界だった。オネーチャンもこんな格好だし。透明パンツをすかさずメモるウェルズ。


③銀行の換金担当エイミー。一瞬でウェルズに一目惚れ。決して美人ではないのだが結構クセになる存在だ。 ドクの恋人。


④ついにエイミーが人質になってしまった。タイムマシンの鍵をよこせ!とスティーブンソンがウェルズに迫る・・・。


Time After Time, Artwork&Photography © 1979 Warner Bros.
【出典】『タイム・アフター・タイム』/ワーナー・ホーム・ビデオ

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2008年5月19日月曜日

映画『エイリアンズVSプレデター(AVP2) 』 ・・・照明が足りなかったようです

●原題:Aliens vs Predator - Requiem
●ジャンル:アクション/ホラー/SF
●上映時間:102min
●製作年:2007年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:グレッグ・ストラウス、コリン・ストラウス
◆出演:スティーブン・パスカル、その他大勢
◎評価:★★★★☆☆☆☆☆☆

 レンタル屋では新作としてズラリと並べられているが、その横っちょからハイエナのような気配を感じる。『AVA』が置いてあった。店の便乗作戦だが、ワンクリック詐欺なんかよりもダメージがデカイので注意しよう。

【ストーリー】
 前作『AVP』では北極だか南極だかの地下神殿でエイリアンとプレデターの死闘を人間の探検隊が指を咥えて見ているような内容だったが、一応その時のオチから本作は始まる。
 地球でのハンティングを終え帰路に付いていたプレデター号だが、エイリアンから卵を植えつけられたプレデター戦士の遺体からチェストバスターが誕生。そいつはエイリアンとプレデターのハーフの姿を持つプレデリアンであった。なんでもありだ。ソイツは何匹ものフェイスハガーを引き連れ小型艇に乗込み、何故か再び地球に向かう。
 アメリカの田舎町に到着したプレデリアン一行はとりあえず、森のハンター親子を襲いフェイスハガーの餌食にする。山で人を襲いながら増殖していくエイリアン。
 一方、プレデター星ではこの帰還中のプレデター号内で発生したプレデリアン事件を一人のプレデター戦士が察知する。そしておもむろに単身で地球に向かう。地球に到着すると早速プレデリアン一行を追跡し始め、途中邪魔に入る武装した人間どもを容赦なく始末する。
 あっという間にエイリアンで溢れかえる町。孤高のプレデター戦士とプレデリアン一行との死闘が遂に始まる。ハーフのプレデリアンは手強いぞ、どーするプレデター戦士。そして町の住民の運命は・・・。

【感想と雑談】

 前作とは打って変わって、舞台がアメリカの田舎町となっている。なので地球の一般人の生活がダラダラと描かれている。一人の主人公を立たせる訳でもなく、群像劇のように入替わり立代わり町の住民のドラマを前半で見せている感じだ。合間にエイリアンやプレデターが挿入されなかったら、これが何の映画なのかわからなくなる程だ。

 登場する住人もそれぞれ背景があるような描き方をしているが、あまり説明もなくのめり込むこともできない。できたとしても怪物VSもので重要なスピード感に問題が出るかもだ。

 後半に入りやっとこさプレデター戦士とプレデリアンが激突し始める。得意のサーモグラフィでエイリアンをサーチし、両肩に装着したプラズマガン(?)を掃射する。これがなかなか当らなくてイライラしてくる。

 というよりもこの映画、やたら真っ暗で何が映っているのかサッパリわからない。何がなんだかだ。ここまで書いてきたのは、そんな暗さの中でかろうじて確認できた事項であって、大半が確認不能な暗闇まるけなのでまったく気の晴れない映画となっている。

 DVDでこんな調子だと、劇場公開当時はいったいどれ程の暗さだったのか。基本的にフィルムを投影して鑑賞する劇場では、光量を抑えられたりすると、暗めのシーンが全滅することがある『スターウォーズ/ファントムメナス』の水中都市から潜水艇で旅するくだりがまさにそれだった。劇場側も考えて欲しいところだが。

 監督はストラウス兄弟。兄弟して特撮畑の出身のようで数々の作品に携わっているようだ。だというのにこの出来はいったいなんだ。宇宙を航行する戦艦や不時着する小型艇のCGだけは素晴らしいが、実写に入るともう真っ暗だ。画面を暗くして粗を隠すのも特殊効果の一つなのか。

 もっと明るくして欲しい。


こういうシーンはいい感じである。土星の輪がキレイ。


これが問題の真っ暗シーンのほんの一部。こーなったら全編サーモグラフィの画面でもいいんじゃないかと思う。


隕石のように墜落してくる小型艇。こういうシーンはさすが特撮映画という感じで好き。ちなみに『AVA』にもこれと似たようなシーンが冒頭に挿入されているので要注意だ。


地面を突き破って出陣する我らがプレデター戦士。見よ!この勇姿を。でも真っ暗なのでよくわからない。脇を通る車も無関心だし。『アリゲーター』なのか。

TM © 2007 Fox and its related entities.All rights reserved.
【出典】『AVP2』/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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2008年5月18日日曜日

映画『エイリアン2 完全版』 ・・・夢のプロップ大放出です

●原題:Aliens
●ジャンル:アクション/ホラー/SF/スリラー
●上映時間:154min(完全版)
●製作年:1986年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ジェームズ・キャメロン
◆出演:シガニー・ウィーバー、その他大勢
◎評価:★★★★★★★★★☆

 大好きなこの1本。
 もうこの映画、有名すぎて今更あーだこーだ言うのもあれなんで、ちょっとの雑談と完全版のお気に入りのシーンについていくつか書こうと思う。

 この映画、非常に地に足の着いたSFアクションである。

 必然性のある設定、行動、プロップ等が劇中に満遍なく配備されていると思う。現実世界を基点に、起こりえる未来の姿を限界ギリギリまで描いてる感じだ。

 ジェームズ・キャメロンは非常にディティールに拘る監督なので、もの凄くガチガチに撮っていて隙が無く、しかも重量感に溢れている。画面がいつも青みがかっていて鋼鉄っぽいイメージがあるので、自分は勝手に鋼の演出家と呼んでいる(笑)。

 元々美術や特撮を担当されてきた経緯もあって、プロップのデザインを自ら行ったり、映像技術や劇中に登場する技術の考証に関しても当時の最先端のものを力いっぱい取入れたりと、がんこ職人気質が滲み出ている。不朽の作品が多いのも頷ける。

 ということで、記憶に残るものから残らないものまでこれはというシーン、しかもメカ寄りのものを紹介してみよう。

①脱出艇のハッチぶった切り
 冒頭、57年間漂流してきたリプリーの載る脱出艇が、運良く通りかかった地球からのサルベージ船に回収される。ここで脱出艇のハッチがレスキューロボット(たぶん)によって強制的に切断されるシーン。アホみたいにウィ~ンとハッチが開かないところがミソだ。本筋にまったく関係ないこういうシーンでも拘り全開だ。火花の感じからCOレーザーによる切断だと思われるが・・・。
 ドロスも発生せずキレイに切断されていくハッチ。レーザー出力、周波数にデューティ、酸素量、そして切断速度が適切かと思われる(たぶん。


②バークとのテレビ電話
 毎晩夢にうなされるリプリーが再度エイリアンとの対決を決意し会社代表のバークにテレビ電話をかけるシーン。バークの視線からすると、ちゃんとカメラとモニタの位置関係を意識した演出となっている。何も考えていない作り手の場合、映る相手はカメラ目線で話しかけてくるはずだ。間違いない。小型だがワイド画面のブラウン管がイカス。


③日常的なパワーローダー(歩行式フォークリフト)
 本作のクライマックスでリプリーがクイーンエイリアンと対等に戦う為に用意された最強プロップのパワーローダー。これは本来の貨物移動用として利用されている姿。現存のフォークリフトを基に実用性とSF性を考慮してデザインされている。本作専用に制作されたというのに余計な演出はせずに、宇宙戦艦スラコ号内部で日常的にカーゴやミサイルを運び、そのすぐ脇を兵隊が歩き通るだけ。どこにでもある町工場の日常風景だ。ちなみに元々シド・ミード先生がデザインしていたのをキャメロン監督が却下。”俺がデザインする”とのたまう。
 パワーローダーの足元アップ。現実の工事現場でもお馴染みのイエローブラックで配色された上に長年使用されてきた証の細かい凹みやキズが見られる。本当にどっかの工事現場から持ってきたんじゃないの?姿がすっぽり収まったシーンよりも、その圧倒的な存在感がにじみ出たまさに地に足が着くシーンだ。


④電子見取図
 惑星アチェロンの居住区にある中央制御室。ここでリプリー一行がエイリアンからの襲撃に備えるべく、居住区の見取図を吟味しているシーン。マイクロフィルムの青焼き図面をそのまま投影している雰囲気だが、そのシンプルさが画面を引き立てている。アホで派手なCGを使ったら一貫のお終いだ。
 電子見取図は外付けのコントローラで操作する。非常に実用的で実際の現場でも十分通用しそうな無骨なデザインだ。


⑤セントリーガンのコンソール
 ターゲットを補足すると自動的に掃射するセントリーガン。これをリモート制御するコンソール一式の登場シーンだ。このデザインセンスは当時の軍用のものとして存在していたのか不明だが、当時のパソコン業界ではまだラップトップが出るか出ないかではなかったか。そんな時代にこのノートブックPCを彷彿させる先取りし過ぎのデザイン。公開版でカットされたのが惜しまれる。
 画面もWindowsみたいに派手ではなく、レイアウトは固定され最低限必要なメニューが配置されているだけだ。アホなCG画面でなくて良かった。その場に応じた設定を行いエイリアンを撃退する。大量出現するエイリアンに掃射中、激減していくカウンタ表示がとてもサスペンス。


<追記>
 本作よりも2年前に製作された『2010年』('84)に、既に主人公がノートブックPC(アップル社製マッキントッシュ)を使用するシーンが存在してました。ずいぶん前からノートブックPCは実用化されてたのですね。しかし、本作のコンソールの方が質実剛健でカッチョいいイメージ。

⑥アンテナ基地の制御盤
 惑星アチェロンから脱出すべく着陸船を呼び寄せるがエイリアンの襲撃から墜落し大破してしまう。リモート操作で宇宙戦艦スラコ号から予備機を呼び寄せたいが中央制御室からは直接操作が出来ない。ということでアンテナ基地局までビショップが移動し、制御盤内を調整したり持参したコンソールを繋ぎこむシーン。大容量通信と品質を確保する為に使用されるのは光ケーブルだ。とても鮮やか。こういう技術的で細かい演出がとても素晴らしい。核爆発まであとわずかというタイムリミットも重なってサスペンスな展開にもなっている。


© 1986 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
【出典】『エイリアン2 完全版』/20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン

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2008年5月13日火曜日

笑いすぎて・・・号泣

爆笑動画を発見!
ふと、イエローマジックオーケストラ(YMO)が聴きたくなり、色々探し回ってたところ、なんと吉幾三とYMOのコラボ動画を発見してしまった。「俺ら東京さ行くだ」からボーカル部分のみ取り出し、そのままYMOの「ファイアクラッカー」に乗せただけのものなんだけど、これが本当に合っていてあまりのおかしさに涙を流すほど爆笑してしまった。
どんな歌とも相性がいいみたいで膨大な数のコラボ曲が存在するようです。しかし、よくこういうの思いつくよなぁ(笑。

曲名『FIRE村CKER』だそーです(笑

2008年5月12日月曜日

映画『ターミネーターX』 ・・・ビンボー臭いターミネーターがラリアット

●原題:Horrorvision
●ジャンル:ホラー/SF/スリラー
●上映時間:72min
●製作年:2001年
●製作国:アメリカ
●言語:英語
●カラー:カラー
◆監督:ダニー・ドレイブン
◆出演:レン・コルドバ、その他小勢
◎評価:★★☆☆☆☆☆☆☆☆

 以前からレンタル屋で目に入ってた作品だ。チャールズ・バンドの製作。思い切って借りてみた。

【ストーリー(一部感想含)】
  いきなりカメラ付きチャットをやっている男女。男は主人公のデズ、女はちょっとボンデージ要素の入ったトニー。二人してポルノサイトを運営しているようだ。今日もバカ話しで盛り上る。暫くしてチャットを終えた二人だが、トニーが偶然ホラー系サイトにアクセスすると、何故か自宅のコンセントから大量のケーブルが飛び出しトニーに襲い掛かる(引用①)。もの凄い形相で悲鳴を上げるトニーの顔面アップに耐えながら見ていると、突然トニーの体が消滅してしまう。そして、元に戻るケーブル。

 翌日、トニーのもとへ仕事用のデータをもらいに行くデズだが、トニーがいない為勝手に家に入りデータを頂いていく。

 その夜、デズが恋人デジーと一緒にデータを確認していると、例のホラーサイトに勝手にアクセスしてしまう。そのホラーサイトはなぜかアクセスした人間にケーブルを介して襲い掛かるようで、デズにも危険が迫ろうとしていた。慌ててパソコンのケーブルを切断するデジーだが、直後に電撃を食らってしまい体が消滅してしまう。・・・どういう原理なんだ?

 訳が分からないデズは車で逃げようとするが、車のボンネット上で体育座りしているマント黒人を発見(引用②)。モーフィアス??なんかブツブツ言ってくるので無視して車を発進。オンボロホテルに泊まると、今度は持参したPDAからメカ団子虫が出現、デズに襲い掛かる。なんとか払いきって車まで逃げてくると、またさっきのマント黒人が現れる。車に無理矢理乗込んでくるので、仕方なくそのまま発進するデズ。

 マント黒人の話によると、ここ最近の不可解な事件には例のホラーサイトが関わっているとのこと。そこに行けばトニーやデジーが見つかるかもしれないとも言う。

 マント黒人の案内でホラーサイトが運営されるビルに到着した一行。侵入すると突然Quake4に出てきそうなメカ人間が登場@@。「全世界に張り巡らせたネット上には主がいる、オレはただの下っ端、ここを壊しても無意味」、とか散々抜かす。また、消滅したトニーとデジーはそこでデータ化されCD1枚になっていることも明かす。こりゃダメだ。その後メカ団子虫まで出現し焦る一行だが、なんとかメカ人間共々撃退しビルから脱出。

 砂漠を車でひたすら走る一行。途中で車を降りズンズン砂漠を歩いていくマント黒人に混乱するデズが問い詰める。マント黒人はネットには邪悪な精神が溢れかえっており、それに対抗できるのがデズお前なのだ、と諭す。困惑するデズ。

 と、そこにデズの通信機能を持つ腕時計から、ボロ着をまとったターミネーターもどきが出現(引用③)。『デスマシーン』のユンボロボみたいだ。殆ど歩けないターミネーターもどきなので楽勝で逃げると思ったら、わざわざUターンして自ら突っ込んでいくデズとマント黒人。さて、この後どうなることやら・・・・・・。

【感想と雑談】
 今回もやってしまった。なかなかこういうB級以下映画でお宝を発掘するのは難しいですね。

 製作会社のフルムーンピクチャーズだけど、かつては前身のエンパイアピクチャーズ時代(80年代)にSFホラーな作品で注目を浴びていたところ。その創設者のチャールズ・バンドが本作でも製作を勤めている、という訳で小粋な作品出してた頃を思い出し、ちょっと期待してしまいました。『死霊のしたたり』や『フロムビヨンド』や『ドールズ』とか面白かったんだけどな~(これだけだったか?) 。


 オリジナリティ溢れていたのに、今じゃパクリ精神の塊になっちゃったのかな。『ターミネーター』と『マトリックス』の世界観!!とかいう謳い文句で、たしかにそのまんまだし(笑;) 。劇中のテレビでホラー映画が流れるのだが、こっちの方が面白そうで気になってしまった(笑)。

 クライマックスの腕を振り回すだけのターミネーターもどきによってこの映画はトドメを刺す。こんなダサいターミネーターに自分から突っ込んでいき、ウエスタンラリアットを食らうマント黒人(引用④)。大笑いしてしまった。

 こういう映画の場合、観る人を感動させようとか名作にしようとかいう意識は作り手には皆無のようだ。あくまでも金儲け第一なんだろな。ヒット作をパクってハッタリ効かせた宣伝かませば全てOK。それで激怒する人が出てきても金が回収できればOK。それでまた次に回す。そんなエクスプロイト連鎖に加担している自分(笑;)。


①インターネットをやってたら、こんな目に会ってしまいました。夢に出てきそうだ・・・この顔が。この女優『マシーン・オブ・ザ・デッド』にも出てたけど、本作の方がマシなやられ方。


②人の車に土足で乗っかる無礼者マント黒人。モーフィアスのつもりらしい。なんかブツブツ言ってます。


③ひょっとしてコイツがターミネーターX?パッケージのデザインには惹かれたが、まさかこんなに貧相だとは思わなかったぜ。


④「ヤツは俺にまかせてオマエは腕時計を破壊しろ!!」と叫びながら、自ら突っ込みラリアットを食らうマント黒人。

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【出典】『ターミネーターX』/トランスフォーマー

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